「7/10公文書不開示決定」に対する不服(異議)申立書

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 門真市議会 様 (議長 冨山悦昌)        2001年(平成13年) 9月8日

                               申立人住所 門真市北巣本町17-7
                                    氏名 戸田 久和


次の通り不服(異議)申し立てをいたします。


1;不服申立に関わる処分

 貴議会の2001年(平成13年)7月10日付けの異議申立人に対する「公文書不開示
 決定」処分

  (1)公文書の件名または内容;2001(平成13)年3月議会本会議において、
     「伏せ字にされた部分は、どういう発言だったかわかるもの(議事録原本など)
  (2)開示できない理由;@門真市情報公開条例第6条第7号に該当
                A地方自治法第123条、門真市議会規則第115条に該当


2;不服申立に関わる処分があったことを知った年月日

  2001年(平成13年)7月10日


3;不服申立の趣旨

  第1項記載の処分を取り消すとの決定を求める。


4;不服申立の理由説明

(1)まず、開示請求した公文書が存在することは明らかであり、これが「本会議議事録
  原本」と通称されていることも申立人は議会事務局から聞いているので、本件で問
  題となっている公文書については、以下「3月本会議議事録原本」、もしくは「本件
  議事録原本」と呼ぶことにする。

   さて、憲法及び地方自治法の趣旨と規定により、地方議会の議事内容は公開が
  大原則とされており、地方自治法115条で「普通地方公共団体の会議はこれを公
  開する」と唱った上で、その例外としてそれに続けて「但し、議長又は議員3人以上
  の発議により、出席議員の3分の2以上の多数で議決したときは秘密会を開くこと
  ができる」としているのである。

   従って、議会での議員の発言を市民に対して秘密にする・開示しない、ということは
  よほどのやむを得ざる正当な理由と適正な手続なしにあってはならないことである。
  本件不開示決定はその要件をことごとく欠いている不当なものであることを以下に論
  証していく。

(2)「不当に伏せ字にされた部分」については、申立人は議員たる資格において、3月議
  会本会議の録音テープを聞いて全文起こしをしてそれをホームページで公開したり、
  裁判所に資料として提出したりしているものであるが、問題なのは議会公開の大原則
  にも関わらず、不当に伏せ字加工したものしか議事録として公開されていないことであ
  り、議員たる申立人の「情報提供要求」に対しても、過去に例のない「会議録原本閲覧
  申請書」なる用紙を急きょ作成して、「他に公開することなどはいたしません」と誓約しな
  ければ閲覧させない、という対応を行なっていることである。
  (なお、この本件議事録原本については既に6月29日に市民の方が開示申請して後に
   7月に不開示決定を通知されている。)

(3)当方のテープ起こし記録により、ここにあらかじめ「不当に伏せ字にされた部分」とそ
  の隠された発言の概容を呈示しておく。それは本件不開示決定によって、こういうまと
  もな議会発言が議長の恣意的で一方的な秘密裏の判断で伏せ字決定されることが
  正当なことかどうか、というのが最も根本的な問題として存在するからである。

★不当に伏せ字にされた部分の概容紹介(2001年3月本会議)

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<3/26本会議議事録の中で>P.296(戸田の一般質問途中)

・・・・
○5番(戸田久和君) 不思議なことに受け取りを拒否しております。(発言する者あり)これは事実ですよ。質問する前提の内容について述べているわけでです。事実を述べなくて質問することはできません。その後、私が準抗告を起こし、警察が押収品返還するなどの経過は、私のホームページ記事などから周知の事実であったにもかかわらず、12月議会最終日の本会議終了間際になって○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○。
  ○○○○○○○○○○を私は翌12月21日に、大本議長の不公平な発言規制に厳重抗議するという文書を提出して警鐘を鳴らしましたが、事態の進展はまさに私が予想したように、「議会だより」による人権侵害の方向に進んだわけであります。

○議長(大本郁夫君) 戸田議員、通告の範囲内でやってください。

○5番(戸田久和君) 範囲内と思いますけど。あとはしばらくお聞きください。しかしながら、いまだに門真市はこのホームページ記事について何ら反省をしようしておりません。
世の中には、うそではないが……

