適正規模の基本的な考え方

【基本的提言1】

 基本的には小・中学校とも12〜18学級の標準規模校が適正であると考えるが、19〜24学級についても許容範囲として加えて、いわゆる中規模校(12〜24学級)を適正規模とする。

(1) 適正規模の基本認識  適正規模としての学級数については、法令により12〜18学級が標準規模でありかつ適正規模であると規定されており、このことについて、本審議会も基本的に認識しているのは言うまでもありません。門真市の小・中学校の適正規模を考える時、単に法令どおりの12〜18学級を適正規模と決めることが、門真市の地域性を考慮したことになるのかどうか。

 本審議会では、門真市の学校の実態等を把握し、21世紀の子どもたちの未来像を見つめ、各学校において、円滑な学校運営ができるよう配慮しながら審議を進めてきました。適正規模の学級数については、30人学級による編制等の意見もありましたが、今回は現行の「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数に関する法律」の第3条(学級編制の標準)・第4条(学級編制)・第5条(学級編制についての都道府県教育委員会の認可)の規定に基づき、1学級の児童・生徒数は40人として審議を行いました。ちなみに、門真市の1学級当たりの児童・生徒数は、平成11年5月1日現在、小学校では31.0人、中学校では35.8人となっています。

(2) 小規模校のメリット・デメリット  小規模校には小規模校の、大規模校には大規模校のメリット・デメリットがありますが、門真市に多い標準規模校についても審議を進めながら、門真市の学校が小規模化している現状を考慮し、主として小規模校のメリット・デメリットについての審議を行いました。

〔1〕メリット  児童・生徒にとっては、授業での発表機会のほか、児童会・生徒会活動や学校行事での活動の場が増えます。教員が児童・生徒一人一人を把握しやすく、学習指導・生活指導がきめ細かく行え、児童・生徒相互の信頼関係や相互理解が強くなります。
 教職員間の連絡・調整等については、相互の連携が密になり、指導方針や行事の計画などがまとまりやすく、特別教室等の施設・設備も余裕をもって使用できることになります。教職員と保護者との人間関係も密接になり、保護者の協力が得やすいのも事実であります。

〔2〕デメリット  児童・生徒にとっては、多様な人間関係を経験する機会が少なくなり、人間関係の固定化が生じます。また教職員も過干渉になりやすく、集団の中で切磋琢磨する能動的な態度の育成が困難になり、児童・生徒の自主性や自立性の発達に影響を及ぼすおそれがあります。学校行事の規模が縮小され、運営に制約が加わり、クラブ活動においても、指導に当たる教職員数の不足やクラブ数の減少が生じます。教育課程の実施に当たっては、中学校では2学年以上の学年を担当する教員や、2教科以上を担当する教員が増え、教材及び指導方法の研究と授業準備等が不十分になるおそれがあります。
 また、教員定数により、中学校においては、教科によって専門教員が配置できなくなる場合も生じます。小学校においても、教員相互の研究の成果等が交換しにくくなります。ティームティーチング・選択履修幅の拡大・総合的な学習の時間等の推進に当たっては、教員数の少なさによる実施上の問題等が予測されます。

(3) 適正規模としての学級数の下限・上限  学級数の下限については、学級替えのできない1学年単学級の問題や教員配置の問題等の意見が各委員から出され、審議した結果、小学校においては、1学年2学級(全校で12学級)以上、中学校においては、1学年4学級(全校で12学級)以上の規模が望ましいとの意見の合意を見ました。

 学級数の上限については、これまでの審議の中で、「昭和40年代に過密校を次々と分離していった経過を考慮すべきである」、「小規模校には、小規模校なりのよさがあり、それを生かすことも考えられる」、「すべての学校を、一律に標準規模校とする必要性はない」、「多様な人間関係が経験できる中規模校程度がよいのではないか」、「大規模校になると、児童・生徒一人一人の把握がしにくく、きめ細かな指導が難しくなり、生徒指導面でも困難になるので、大規模校は避けるべきである」等の意見が各委員から出されました。
 そうした中で、標準規模である12〜18学級を超えた場合でも、19〜24学級までの中規模校について、学校規模が大きくなると、生徒指導や学校運営上の難しさが出てくるというデメリットもあるが、一方で一定の教員数を確保することによって、特色ある学校づくりを推進するための組織体制が組みやすいというメリットも考えられます。特に、新しい学習指導要領が重点課題としている総合的な学習の時間の実施、選択履修幅の拡大、ティームティーチング等の推進においては、それにふさわしい学校の組織体制づくりが必要不可欠であるという意見が大勢を占めました。

 したがって、本審議会では、基本的には12〜18学級の標準規模校が適正であると考えますが、19〜24学級についても許容範囲として加えて、中規模校(12〜24学級)を適正規模とすることとしました。なお、平成11年5月1日現在の各小・中学校の学校規模は、資料[NO. 10]のとおりであります。

 

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