7;年間計80分以内の一般質問、かけがえなき本会議議決、4回だけの定例議会

(1)本書面で言う「議決」とは、その議案に対する「質疑」や意見表明たる「討論」も含めたものとして
  ご理解いただきたい。また、議員の願望通りの答えを引き出せた場合はもちろん、議員側の願望
  通りのものでなかったとしても、質疑に対する「答弁」は次の追求の足がかりになったり、「前例」
  を作ったりするものとして、そのやり取りを議会の記録に残すこと自体に大きな意味があり、理事
  者側や与党会派に問題を投げかけて考えさせることにも、また広く市民に問題を知らせることに
  於いても、重要な意義がある。討論もまた然り。

   とりわけ原告のように、ホームページや通信を通じて議会の実状を積極的に公開することによ
  って市民の関心を高めてきた議員が議会から排除されることは、賛否の議決行動それだけで
  なく、質疑や討論を行ない市民のために役立てる幅広い行為が妨害さ れることなのである。

(2)前項で明らかにしたように地方議会では、年間たった4回しか定例議会は開かれず、従って委員
  会付託して審議する様々な議案を議会として決定する本会議での議決もそれぞれの定例議会終
  盤本会議の(普通は)1日づつ、合計4日しかない。もちろん、予算案などの重要議案だけでなく、
  委員会付託するまでもなく定例会冒頭の本会議や、5月臨時議会で議決される議案も含めて、本
  会議での議決の機会はそれぞれにかけがえのないものである。

    また、「市政に対する一般質問」を行なうことができるのも、定例議会の本会議に1度だけで、
   しかも門真市議会では議員ひとりあたり20分以内と決められてしまった(1999年9月議会から)
   ので、年間わずか80分以内でしかない。所属する常任委での質疑や質問にしても、それができ
   るのは定例会の中の1日だけ、年間4回しかない。
     いずれにしても議員の職責にとっても、議員の議会活動を通じて政治参加する有権者の参政
   権からしても、みな貴重な機会であり、もしこれを制限したり剥奪したりするというのならば、よほ
   どの理由、あえてそれをしなければ議会制民主主義が保てないというほどの、明白で合理的な
   理由が必要であることは言うまでもない。

(3)本会議・常任委への議員の年間出席日数について。
   上記「5」項(7)のAを整理すれば、本会議については3月議会が3〜4日、6月9月12月議会が
  各2〜3日で最大限計9日、5月臨時議会が2〜3日の最大限合計16日が基本であり、常任委に
  ついては4回の定例議会で各1日、合計4日が基本である。
   従って、1年間の出席日数は本会議・常任委総計で最大限20日が基本である。(自分の所属し
  ていない委員会を傍聴するのは任意であって義務ではない)このうち、常任委に審査付託された
  議案の議決を行なうのは4定例議会最終本会議のわずか4日のみなのである。

   原告が無所属議員であるが故に門真市では所属させてもらえない、議運や決算特別委や派遣
  議会、各種審議会に所属している議員はそれらの開催分だけ出席義務日数が増加するが、それ
  にしてもせいぜい年間40日程度であろう。(しかもその大半は1〜2時間程度の拘束しかない。)
   個人の自由裁量に任される部分が多く、本会議・常任委に関しては年間わずか20日程度の出
  席義務で1000万円前後の報酬・手当を得て活動するのが市議会議員であり(門真市の場合は
  1300万円前後)、それだけ個々の議会出席の意味が重いのである。



8;出席停止懲罰が最終本会議での議決権・質問権剥奪に直結させられる仕組み


(1)懲罰動議が議長宛てに出された場合、その取り扱いの根本原則は以下の通りである。

  @;提案者が議運に懲罰動議を出した上で、本会議に上程してその取り扱いを議決する。

  A;懲罰の議決については、委員会の付託を省略することができない。
     (門真市議会会議規則第107条の規定による。甲第23号証)

  B;従って、何らかの委員会に懲罰動議を付託審査して、懲罰をすべきかどうか、する場合
     はどういう懲罰をするかを採決する。

  C:再び本会議を開き、審査結果の報告を受けた上で、懲罰をすべきかどうか、する場合
     はどういう懲罰をするかを議決する。

    (注);懲罰審査を行なう「何らかの委員会」というのは、本来「懲罰特別委員会」を選出してそれ
       に当てるのが常道であり、門真市議会史上初めて懲罰事件が発生した1999年9月議会で
       はそのようにしたのだが、その後門真市議会では2000年3月議会で史上2回目の懲罰事
       件が発生した時から(対象は共産党・福田議員)、手続きの簡略化のためか、「懲罰特別
       委員会」を結成せずに、 「総務水道常任委員会」に付託する手法を取り、門真市議会史
       上3回目の懲罰事件の本件の場合も、4会派一致して「総務水道常任委員会への付託」
       の手法で処理することに議決した。
       これはまさしく共産党や原告が反対しているように、本来「懲罰特別委員会」を選出して
       審査すべき重大問題を、「お手軽に」処理してしまおうという4会派の姿勢の現れである。
       そしてまた「仲良し4会派」の慣例からして懲罰動議が表沙汰になった段階からは4会
       派の意見が分かれることはなく、委員会でも本会議でも絶対多数で筋書き通り可決され
       てしまうのが実態である。

(2)「出席停止日数」には「休会日」も算入するが、懲罰決定日をどうにでも調整できること。

  @;議会の会期中で本会議や常任委の開催されない、いわゆる「休会日」も「出席停止日数」に
    算入されるので、例えば冒頭本会議での発言に懲罰がかけられて、その日のうちに「懲罰動
    議上程」―「本会議休憩・委員会付託審査」―「本会議再開・懲罰決定」、で決定することも
    「純理論的には」可能であり、そこでの結果が最高の「出席停止5日」だったとしても、この場合
    は終盤本会議に出席して議案の議決を行ない、一般質問をすることも「純理論的には」できる
    ことになる。