○議長(大本郁夫君) 再度忠告します。

○5番(戸田久和君) 質問いたします。改めて聞きますが、門真市のホームページの中にある「議会だより」の内容については、市は介入しないし、人権侵害記事があるとも思われないし、議会から送られた原稿をそのまま載せるだけであるし、人権問題のチェックもしない。今後、同様な事件があっても、議会から送られたままに掲載 していくんだというのが門真市の見解であると理解してよろしいですね。次ぎ、幹部職員の問題についての質問を深めます。私は、○○保健福祉部長と○○児童課長において○○○○○○○があったと思わざるを得ないので、そのことを述べて、市側の見解を伺います。


<P.303(吉水議員の懲罰動議提案理由説明)>

・・・・
○議長(大本郁夫君) これより提出者の説明を求めます。12番吉水丈晴君。

[12番吉水丈晴君登壇]

○12番(吉水丈晴君) それでは、戸田久和君に対する懲罰動議ついての提案説明を申し上げます。戸田議員は、本日の本会議における一般質問において、「戸田が○○○○○として指摘し、厳しく指弾している○○保健福祉部長」として、同部長を○○○○○と決めつけ、さらに同部長及び児童課長について、独断的判断に基づき○○○○と決めつけたことは、職員を誹謗中傷するものである。さらに、戸田議員が昨年12月2に家宅捜査を受けたことに関し、12月20日の本会議において単にこの事実の確認を行なったのみにもかかわらず、「○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○」と決めつけたことは、議会を誹謗中傷するものである。これらの発言は、議会の品位を汚し、その権威を失墜するような発言であり、断じて許されるべきものではない。よって、ここに戸田久和君に対する懲罰動議を提出するものであります。

・・・・この他に、
<P.285> 「○○保健福祉部長、○○児童課長」
<P.297> 「○○保健福祉部長と○○児童課長において○○○○○○○があった」
<P.298> 「○○保健福祉部長」「○○児童課長」

<3/26 本会議議事録の中で>
<P.319> 「これを○○○○といわずにしてどうなのか、少なくとも私・・・」
<P.323> 「・・○○保健福祉部長や○○児童課長・・」
        「○議員なり、あるいは○○議員なり、さまざまな議員なり・・・」
<P.326> 「私が○○○○ではないかとといただすことのどこが誹謗中傷であるのか。」

<P.327共産党石橋章一議員発言>
     「幹部職員に対して○○○○○及び○○○○と決めつけたとし、・・」

<P.328及びP.329の公明党平岡久美子議員発言>
     「・・戸田が○○○○○として指摘し、厳しく指弾している保健福祉部長及び児童
     課長として○○○○○や○○○○と決めつけたことは、事実に基づかず、独断と
     偏見をもって名指しで誹謗中傷ものであり、・・」「本義会に対し、○○○○○○○
     ○○○と決めつけたことは、民主主義の・」
<P.332> 「・・こういうことが○○議員、○○議員の言っていることの本質で・・」

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★○○の伏せ字によって隠された発言の主たるもの(<>で囲んだ部分)

<情報隠ぺい>として厳しく指弾している<中東>保健福祉部長
<公明党山本議員の「質問」を受ける形を取って、事実調査もせず、当事者の説明を
あえて発言禁止にしてまで、「家宅捜索を受けた議員は戸田議員である」という記録
づくりのためだけとしか思えない議会運営を行ないました。その理不尽さと危険性>
<中東>現保険福祉部長と<中川>現児童課長において、<重大な職務怠慢>が
あったと思わざるを得ないので・・・
<情報隠ぺい>、<職務怠慢>、<その理不尽さと危険性>と決めつけたことは・・
こういうことが<青野>議員、<鳥谷>議員の言ってることの本質であります。

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(4)開示できない理由@の「門真市情報公開条例第6条第7号に該当」に対して。
   同条例の該当部分原文を示すと、

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第6条(不開示情報) 実施機関は、次の各号のいずれかに該当する情報
    (以下「不開示情報」という。)については、開示しないことができる。
   (7) 法令等の規定により明らかに開示することができないとされている情報

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 というものであるが、以下に論証する通り、本件議事録原本は「法令等の規定により
明らかに開示することができない」ものでは全くないから、本件議事録原本が本条例
第6条第7号に該当すると判断すること自体が誤りである。

(5)開示できない理由Aの「地方自治法第123条、門真市議会規則第115条に該当」
   に対して。


[1] 地方自治法の該当部分の原文及び「地方自治小六法(平成12年版)」での実例・
   判例などを示せば以下の通りである。

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第123条[会議録] 議長は、事務局長又は書記長(書記長を置かない町村のおいては
     書記)をして会議録を調整し、会議の次第及び出席議員の氏名を記載させなけ
      ればならない。
    A会議録には、議長及び議会において定めた二人以上の議員が署名しなければ
     ならない。
    B議長は、会議録の写を添えて会議の結果を普通地方公共団体の長に報告しな
     ければならない。

