6/27最終意見陳述  

大阪地方裁判所 刑事8部
 裁判長裁判官 横田信之 殿
    裁判官 内田貴文 殿
    裁判官 大伴慎吾 殿

              2006年6月27日
                     連帯労組第3波弾圧事件(政治資金規正法問題事件)
                     「被告」 戸田 久和(ひさよし)

初めに:判決に向けての総論的な問題指摘

 私は、3月7日第1回公判および4月13日第2回公判での意見陳述において、この起訴事案 が連帯労組・関西生コン支部の活動に対する政治的不当弾圧であることと、先行している2波 の関生(かんなま)支部弾圧事件について検察が本件公判では何も語らず、純粋に政治資金規 正法違反を追及しているかのような態度を取ってるが、実際には、先行している2波の弾圧事 件と同一の大阪府警公安3課と大阪地検公安部による、一体の政治弾圧であることを指摘し、 批判しておきました。
 そうしたら、検察官は5月25日の論告求刑になって初めてそのホンネを露わにして牙を剥き出し、突然に、先行した2波の弾圧事件、すなわち大谷生コン事件・旭光コンクリート事件を 持ち出してきて、武委員長を遵法精神の欠如した人間だと決め付けて禁固10ヶ月を求刑してき ました。

 この第1波弾圧・第2波弾圧の大谷・旭光事件は、一本の裁判として合体して審理が行なわ れてきましたが、つい先日の6月21日に検察官の論告求刑が行なわれ、そこでは本件政治資金 規正法事件を持ち出して、武委員長を遵法精神の欠如した人間だと同じく決め付けて懲役3年 の「厳罰の必要性」を論じているのです。

 本件の論告求刑で検察官は、私や武委員長に対して「捜査段階では黙秘し、公判段階でも、 全く理由のない弁解を述べるなど、反省の情はみじんも見受けられない」とか、「本件各起訴を 『弾圧』と主張しており、その無反省ぶりは著しい」などど強弁して、自らの弾圧の不当性を 隠ぺいし、不当弾圧への正当な抵抗をすることの方を犯罪視して被告を非難していますが、こ れは大谷・旭光事件で武委員長ら6人の被告達を罵ったのと全く同じ言い方と思考方法なので す。

 まさに「聞くに落ちずに語るに落ちる」というところですが、これは連帯労組・関生支部に 対するこれら3波に渡る不当弾圧に対して、作家の小田実さんや雑誌「世界」の岡本厚編集長、 政治評論家の佐高信さん、ルポライターの鎌田慧さん、ジャーナリストの大谷昭宏さん、「日刊 現代」の二木啓孝報道部長、昭和女子大の木下武男教授、共謀罪反対運動で有名な海渡雄一弁 護士などの著名なジャーナリストや学者、弁護士の方々25人を筆頭とし、心ある国会議員の支 援も受けて、国会内シンポジウムが3月8日第1回を皮切りに、4月18日第2回がもたれ、次 には7月13日に第3回が予定され、また5月から上記著名人の方々が呼びかけ人なって「連帯 労組関生支部に対する国策捜査の中止・公正裁判要求」の全国署名運動が開始されたり、5月12日に民主党・社民党・共産党3党の国会議員が並ぶ共謀罪反対の国会内集会で集会主催者が連帯労組からの訴えの場を作るなど、全国各地で報告講演会や支援集会が持たれたりして、世論の覚醒が図られてきた事に対して、公安権力が焦りを感じてきた故に、裁判官に対してなりふり構わず「被告の悪質性」を印象づけようとしたのだと思います。

