平成13年 (行ウ) 第29号     出席停止処分取り消し請求事件


   原  告   戸 田  久 和

   被  告   門 真 市 議 会
           上代表者議長  冨山悦昌


準備書面 (1)

2001(平成13)年 8月8日

 大阪地方裁判所 第7民事部 合議1係  御中
                                        原  告   戸  田  久  和

 被告が6月14日付けで提出した「答弁書」に対して全面的に反論するとともに、訴状における主張を補充するために、原告はこの準備書面(1)を提出するものである。                  


【 目 次 】

はじめに;                                          ・・・・・・・P 2

1:被告答弁書の論理構造とその虚構の解明                    ・・・・・・・P 3

2;日本議会史上前代未聞の懲罰暴走をなす門真市議会と本件訴訟の重大さ  ・・・・・P 5

3;本件解明に不可欠な門真市議会の特質と運営実態について           ・・・・・P 6

4;新タイプの「強烈野党」として惰眠議会を震撼させてきた原告の議員活動   ・・・・・P 9

5;与党4会派が原告に対して本件懲罰を発動した動機について          ・・・・・P11

6:門真市議会の機構と運営の基本についての説明                 ・・・・・P13

7;年間計80分以内の一般質問、かけがえなき本会議議決、4回だけの定例議会・・・P17

8;出席停止懲罰は、最終本会議での議決権・質問権剥奪に直結させられる仕組み・・P19

9;不当な出席停止懲罰の脅威によって、どのような言論萎縮が生じるか    ・・・・・・P21

10;本件出席停止懲罰で原告が剥奪されたもの                   ・・・・・・P21

11;重要参考;原告への最初の懲罰と問責決議事件(99年9月議会)     ・・・・・・P24

12;重要参考;原告への辞職勧告決議事件(99年12月議会)         ・・・・・・P27

13;重要参考;共産党議員への懲罰事件(2000年3月議会)          ・・・・・・P28

14:「議会の自律権」は多数派の法規範逸脱を不問に付すためのものではない ・・・・ P31

15;「社交の儀礼を標準としてはならない」ほどの、議会言論自由保障の大原則 ・・・・P33

16:不利益処分を科す場合に最低限守らなければならない原則          ・・・・・P36

17;原告発言(1)は「誹謗中傷」「無礼の言葉」「議会の品位」等に全く抵触しない・・・・P38

18;原告発言(2)も「誹謗中傷」「無礼の言葉」「議会の品位」等に全く抵触しない ・・・・P43

19;本件懲罰は不利益処分の原則からして、手続き上の瑕疵により不当である・・・・P47

20:前回懲罰事件を提訴しなかった原告の反省と司法の責任           ・・・・・P48

21;証拠提出命令の要請並びに被告への釈明の請求と証人申請        ・・・・・P49

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はじめに;
 被告門真市議会は、本件訴状提出の5月14日当時は大本郁夫議員が議長を務め、その後の「5月臨時議会」を経て、冨山悦昌議員が今年度の新たな議長に就任してその代表を交代したものであるが、本件訴訟に対して極めて不誠実・傲慢な対応を取っていることをまず批判しておかねばならない。
 すなわち、有権者の選挙によって選ばれた議員に対して、議会内多数派の数の力によって議会への出席を停止するという重大な処分を行なったことの不当性を、事実に基づく十分な主張と、それを裏付ける大量の疎明資料を添えて訴えられているにも関わらず、被告は表書きを含めてわずか2ページの無内容な答弁書を提出するのみで、原告主張への実体的な反論を回避して、形式論のみによって原告の訴えを門前払いするように、裁判所に求めているのである。

 しかも被告は、原告が6月21日口頭弁論で述べ、疎明資料「甲第17号証」から「甲第19号証」として提出しているように、本年3月議会での懲罰問題に関係する部分について伏せ字だらけにした「平成13年度第1回定例会門真市議会議事録」を作成して真実の隠ぺいを謀ったのみならず、原告がこの伏せ字部分の発言が判る「議事録原本など」を公開することを求め、本件訴訟の重要な事実資料であることを指摘したにも関 わらず、7月10日付けで「公文書不開示決定通知書」を出して、公開提供を拒否したのである。          ・・・・・・・・(甲第24号証・甲第25号証)

 これは本件訴訟で争われるべき核心部分についての公式な記録を隠ぺいしたまま、「本件訴えの却下」という被告答弁書の通りの判断を裁判所にさせようというものであり、裁判所をも愚弄したものであると言わなければならない。と同時に、その姿勢から実は被告が、原告の指摘する問題点に対してなんらまともな反論をなしえず、事実記録の開示すら忌避して空疎な形式論のみに頼る他ないほどに、その処分行為の正当性に欠けていることが、如実に浮かび上がってくるのである。原告は本準備書面でそのことを論証していく。

 そのために原告は、まず「被告答弁書の論理構造と虚構の解明」によって論証の方向を明示する。その後に、議会全般についての説明と絡めて、およそ出席停止懲罰が議員の職責と有権者の参政権に重大な影響を与えるものであることを説明すると共に、個別 門真市議会に現れている懲罰攻撃による弊害実態を詳しく示しながら、今回事件以外に2件も立て続けに不当懲罰を引き起こしてきた門真市議会の異様な実態とその背景事情を紹介し、これらをもって被告の為した懲罰処分の不当性・不法性を解明しながら、本件の「実質1日の出席停止」は決して軽く見ることはできない重大深刻な問題であって、これを放置するならば議会制民主主義にとって危険な事態を拡大してしまうことを訴えつつ、最後に被告に対して釈明要求を行ない、裁判所に対しては被告に3月議会議事録原本の提出命令を出されることを求め、併せて本件審理に必要な証人の申請を行なっていくものである。

 裁判官のみなさんがこの訴えに耳を傾け事件を精査されることを、民主主義と地方自治の生々しい現場に身を置く市議会議員の1人として切に願う次第であります。