【実例・通知・判例】

1)●会議録の調停にあたり、重複した発言を抹消する等発言の内容に修正を加えるべ
   きではない。(昭28.6.27行実)
  ●会議録に会議の一部を記載しないことにより、会議のてん末を偽った場合において
   は、会議の虚偽の記載をしたものに該当する。(昭2.6.8大審判)

2) ●議長及び議会において定めた二名以上の議員が会議録に署名するのは、会議録
   の内容の真正を確保する趣旨でであり、会議録の作成はこの署名をまって完了す
   るものと認めるべきでものあるから、議長及び署名議員もまた会議録作成者として
   職務を有する。(大6.6.6大審判)

3)●会議録の閲覧請求があった場合は、特段の事情のない限り、その要求に応じなけ
   ればならない。(昭50.11.6行実)
  ●秘密会の議事及び議長が第129条の規定により、取消しを命じた発言も、会議の
   性質上、原本には記載しておくべきである。(昭33.3.10行実)

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[2] 読めば分かる通り、地方自治法123条の規定は「普通地方公共団体の会議の公開」
  という大原則の上で会議録の内容の真正を確保する趣旨で設けられているものである
  から、判例にも「重複した発言を抹消する等発言の内容に修正を加えるべきではない」
  とか「会議録の閲覧請求があった場合は特段の事情のない限りその要求に応じな
  ければならない」、などとされているのである。

   本件不開示決定のように、「秘密会」でもなく、「議長の発言取り消し命令」もなされて
  いない議会発言を一方的な密室処理で伏せ字議事録を作成し議事録原本を開示し
  ない、という冨山議長ら門真市議会の措置は、まさに上記判例でいうところの「会議録
  に会議の一部を記載しないことにより、会議のてん末を偽った場合においては、会議
  の虚偽の記載をしたものに該当する」のであって、その責任こそ指弾されねばならな
  い。従って、地方自治法第123条は本件不開示の理由に全く該当しないのである。


[3] 「門真市議会規則第115条に該当」に対して。同条例の該当部分原文を示すと、
   以下の通りである。

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第115条(会議録に掲載しない事項) 前条の会議録には秘密会の議事並びに議長が
     取消しを命じた発言並びに第61条(発言の取消し)の規定により取り消した発
     言は掲載しない。

   (注)第61条(発言の取消し)発言した議員はその会期中に限り議会の許可を得
     て発言を取り消し又は議長の許可を得て発言の訂正をすることができるただ
     し発言の訂正は字句に限るものとし発言の趣旨の変更をすることはできない

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[4] 本件で開示を求めている3月議会本会議での発言は、明らかに「秘密会の議事」
   でもなければ、第61条の「発言した議員により取り消し・訂正が申し出された」発
   言でもない。このことには議会側も異議がないものである。
    (申立人議員以外の議員が「取り消し・訂正を申し出た」事実はその後の議会で
    全く触れられていない以上ないのであるし、申立人はもちろんそのような申し出
    をしていないことは言うまでもない。)

     とすれば、残りは「議長が取消しを命じた発言」しかないのだが、これもまた議
   会においてそのような議長命令が存在しないことが、議事録によって明らかなの
   だから、これにも該当させることができない。
     従って不開示の根拠が全く存在しないのであるから本件不開示決定は不当
    であって、直ちに取り消されねばならない。


[5] なお理不尽を重ねて恥じない門真市議会のことであるから無理無理にも「議長
   が取消しを命じた発言に該当する」とこじつけた説明をすることが予想されるので、
   これが詭弁であることを以下に予め論証しておく。

 @; まずもって「議長が取消しを命じた発言」という場合にはそれが「どの発言であ
   るのか」を議長が議会において明示し、正当な理由に基づいて「発言の取り消し」
   を議会の場で命令したものでなければならない。
    議長が議会で議員の発言を特定して「発言の取り消し命令」を出してもいないの
    に議会が終了した後になって議長が議会発言の中のある部分を「取消しを命じ
   た発言に該当する」と見なして議事録からその発言を削除するなどということが許
   されるはずがないのは当然の法理である。