 そのもうひとつの現れが、検察官が「事件」として描き上げた事柄にさえ不釣り合いな、異 様に重い求刑です。
 検察官は、3波に渡る弾圧で1年2ヶ月のほぼ全期間の接見禁止勾留を強制した武委員長には大谷・旭光事件で懲役3年、本件で懲役10ヶ月を求刑し、本件弾圧で3ヶ月の接見禁止勾留を強制した私には禁固2年、「罰金・追徴金合わせて500万円」というベラボウな求刑をしてき ました。
 この、現在の検察司法的な「相場」から見ても異様に重い求刑は、それを裁判官に示すこと によって裁判官の感覚をより有罪・実刑判決の方に誘導しようとするものであり、そのことに よって、武委員長に対しては公安権力の当初からの目論見通りに刑務所への幽閉=実刑執行を 図り、私に対しては有罪判決と同時に、それに付随する公民権停止処分によって議員失職をさ せると共に、来年4月の統一地方選挙はもちろん、その4年後の2011年統一地方選挙でも立候補資格を奪い続け、議員政治の場から実質的に永久追放を図ろうとする邪悪な策謀であります。

 この検察官の求刑はまた、本件裁判官諸氏をして連帯労組に対する不当な政治弾圧に加担さ せようとするものであり、かかる理不尽な逮捕起訴と求刑への同調を求めている事自体、裁判 官の理性を侮辱しているものであることを、裁判官のみなさんには見抜いていただきたいと思 います。
 昨今の公安警察・公安検事の政治弾圧攻撃は、反戦ビラまきへの弾圧事件に見られるように、 東京高裁の裁判官をして、政府の意向に沿わぬ市民に対しては、共同住宅の集合ポストにビラ 入れしただけで、公安権力が家宅捜索と75日間も逮捕拘束したことを全面肯定して逆転有罪を 言い渡す過ちを冒させています。
 こんな判決を書いた裁判官達は、公安権力追随の御用判事として、日本の司法の歴史に末永 く汚名を残すことになるでしょう。

 私は、第1回公判意見陳述の冒頭で、「この日本で政治資金規正法違反だけの被疑事件で逮 捕・勾留された現職議員は今まで存在せず、ましてや接見禁止勾留を3ヶ月も強いられたのは 前代未聞」であることと、「労働組合の委員長が1年以内に3回も逮捕が重ねられ、逮捕以来1 年2ヶ月も勾留されたことも前代未聞」であることを指摘しました。
 そして、「なぜ、この法廷に日本の前代未聞の例が二つも立ち並ぶという異様な事態が発生し ているのか」と問いかけ、この起訴「事件」の実相について、そもそも根本の所から曇りのな い目で見ていってもらいたい、と裁判官の方々に語りかけました。

 本件裁判官の方々に突きつけられているのは、自分が所属する労組の有志からの合計90万円 の政治カンパの記載漏れを「罪状」として現職議員を3ヶ月の逮捕監禁をした上で、さらに禁 固や罰金の有罪と公民権停止を行なう前代未聞の判決を書く裁判官になってしまっていいのか、 ということではないかと思います。
 また、もし360万円の授受をも有罪とするならば、自分が所属する労組から委員長報酬を受 け取ること自体を有罪とするわけですから、そのことによって全国各地に山ほど存在する「副 収入を持つ議員」が政治活動していること自体を有罪にする、もしくはその中で反政府的な議 員を恣意的に選別して有罪とする前代未聞の判決を書く裁判官になる選択をしていいのか、と いうことだろうと思います。
 そのような選択は従来の全ての司法判断と余りに隔絶するものであるし、全国そこらじゅう の「副収入を持つ議員」を一律に有罪としなければ整合性が取れないことになってしまいます。
 もちろん、そのような選択は正しくありません。
 裁判官諸氏におかれては、公安権力による不当な政治弾圧に加担したり煽られたりすること なく、事実を精査して「事の真相」を掌握され、法律の正しい解釈とバランスの取れた運用、 すなわち「法の正義」と「法の下の平等」を実現する判決を出していただきたいと思います。

