< 6/21 不当懲罰裁判での戸田弁論全文 >
            ほぼ発言通り。ライブ感覚でどうぞ。       2001/06/22


 当裁判、提訴するにあたって、ぜひ裁判官にお伝えしたいことは、もはや門真市議会の現状を見るに、裁判所に訴えるしか解決の道がない、こういう現実にあると言うことを、ぜひご理解いただきたいと思うわけです。議会の自律権というのは、もともとの前提としまして、一般市民よりもさらに見識の高い人達によって議会が構成されておる、こういう前提条件があると思いますけども、門真市議会の現実を見るに、およそ一般市民の見識に届かない、非常に民主主義を理解していない非常識な議員達が大多数を占めておる。

 それが4分の3を楽に超える圧倒的多数を占めておるが故に、私に対するこの懲罰において、事実を挙げた批判追求ついて何ら事実的な反論もなしに誹謗中傷と決めつけたり、市の幹部職員に対する批判を、これを市の職員に対する人権侵害であるというような、およそ考えられない決めつけを行なったりして懲罰を行なった。しかも、訴状にあるとおり、事実調べなし、被告人抜き、弁護人抜き、こういうまさに、軍事独裁国家の暗黒裁判以下のやり方で不利益処分を行なっておる。こういう現状についてぜひご理解いただきたい。

 それから訴状に補充させていただくこととしまして、被告人ら、この場合、門真市議会という名
目で、ここに出しておりますけど、実質的はこのような非常識な議会、議員達、4分の3以上占める与党の総意であると見なさざるを得ませんけども、その中で言っているのは、「出席停止懲罰は今回実質的には効力1日だけだから、一時的な制限である」と、こういう風なことを言っていますけれども、これはトンデモないことであります。
 議会というのは年にたった4回しか定例会がございません。

 しかも私は99年9月の出席停止、本件3月の出席停止いずれにおいても、定例議会に提出された議案・意見書の最終的な審議・議決を行なう本会議から排除された、という不利益を被っているわけでありまして、年にたった4回しかない中での、こういうことというのは、議員としての審議権、そして私を選んだ市民の参政権、ということを、全く否定するものであります。これを「たった
1日だからたいしたことない」というような感覚。会社員が何百日か勤めたうちの1日の性質とは、わけが違う。このことに対して問題を指摘しておきたいというのが、1点あります。

 それから本日提出した疎明資料の中に、3月定例議会・本会議の議事録、やっと6月になってできあがったものですので、今日提出しましたが、なんとこれを見ますと、私の発言、懲罰に関わるものが伏せ字、伏せ字で、いったいこれでは何を発言したのか、それがどのように問題になってどういう賛否が闘わされたのか、まったく分からない。戦前に戻ったのではないかと、思われるような慄然たる状況であります。こういうことを市議会の議事録として発行するということ自体、非常に異常なものとして裁判の方々にはぜひ審議していただきたい。そういう風に思います。

 それからもう一つ、実際に私はこういう不当な懲罰に屈せずバリバリやっておりますけれども、しかしながら、現実的に質問を議会でしようとする時には、質問通告書というのがあって、私は非常に詳しく出します。で、門真市議会で誰よりも最も多く、毎回必ず質問をする議員であります。そして、市の職員といわゆる「すりあわせ」と言うものを行ないながら、どうやって問題点を改善させていくのか、市として今言えることはことはここまでだとか、じゃあ、今度はこうしようかということを協議しながら、本番の質問に臨みます。

 けれども、今までのような不当な懲罰、圧力がある状況においては、こういうことを素直に出せない。つまり、職員に見せた段階で、与党議員に流れることを覚悟せざるを得ない関係上、懲罰を手ぐすね引いてどうかしようと思っている議員達が存在する以上、率直なものを準備して出せない。従って、原稿を作るにしても、2段階、3段階、4段階の複雑な組立をした上で最後の本番の議会の発言を準備するという、非常に不毛な労力、余計な労力をかけております。

 しかもそれは、私一人だけの問題ではなく、そういう、いつ何時、この門真市議会のようなイチャモンをつけられるかわからんと言う状況にあっては、全ての議員にとって、うかつに質問したら、やばいではないかという萎縮効果をもたらすということで、議会が非常に不活発に放置される。これは市民の権利の侵害である。こういうことも現実問題としてあると言うことです。

 しかも、この私、6月議会またきつい、痛烈な批判的な質問をいたしました。「出席手当」というものをもらっていて、これはおかしいじゃないか、「さもしい手当」だ、議会は変えようとしない、まぁ、こういう質問をしたり、幹部職員の実名を挙げて、批判したりしましたが、今度は全然懲罰の動きがなかった。これは何を意味するのか? つまり、本件裁判を提訴している、たまたま市長選挙が間近にあったということで、控えたと考えざるを得ませんけれども、要は極めて恣意的に懲罰が発動されておる。向こうの御都合次第、政治状況次第、であって絶対的な基準というのが定まっていない、ということを逆に立証したものであると思います。

 そして最後に、今国会中継が大変人気を博しておりますけれども、その原因というのは、非常に厳しい、激しいやり取りが行なわれていることです。大臣に対して、「虚言癖がある」とか、「精神分析の対象だ」というようなことを言うったり、官僚役人の実名を挙げて非難や批判をしたり、ちょっとギョッとするようなことも含めてやり取りが行われております。けれども、これをもって、「国会の品位を汚した」とか、「誹謗中傷だ」と言って「懲罰にせよ」などと言う議員はどこにもおりません。もし、そういう議員が現れたとしたら、国民からも、議会の中からも痛烈な批判を受けて葬り去られること必然であります。ところが、門真市議会では、国会での議論の100分の1にもならない穏便な、しかも全て事実に基づいた質問に対してすら、「誹謗中傷」、「議会の品位失墜」等々のイチャモンをつけて、懲罰動議が発動される。この現実をどのように見るか。

 最後になりますけども、議会というのは、もともと行政をチェックするためにこそ存在しております。また、議員というのはそれぞれ多様な立場、価値観、意見を持った市民のそれぞれの票をいただいて、議会に参入しております。従って、議員と行政、議員相互の間に厳しい意見対立や意見の違い、立場の違いがあるのは当たり前であって、そういうことを論争と議論をもって意見を出していくことが、議会の存在価値を高め、行政チェックの機能を発揮させるものであります。
 ところが門真市議会のように、ちょっと何か言ったら、やたらと「誹謗中傷」、しかも事実も挙げずに、「職員に対する人権侵害」だと言うような議会にあって、いったい行政チェックができるのか、市民の参政権が保障されるのか。

 こういうことを考えた時に、被告側が出した答弁書の言っていることが、如何にひどいことであるか、しかも門真市議会のこの状況を放置しておったら、それはますます改まらずに本日お渡しした伏せ字だらけの議事録に象徴されますように、ある意味での戦前回帰ではないか、こう危惧せざるを得ませんので、どうか証人申請、証人調べも含めまして、裁判所においてこの問題について議会制民主主義を守る立場から精査していただくよう、心からお願いしまして、私の意見とさせていただきます。 どうかよろしくお願いいたします。