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《注目意見》今の資本主義はもう、やめてくれ (1/2) 安田喜憲氏
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 考える葦  - 09/2/10(火) 18:23 -
  
“森の国”の思想が次の経済システムを作る 

日経ビジネスオンライン http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090203/184786/?P=1

【安田喜憲(やすだ・よしのり)】

国際日本文化研究センター教授。1946年三重県生まれ。72年東北大学大学院理学研究科修了後、広島大学総合科学部助手、国際日本文化研究センター助教授を経て94年に現職。専門は環境考古学。気候変動が文明に与える影響を研究している。

  
<<2009年3月期決算での最終赤字を発表したトヨタ自動車を皮切りに、ソニー、パナソニック、シャープ、東芝など日本を代表する企業が最終赤字や営業赤字に転落しようとしている。実体経済に痛撃を与えた金融危機。これまで繁栄を謳歌したグローバル資本主義経済の1つの転換点と言って過言ではない。私たちの想像を超える深度で進む危機。一定の周期で訪れるバブルが破裂しただけなのか、それとも既存の社会・経済システムが激変する地殻変動の兆候なのか――。

その解を探るには、全く異なるレンズを通して今を眺めることも重要なのではないか。数千年のスパンで文明の盛衰を見つめる環境考古学者に聞いた。>>

―― 数千年のスパンで人間社会を見つめている考古学者が今の金融危機をどう見ているのか。今日はそれを聞きたい思ってきました。本題に入る前に、安田教授が唱える「環境考古学」とはどのような学問なのか、そのことからお聞かせいただけますか。

安田 僕はもともと地理学を研究していました。地理学というのは、自然と人間の関係を研究する学問。僕も気候変動や森林破壊が人類の歴史や文化に与える影響などを研究してきました。ところが、大学を卒業する頃、高度経済成長期になってからは、「マーケットの中心はどこにあるのか」「どこに工場を建てればいいのか」
「どのように市場を開拓すればいいか」といったテーマが地理学の中心になりました。

「ギリシャ文明は木を切り尽くしたために崩壊した」

僕の関心は自然と人間の関係にありましたから、相変わらず「気候が変わると文明が崩壊する」「森がなくなったら人類の生活が困窮する」などという話をするわけです。すると、「それを克服する英知と技術力が人間にある」「お前の議論は時代遅れだ」などと言われてしまう。僕は東北大学の大学院を卒業した後、広島大学の助手になるのですが、足かけ15年間ずっと助手のままでした。

―― 不遇ですね…。

安田 全く恵まれていなかった。当時、親切な教授がいて、「安田君、こんなことをしておったら、いつまで経っても助教授にはなれないよ。ちょっとやることを変えたらどうだ」と言ってくれたんだけれども、早く教授になるために学者になったわけではないのでテーマは変えませんでした。

その状況が変わってきたのは1990年代になってから。オゾンホールが発見されて、地球環境問題が大きな課題になると、僕の仕事が次第に注目されてきました。特に、日本では冷害が起きた94年以降でしょうか。技術力を持った国なのに、ちょっと冷害が起きただけで米不足になった。それが呼び水になって、徐々に注目されるようになりましたね。

―― 地理学が環境考古学に発展したのには、どんな経緯があったのですか。

安田 僕は地中海に憧れていたので、広島大学時代は古代ギリシャ文明や古代ローマ文明の研究をしていました。

その研究で初めてギリシャを訪れた時に禿げ山を見た。ミケーネ遺跡の背後にイリアス山という山がありますが、そこには全く木が生えていなかった。

「こんな禿げ山のところで文明が発展するはずがない」。そして、「木を切り尽くしたために、文明が崩壊した」。そう直感しました。その当時、文明の衰退を森林の変遷や環境破壊の関係で論じた人はいませんでしたが、僕は禿げ山を見た瞬間に、森を破壊したためにギリシャ文明が崩壊したと思った。

その直感を証明するためには、森林破壊と文明の崩壊を科学的に証明しなければなりません。そこで、私は花粉分析の手法を用いました。花粉は科学的に安定した堅い膜を持っていて、土の中に落ちても腐らない。