 検察官は、私に対して「金のためなら違法行為もいとわない姿勢が顕著」だとか、「遵法精神 の希薄さは明らか」、「無反省ぶりは著しい」などと罵声を浴びせていますが、私の方からこそ、 ほんの一例を挙げれば、かつて私の側近にいて2005年6月に詐欺行為発覚で追放されるまでの 私のパソコンデータの全てを窃盗したTNOを手なずけ、その窃盗データを悪用し、未だに 所有してる公安権力に対して、「政治弾圧のためなら違法行為もいとわない姿勢が顕著」、「遵 法精神の希薄さは明らか」、「無反省ぶりは著しい」と糾弾するものです。

 盗人猛々しいとは、私たちに論告求刑をした検察官を含む公安権力の方であります。  保釈以降の日常の猛烈な多忙さの中で延び延びになっていましたが、7月か8月には必ずこ のデータ窃盗・不法所持の件でTNOともども提訴してやるからクビを洗って待っていろ、と この場で宣告しておくものです。

1:360万円は地本委員長報酬の一部であり何ら違法性がない

(1)議員が副収入を持つことは何ら違法でなく、ままある事象である。

 もちろん、自治体議員が自治体と契約関係をもつ団体の役員の地位にあることは違法となり ますが、ここではそれは当然の前提としてそういうケースは除外して話を進めます。
 それについて何より確かな実例として、門真市議会の議員達のことを例に挙げて紹介します。  

 現在の門真市議会の議会事務局作成の議員名簿の「職業欄」を見ますと、全部で28人の議員 の中で、「会社役員」と記載している議員が5人、「自営業」と記載している議員が5人、「会社 顧問」との記載が1人、「会社員」が1人、「運転手」との記載が1人いて、これの合計が13人になります。13人と言えば門真市議28人のうちの半数近い人数です。

 このうち、「運転手」と記載したのは私で、本当は「連帯ユニオン役員」と書きたいのですが、 字数制限が4文字か5文字までと聞いたので、「連帯ユニオン役員」や「連帯労組役員」では字 数オーバーになり、かといって「連帯役員」では普通の人には何のことか分からないし、「労組 役員」では大企業労組か市職員労組と間違えられてしまいそうで具合悪い、ということで一般労働者出身であることを示すために「運転手」と記載しているのですが、それはそれとしまして、中には無給の役員や顧問がいる可能性もないとは言えないとしても、この13議員のほとん ど全てが議員報酬以外の報酬や給与を得ているはずです。
 「職業」欄にそういう記載をするということはそういうことでしょう。

 そしてこういう状況は、門真市議会だけが特別であるとは思えず、どこの議会も似たような ものでしょう。
 これらの議員が議員報酬とは別口の収入を得るにあたっては、「議員であるが故の社会的信 頼性」や「議員としての知名度」がプラスに働いていることは間違いない事実です。
 純粋に労働の対価のように見えても、「議員であるが故に仕事やお客が入って来る・その身分 を保持できている」面もあることは否定出来ないことでしょう。
 また私は、副業として損害保険の代理店をやっている他市の議員に、議員との兼業であることの有利さを説明されたこともあります。

 しかし、そういう副収入が「議員であることへの信頼」の色合いを併せ持っているからと言 って、それがすなわち「議員として政治活動することへの支援」のお金だと認定されるわけで はありません。
 一般の公務員には兼業禁止の規定がありますが、議員の場合は先に述べたように、行政機関 との受注契約を持つ団体の役員以外は、どういう副業・副収入を持とうと自由なのです。

 小泉首相の若い時みたいに、全く出社せず仕事をしないでも「給与を装って」収入を得るの であれば「企業からの違法な政治献金」であり、決して「人生いろいろ、会社もいろいろ」な どとうそぶいて済むことではなく、それが「違法な政治献金」と認定されない方がおかしいはずですが、そういうのとは違って、その議員の副業に実体があるものならば、それへの対価が 社会常識の範囲を著しく逸脱していない限りは、「違法」とされることはないし、されてはなり ません。

