3;本件解明に不可欠な門真市議会の特質と運営実態について


(1)本件訴訟にあたっては、裁判の形式上、被告を「門真市議会」とし、その代表を議長としているが、
 本件事件を引き起こした実体は、多数の横暴によって門真市議会を引き回している与党4会派議員
  23人であり、中でもその勢力を牛耳ってきた大本郁夫議員と富山悦昌議員(奇しくもこの2人のボス
  議員が提訴当時の議長と新年度の議長)である、と原告は認識している。
   一般的に「門真市議会」と言えば、原告や共産党議員4名も含めた28議員で構成されるが、原告
  や共産党議員は多数派与党議員の横暴で非民主的な議会運営に常に反対する立場であり、その
  被害を受けてきたものである。

   従って、本件訴訟で「被告=門真市議会」と原告が述べる場合は、実体としては与党4会派及び
  そのボス議員によって実質的に支配操縦されている門真市議会を指して言っていることを最初に
  附言しておきたい。また、地方議員は行政首長と別個に選挙されるものであり、本来ならば「与党
  ・野党」という区別はおかしいのだがその点を留保しつつもここでは通俗的な言い方に従って市
  長に対する「与党・野党」という言い方をしていくことも附言しておくものである。

(2)門真市議会を構成する28議員を色分けすると「与党」が4会派23人「野党」が共産党4人(会派)
  及び原告1人(無所属議員は門真市議会では会派として認知されない)である。
   与党4会派の内分けは、最大会派の公明党8人、それぞれに自民党と保守系無所属が合体した
  「緑風クラブ」7人と「志政会」5人、そして民主党と無所属が合体した「市民リベラル」3人。そして議
  長は常にこの4会派23議員の中から選出され、議長以外の22議員でも議会の4分の3以上の絶対
  多数を占めている。(議長以外の27議員の4分の3は20.25人だから21人で4分の3を越える)
   なお、「除名」懲罰の場合、「被告」当事者は出席できないから、議長と「被告」以外の出席議員
  =26議員の4分の3(=19.5人)を割り込まない限りすなわち最低でも出席与党3議員が造反し
  て19議席にならない限りは、法的多数決としては楽に可決することができる。
  (除名懲罰は過半数の賛成でできる出席停止懲罰と違い、出席議員の4分の3以上の賛成を得な
   いと可決できないが、この「高い壁」であっても門真市議会では楽に越えられる)
                                       ・・・・・・・・・・(甲第9号証@ABC)

(3)こういう与党会派絶対多数の門真市議会の歴史的特色は以下の通りである。

 @;1963(昭和38)年の市制施行以来38年で現職の東市長を含めて市長はわずか3人だけで比較
   的長期政権が続き与党会派は(公明党以外は)その名称・構成人脈に変転があるものの常に
   「共産党を除く与党会派連合」を形成して「4分の3以上の絶対多数体制」を継続してきた。

 A;原告が1999(平成11)年春の統一地方選挙で当選して初めて、「野党」の立場を取る議員が共
   産党議員以外に誕生した。

 B;現在5期17年目の東市長体制の下で、市長の上程した議案に議会で与党から異論が出たこと
   は一度もなく、与党会派の評決が議会で分かれたことも、否決されたことも一度もない。
   また常任委員会での結論が本会議で覆ったことも一度もない。

 C;門真市議会4会派は「表だって意見を闘わせない仲良し会派連合」として近隣市の事情通の間
   では有名であり、それは議会での審議時間が他市と比較して短い、という実証データとしても現
   れている。
    要するに、質疑・質問・討論をする議員が少なく短時間で議会が終わってしまうのである。
            (このデータは疎明資料として後日追加提出する)
    つまり「トコロテン式議会」「議会では形式的審議しかしない議会」・「初めから結論
    が分かっている議会」とみなされても仕方ない実態が続いてきたのである。