 A; ちなみに、議会での発言取り消し命令に関わる、地方自治法の規定は、

  [議場の秩序維持] 第129条
   普通地方公共団体の議会の会議中この法律又は会議規則に違反しその他議場
   の秩序を乱す議員があるときは、議長は、これを制止し、又は発言を取り消させ
   その命令に従わないときはその日の会議が終わるまで発言を禁止し、又は議場
   の外に退去させることができる。というものであり、議会事務局も使用している「逐
   条地方自治法(学陽書房)」の同条の「解釈」にも、本条は、議場の秩序保持に関
   する議長の職権に関する規定である。

    ・・・「発言を取り消させ」とは、さきの発言を取り消すこと(取り消す旨の発言)を
    命ずることであって、議長が自ら取り消すのではない。
    ・・・本条はその日その日の会議の円滑な進行を図るため設けられた規程である
    から、発言禁止をしても議場外への退去を命令してもその日の会議を終わるまで
    であって、翌日以降に渡ることを得ない。
    ・・・とあるように議長が議会において「発言の取り消し命令」を出してもいないの
    に、議会終了後に、議会発言の中のある部分を議長権限で議事録から削除して
    もよいなどという解釈が生じる余地は全くないのである。


B; さて、問題となっている2001年3月議会本会議においてはどうだったのか?
   公開されている「平成13年第1回定例会門真市議会会議録」から判明するのは、

<3月14日本会議>として
    ・大本郁夫議長の発言取り消し留保の発言(300ページ)

○議長(大本郁夫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。戸田議員に申し上げます。
午前中の会議において再三注意いたしました。今後、議長の秩序維持権及び議事整理
権に基づく注意に対しては、後刻速記を調査の上、必要な措置をすることといたします。

<3月26日本会議>として
    ・風古波議員の議事進行に関する発言と大本郁夫議長の発言取り消し留保
     の発言(336ページ)

○19番(風 古波君) 先ほどの戸田議員の発言の中に不適切と思われる部分がござ
いました。議長において処置願います。

○議長(大本郁夫君) ただいまの風 古波君の要求に対しまして、後刻速記を調査し、処置をいたしますあるだけであって「議長が取消しを命じた発言」も「議長による発
言取り消し命令」もこの本件議会のどこにも存在しないのである。

[6] では「まっとうな発言取り消し命令による発言削除(伏せ字)」とはどういうものか、
   と言えば実は2001(平成13)年6月議会本会議議事録にその実例があるので、
   それを紹介しておく。

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[平成13年第2回定例会 門真市議会会議録]

<6月6日本会議記録より>
    ・戸田久和議員の賛成討論 (41ページ〜47ページ)(伏せ字部分は46ページ)

○5番(戸田久和君) 5番の戸田です。この請願について賛成の立場から討論申し上げます。・・・・(中略)・・・こういうやり方について○○○○○○○○○○○○○○○どう思われるのか。・・(後略)

    ・議長の発言取り消し命令 (73ページ)

○議長(冨山悦昌君) 休憩前に引き続き会議を開きます。さきの請願第1号の戸田議員の討論において、議員を名指ししての発言があり、この部分は討論の範囲を超えることから、発言の取り消しを命じます。

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 このように、この6月議会においては、「どの発言であるかの特定」と「発言取り消し命令の理由」が明確にされた上で、「議長による発言取り消し命令」が議場で発せられ、それに基づいて議事録原本から当該部分の削除(=伏せ字化)が行なわれて一般公開用の「議事録」が刊行されたのである。
 ちなみに、この時の「議長による発言取り消し命令」については、発言者たる戸田のもとに、本会議休憩中に議会事務局が訪れて当該発言が不適切である理由を説明し、その
説明を戸田が納得して受け入れるという過程を経て、本会議が再開されて上記の「議長
による発言取り消し命令」が発言されたものである。


(6)本件発言削除の手続が全く異様で違法であり、門真市議会の先例にも反すること。
  申立人は、先に本件の発言削除措置に対して「一方的な密室処理で伏せ字議事録
  を作成し」た、と指摘したが事実はまさにその通りである。
  また、門真市議会が「過去の先例」なるものを挙げて詭弁を弄して本件の正当化を
  図る可能性も十分に予想されるので、予めそれを論破しておくための論証も以下に
  行なっておくことにする。


[1] そもそも本件3月議会では上に示したように「後刻速記を調査し処置をいた
  します。」という大本議長発言があったのみで、「「議長が取消しを命じた発言」も
  「議長による発言取り消し命令」も、存在しなかった。