(2)副業で得た収入を何に使うかは議員の個人生活の自由に属する

 では、そういった議員報酬以外で得た収入をその議員が選挙資金や政治活動に使用したから といって、その収入は「違法な政治献金」にあたるのでしょうか?
 その議員に収入をもたらした会社や顧客は「違法な政治献金」を与えたことになるのでしょ うか?
 そんなことはあり得ません。
 自分の収入を何に使うかはその個人の自由であり、生活費や旅行に使うのは良くて政治活動 に使うのは違法だとか、娯楽で作った借金の返済にあてるのは良くて政治活動で作った借金の 返済に充てるのは違法だとかと処断するのは全く不当なことであります。

 従って、本件で検察官が私に対して「委員長報酬のうち月10万円の3年分前渡しの360万円 を政治活動費用やその返済に使ったから違法献金だ」と決め付けていることは全く不当なこと です。
 また、検察官はそういう処断をもっともらしく粉飾するために、私が360万円の全てを政治 活動に使ったかの様な決めつけをする一方、私の財政事情を何年も前からの各種口座の動きも含めて隅から隅まで調べまくって承知していながら、裁判所には自分らの主張にとって都合に いい2000年1月からの分しか出さず、全てを「議員活動による負債とその返済」に描き上げよ うとしています。

 実際には公判で述べたように、議員になる以前からの借入金も含めて、政治活動以外の様々 な、いわゆる個人的な支出や借入金があるわけで、私の「財政事情」が全て議員としての「財 政事情」であって、「戸田にお金を支払うことは戸田の政治活動への献金だ」、という検察官の決めつけは失当と言うほかありません。

 毎月の10万円と3年分前渡しの360万円は、あくまで地本委員長就任に伴う支払いであって、 地本委員長への就任がなければそもそもあり得なかった話であり、委員長就任に伴って初めて発生した話であることは、誰が見ても明らかなことであります。
 それなのに、「政治活動費用として360万円を私に支払うために地本委員長報酬の体裁を取 った」かのように決め付ける検察官の主張は、私と武委員長を罪に陥れるためのコジツケであ って、まことに怒りに耐えません。

(3)「月10万円分を3年分前渡し」に何ら違法性もない

 検察官は「委員長の任期が1年なのに3年分前渡しするのはおかしい」と主張しますが、現 に私は、2004年秋の大会でも地本委員長選挙に出馬して当選し、また武委員長が不当逮捕で不 在であった昨年2005年秋の大会、しかもこの時点では本件のような政治資金規正法にかこつけ た弾圧があるとは夢にも思わなかった時の大会でも、労組側の期待を受けて地本委員長に出馬 し当選して現在にいたっているのであって、何も「3年分の前渡し」の正当性を取り繕うためにこの足かけ3年間の地本委員長就任を続けているわけではありません。
 「3年分の前渡し、継続出来なくなった場合はその時点で精算する」、という2003年秋段階 の判断には何の不自然さも不当性も存在しないことは、こういった事実経過からも明白です。

(4)私は近畿地本委員長として活動実態を持っている。  

 検察官は、私に対して「その活動内容は『ヒゲー戸田通信』を見ても,『10月、連帯ユニオ ン各種大会』、『1月、連帯ユニオン元旦闘争(予定)」と記載されている程度であり」、ウンヌ ンと述べて、だから「組合員として特段の活動をしていない」、従って「委員長報酬を請求出来 る立場にない」などと言いなしていますが、これは私への誹謗中傷と侮辱であり、猛烈な怒り をもって糾弾するものです。
 権力側は1997年か1998年から2005年11月に至る私のスケジュールノートを押収し、私が 連帯ユニオンに関わった活動日程のほとんど全てを掌握していながら、そのうちの極く一部し か記載出来ない「ヒゲ-戸田通信」での記載をもって、私の連帯労組員・労組役員としての活動 を意図的に矮小化しているのです。

 常勤の役員とは異なる形態であるとは言え、本業の議員活動と両立させながら、私は近畿地 本委員長として様々な活動を展開してきました。
 連帯労組に関連する様々な催しに出席することも当然ですが、インターネットに関わって連 帯労組の活動を様々な手法で宣伝していくことや、戸田事務所において種々の調査や資料作成 をしたり、種々の市民相談を通じて連帯労組へのつながりを作ったり等、様々な活動をしてき たのであって、権力側がそれを実は承知の上でこのような虚偽の主張をして私の活動を侮辱す ることは絶対に許せない思いです。