(4)4会派の横暴で社会常識に反した議会運営の実例は本件懲罰事件以外でも、例示に事欠かな
   いが、その中から典型例を一部だけ上げると、

 @;99年8月、当時の助役が延滞金も含めた市税約1000万円弱を4年間も滞納していることが発覚
   して大騒ぎになったが、9月議会では4会派は誰1人この件で質問も発言もせず、市民を呆れさせ
   た。                     ・・・・・・・・・(甲第12号証CDE・甲第27号証)・・・参照

 A;この議会で4会派議員は、助役問題を鋭く追求した原告を攻撃することに終始し、戒告懲罰・出
   席停止懲罰・問責決議を連発し、それ以降、同年12月議会での原告への辞職勧告決議、翌年
   3月議会での共産党議員への戒告懲罰など、日本の議会史上類例を見ない議員攻撃を展開し
   てきた。 (詳しくは別途に記述する)

 B;2000年2月の議運で、「カバン類を議員が議場に持ち込むことを禁止する」、という前代未聞の
   誰もが頭をひねらざるを得ない珍規則を定めた。 (原告攻撃のネタ増加が目的でまだ継続)

 C;同議運でほかに「委員会議事録の全文公開禁止と議長による閲覧許可制」を定め、議員たる
   原告に対して5ヶ月間に渡って委員会議事録を見せないという嫌がらせと業務妨害を続けた。
    なお、前年12月議会で「門真市情報公開条例」を可決しており、この時期は議会も対象機関
   となって「公文書は公開が基本」という大原則の下で、7月からの情報公開制度施行開始に向
   けて実務的準備を進めている段階であった。それにも関わらず新制度の大原則に全く逆行す
   る暴挙を4会派は平気で押し通したのである。
      ・・・・ABC合わせて、甲第12号証DEFG・甲第14号証ABCDEFGHIK
      ・甲第15号証・甲第16号証・甲第28号証・甲第29号証・甲第30号証参照

 D;2000年3月に「門真市議会のカク乱を阻止する議員連盟」なる団体を名乗って、4会派23議員
   が連名で原告を誹謗中傷する怪文書もどきのビラを門真市内全域で配布して市民を驚かせた。
   ところが麗々しく「議員連盟」を名乗っていながら、代表者も連絡先も明らかにせず今以て不明
   である。                              ・・・・・・・・・・・・(甲第31号証 参照)

 E;同時期、「門真市合併促進議員連盟」を同じく4会派23議員で発足させて、議会で公表したが、
   これまた代表者も連絡先も明らかにせず今以て不明である。公職にある者が「議員連盟」結成
   を宣伝しながら、このように不透明で無責任な状態を放置して改めることがない所に、4会派議
   員の社会常識の欠如がよく示されている。          ・・・・・・・・・・(甲第32号証 参照)

 F:公明党の富山議員は、今年で7期27年目の「最古参」議員であり、それに次ぐのが6期23年目で
   門真市自民党支部長の大本議員(志政会)であるが、この2人のボス議員の議会操縦力の一端
   を見せつけたのが2000年3月議会だった。
    3月6日本会議開始早々、大本議員がいきなり理由も告げずに「休憩動議」を出し、当時の早川
   議長(公明党)がそそくさと休憩を宣告。大本議員はこの時のマスコミ対応が気にくわないとの怒
   りを持って議会事務局長を大勢の関係者がいる前で「アホンダラァ」と怒鳴りまくったのである
   (同氏の「品位」の度合いが良くわかる話である)
    また、富山議員は3月24日の最終本会議の終わりかけになっていきなり理由も告げずに「休憩
   動議」を出し、これまた原告や共産党議員の疑問の声を無視して議長が休憩を宣告。
   これが共産党福田議員への懲罰動議可決につながって、本来なら午後3時程度に終わるはず
   の本会議が深夜11時20分までかかって福田議員への戒告懲罰を実現したのだった。
    ボス議員が声を出せば、理由も不明のまま議会がストップするのが門真市議会である。
                                      ・・・・・・・・・・・・(甲第33号証 参照)

