▼不当懲罰放任の却下判決弾劾!
記者会見で最高裁まで闘う決意を表明▼

 

               

 控  訴  状                       

 2002(平成14)年 3月1日

大阪高等裁判所 御中

              控訴人         戸  田  久  和

〒571ー0048
      (送達先)大阪府門真市新橋町12−18−207

           控訴人(原 告)       戸  田  久  和

〒571−0055
       大阪府門真市中町1番1号
      被控訴人(被控訴人)      門  真  市  議  会
        代表者議長          富  山  悦  昌

  出席停止処分取消請求控訴事件
訴訟物の価格  金 950000    円
貼用印紙額   金  6500    円
 上記当事者間の大阪地方裁判所平成13年(行ウ)第29号出席停止処分取消請求事件について、平成14年2月21日判決の言渡があり、平成14年2月21日判決正本の送達を受けたが、全部不服であるから控訴を提起する。


 

原判決の表示

主    文
1 本件訴えを却下する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

  省 略


 

控訴の趣旨

1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が平成13年3月26日、控訴人に対してした同月3月14日付懲罰動議に係る出席停止処分、同年3月16日付懲罰動議に係る出席停止処分を何れも取り消す。
3 訴訟費用は第1審、2審とも被控訴人の負担とする。

    との判決を求める。

 


控訴の理由

  1;本件懲罰事件は「懲罰事由が全く存在しないのに懲罰処分を受けた」冤罪事件であることが、控訴人書面で余すところなく論証されているにも拘わらず、原判決がこの事実を無視して、事実審理を行わず司法審査の対象外としたことは誤りである。
  原判決の判断は、「議会が多数決で決定しさえすれば」、いかに冤罪処分が発生しようと、憲法・地方自治法に違反する処分がなされようと、不利益処分を科すに当たっての最低限の法理と手続きが蹂躙されていようと、司法は傍観放置すると言うに等しく、即ち議会内多数派による決定が憲法・地方自治法・裁判所法・行政手続法より優先し、治外法権であると言うに等しい誤りである。

2;原判決が、本件懲罰処分を「一般市民法秩序と直接の関係を有しない当該団体等の内部的な問題にとどまる」と認定したことは、以下の点から全く誤りである。

(1)選挙で選出され、公金で運営される公機関たる地方議会が「一般市民法秩序と直接の関係を有しない当該団体等」に全く該当しないのは自明の理である。
 それどころか住民の直接選挙によって選出されて、首長が率いる行政機構のチェックを委ねられ、地方行政と住民生活のありようを決定する予算や条例規則を審議・議決する地方議会は、日本国憲法の議会制民主主義体制の基底を構成するものであって、「地方自治は民主主義の学校」と言われるほどに一般市民法秩序と直接密接に関係を有する団体である。

(2)昨今の報道を見るまでもなく、官僚や首長・議員の不正行為が後を絶たない現実社会にあって、本件のように懲罰事由がなくても議会内多数派の意向によって特定議員を議会の審議・議決から思いのままに排除できるということは、議会で多数派の意向に反した不正追及や問題指摘が許されないことになる。
 これは有権者から付託された行政チェックの任務を阻害し、不正不適切な行政行為を看過することで一般市民社会に損害を与えるとともに、本来なら公機関では最も法秩序が遵守されるべきであるにも拘わらず、「議会では民主主義の法規範が通用せず多数派に逆らったら懲罰される」ことを市民に見せつけるものであり、一般市民の法秩序意識に著しい害悪を及ぼすものである。
 従って、本件出席停止懲罰処分は「(地方議会の)一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる」ものでもなく、逆に極めて重大な関係を有するものである。

3;原判決は、本件冤罪不当懲罰による被害について全く過小で誤った認定をしている。

(1)控訴人が「準備書面(1)」で詳細に論じたように、控訴人は(1999年9月議会出席停止懲罰に続いてまたしても)「年に4回しかない定例議会の議決から排除された」のであり、「806億円もの規模の新年度予算案を始めとした29本の議案の審議・議決から排除された」のである。
 これは「正当に選挙された代表」たる控訴人が、有権者ら門真市民の「1年の計」はもちろん将来にも渡る住民生活の方向へも重大な影響を及ぼす多数の議案の審議・議決から不当に排除された大事件であり、議員たる控訴人の権能権限の蹂躙かつ有権者市民の選挙による付託の蹂躙であって、その影響を「実質的に1日の出席停止の効果を有したにすぎない」とか、「その効果はいまだ市議会内部での議員としての活動   に関する部分的な制約にとどまる」、とした原判決の認定は全く誤っている。

(2)本件懲罰は「部長課長の名前を肩書きを示して不適切な行政行為を議会で指摘することが『職員の人権侵害・誹謗中傷』であって懲罰処分に該当する」という多数派の暴論に基づくものであり、議会での行政責任追求を迫害し、以て不適正な行政の改善を阻害して、その結果、市民社会に大きな損害を与える途を開くものである。
 原判決は、本件冤罪不当懲罰の放置が門真市の行財政と一般社会に与える害毒を全く認識していない点で誤っている。

(3)「出席停止処分は議員の除名処分のような議員の身分自体の喪失に関する重大な事項と違う」という原判決の判断は、懲罰処分の被害を議員個人の身分と経済利益という狭い範囲でしか捉えない過ちをおかしている。    
冤罪不当懲罰による名誉の毀損ということは措くとしても、原判決では「議員の最も重要で根幹的な活動は議会での質問や意見表明などの言論活動である」ということが正しく認識されていないと言わざるを得ない。だからこそ「議員の身分は保持されて報酬ももらえるのだから、出席停止にされても重大な問題ではない」という判断を行なうのである。
 門真市議会で最も活発に質問している議員である控訴人の質問内容を懲罰対象と決めつけた4会派22議員は、うち11人が2000年度本会議で1回も質問せず、さらに6人は2年連続質問せずであり、残りの議員にしても質問頻度は控訴人と比べて雲泥の差があるが、「議員活動の根幹」と市民に対する責任の重大性を認識していない点では、原判決はこれら4会派議員と通底する過ちを犯している。

4;1審においては、何らまともな審理が行なわれていない。
 1審は、6月21日、8月16日、11月1日、1月10日の4回の口頭弁論を以て結審したが、控訴人が8万字を越す「準備書面(1)」や5万字に及ぶ「第2準備書面」、66号証100数十点に及ぶ疎明資料、被控訴人側への10項目に及ぶ答弁要求書(第3準備書面)や証人申請を提出して、冤罪不当懲罰の実態や議会運営の説明と最高裁判例批判を含む法理論を詳細に展開したにも拘わらず、これらを全く取り上げることなく、控  訴人の本人尋問申請すら採用せず事実審理を全く行なわないまま、事件の実態に目をつぶって、安易に42年前の最高裁大法廷判決に形式的に依存して「議会の内部規律問題」として却下判決を為したものである。
 従って、真理追究の努力を怠った審理の誤りは明らかである。

5;詳細は追って準備書面を提出する。

以上。