5;与党4会派が原告に対して本件懲罰を発動した動機について


(1)全般的な動機については、上記の背景説明で十二分に理解されうるであろう。
   与党会派議員達は、議会での質問や論戦が少なく、市当局を厳しく追及しないトコロテン式議会
  を維持することを良しとして、議会の絶対多数を占める数の力とボス議員達の睨みの力でこの不
  活発議会を長年制してきたのであり、多いときで5人の議員を擁した天下の公党たる共産の党議
  員団(現在は4人)に対してさえ、議会審議内容や他会派を批判的に報道したことに噛みついて、
  つるし上げ同然の攻撃を行なうこともたびたびあったくらいである。
   そういう従来の流れからすれば、4会派がたった1人の無所属議員から公然と手厳しく批判され、
  ビラやホームページでその実態をバクロされ続けたこと、それに言論で全く太刀打ちすることができ
  ず、懲罰や辞職勧告攻撃やあの手この手の非難宣伝を繰り返しても効き目がない、ということに業
  を煮やしていたことは間違いない。

   なお、4会派議員23人が全て一様にこのような逆恨み心理にあるわけではなく、議会の健全化
  を真面目に願い、度重なる懲罰攻撃に内心うんざりしている議員も少数ながらいないわけではな
  いのだが、長年の「仲良し4会派体制」の中でそのような意見を表明すれば「非国民扱い」されて
  非難される雰囲気が蔓延しているが故に、「戸田ひとりになめられてたまるか」という強硬路線が
  幅を利かすのである。

(2)あわせて、この3月議会という時期の特殊性も懲罰発動に大きく影響しているのである。(これは
  同時に、懲罰発動が普遍的な基準に基づくのではなく、与党4会派の恣意的・政治的都合によっ
  て発動されていることを示すものであり、甲第38号証に示すように、前年12月議会で行政や4会
  派に関して3月議会と同じような厳しい言論をぶつけても、懲罰騒動は全く起こらなかった。
  12月議会では途中から急に議員報酬値上げのお手盛り提案が行なわれて、市民の厳しい批判
  を受けつつ可決したから、原告への懲罰など出せないという雰囲気があった)
   それは、門真市が国から5億3960万円もの多額の交付金をもらって「2001年4月1日までに計画
  超過達成」を約束していた「保育所待機児童解消計画」が全く達成できそうもないことが、原告が
  半年以上も前から警鐘を鳴らしていた通りに露呈する直前の時期だったということである。
   (甲第12号証Iヒゲ-戸田通信7号、Jヒゲ-戸田通信8号、甲第39号証「保育所待機児童問題
    についての12月議会での原告の質問記録」、甲第40号証など。)

   原告は「2001年4月1日段階で待機児童解消ができていなかったら、交付金詐欺まがいの行政
  ではないか。市長の政治責任は重大だ」と強く批判し続けてきたのであり、(この当時東市長の
  4期目最後の年度末議会〜今年6月の選挙で5期目再選)、早くから問題を指摘されても無為無
  策の東市政に追随してきた与党4会派としては、現実の結果が隠しようもないだけに、なおさら
  腹立たしく、6月に市長選挙を控えて政治責任と行政能力を追求され、広く市民に知られることを
  マイナス要因として捉えて、原告の鋭い追求質問を嫌悪して、力づくでこの問題に蓋をしようとし
  たものである。

(3)加えてもうひとつの動機は、甲第11号証の@からKにあるように、前年12月に日本赤軍事件に
  かこつけた原告自宅への不当捜索問題が起こったことによって(原告の抗議にあって警察が押
  収品をそそくさと返還したりその後なんの調査もなく立ち消えしてしまった事実などがあっても)
  原告攻撃のための「かつてない好環境」ができあがった、と公明党ら懲罰強硬派が判断できる状
  況がこの3月にあったことである。
   それが、「自宅捜索を受けた市議は戸田久和議員です」という見出し記事を掲載した2月1日付
  け「議会だより」を全戸配布するという前代未聞のレッテル貼り宣伝の敢行であり、また甲第40
  号証に見られるように、熱心な公明党支持者として知られる人物を含む自治会長らを通して、誹
  謗中傷に基づいて原告を「厳重処分されるよう強く要望する」という要望書への署名集めが進め
  られ、3月23日に市長や議長に提出され26日に議員に配布される、という草の根ファシズム的で
  陰謀めいた動きの進行であった(この自治会長らの「要望」なるものが全く筋違いなものであり
  原告と事実経過の確認や話し合いを全く拒否して公人の誹謗中傷を行なった無責任なものであ
  ることは甲第40号証にある通りである。)