 私が地本委員長として何も役割を果たしていないどころか、今までの地本委員長になかった斬新でユニークな活動を展開して連帯労組の存在を高くアピールし、各自治体・各地域での新 たな活動を切り開いてきたこと、対マスコミも含めて全国的なスポークスマンを努めているこ と、等々の働きをある意味では誰よりも詳しく認識しているのが公安権力ではないですか。
 だからこそ、今回のように私に対して活動の自由と社会的信頼性や議員生命を奪うための弾 圧をかけてきているのではないですか。
 これもまことに「盗人猛々しい」詭弁と言わなければなりません。

 私の地本委員長としての活動のいくつかは既に意見陳述や公判証言で述べているところです が、この場で新たに地本委員長の活動の一例として、2004年11月頃に自治体の清掃業務委託 会社に関わって、自治体に清掃会社労組と誠実な交渉をさせることや、発注者としての自治体 の責任を明確にさせること、各地の実態を掌握すること、等について連帯労組に多大な貢献をしたことも紹介しておきます。
 この時は、大阪府内の清掃事業の業務委託の実状を各自治体にあたって調査し、実状をまと めた大阪府内で初の報告書を作成したり、堺市と連帯労組との交渉の場に同席して事態の善導をしたり、堺市議の他にも各地の自治体議員に連帯労組への支援を呼びかけたりすることで、連帯労組の清掃業者部門での運動をかなり前進させました。

 他にも、タクシー会社なども含めて何かしら自治体が契約をしている職種について、同様の 手法で調査、改善、自治体議員への呼びかけや要望を行なって連帯労組の運動前進に寄与して 来ました。
 これらは従来の地本委員長ではなし得なかったことであったと自負しています。

 つい最近も、5月・6月に共謀罪成立阻止のために、私の宣伝カーで2回も国会闘争に行き、 国会議員達も含めて全国の意識的な人々に「悪法に断固反対している連帯ユニオン」の存在を 宣伝することに大いに貢献しました。
 また、自分自身の行動を基に武委員長ら他の役員と協議したことによって、初めて関西生コ ン支部や近畿地本としての共謀罪阻止国会現地行動が展開され、関西の連帯労組の存在価値を今までになく大勢の人々の間に高めました。これは共謀罪反対に関わる多くのホームページでも掲載されたことです。

 従来の地本委員長とは違ったフットワークと発想で自由闊達に動き宣伝し、連帯労組に貢献 している一例として、こういった自己宣伝をするのは必ずしも本意ではありませんが、検察官があまりにもデタラメなことを言うので、あえて紹介しておく次第です。

2:本件で「政治家と労組の癒着」というのは検察のデマ

(1)戸田と連帯労組には「癒着」問題なるものがそもそも存在しない。

 「癒着」と言うのは、「親密な関係によって不正行為を発生させていること」ですが、私と連 帯ユニオン・関生支部の場合は、警察・検察による、TNOやMM事務員など旧側近からの調 査でも、家宅捜索などによる強制捜査でも、私の知人や支援者、カンパ提供者、全ての納品業 者や印刷業者へのしらみ潰し的な調査でも、そして当然行なっているはずの、私の議員活動を面白く思っていない各種の敵対的勢力への調査でも、私と連帯労組との「癒着」(=不正行為、政治を歪めた行為)は何一つ発見されませんでした。
 唯一騒ぎ立てているのが本件の「連帯労組からの違法献金と虚偽記載」事件だけであるとい うことは、私と連帯労組が「癒着して政治を歪めている」ことが何一つないことの何よりの証 拠です。

