4;岡根竜介弁護士から

 「本件上告を棄却する。本件を上告審として受理しない」

 主文3行、理由は表題部分を交ぜても8行という形式的な判決です。
 地方議会の議員は、除名以外の懲罰について、司法救済を求めるという道がまた閉ざされた。除名されなければ、懲罰事由の有無さえ争うこともできない。裁判所はこれでまた、「少数者の人権の砦」としての機能を回復し損なった。

 曽我議員には、この判決を「除名されるまでは(その間の不利益は甘受しつつ)がんばれ」という裁判所からのメッセージと考えてもらって、町政の浄化に益々励んでもらわないといけない。裁判所はあてにならないから、世論をバックに不当な懲罰は無意味だと自覚させて、懲罰の濫用に歯止めをかけるしかないのでしょうか。それが極めて困難だから、訴えているはずなんですが・・・

いま、司法改革が議論されており、今回のような判決をもらうと、早急に改革する必要があるという認識を強く持ちます。ところが、現実に議論されている改革の中には、弁護報酬の敗訴者負担(敗訴すれば、相手方の弁護士報酬も負担させられるという制度)など、困った問題も多々含まれています。敗訴者負担を今回に当てはめれば、不当懲罰を受けた被害者でありながら、裁判に訴えれば町が依頼した弁護士の費用までも負担させられることになるわけです。負けるべくして敗れたのならいざ知らず、まともに判断もせずにそんな結果になるのであれば、それこそ裁判を受ける権利を奪われてしまうことになってしまいます。

 つまり、益々裁判所の敷居が高くなってしまって、訴えようにも「万が一負けたら」と思うと訴訟を起こすこと自体をためらわれてしまうのではないかと思われるのです。一般的に裁判所と関わりを持つこと自体特別なことであり、余程のことがない限り訴えたりはしません。これでは、泣き寝入りが増えることになり、それは経済的に余裕がない側に限られるのですから、極めて不公平な制度であると言えると思います。

 今後まともな判決をえられるように、今回の判決を批判するとともに、怪しげな制度を導入させないよう司法に対する国民の監視を強めていかねばと認識を新たにした次第です。