   2月の「議会だより」と門真市ホームページで、原告が日本赤軍の犯罪容疑に関係あるかのよ
  うなオドロオドロしい印象を市民に与えて、次に3月議会で強烈な懲罰を行ない、これを5月発行
  の「議会だより」と市のホームページでまた宣伝する、図式が描かれたのである。これもまた、本
  件懲罰が普遍的基準によらずにその時々の政治的意図によって発動されることを示している。

(4)さらに考えられる動機は、上記(3)の狙いを効果的に進めるためには、家宅捜索事件の実相と
  12月議会での公明党山本議員と大本議長の卑劣な連携プレーの実態及び2月「議会だより」と
  市のホームページ記事の問題点を原告から3月議会でバクロ追求されることは具合が悪いと、
  公明党ら懲罰強硬派が焦ったことである。

   特に大本議長(当時)は、その責任者として原告から抗議されていただけでなく、原告から大阪
  弁護士会や法務局人権擁護委員会への人権侵害救済申し立てにおいても責任者として名指しさ
  れていた。(甲第11号証GHJK)そうであるからこそ、普通に考えれば何ら問題ない原告の質
  問を「議会への誹謗中傷・権威失墜」であると、とんでもない決めつけをして懲罰を強行し、原告
  の正当な問題指摘を圧殺して自らが仕組んできた宣伝の正当性を防御しようとしたのである。
   議事録に於いてこれに関連する部分を大幅に伏せ字にしたほどに執拗に真相を隠そうとする
  のもこういう卑劣な動機があるからに他ならない。

(5)また、当時の大本議長にとっては、自分が行なった納税者蔑視の暴言を原告にバクロ・追求され
  て、大々的にホームページやヒゲ-戸田通信8号(甲第12号証J)で批判されていたことにも多大
  な嫌悪感を持っていたことも想像に難くない。
   これは2月の合併行革特別委の会場で、大本議長が税金還付申告のために市役所に来た大勢
  の納税者を指して、「税金を返してもらう分には熱心やな」、「払う時には来んくせに」、「何も座らせ
  ることない。カネ取りに来たんなら立たせとけや」などと、誰もがア然とする暴言を述べた事件であ
  って、同氏の品性と議員としての姿勢のほどがよく判るものであった。
   原告はこれを厳しく批判する記事を載せたヒゲ-戸田通信8号(3月3日発行号)を、3月前半にか
  けて同氏の住む門真市石原町周辺には特に念入りに各戸配布し、住民の間に大きな反響を呼ん
  でいたのである。



6:門真市議会の機構と運営の基本についての説明


  懲罰問題が市議会の中でどのような位置を持つか、出席停止懲罰が以下に重大な問題であるか
  を理解してもらうために、「門真市役所ホームページ」の中の、「市議会」コーナーにおける説明を抜
  粋紹介しながら、それに補足を加える形で基本的な説明を行なう。
     ・・・・「甲第41号証」(門真市役所ホームページ表紙)
         「甲第42号証」(同ホームページ内「市議会」コーナー、「市議会の構成」)
        「甲第43号証」(同コーナー内「市議会とは」)

(1)門真市議会の構成については、疎明資料「甲第9号証@AB」及び、疎明資料「甲第42号証」
  (門真市議会の構成)にある通り。

(2)門真市議会の役割   (市ホームページからの引用)
   1. 市議会と市長 (略)
   2. 市議会議員  (略)
   3. 議長と副議長 (略)

   4. 本会議
      本会議では、提出された議案(議会の議決を要する案件)について、その説明を受け、
     質問をしたり、意見を述べたりしながら審議を進め、議会の意思を決定します。
     このほか、市政全般について質問することが認められています。

   5. 常任委員会常任委員会は、議会に提案された議案や市民から提出された請願などを、
    各委員会に分かれて詳しく専門的に審議します。議員は、いずれか一つの常任委員会
    に所属しなければなりません。門真市議会では、現在次の四つの常任委員会を設置し
    ています。

   <総務水道常任委員会>総合計画、広報・公聴、情報管理、防災、財政、市税、水道などに
                  関する事項審査します。

   <民生常任委員会>地域振興、国民健康保険、再生資源の利用促進、廃棄物の処理、高齢者
               や児童・障害者などの福祉、保健衛生などに関する事項を審査します。

