20:前回懲罰事件を提訴しなかった原告の反省と司法の責任
(1)現段階で考えてみれば、原告に対して1999(平成11)年9月に強行された前回の出席停止2日懲
罰の時に訴訟提起しておけばよかった、との反省の念が起こらないでもない。
当時を振り返ってみれば、訴訟提起しなかった理由は以下のように整理することができる。
@;「除名以外は裁判の対象にならない」、もしくは「除名以外は裁判を起こしても門前払いされてし
まう」、という慣例及び通説が原告が知り得た範囲に於いては、ベテラン議員にも弁護士にも含
めて根強くあって、最初から断念せざるを得なかった。
京都府加茂町の曽我町議が、1997年9月議会での戒告懲罰に対して1998年3月に取り消しを求
める訴訟を起こして、京都地裁がこれを受理して司法審査が行なわれていたことを原告は良く
知らなかった。A;当時原告は初当選後わずか半年にも満たず、議員としての経験が浅かったために、訴訟を構
える余裕がなかった。懲罰攻撃への対応と通信やホームページでの訴えを行なうだけで全精力
を費やさざるを得なかった。
また、助役の汚職疑惑や自殺問題など、次々と追求すべき課題が目の前で起こっていた。B;門真市議会4会派の非常識さには大いに呆れたけれども、まさかそれがその後2年近くたって
も改まらないほど酷いとは考えもつかなかった。
(2)上記の京都府加茂町議の懲罰事件については、20000年3に地裁判決で敗訴したものの、現在
大阪高裁で争っており【事件番号「平成12年(行ウ)第41号戒告処分取り消し請求事件】、今年
9月21日に高裁判決が出されることになっており、従来の最高裁判例とは異なる判断が示される
可能性もある。判決の行方は予断を許さないものの、この不当懲罰を裁判所が正しく裁かないならば最高裁ま
で進んで争うことに原告は意志を固めており、いずれにしても「除名以外は議会の自律権の範囲
内だから司法は立ち入らない」という従来支配的だった最高裁判例に疑問が呈され、やがては変
更されていくのが時代の趨勢だろうと見ることができるようになってきた。
こういう中で、加茂町に於いては曽我町議の訴訟提起の影響力で、1997年の戒告懲罰以来、懲
罰事件はひとつも起こらず、旧来の多数派の横暴は大きく抑制される、という事態の改善が実質
的に進んできたのである。これは、2000年に共産党議員に戒告懲罰を強行し、本年原告に本件懲罰を強行して恥じるとこ
ろのない門真市議会と実に対照的と言わなければならない。原告としてもこういう実態を見て、断
固として訴訟を進めていく意義を認識し、これほどひどい不当懲罰が正しく裁かれないならば、最
高裁までも上って正義を訴えて行かなければならないと決意を固めている次第である。
(3)なおかつ、本書面冒頭部分でも触れたが、これほど悪質・執拗に原告に対する攻撃を重ねる
門真市議会4会派にあっては、司法が放置するならば、裁判での敗訴可能性もお構いなしで、
原告に対しての除名懲罰すらやりかねない危険性が十二分に存在するのである。次の市議選が行なわれる2003年まであと2年を切っている現在、除名懲罰で裁判になっても
判決が出て地位回復するまで1年から2年を要すると見るならば、その間原告を市議会から排
除しておけるという大きなメリットがあり、除名処分中であっても原告が次の市議選にも立候補
する決意である以上、「除名懲罰されるほど悪い議員だ」というレッテル貼りが功を奏して原告
が落選すればもっけの幸いだし、当選したとしても「訴えの利益がない」と逃げることが可能で
あり、なおかつ本件懲罰について刑事責任を問われるわけでもなく、賠償請求があっても自分
の懐を痛めずに市費からの支出で済ます事ができるという損得勘定によって、冨山議員を最
古参とする公明党や大本議員ら強硬派が、そちらの方向へ4会派全体を引っ張り続ける可能
性が多分に存在するのである。仮にそこまでは起こらなかったとしても、本書面で論証しているように、不当懲罰の可能性が
消えずに存続すること自体、原告の正当な議員活動を大きく圧迫するのみならず、門真市議会
全体にとっても、その健全な発展を大いに阻害され、市民全体に損失を与えるから、一刻も早く
現在までの門真市議会の非常識な運営実態が改善されなければならないのである。本件審理
にあたって、裁判所に正義実現のために精査していただくことを願って止まない所以である。
21;証拠提出命令の要請並びに被告への釈明の請求と証人申請
(あとで正式に書面提出します)
(1)被告が隠ぺいしている「3月議会本会議・議事録原本」を証拠として裁判所に提出する命令を被告
に出されるよう、裁判所に要請する。
(2)被告に対しては、原告の訴状及び準備書面での主張に対して誠実な釈明を行なうよう、要求する。
とりわけ、原告の議会発言を「誹謗中傷」・「議会の品位と権威の失墜」・「人権侵害」・「無礼の言
葉」と断定し、しかもそれが懲罰に相当するという具体的根拠を 明確に示してみよ。議会に於いて行政の幹部職員の公務に対する批判を行なうことが「人権侵害」にあたるという
根拠を示せ。原告の議会発言で事実に反することがあるというのなら示して見よ。
事実に反していなくても「誹謗中傷」だと言うのならその根拠を示せ。
(3)本件事件の真相を解明するために、最低限、以下の証人が不可欠であると考えるので証人申請
をします。
@;大本郁夫元議長・・・・・本件懲罰当時の議長として、議事運営の実状、懲罰事案処理の実際と
その捉え方、懲罰に密接に関係する前年12月議会での原告への発言
規制と議会だより作成の実相などを問いただす必要がある。A;吉水丈晴議員・・・・・・3月14日提出懲罰動議の提案理由説明者であり、市長出身与党の緑風
クラブ幹事長・議会運営委員会 委員長(当時)でもあって、懲罰動議に
対する認識や議会運営の実態について、問いただす必要がある。B:鳥谷信夫議員・・・・・・・3月16日提出懲罰動議の提案理由説明者であり、「無礼の言葉」などに
筋違いの理解を持っている公明党の議員である。
懲罰についての考えや根拠について、つぶさに問いただす必要がある。C:他市の市議会議経験者にして見識の高い方 (〜近日中に原告が人選して要請する)
・・・・・・本件懲罰事件を市議経験者として広い観点から見て、4会派の懲罰攻撃
の異常さと、本来の健全な議会運営のあり方を証言してもらう。D:首長クラス幹部経験者にして見識の高い方 (〜近日中に原告が人選して要請する)
・・・・・・・本件のような懲罰が横行するならば、それは行政にどのような歪みを与え、
市民全体のマイナスになるか、議会と行政の健全関係とは本来いかなるも
のか、を豊富な行政経験から証言してもらう。E;自治体問題を専門とする学者 (〜近日中に原告が人選して要請する)
・・・・・・・行政・議会・自治体に関する法律の専門家の立場から、本件懲罰の不当性
や司法介入の必要性、議会の自律権の正しいありかたについての研究成
果を証言していただく。以上で、準備書面(1) 了