5;不当懲罰を許さない全国議員・住民の会
    事務局長 吉川ひろし氏(柏市議)から

  黙ってはいけない!

 議会の常識が住民の常識になっているか?
 言うまでもありませんが、本来、議会は住民の意思決定機関として、住民の常識が議会の常識であり、その基準はあくまでも住民本位のものであるはずです。ところが、国や地方議会のあり方をみると住民の常識とかけ離れた論理で物事が決定され、不可解なことが大手を振ってまかり通っています。

 「議会の常識は住民の非常識、住民の常識は議会の非常識」と揶揄されるまでに議会の信頼性は低下しています。今回の加茂町議会の不当な言論弾圧事件は、多数決による議会の決定によりなされたものでありますが、正に、ここに議会と住民の意識の乖離があるという典型的は事例であります。これでは議会の自律権を尊重するどころか、「多数決」という凶器を武器にして、自律をもたない議員たちに濫用させることになり、議会制民主主義の崩壊につながります。

 曽我議員が発言したことに異議があるなら、徹底した議論で応戦すべきでありそれが議員としての責務でありますが、残念ながら、曽我議員の処分に賛成した加茂町の議員らは論理的な議論より西部劇のリンチのような数の力を発揮したようです。

 現在、多くの地方議会で不当懲罰事件が問題になっているのは、行政や特定議員に都合の悪い発言を少数派の議員がその正義感から問題提起したときに、「多数決」という基準でその発言を議事録から削除したり、戒告や懲罰を科して議員の言動を縛り上げる不当行為が横行していることです。
 このような民主議会の崩壊を防ぐためにも、「黙らない」ことが肝要です。黙っているということは「認めたこと」にされてしまうことになります。曽我議員のこの四年間の戦いは大変に厳しいものがあったと思料しますが、京都府加茂町という小さな町の議会の問題点は全国の地方議会がかかえる大きな問題であります。曽我議員の絶対に黙らない、不正は許さないという強い意思が、加茂町のみならず、全国の良心的な議員や住民の大きな励ましにもなりました。

 地方分権の時代の今こそ、住民に開かれた民主議会が求められています。今回の裁判で議会のあり方を広く住民や議会、司法に問いかけることになり、曽我議員は議会改革のジャンヌ・ダルクと称されるべきものです。
 改革はいつも少数派から始ります。今回の裁判の結果よりも、そのプロセスと議会制民主主義を鋭く問いかけた良心的な弁護士や曽我議員を支え貫いた住民の存在は住民自治の手本となることは間違いありません。

 議会や司法の改革の必要性を住民が確認できた今回の裁判は、日本の民主主義の夜明けであると思います。私達は地方議会の活性化や開かれた議会のためにも、曽我議員と住民の皆さんと共に、もうすぐ到来する日本の夜明けを迎えたいと思います。

 以上。