   <建設常任委員会>市街地整備、開発指導、門真南駅周辺整備、道路、公園、公共下水道な
               どに関する事項を審査します。

   <文教常任委員会>学校教育や社会教育などに関する事項を審査します。

  6. 特別委員会特別委員会は特定の事件を審査する必要があると認めるときに設置されます
     ただし、設置の目的を果たせば廃止されます。現在、次の特別委員会を設置しています。

   <合併・行財政改革調査研究特別委員会>合併・行財政改革に関する事項を調査研究して
                                                      います。

【補足】

  @;他に「議会運営委員会」があり、議会運営全般について審議・決定する。門真市では会派
    議員のみで構成されており、会派に属さない「無所属」たる原告は議運メンバーになること
    ができず、傍聴できるのみ。
      さらに、発言申し出制度はあるが、常に4会派により申し出拒否されてばかりで発言させ
    てもらえず決定事項を押しつけられるだけ、というのが実態である。

  A;決算審議については、毎年10月に「決算特別委員会」が開催されて審議されるが、これも
    「無所属」たる原告は議運メンバーになることができず、傍聴できるのみ。

  B;予算審議については、門真市では「予算特別委員会」を結成することなく、各常任委ごとに
    その所管部分を審議して本会議に報告し、本会議で一括議決する方式を取っている。
      このため、原告のように自分の所属する常任委でしか審議参加できない無所属議員にと
    っては(他の常任委は傍聴するのみ)予算案各部に渡る質疑・審議が十分にできず自分
    の所管部分以外については本会議で質疑したり討論したりするほかない、という弊害が発
    生する。他市では無所属議員も含めて「予算特別委員会」を設置して審議する所もある。

(3)市議会の権限    (市ホームページからの引用)

  1. 議決権
      執行機関が仕事を進めるに当たり議会の議決を要するものについては地方自治法
      第96条に定められており、その主なものは次のとおりです。

        ● 条例を設けまたは改正、廃止すること
        ● 予算を定めること
        ● 決算を認定すること
        ● 1億5千万円以上の工事などの契約を締結すること
        ● 2千万円以上の財産を取得または処分すること
        ● 負担つきの寄附または贈与を受けること
        ● 法律上その義務に属する損害賠償の額を定めること

  2. 同意権
      市長が選任する助役、収入役、監査委員、教育委員会委員などの重要な人事に同意を
      与えるものです。

  3. 選挙権
      議長、副議長、組合議会議員、選挙管理委員などの選挙を行います。

  4. 意見書提出権
      議会が、市民の公益に関する事件について、国会または関係行政庁に意見書を提出する
      権限をいいます。

  5. 検査権・調査権
      議会の決定に沿って市の仕事が行われたかどうかについて、検閲・検査・監査の請求、
      説明の要求、意見の陳述、調査・出頭証言、記録の提出請求などを行うことができます。

  6. 請願受理権
      市民の要望や意見を市政に反映させるため、市民から提出された請願を受け、審議し、
      処理する権限をいいます。(請願は、議長が受理します)

(4)会議の原則    (市ホームページからの引用)

   1. 定足数の原則    (略)
   2. 議事公開の原則   (略)
   3. 過半数議決の原則 (略)
   4. 一時不再議の原則 (略)
   5. 会期不継続の原則 (略)

(5)市民の権利    (市ホームページからの引用)

  1. 請願
   (中略) 請願を受けた市議会は審査を行い、採択・不採択などの結論を出し、採択された請願
       は、所管の関係機関に送付し、願意の実現を求めます。
       また、国や府が処置する事項については、意見書を出したりします。

  2. 陳情 (略)
  3. 傍聴 (略)

(6)開会から閉会までの流れ    (市ホームページからの引用)

  1. 本会議
   (1) 開会 市長の召集により、議員定数の半数以上の議員の出席を確認して、議長が宣告し、
     市議会の活動が始まります。

   (2) 開議 議長がその日の会議を開く宣告を行い、会議録署名議員2人を指名します。

   (3) 会期の決定会期は、付議事件の多少や内容などを考え、議長が会議に諮って決めます。

   (4) 議案の上程議案を議題とすることを上程といい、議事日程の順序に従い、進められます。
     議案には、市長と議員から提出されるものがあります。

   (5) 議案説明 提案者から、議案の内容と提案理由の説明がされます。

   (6) 質疑 議案に対する質疑を行います。

   (7) 委員会付託 議案をさらに詳しく専門的に審査するため、各所管の委員会に付託します。
     内容によっては、会議に諮り委員会付託を省略することもあります。