 そもそも私は「連帯労組の一員」であることを終始一貫高々と掲げて地域で活動してきたの であって、それなのにMM事務員供述のように「特定の労組との癒着を疑られないように・・・」 ウンヌンの記述があることがナンセンスであって、これはMM事務員が検察官のデッチ上げを なぞらされたものとしか思えません。

(2)論告での政治資金規正法での「労組と政治家の関係」記述はデタラメ

 検察官は論告で「労働組合から政治家・政治団体に対する寄附については、癒着・腐敗の温床となりかねないことから、法改正により規制が強化されてきたところである。」と述べていますが、最も問題になってきたのは、ほとんど常に自民党ら保守政党議員に対する「企業・業界団体からの寄附」であって、「労組からの寄付」について問題とされたとしても、それはそういう事件によって規制強化の世論が沸き起こった時に、保守政党側が野党側の有力基盤のひとつである大規模労組への規制強化を対抗的に論じて相乗りさせたことによるのが実状です。  

 それなのに、最も根源的であり最も繰り返し問題になってきた「政治家と企業・業界団体の癒着・腐敗関係」に全く触れずに政治資金規正法強化のゆえんを語るとは、いかにも水増し生コン・過積載常習の企業やそれを背後で操る大資本に肩入れして、そういった不正を摘発し業界正常化を図る連帯労組の方を弾圧する、そういった主張を大谷・旭光事件公判で臆面もなく展開してきた公安検事ならではの芸当であると、感に堪えません。

3:90万円寄付の問題について

(1)これは連帯労組有志からの寄付の集合であって違法寄付ではない。  

 これについては、既に何度も論述してきた通りであり、弁護人からも詳しく論述されるので私からは省きます。

(2)故意による記載漏れでなく「多忙による過失」の、さらに詳しい事情。

 政治資金管理団体の帳簿を日頃きちんと整理しておかなかったとか、12月に収支報告書用紙が送られてきているのに3月になるまで何も手を付けないでいたとか、という私の落ち度については十分に反省した上で、私は公判において収支報告書提出の毎年3月段階の私の活動の多忙さ、および個別2004年3月段階での多忙さを、公判で既に明らかにしてきましたが、それを補足するものとして、2003年12月から2004年4月にかけての事情を今少し詳しく述べます。

 私のHP(ホームページ)の中の「ヒゲ-戸田発行物いろいろ」というコーナーを見ると分かりやすいですが、2003年11月28日の「ヒゲ-戸田通信16号」発行の後には2003年12月28日発行の「合併反対!門真市民の会」結成とそれへの参加を訴える「ヒゲ-戸田通信臨時号」が続き、年が明けると2004年年1月12日発行の「合併反対通信第1号」、1月27日発行の同第2号、1月28日発行の同第3号、2月8日発行の同第4号、3月21日発行の同第5号、と凄まじい勢いです。
 もちろん、これと並行して12月議会、3月議会の活動とそのHP報告があり、情報隠し裁判の膨大な書面作成とHP報告があり、一般の市民相談の他に合併反対運動の会議や宣伝、オルグ活動があり、さらに近畿地本委員長としての活動があり等々という、今振り返ってみるとよくこれだけのことを同時展開できたなあと自分でも驚くほどの多忙さです。

 こういう中で、2004年3月25日本会議で終了した3月議会日程と、HP掲示板への私の書き込みや当時の事情等から判断すると、収支報告書作成の実務に私自身が関わったのは(詳細はスケジュールノート押収で不明ですが)、収支報告書を府選管に提出しに行った3月29日の 1日か2日前、それも1時間程度でないかと思われます。
 じっくり時間をかけて検討作成したことは、遺憾ながらありません。

 この私の実務は、事前にMM事務員に収支結果をまとめておいてもらってのことであり、全てMM事務員の計算結果を前提的に受け入れての作業ですから、収支報告書作成時にMM事務員が90万円を算入していなければ、私が気付かなくても残念ながら当然だったと言わなければなりません。