 G;4会派が唯一揉めるのが、年に一度、5月臨時議会で議会の役員・委員会配置人事を決める時
  であるが、これにしても公式の議事ではなく、非公開の代表者会議ですらなく、共産党や原告を除
   いて、4会派だけの私的な協議と駆け引きを延々と続け、その間、共産党や原告のみならず市長
   初めとした理事者も、いつ終わるとも分からずに延々と待機させられるのである。
    こういう私的協議のために議会会期を延長させて、議員の費用弁償(出席手当)までも平気で
   受け取るのだから、まさに4会派による議会私物化がされていると言っても過言ではない。
                                ・・・・・・・・・・・・疎明資料(甲第34号証 参照)

 H;門真市議会だよりは、議員による編集体制も作らず、議長専決の下で議会事務局のみが作成
   作業にあたっているがどの議員が何を質問したのかどういう議決行動を取ったのかを伏せて
   市側の答弁概要すら書かず、近隣他市の議会だよりと比べてだいぶ見劣りがするが、その貴重
   な紙面を割いて懲罰問責や陳謝などの議員攻撃記事だけは大きな見出しで「ウソではないが
   著しく公正さを欠く」一方的内容の記事にするという、不自然な紙面構成を続けて、改めようとし
   ない。

    これでは議会内容報道よりも特定議員攻撃を税金を使って優先させているに等しくその最た
   るものが、昨年12月の不当捜索事件を原告攻撃の奇貨とした、「家宅捜索を受けた市議は戸田
   久和議員です」という見出し記事を載せた本年2月1日づけ議会だよりであった。
   ここに4会派議員達の社会常識の無さと人権意識の低さが如実に示されている。
   (この件については、人権侵害事件として大阪弁護士会人権委員会が現在調査中である)
                            ・・・・・・・・・・・・(甲第11号証@からKと甲第35号証)



4;新タイプの「強烈野党」として惰眠議会を震撼させてきた原告の議員活動


 「議会の常識は世間の非常識」という事が言われたりするが、上記のような実状にある門真市議会に於いては、その傾向は強く、近隣他市の与党議員から見ても異様に映ることが多々あるのだが、その中に「鮮烈市民派」・「無所属市民派」の立場で「議会改革」を重要課題に掲げて、20年以上の社会運動歴、10数年の現場労働者体験をひっ下げて原告が新人議員として乗り込んだのだから、ろくに議会質問もせずに安穏としてきた与党議員達が脅威を感じたであろう事は想像に難くない。

 「唯一野党」として奮闘してきた共産党でさえも、異論を唱えなかったこと、取り上げなかったこと、会派間協調の流れに従ってきたことを、原告は何らのしがらみや遠慮もなく、新鮮な感覚と市民運動家としての旺盛な問題意識を持って、切り込んでいったのである。以下にその端的な例を挙げていくと、

(1) 議会のたびに必ず質疑質問討論をし、どの議員よりも活発な議会発言。
  原告は当選以来の2年間に渡って門真市議会のどの議員よりも活発な議会発言を行なっており
  その頻度は歴代の門真市議の中で見ても最高記録を達成している事は間違いない。
  良く質疑質問をしていると言われている共産党議員でも、個々に見れば必ずしも全ての定例議会
  本会議・常任委で行なっているわけではなく、原告の場合は共産党議員を上回って全ての議会に
  おいて質疑質問を行なってきた。(99年9月議会で不当な出席停止懲罰のために、準備していたに
  も関わらず一般質問ができなかったのが唯一の例外)これに関して以下に整理して紹介すると、

 @;2000年度(平成12年度)すなわち、2000年6月議会から2001年3月議会までの4回の定例議会
   において、(懲罰動議問題を除いて)原告は、本会議で質疑8討論9と一般質問4回23件、常任委
   で質疑3討論1所管事項質問15を行なっている。

 A:これに次いでいるのが共産党の4議員であるが、同じ期間中の与党議員に目を転ずると、最高
   の公明党・鳥谷議員にしても本会議で質疑ゼロ、討論ゼロ、一般質問1回2件及び代表質問、常
   任委で質疑4所管質問2に止まる程度でその下では本会議で全く質疑質問討論をしなかった
   議員が(議長を除く)22人中11人、常任委でそれらを全くしなかった議員が23人中6人も存在して
   おり、与野党間の格差は歴然としている。

