適正配置の基本的な考え方

(1) 通学路の安全確保  【基本的提言2】

 児童・生徒の通学路の安全確保を重視する。通学距離については、義務教育諸学校施設費国庫負担法施行令第3条第2項において、「通学距離が、小学校にあってはおおむね4キロメートル以内、中学校にあってはおおむね6キロメートル以内であること。」とされています。門真市の市域は東西5キロメートル、南北に4.5キロメートルで、面積は12.29平方キロメートルとなっており、通学距離については法令上の問題はありません。

 ただ、現行の通学区域については、地理的条件や交通量の多い道路の横断は避けることなどを配慮して決められてきた経緯があります。また、交通専従員の配置や信号・歩道橋の設置等により、通学の安全性が確保されてきてはいますが、今後、建設が予定されている第二京阪道路については、建設工事の着工時に通学に支障が生じるおそれがあり、今後の動向を注視しながら、児童・生徒の通学の安全性の確保等に十分な配慮が必要となってきます。特に、中央環状線の西側に位置する〓島242番地付近の児童・生徒の通学距離は門真市の中では最も長く、二島小学校へ2,400メートル、第七中学校へ2,600メートルという遠距離通学になっています。さらに将来的には、近畿自動車道と第二京阪道路が接続され、門真ジャンクションとなる予定であり、その工事に伴い、通学の安全面等の配慮が必要となってきます。

(2) 小・中学校の接続  【基本的提言3】

 小学校単位で、中学校の通学区域を定めることが望ましい。  現在、17小学校中7小学校の卒業生が、複数の中学校へ進学しています。これらの7小学校(門真小・大和田小・二島小・中央小・浜町小・水島小・東小)については、中学校との接続関係が分散しており、校種間のスムーズな接続が取りづらく、地域とのつながりにもいろいろな問題点が指摘されています。

 中央小学校の卒業生は、多くの児童が第一中学校へ進学していますが、5人だけが第六中学校に進学しています。また、二島小学校の卒業生の多くは第七中学校へ進学していますが、自由校区の8人だけが第三中学校へ進学しています。このように小人数の児童が、多くの児童とともに同じ中学校へ進学できていないのも事実です。言うまでもなく、1つの小学校の卒業生は、1つの中学校へ進学することが望ましいわけですが、このことを具体化するには、大幅な校区の変更が必要となってまいります。そこで本審議会では、可能な範囲で考慮するにとどめることとしました。なお、各小学校卒業生の平成11年度中学校別入学者数については、資料[NO. 11]のとおりであります。

(3) 地域と学校の連携  【基本的提言4】

 地域と学校の連携をさらに推し進める上で、これまでの、地域の自治会や社会教育団体等の活動と通学区域の関連を尊重すべきである。学校は市が設置した地域の公共物であり、地域の共有財産でもあります。したがって、地域に開かれた学校づくりの一環として、地域の教育力を学校教育に生かすことが求められています。

 平成12年4月に施行される予定の学校教育法施行規則の一部改正の中に、学校評議員制度が位置付けられており、学校と地域との連携が今後ますます深まるものと思われます。地域と学校の連携については、門真市においては、小学校の通学区域を単位として地域コミュニティーが形成されており、多くの自治会、子ども会育成連合会、青少年育成協議会等が小学校の通学区域を基盤として活動されている実態があります。よって、学校の適正配置を考える際には、これらの門真市の実態を踏まえ、これまでの地域の自治会や社会教育団体等の活動と通学区域の関連を尊重すべきであります。

(4) 自由校区  【基本的提言5】

 自由校区は本来望ましいものではなく、廃止すべきである。門真市における自由校区の歴史は古く、町村合併の際に、一番(旧門真町)、桑才(旧門真町)、北島(旧大和田村)を自由校区として設定しています。昭和46年3月に設置された校区問題委員会の答申においても、従前どおりの自由校区を設けています。答申を受けた当時の教育委員会は、自由校区については、適時解消していく方向を示唆する中で認めており、現に昭和51年に五月田小学校が建設された際には、一番地区、北島地区の自由校区を廃止しています。

 自由校区については、都市化の過程の中で見られる新旧住民の意識の差や、旧来の学校や地域への執着、人間関係等により、教育的にも一概に抑えがたい現実があるとして、認めてきた経緯があります。現在も残っている自由校区に該当する地域は、大字桑才、桑才新町、大字三番、東田町、深田町、松生町、柳田町で、この地域は、速見小学校か二島小学校のどちらかの小学校を選んで通学できることになっています。平成11年5月1日現在、二島小学校へは75人、速見小学校へは77人の児童が通学しています。