[2] そして本件議会終了後も発言削除措置に関わっては、発言をした申立人に対して
  全く事情聴取や意見聴取も説明も、何かの措置を取る旨の通告もなかったのみな
  らず議会運営委員会や会派代表による協議にすら全くかけられず議長と副議長
  との相談もなく、冨山新議長(5月臨時議会で大本元議長と交代)単独の判断のみ
  によって発言削除措置の該当部分が決定され、作業指示が出されたのである。こ
  れらは、議会の記録や議会事務局長が申立人に述べた話から明白な事実である。


[3] さらに、冨山議長はその作業指示を出して公開用伏せ字議事録が完成間近とな
  っていた2001年6月議会においても、この事実を全く議会に報告しなかったので
  あり、このため申立人が、まさかこのようなひどい伏せ字議事録が作成されたとは
  想像もしなかったのみならず、共産党4議員も与党4会派議員の多くの議員もこれ
  を知らなかったほどなのである(副議長になった吉水丈晴議員も全く知らなかっ
  たと話している)議長以外に知っていたことが確実なのは「署名議員」の早川孝久
  議員と寺前章議員にすぎない。


[4] これは実に由々しき問題と言わなければならない。なぜなら発言の特定さえしない
  でも、議会で議長が「後刻速記を調査し、処置をいたします。」 と発言しさえすれば、
  発言当事者にも議運にも会派協議会にも諮らずに議長の独断で秘密裏に議会発
  言の削除措置を決定・実行できるとするならば、議会発言の真正な記録は何ら保
  障されずに議長の思うがまま、となってしまうからである。
  こういう行為は憲法地方自治法の規定を否定し議会制民主主義の趣旨を踏み
  にじるものであることはもはや論を待たず、断じて許されることではない。


[5] 1999(平成11)年6月議会において、共産党亀井淳議員の国保条例改正につい
  ての反対討論(同議会議事録55〜57ページ)において、「・・・国保料金の水増し請
  求の是正がされるなどのこともありましたが・・・」(56ページ)の部分の発言が冨山
  議員ら与党議員から問題発言だとされたことがあった。
  このときは本会議を3時間近くに渡って暫時休憩させる間に、公式・非公式に議運
  や会派代表者協議や理事者を呼んで事実説明させたり、など行なった。

   そして共産党とそれ以外の4会派との妥結がどうしてもできないという事態の上に
   立って、本会議を再開させ、早川議長が「亀井議員に申し上げます。
   議長において後刻速記を調査の上措置することにいたします(「異議あり」と呼ぶ
   者あり)」(57ページ)、と発言して、実際に6月議会終了後の7月27日に議運開催
   して理事者からの事実確認を行なうなどした上で、多数決で議運としての意思決定
   をしたのである。そして同年9月議会冒頭での「諸報告の2」として「第2回定例会に
   おける亀井淳議員の議案第8号の討論での一部不穏当発言での取り消し措置に
   ついての報告」として、


○議長(早川孝久君)
・・・そのような事実はないことが確認されましたとの議会運営委員長の報告を受けましたが、後日の確認のため、取り消し措置をせず、会議録に掲載することにいたしましたので、ご報告申し上げます。(同議事録11ページ)と報告して問題が決着したのである。このように全会派による公式・非公式の協議や正規の議運を開催し、事実調査も行なったこの6月議会の例を見れば、本件削除措置の異常さ違法さが一層浮かび上がることこそあれ、正当化を図ることなどはできるはずのないことである。

 

[6] また、特定の議会発言が議会での多数決によって「議会の信用失墜行為」だとか「議
  会の品位を汚した」とか「誹謗中傷だ」などと認定されて懲罰決議の対象となったからと
  いって、その発言が「議事録からの削除対象発言」とされるものでのないこともまた、門
  真市議会の先例から明らかである。

   即ち、1999(平成11)年9月議会で申立人に対し与党4会派の数の力によって、公
  開陳謝の懲罰とこれを拒否したことによって出席停止2日の懲罰が科された。
  この時に与党議員によって申立人の発言が「正副議長に対する侮辱」、「いわれなき誹
  謗と中傷」「議会を冒涜する無礼な言辞」「議会の信用失墜と品位を汚すもの」、など
  と非難されまくったが、申立人の発言自体は何ら削除の対象にならず、そうしようという
  論議さえ起こらずに、議事録にそのまま記載されて今日に至っている。
                                        (同会議録参照のこと)