 検察官は「2003年11月28日発行のヒゲ-戸田通信14号の財政報告の収入に『連帯カンパ』45万円を算入しているのだから、戸田はこれを覚えており、従って2004年3月28日提出の収支報告書に記載がないのに気づかないはずがない。故意に記載しなかったのだ」と主張していますが、通信の財政報告はMM事務員の計算結果をそのまま受け入れて作成するだけで、そのいちいちの数字までは私の記憶としては残らないのが通例であり、ましてやその内分けまで記憶していることは、少なくとも私の能力では全く無理で、あり得ない話です。

 私流の議員活動というのは、ビラ作成・郵送や機器の購入など様々な支払いで、10万円、20万円、30万円単位の買い物を1年間に何度もするようなもので、その中での90万円という金 額は、何度もやってきた全市的な大量ビラの作成・郵送の2回分ほどに相当する程度の金額で、 特に強く記憶に残るほどの大金とは言えないし、次から次と活動に追われているような感覚の 中で埋もれていったのだろうと思います。  

 また、検察官は収支報告書に私が鉛筆書きで90万円分を意図的に除外した金額を書いてお いて、その通りにMM事務員に書かせたと言います。
 被告側はその収支報告書の現物を見せてもらっていないので、それが私の筆跡によるものな のか、ぜひ見せてもらいたいものですが、もし鉛筆書きがあったとしても、それは公判で述べ たように、以前に記入する行を間違えて書いて選管に行った時に、間違いを指摘されてそれを 書いてあるページを全部書き直さなければいけないことがあったので、そうならないように金 額を記入すべき行を指摘するために書いたものに過ぎません。
 選管には私ひとりで行きますから、書き間違いが指摘されれば、そのページだけ私の下手な 字で書かなければならず、そうなるのが嫌で、書き間違いがないようにちゃんと作成してから選管に行こうと考えたのです。

 そもそも、収支報告書に記入する金額の集計をするのが煩わしく、また多忙さの中で自分ではやりたくないし出来ないからこそ、それをMM事務員にしてもらっていたのであって、そういう私が、90万円だけ除外した収入合計金額を独自に算定しておいて鉛筆で記入するわけがないし、できるはずもありません。

 鉛筆書きについての検察官の主張は、「MM事務員が戸田の指示を受けて金額を集計してメ モを作って戸田に見せた、それに基づいて収支報告書に金額を記入した」、という検察官自身が認定している事実経過やMM事務員の検察官供述書にも反する全く支離滅裂な主張であり、私が「故意に虚偽記載をした」とデッチ上げるためにはこういう支離滅裂な主張に走って恥じない検察官のデタラメさ、論理性の無さを強く批判しておきます。

 私はMM事務員に対して「連帯労組有志からのカンパ」、これを略した「連帯からのカンパ」をカンパ名簿や収支報告書に載せるなという指示は全くしていません。
 検察官の描いた筋書きや私への人物評価に迎合したと思われる部分が随所に見られるMM事 務員の検察官調書においてすら、私がそういった指示を出したという供述は全くなく、逆に「連帯(有志)からのカンパ」を計上しなかったのはMM事務員個人の判断によるものであったと明言した供述があることからも、それは明かです。

 MM事務員は、その「個人的判断」の理由を「特定の団体との癒着を疑われる」ウンヌンと検察官調書で供述していますが、私はそもそも「連帯労組の一員」であることをむしろ堂々と 誇示して地域で活動してきたのであり、それなのに「特定の団体との癒着を疑われる」などと言うこと自体がおかしな話で、これは警察・検察の誘導に迎合した虚偽供述としか思えません。

  最後に:

 以上、この法廷でるる述べてきたことも含めて、私は、過失による90万円の記載ミスは認めますが、それ以外に政治資金規正法違反で有罪の烙印を押されるいわれはないと確信しています。
 「社会に与えた影響も大きく,政治不信を助長した」とか、「市民の政治に対する信頼を損ね、 社会的影響の点でも看過できない。」というのは、公安権力の一連の意図的な弾圧が生み出したものであり、まともな労組活動をことさらに敵視して大資本や違法行為常習企業の肩を持つ公安権力のあり方こそ、「市民の政治に対する信頼を損ね、社会的影響の点でも看過できない。」と弾劾せざるを得ないものです。