ボーリングで地層を抜き取り、花粉を取り出して、どんな種類の花粉がどれだけあるかを調べれば、過去に生えていた植生が分かる。

実際に、僕はギリシャでボーリング調査をしました。すると、ギリシャ文明の時代には深い森があり、森の文明だったということが分かった。「テーベ」という都のそばにあるコパイ湖のボーリング調査では、ギリシャ文明が繁栄している時代にはナラとマツの混交林があったことが証明された。表土が流出し、内海を埋め、マラリアの巣窟になった

深い森があったのはローマも同じでした。ローマ文明は森の資源を使って船を造り、地中海の交易システムを確立した。これが、ローマ文明が発展した足掛かりだったと言われています。

このように、ギリシャ文明やローマ文明の始まりの頃には豊かな森があった。それが、文明が発展する中で破壊され、今のような禿げ山になった。そして、禿げ山になったことがギリシャ文明やローマ文明を崩壊させた大きな要因になった。その時にこう考えました。

―― なぜ森がなくなると、文明が衰退するのでしょうか。

安田 禿げ山になると、表土が露出します。そうすると、雨によって浸食された表土が下流に運ばれてきて、内湾や海、湖などを埋めていく。すると、湿地になりますよね。私たちのような稲作農民はそういう湿地を水田にできるけれど、ギリシャは畑で麦を栽培し、羊や山羊を飼う人々。じめじめした湿地には何の意味もないからほったらかしにしてしまう。

その湿地で蚊が発生し、マラリアが広がるようになった。実際、ギリシャ文明の末期にはマラリアは風土病になっている。そして、ギリシャ人たちは力を喪失させていった。花粉分析をしてみると、こうしたシナリオが見えてきました。

―― ローマはどうだったのでしょうか。

安田 ローマは豊かな平野に乏しい山間の国。北アフリカの麦などの産物を運ぶために「ローマ道」や船による海上交易が必要でした。こうした交易システムを確立させるために、大量の木材資源を切った。そして、森が禿げ山になっていきました。あとはギリシャ文明と同じですね。西ローマ帝国の都、ラヴェンナなどはものすごくマラリアにやられました。ただ、マラリアという風土病が蔓延したと同時に、一神教の拡大がローマ文明の衰退を決定づけた。

―― なぜ一神教が衰退に関係するのでしょうか。価値感の収斂が文明の破壊につながった

安田 ローマ神話を見ても分かる通り、森がある時のローマは多神教の国でした。もちろん、ギリシャ文明も八百万の神々がいる国です。ところが、文明が発展する中で森が破壊され、禿げ山になった。そして、砂漠化が進行し、砂漠の民の間で誕生した一神教が広がりました。実際、ローマ文明が衰亡の坂道を下り始めたのはキリスト教を国教にした391年以降。これが、ローマ文明が衰退した端緒になったと言われている。

地中海世界には、様々な民族、言語、宗教がありました。ローマ帝国は、そうした多様な価値観を多神教の思想で維持してきた。ところが、一神教を国教にすると、それを信じない人は排斥されていく。これが、多民族、多宗教の国だったローマ帝国が衰亡する1つの原因でした。

―― なぜ一神教は砂漠で誕生したのでしょうか。

安田 森の中に暮らしていると、目の前の草花、森の中でうごめく動植物などを調べるだけでも日が暮れていく。

八百万の神を信じる多神教は森の文明にこそ生まれるものだと考えています。ところが、砂漠には何もない。僕はシリア砂漠で1カ月、暮らしたことがあるんだけど、砂漠というのは音が全くない。

確かに、砂嵐の時はサーッと砂が飛ぶ音がするけれども、夜になって砂嵐がやむと、物音1つしないのね。静寂の恐怖。だから、初めの2〜3日は「星空もきれいだし、いいところだな」なんて思うけど、そのうち星が「ガシャ」「ガシャ」と音を出しているんじゃないか、と思うようになる。これにはビックリしたね。

―― 星が喋っているような気分になるんですか。

安田 そう。やはり人間は自分1人、全く命のない世界にいると、命を求めるんだと思う。だから、夜空の星を見ていても、音を立てているような気になる。星空の彼方に天国の世界があると、そういうふうに妄想してしまう。そうして生まれたのが一神教だと思うんですよ。