  2. 委員会
    委員会審査…本会議から委員会に付託された議案を専門的に審査します。

  3. 本会議
   (1) 委員長報告 委員会審査が終わると、再び本会議を開き委員会での審査の経過と結果
              を報告します。

   (2) 質疑 委員長報告に対して議員が質疑を行います。

   (3) 討論 討論とは、議題になっている議案に対して賛否の意見を述べることをいいます。
         これは、採決に入る前に意見を述べ、自分の意見に賛同を得ようとするものです。

   (4) 採決 議案について賛成か反対を出席議員の過半数で決めます。

   (5) 散会/延会 その日の議事日程が終了し、会議を閉じることを散会といい、その日の会議
             予定の議事が終わらないときに会議を閉じることを延会といいます。

   (6) 閉会 すべての議案の採決が終われば、閉会となります。採決の結果を市長に通知し、
         市長は結果をもとに実際に推進します。市議会の活動が終わります。

【補足】

  @;議会での決定は、「本会議で上程―委員会で審査―本会議で審査結果報告と議決」を経る事
    が基本であり、「委員会で審査するまでもない」と本会議で判断された議案のみが、「委員会付
    託を省略して本会議で即決」されるものである。

(7)年間を通した議会開催とその進行パターン (門真市の場合)

 @;門真市では議会は1年間に以下のような形で開かれる。このパターンはどこの地方自治体でも
   一般的に行われているものである。

   第1回定例議会・・・その年の第1回目、年度で言えば年度末の3月に普通開かれるので、
               通称「3議会」とも呼ばれる。

  ★新年度開始直前にあたるので、予算審議が行なわれ、市長の施政方針説明やそれに対する各
   派代表質問が行なわれるなど、非常に重要な議会である。議案も多く、議事録も一番分厚くなる。

   第1回臨時議会・・・・毎年5月に開催されるので通称「5臨時議会」と呼ばれている。
                門真市議会では毎年議会の役員人事(議長副議長など)や、各種委員会・
                派遣議会・審議会への所属や配置を決めるためにこの時期に臨時議会を
                開催している。(ポストのたらい回しとしての批判もあり、2年ごとにしかしな
                い自治体もある)

   第2回定例議会・・・その年の2回目、新年度開始で初めての定例議会で、
               通称「6議会」と呼ばれる。

   第3回定例議会・・・普通月9に開かれるので通称「9月議会」と呼ばれる。

   第4回定例議会・・・普通12月に開かれるので通称「12月議会」と呼ばれる。その他に、よほど
               緊急重要な問題が発生した時に、必要な手続きを満たせば別途「臨時議
               会」を開催できるが、門真市でそれを行なった例はない。

 A;各議会での本会議と常任委の関係

  ◆6月議会・9議会・12月会については、
    {1}冒頭本会議(1日)>議案上程
    {2}各常任委員会(各1日)>付託議案審査・所管事項質問
    {3}終盤本会議(1〜2日間)>議案審査報告―議決―「一般質問」―意見書
       などの議決のパターンで進められ、開催期間はおおむね10〜13日間程度。
   (注)「議案議決の前に一般質問をして市当局の考えを質しておくのが筋である」という考えから、
     一般質問を終盤本会議全段に行なう自治体が多いようだが、門真市ではなぜか慣例として
     市長提出議案の議決を終えてから「市政に対する一般質問」を行なっている。

  ◆3月議会についてだけは他の定例議会とはパターンが違っていて、
    {1}冒頭本会議(1日)>議案上程・市長の施政方針説明
    {2}中盤本会議(1〜2日間)>各派代表質問と一般質問
    {3}各常任委員会(各1日)>付託議案審査・所管事項質問
    {4}終盤本会議(1日)>議案審査報告・議決―意見書などの議決のパターン
        で進められ、開催期間はおおむね20日間程度で最も長期間。
   (注)「冒頭本会議」・「中盤本会議」・「終盤本会議」は分かりやすく説明するために原告が便宜
     的に名付けた造語である。

  ◆5月臨時議会については、
    {1}本会議(2〜3日間)>開催冒頭で議案が上程され、委員会付託省略で即決される。
      その後で議長・副議長や各委員会配置などの議会人事が選挙などで決定されていく。
      人事協議が揉めて延会する場合もある。
      常任委が開催されず、本会議のみであることが最大の特徴である。言い換えれば、
      「常識的に考えて委員会付託が必要ない、本会議即決で済む程度の重みの議案しか
      上程されない議会」だということである。

 B;各常任委の開催順序
    門真市では、慣例として「民生常任委員会」―「建設常任委員会」―「文教常任委員会」
     ―「総務水道常任委員会」 の順番で、基本的には別々に開催されることに決まっている。