 B;さらにその前年度も合わせて調べてみると、その2年間で本会議で一度も質問をしなかった与
   党議員が(議長を除いて)6人もおり、2年続けて常任委質問ゼロが2人、本会議でも常任委でも
   2年間1度も質疑質問をしていない議員さえいる(1人)ていたらくである。

 C;与党議員の質疑質問の低調さは、しかしこれでも原告が当選して活発な議員活動を行なう以
   前の時代に比べれば大分マシになっているのであって、以前はもっとひどかった。

 D;原告は、こういった議員の議会発言について、それぞれの年度ごとに一覧表にして「ヒゲ-戸田
   通信」及び自身のホームページで広く市民に公開しておりこれが市民の注目を受けると一方で
   少なからぬ与党議員らからは嫌悪される要因になっているだろうことは想像に難くない。

 E;従って、原告への懲罰攻撃は「議会でろくに質問もしない議員らが、最も良く質問する議員に対
   して攻撃している」ものであり、その愚劣さが伺えるのである。
        ・・・・・・・・・ (甲第12号証H〜ヒゲ-戸田通信6号・甲第22号証〜ヒゲ-戸田通信9号)

(2) 議員報酬・手当の内容と使い途を全て公開。
  これも門真市議会始まって以来、原告が初めて、実行したものである。ヒゲ-戸田通信や原告の
  ホームページで常に公表しており、市民各位が最も熱心に目を通す部分のひとつとなっている。
  「市会議員の報酬額なんて初めて知らされた」という声がしきりである。
                             ・・・・・・・・(甲第12号証の「ヒゲ-戸田通信各号」)

(3) 議員の費用弁償(議会出席手当)の不当性のバクロと受け取り拒否。
  高額な報酬を受けている議員が、当然の職務である議会出席に対して1日2500円の「費用弁償」
  を受け取っていることを初めてバクロし、その不当性を指摘し、廃止を主張したのが、選挙以前の
  原告であった。当初共産党議員ですらこれについては口をつぐんでいたが、原告が当選して公約
  通り廃止主張と受け取り拒否をすると、共産党も廃止を主張するようになった。しかし与党議員達
  は姑息にも公の場での論議を棚上げし続け、未だに廃止しようとしない有様で、市民各層から大
  きな反発を買っている。

   なお議員報酬が低かった旧時代の遺物たるこの「費用弁償」を存続させている市は大阪府下
  33市中原告が問題指摘した当初の9市から今ではわずか7市にまで減っているのであり原告の
  問題意識の正しさが証明されているのである。
         ・・・・・・・・・・ (甲第12号証B・甲第14号証@CJ・甲第36証・甲第37号証)・・・参照

(4) 群を抜いて旺盛な広報宣伝活動

 @;年4〜5回、1回2万部印刷の「ヒゲ-戸田通信」(最初の1年間は1万5000部)や臨時ビラ、活動
   報告など宣伝物の発行数は、議員個人としては群を抜いている。(与党議員はほとんどビラを
   作成しない)

 A;原告の運営するホームページ(「戸田ひさよしの自由自在ホームページ」)は、日本全国の市町
   村議員の中でそのアクセス数が断然1位、門真市内の個人サイトとしても断然11位の注目を受
   けている名物サイトとなっている。これはひとえに役所や議会の実態をつぶさに紹介し原告の
   意見主張を活発に発信しているからである。

    与党4会派議員らもよく見ているのであるが、陰であれこれ文句をいうことはあっても、このホー
   ムページに自らの意見を書き込もうとは決してしないのが、「公開の場で堂々と論議することがで
   きない」彼らの体質を物語っている。

 B;与党4会派からとんでもない攻撃を受け続けたせいで、原告は新聞テレビ雑誌に登場した回数
   が、市長村議員の中では、この2年間でおそらく日本一になっており、その分、地方議会の問題
   点、門真市議会の問題点を市民に伝える広報塔の役割を担って来たと言える。