―― 「神の声を聞いた」と。

安田 そうそう。でも、それは妄想だよね。本当に神や天国を見た人はいないのだからね。ローマに話を戻すと、ローマ文明が崩壊したのは森を破壊したため。さらに、多神教を放棄して一神教になったことで、皆の価値観が収斂してほかの存続が許されなかったということも大きな影響を与えた。

オバマ大統領が「最後のアメリカ人」になる日

これは塩野七生さんが言っているけど、ローマ帝国では元老員や長老が最も相応しい皇帝を選んでいた。そうして選ばれた最後の皇帝がテオドシウス帝でした。ところが、テオドシウス帝の後、ローマ帝国が東西に分裂すると、テオドシウスの子供という理由で皇帝が選ばれるようになった。これは王権神授説といって、キリスト教の影響を受けた結果です。

これが、無能な皇帝を生み出す始まりになりました。

分裂後の西ローマ帝国の初代皇帝にホノリウスという男がいました。彼はテオドシウスの子供なんだけど、

端的に言ってバカだったわけですよ。だけど、その補佐官だったスティリコが優秀だった。彼はヴァンダル族という当時、蛮族とされていた部族の出身者でしたが、テオドシウス帝の寵愛を受け、皇帝の補佐官になっていた。

この男が優秀だったために、ローマは持っていた。そして、このスティリコがローマ文明そのものでした。

―― 「ローマ文明そのもの」とはどういう意味でしょう。

安田 社会にゆとりがある時代には、蛮族の出身者であっても許せる。でも、社会が逼迫状態になってくると、そんな男に命令を受ける筋合いはない、という意見が出てくる。スティリコも冤罪を着せられて、処刑されました。

最終的に、スティリコが処刑されてから10年ぐらい後に、西ローマ帝国は西ゴートのアッティラに席巻されてしまいました。

スティリコの存在そのものがローマ文明の多様性だった。その多様性が、キリスト教を国教として以降、失われていく。

そして、スティリコの死とともに、ローマ文明は終焉を迎える。だからこそ、塩野さんはスティリコを「最後のローマ人」と称したわけです。このローマ文明の衰亡は今の米国文明によく似ている。

僕は最近、オバマ大統領が「最後のアメリカ人」ではないか、と思うようになりました。ヴァンダル族がローマ帝国で蛮族だったように、黒人も米国社会では主流派ではありません。ところが、アメリカ人は彼を大統領に選んだ。オバマ大統領を選んだということは米国にはまだゆとりがあるのでしょう。

でも、もしオバマ大統領がスティリコのように冤罪を着せられて処刑されたり、暗殺されたりするようなことがあれば、ローマ文明が滅びたように米国文明は終焉すると思う。オバマ大統領の「終わり方」は米国の未来、ひいては世界の未来を予言するのではないでしょうか。

森林の消滅とともに広まったキリスト教

―― 「環境破壊はキリスト教の原罪」と安田教授は指摘していますが、これが意味するところは何でしょう。

安田 ローマ文明の崩壊後、文明の中心地はアルプス以北のヨーロッパに移りました。アルプス以北は12世紀まで広大な森に覆われていました。ジュリアス・シーザーの「ガリア戦記」には、「60日歩いても森の端に到達できない」ということが書かれています。それだけ、深い森に覆われていたということです。

ところが、12世紀以降の大開墾時代に、ヨーロッパの森は破壊されました。17世紀の段階で、英国では90%、ドイツで70%、スイスでも90%の森が破壊された。もともとアルプス以北はドルイド僧のいた森深い多神教の世界でしたが、森林の消滅とともに一神教の世界、つまりキリスト教が広がっていきました。

その後、ヨーロッパでは燃やすものがなくなり、燃料に困って石炭に手をつけるようになった。これが、産業革命ですね。石炭という新しいエネルギー資源を手にした結果、ヨーロッパは息を吹き返しますが、その過程で誕生した思想が市場原理主義でした。

この市場原理主義の原点になったのはアダム・スミスの「神の見えざる手」。ただ、それと同時に影響を与えたのはマルサスの「人口論」と言われています。

(1/2終わり)

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《注目意見》今の資本主義はもう、やめてくれ (1/2) 安田喜憲氏 考える葦 09/2/10(火) 18:23
《注目意見》今の資本主義はもう、やめてくれ (2/2) 安田喜憲氏 考える葦 09/2/11(水) 16:23

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