    また、本件事件に直接関係する2001(平成13)年3月議会本会議での懲罰決議
   の対象となった諸発言に関しても、削除措置の対象となっていないものもあるのであ
   る。即ち、3月16日提出の懲罰動議の提案理由説明の中で、「さらに、『ひきつけを
   起こしながら進んでいく門真市議会」』と発言するに至っては、理由もなく異常な状態
   の議会であると侮辱していることになります。」と述べて、これに基づいて出席停止懲
   罰が議決されるのだがこの「ひきつけを起こし・・」の部分は発言削除伏せ字の対
   象になっていないのである。


[7] 申立人は過去に議会において助役の実名はおろか国税の滞納金額も挙げて助役
  としてふさわしくないことを厳しく指弾したり、建設会社の実名を挙げて土地の不法占
  拠や不当労働行為を指摘したり市議会を「これでは言論の府ではなく頭数の府だ」
  「日本一恥ずかしい議会運営をしている」などと批判してきたが、不当懲罰を受けるこ
  とはあっても、秘密裏に発言削除されることなどはかつてなかったことである。

    それが今回、いつもと同様に事実に基づいて市の幹部職員の業務ぶりを批判した
   り議会運営の理不尽さを批判的に紹介したりしたことについて発言削除伏せ字
   措置を受けているわけで、この異常さは尋常ではない。このような伏せ字措置は、一
   般市民に対して、理由やその論議内容がさっぱり分からないようにして「戸田議員が
   誹謗中傷議会の権威失墜の発言をしたために懲罰を受けた」という多数決の結果
   だけを伝達するものであり市民の知る権利を妨害し議会公開の原則を踏みにじる
   暴挙であると言わなければならない。


(7) 以上述べたように、門真市議会が行なった本件発言削除措置自体が、ありとあらゆ
  る面から見て不当不法なものなのである従ってこの不当不法な発言削除措置を
  たかも正当なものであるかのように見なし、もしくはこの問題を不問に付して、伏せ字
  にされた部分の内容を記している本件議事録原本を不開示とした本決定はその前提
  において誤りである。

    仮に百万歩譲って本件発言削除措置不当の問題を横に置いたとしてもこの措置
   が「門真市情報公開条例第6条第7号」にも「地方自治法第123条、門真市議会規
   則第115条」にもなんら該当せず、不開示情報として保護される理由がどこにない
   こと、逆に不開示にすることが議会制民主主義と地方自治の本旨にも情報公開の
   原則にも反して公益を害することが、ここに余すところなく論証されたのである。
   それ故、本不開示決定は誤りであるから直ちに取り消されなければならない。


(8) なお、「門真市情報公開審査会」は「市長が委嘱する5人以内の有識者」から構成
  され、当然法律専門家として弁護士も参加するものと思うが、本件の不服申立を審
  査する際には、申立人が別個に起こしている「(2001年3月議会での)不当懲罰取
  り消し裁判」に於いて、被告=門真市議会側代理人として申立人と利害対立関係に
  ある安田孝弁護士(門真市の顧問弁護士で「安田・上村法律事務所」所属)及び上
  野富弁護士(同事務所所属)は不服審査の中立性に疑問を生じさせるから同審査
  会のメンバーにするべきではないことを念のため付言しておく。


(9) 最後に、本件不服申立審査にあたって、審査委員会における十分なる審査を願う
  立場から、本件発言削除措置と密接不可分の関係にあり、本件事件の実態と背景
  事情が余すところなく論証されている「不当懲罰取り消し裁判」の以下の資料を併せ
  て提出するので、ぜひ参照されたい。

        提出資料1の@: 訴状 (2001年5/14)

        提出資料1のA: 被告市議会の答弁書 (2001年6/14)

        提出資料1のB: 疎明資料リスト2 (2001年8/8)

        提出資料1のC: 疎明資料一覧 (2001年5/14)

        提出資料2: 原告準備書面(1) (2001年8/8)

        提出資料3の@: 文書提出命令の申立書 (2001年8/24)

        提出資料3のA: 証人申請書(1) (2001年8/24)

 

5;処分庁の教示の有無及び内容

 「この処分に不服がある場合には、この決定があったことを知った日の翌日から起算
  して60日以内に、不服(異議)申し立てすることができます」との教示があった。

                                           以上。