 最近の耐震偽装問題、JR事故の問題、エレベーターの問題などどれを見ても、仕事の現場 で、業界の中で、不正行為を知ったら問題を指摘していくまともな労働組合があれば、ああい うことは起こっていない、とつくづく思います。
 不正を許さない、まともな労働組合の存在があらゆる仕事の現場や業界の中で必要だ、と普通に考えれば誰でもそう思うはずです。

 ところが公安権力はそう思わない。あくまでも労働組合を敵視しています。
 特に連帯労組のような不正行為を摘発し、中小業者と共同して大資本の支配力をはね返して 業界の適正化を図ろうとする労働組合はあくまでも敵視して潰そうとしています。
 一見中立的な正義の味方のような顔をして堀江逮捕や村上逮捕などをすることがあっても、それは目立ちすぎた先走り部分をはじいて世論のガス抜きを図るためにすぎず、国民の不満が行動となって現れることに対しては徹底的な弾圧によって押さえつけていこうとしています。
 共謀罪などというとんでもない法律を制定しようとしていることにも、その弾圧姿勢は顕著です。

 裁判官は他の裁判を傍聴出来ないでしょうから、本件に先行している連帯労組弾圧の大谷・旭光事件のことは被告側から話を聞くだけで、実感しにくい所があると思いますが、実際に公 判を傍聴したら本質がよく分かると思います。
 大谷・旭光事件事件というのは、生コンを水増ししたり、過積載したりする生コン品質劣化 を招く違法行為の常習不良業者を善導して業界の団体に加入させ、業界の健全化を図ろうとし た動きに対して、これらの業者もそれを受け入れて加入を約束し、連帯・関生支部に加入の推 薦者となってくれるよう要請して推薦者にまでなってもらっておきながら加入の約束を翻した ので、連帯・関生支部が約束の実行を求めたということがあったのですが、それが後日になっ て弾圧の口実を探していた公安権力によって犯罪とされたという事件であり、その公判での検 察官の発言には驚きます。

 水増し生コンというのは工事の品質にとって致命的な問題なので、新聞テレビや週刊誌で 大々的に取り上げられ、高速道路の橋脚建設にこれが使われたことが発覚した時には、巨大な 橋脚を取り壊して工事をやり直さなければならないということで大問題になりましたが、これ を調査し告発したのが連帯・関生支部なのです。
 こういう重大性を持つ水増し生コンなどの大谷生コン、旭光コンクリートがやってきた不正行為に関わって、検察官は公判の場でなんと「関生支部が言いがかりを付けてきて、」という言い方をして不正行為企業を庇って関生支部を攻撃しているのです。

 この発言を法廷で聞いた時にはさすがに驚きました。いくらなんでも仮にも「国家の検察」ともあろうものが、現実に行なわれている水増し生コンという重大問題を不良業者の肩を持って「関生支部の言いがかり」として片づけるその神経には呆れてしまいました。
 言うまでもなく、様々な不正工事・不正設計・安全対策の手抜きによって、国民は生命の危機や貴重な財産の消滅、耐震偽装マンション事件のような2重3重のローンなど、大変な負担を背負い込まされるし、国家行政の側からも何百何千億円規模での対策費用という形で血税の支出を強いられるという国家的規模の損害が起こってきます。
 それなのに検察官は、そういうことを発生させないように奮闘している、非常に公益性の高い連帯労組の活動の方をあくまで敵視し、弾圧しようとしているのです。

 いったいこうした政治弾圧が許されてよいものでしょうか。
 裁判官のみなさんには、本件事案が公益認識を全く誤った公安権力による不当な政治弾圧の 一環として事件化されたものであることをよく認識されて、正しい判断をしていただきたい。

 私たちへの無罪判決を断固として求めて、私の最終陳述を終わります。