 さらに精査すると市道岸和田守口線を挟んで、北側の地区の児童は、6年生の1人が二島小学校へ通学していますが、他の76人の児童は速見小学校へ通学しており、南側の地区の児童は、全員二島小学校へ通学しています。本審議会は、自由校区は基本的には望ましいものではないと考えており、現在の児童の通学実態からみても、実質的には解消の方向に向かっており、この際自由校区をなくすべきであるという考えで合意を見ました。なお、東京都品川区や東京都日野市で行われようとしている「学校自由選択制」についても審議しましたが、本審議会では、地域に開かれた学校、地域に根ざした学校として、地域と密着した学校を目指している門真市の学校には、ふさわしくないとの結論に達しております。

(5) 市街化調整区域  【基本的提言6】

 現行のとおり、市街化調整区域が市街化区域になるまでの期間は、指定変更を認める。学校教育法施行令第8条の規定に基づく指定学校の変更を許可することについては、門真市教育委員会が「指定学校の変更基準」を定めており、変更区分のひとつに「沖小学校校区内の市街化調整区域内に住所がある場合」があり、その基準として「市街化調整区域が市街化区域になるまでの期間のみ、五月田小学校へ指定変更」ができるとなっています。

 中学校も同様に、第二中学校校区内の市街化調整区域内に住所があって、第七中学校への通学を希望する場合は、第七中学校へ指定変更ができるとなっております。平成11年5月1日現在、指定学校の変更手続きにより、沖小学校校区の児童13名が五月田小学校へ、第二中学校校区の生徒3名が第七中学校へ通学しています。本審議会では、現行のとおり、市街化調整区域が市街化区域になるまでの期間は、指定変更を認めることとしましたが、今後、建設される予定である第二京阪道路がこの区域を通り、これからの都市開発等の動向を注視する必要があります。

(6) 適正規模の基準から外れる学校  【基本的提言7】

 適正規模の基準から外れる学校は、改善すべき対象校とする。平成11年5月1日現在、適正規模の基準から外れており、近い将来においても児童・生徒数増による学級数の増加が見込めない学校については、基本的に改善すべき対象校とし、加えて、平成17年度までの児童・生徒数、学級数の推計も考慮することとしました。

(7) 通学区域を変更する場合  【基本的提言8】

 通学区域を変更する場合は、在校生、保護者、地域住民の意向に配慮すること。通学区域については、法令上の定めはなく、地理的状況や、地域社会がつくられてきた長い歴史的経緯や住民の意向等、それぞれの地域の実態を踏まえて、各市町村教育委員会の判断に基づいて設定されています。本審議会は、細部にわたる通学区域の変更等について、諮問されているわけではありませんが、今後、通学区域を検討される際には、現在の校区が設定された過去の経緯や、在校生とその保護者、地域住民の理解を得ながら、円滑に遂行すべきであると考えます。

(8) 再検討の機会

〔1〕 学級規模の法改正 【基本的提言9】 今後、法改正等により、学級規模に大幅な変更があった場合は、改めて検討の機会を設けること。本審議会は、適正規模を現行法等により、1クラス40人学級で審議してきたので、今後、法改正等で学級規模について大幅な変更があった場合は、改めて課題解決を目的とした検討の機会を設ける必要があります。

〔2〕 校区変更 【基本的提言10】 今後、第二京阪道路や都市計画等により、校区変更の必要性が生じ、適正規模の基準から外れる学校が出現する場合は、改めて検討の機会を設けること。第二京阪道路に関して、審議会の中で建設省よりその概要について説明を聞き、工事施工の場合の安全性や、道路を横断する際の自動車による排気ガス公害等を考慮し、審議を行ってまいりました。

 ただ現在は地元説明中であり、どのような通学路となるのか定かになっておらず、また住民の意向も調査できない現時点では、本審議会として、第二京阪道路によって校区を分断するのか否かについての結論を出すのは早計と考えています。本審議会では、現行の通学区域により、本答申を行うもので、今後、第二京阪道路による校区の分断や、都市計画等により校区変更が生じ、適正規模の基準から外れる学校が出現する場合には、改めて課題解決を目的とした検討の機会を設ける必要があります。

 以上、本文9ページ以降の適正規模・適正配置の基本的な考え方について、基本的な事項を【基本的提言】としてまとめております。 なお、【基本的提言1〜4】については、本答申を行う上での原則として考え、検討すべき課題を【基本的提言5〜7】として一定の整理を行い、今後配慮すべき事項を【基本的提言8〜10】としてまとめております。

 

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