  A:しかし、甲第15・27・28号証に示すように、1999(平成11)年9月議会で4会派は、「本会議終了
    後に懲罰動議を議長に提出」―「終盤本会議冒頭になってから懲罰動議上程」―「懲罰特別委
    で審議採決・本会議で出席停止懲罰決定執行」としたのであり、本件の「3/14提出懲罰動議」
    では、「中盤本会議一般質問に対して懲罰動議上程・総務水道常任委員会付託決定」―「後日
    の総務水道常任委員会で審議採決」―「終盤本会議で出席停止懲罰決定・執行」というやり方
    を行ない、さらに重ねて、「3/16提出懲罰動議」のように、もっと卑劣に「発言の2日後に密かに
    懲罰動議提出」―「終盤本会議当日朝にそれを初めて公開して本会議上程」―「総務水道常任
    委員会を臨時に開いて審議可決」―「本会議でさらなる出席停止懲罰決定執行」というやり方で
    いずれの場合も、原告が本会議で議案議決に加わることを排除したのである。(1999年9月議会
    の場合は、一般質問まで不可能にした)

  B;要するに、絶対多数の数の力をもってすれば、懲罰動議の議長への提出を期限ぎりぎりまで
    (事案発生日を含んで3日以内)遅らせたりすることも含めて、終盤本会議冒頭に懲罰動議の上
    程や、「委員会審査結果の報告血一本会議議決」を持ってくることはたやすいのであって、その
    結果「たとえ1日の出席停止懲罰」であっても、終盤本会議冒頭でそれを決することで全ての議
    案議決から排除し(3月5月議会以外は)貴重な一般質問の機会までも潰してしまえるのである

  C:仮にそのような「悪意」がない場合でも、休会日といえども様々な準備や作業が議員側にも理
    事者側にもあるのが普通であって、懲罰動議の議決のためだけに当初の予定にない本会議を
    臨時に開催する余裕がないものである。まして懲罰事件は議会では発生率0.3%前後の、「普
    通は起こりえない特殊事態」であり、委員会審議と本会議での決定を事案発生の当日に即日
    に行ない得ないのが普通であり、どうしても「後日の本会議で決定」する段取りにならざるを得
    ないという事情が生じるから、結局「終盤本会議冒頭で懲罰動議を議決する」ことにつながる
    のである。

(3)それぞれの時期による、出席停止を狙った懲罰攻撃がかけられる場合のケーススタディ。

  @;冒頭本会議での発言に懲罰攻撃がかけられる場合。冒頭本会議では「承認」・「理事者提出
    議案」・「議員提出議案」・「請願」が上程され質疑・討論が行なわれたり本会議即決で議決
    されるものもある市長が上程する議案の中には「人事案件」と呼ばれる教育委員監査委員
    助役収入役などの任命への即決同意を求めるものあるし、閉会中に市の不祥事が発覚した
    場合には、この冒頭議会で市長の態度表明や処分提案などが行なわれるのが普通である。
     結構緊張をはらんだ問題もあるのであり(1999年9月議会では、まさに助役不祥事に対する
    処分に関する原告の質疑に懲罰攻撃がかけられた)、この時懲罰攻撃を仕掛けられると結局
    終盤本会議冒頭で懲罰決定され1日でも出席停止懲罰ならば全ての議案議決と一般質問が
    潰されてしまう。 (中盤本会議で一般質問のある3月議会では若干これと異なる)

  A;中盤本会議での発言に懲罰攻撃がかけられる場合。「中盤本会議」というのは、3月議会だけ
    にあるものだが、この時行なわれるのは会派の代表質問か、無所属議員(もしくは会派議員個
    人)の一般質問である。門真市議会のような異様な議会では、年度末に厳しい質問をして懲罰
    攻撃を受けると、終盤本会議で出席停止懲罰が決定されて、予算案を初めとした全議案の議
    決から排除されてしまうことになる。(中盤会議での一般質問途中で「発言禁止」+懲罰攻撃と
    言う可能性もありえる)

  B;常任委での発言に懲罰攻撃がかけられる場合。常任委ならではの、(時間制限のない)突っ
    込んだ質疑質問や討論に懲罰攻撃をかけられると、これまた終盤本会議冒頭になって懲罰動
    議上程―懲罰決定され、1日でも出席停止懲罰ならば全ての議案議決と(3月議会以外は)せ
    っかくの一般質問の機会が潰されてしまう。

  C;終盤本会議での発言に懲罰攻撃がかけられる場合。この本会議では、常任委で審議されて
    きた議案への質疑討論も可能で、議決があるまた、冒頭本会議で上程されなかった議案がこ
    の日初めて上程されて本会議即決になる場合もあって、その中には市が調整に手間取ったも
    のや、抜き打ち的に可決してしまいたいものもあって緊張をはらむ場合がある。
     2000年9月議会への前公明党市議の教育委員への任命案件や、同じく2000年12月議会へ
    の議員報酬値上げ議案などがそうであった。
     門真市議会の場合、(3月議会以外)一般質問の前に、これら全てを含んだ理事者提出議案
    を議決するからここで厳しい発言をして懲罰攻撃をかけられると即刻懲罰動議を上程されて
    懲罰決定され、一般質問とそれ以降の議員提案議案(意見書など)の議決ができなくなってし
    まう。
     2000年3月議会で共産党の福田議員が出席停止懲罰を仕掛けられたのは、まさに終盤議会
    で不祥事辞職助役の後任助役の人事案件に対する厳しい発言に対してであった。
                                              (詳しい経過は後述)