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戸田弾圧事件:最高裁への9/28上告趣意書全文紹介!(1) 戸田 07/10/9(火) 13:30
最高裁への9/28上告趣意書全文紹介!(2)上告理由の3 本件事案の概要 戸田 07/10/9(火) 13:49
9/28上告趣意書全文紹介!(3)上告理由4・5 政治資金規正法の沿革・立法趣旨 戸田 07/10/9(火) 14:12
9/28上告趣意書紹介!(4) 憲法解釈の誤り6、事実/法解釈の誤り(量刑不当) 戸田 07/10/9(火) 14:43
★08年4/22、最高裁に上告趣意補充書を提出!(本文全部を紹介) 戸田 08/4/26(土) 15:51
◎貼付資料4(戸田の政務調査費)に関して内容を詳しく紹介 戸田 08/4/26(土) 16:13

戸田弾圧事件:最高裁への9/28上告趣意書全文紹介!(1)
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 戸田 E-MAILWEB  - 07/10/9(火) 13:30 -
  
       (※ HP掲示板上で読みやすいよう、大幅に改行整理して紹介)
 全体の構成:
      第1 原判決の概要          1、2、3、
      第2 上告理由 原判決の憲法解釈の誤り
        1、原判決の憲法解釈の概要
        2、被告人戸田に関する憲法上の権利
        3、本件事案の概要
        4、政治資金規正法の沿革
        5、政治資金の制限と制裁についての立法趣旨
        6、政治資金規正法の立法の必要性と合理性
        7、政治資金規正法の適用違憲
      第3 上告理由 原判決の事実誤認及び法令解釈の誤り(量刑不当)
                           1、2、3、4、
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――
平成19年工(あ)第1001号    政治資金規正法違反
被告人 戸田久和
被告人 戸田ひさよし友の会
               上 告 趣 意 書
                             2007年9月28日
最高裁判所 第2小法廷 御中
                        上記被告人ら弁護人 遠藤比呂通

第1 原判決の概要

1、原判決は、弁護人永嶋靖久の事実誤認の主張について以下のように述べた。

  被告人戸田ひさよし友の会(以下「被告人団体」という。)へ、組合が行った合計
 90万円の寄付は、武が組合を代表して行ったものでなく、組合員有志の個人寄付に
 過ぎないと弁護人は主張するが、
  ・上記合計90万円の金員は、被告人団体が管理する郵便貯金口座に振り込まれ、
   被告人団体に寄付されていること、
  ・被告人戸田久和(以下「被告人戸田」という。)が組合及びその上部組織に対し、   資金援助と人的援助を2003年の市議選において申し入れ、これを断られた後、
   組合に資金援助と人的援助を申し入れたものであるから、被告人戸田の要請が組合
   及びその上部組織になされたものであると見ていいこと、
  ・組合の常任委員会において、被告人戸田を組織内候補として支援する旨決定した
 こと等から、
 上記寄付は個人寄付ではなく、組合からの寄付であると、原判決は認定した。

2、組合が被告人戸田に対して、政治活動に関する寄付を360万円行った事実はなく、
 これは給料であるという弁護人の主張については、
  ・被告人戸田の場合、近畿地方本部執行委員長としての活動はほとんどなく、
  ・しかも、議員としての活動を期待されていたのであるから、
  組合から政治活動に関する資金援助を被告人戸田が受ける名目であったと
 認定をしている。
  さらに、収支報告書に関する事実誤認の主張も退けている。

3、労働組合には憲法上、政治活動に関する寄付をする自由があり、政治資金規正法自体
 が憲法に違反するという論点について、原判決は、
 
 (1) 労働組合による政治活動に関する寄付の自由は、労働組合は労働者の労働条件の
  維持、改善その他、経済的地位の向上を主たる目的とする団体であって、政治資金の
  寄付を含む政治活動の自由は、参政権を有しない労働組合が国民と同様の憲法上の保
  障を当然に享有するものではない
 としたうえで、
 (2) 議会制民主主義において重大な役割を担っている政党、政治団体、政治家にとっ
  て、重大な課題である政治資金の調達を巡って癒着や政治腐敗が繰り返され、政治に
  対する国民の不信が高まる中で、選挙制度の抜本的改革と機を一にして、会社その他
  の団体がする政治活動に関する寄付の制限の強化を諮るなどの改正がなされ、公的助
  成制度の導入とあいまって政治資金の調達を巡る腐敗を防止しようとする規制である
  から、
 立法府の裁量の範囲内であると判示する。

第2 上告理由 原判決の憲法解釈の誤り

1 原判決の憲法解釈の概要
 原判決は、
   労働組合が、政治活動に関する寄付をする自由は憲法21条、28条により保障さ
  れた権利であり、労働組合による政治資金団体以外のものに対する政治活動に関する
  寄付を禁ずる政治資金規正法21条1項及び22条の2には、憲法に違反し、かつ刑
  罰をもって禁止する点で、憲法14条にも違反する
 という法令の憲法適合性の問題について、以下のとおり判示した。

 (1) 憲法第3章に定める国民の権利及び義務の各条項の適用対象は国民である。
 (2) 政治資金の寄付を含む政治活動の自由は、性質上、参政権の行使と密接な関係を
  有しているから、参政権を有しない労働組合が国民と同様の憲法上の保障を当然に享
  有するものではない。
 (3) 労働組合を含めた法人について、その政治活動の自由をどの限度で認めるかは国権
  の最高機関である国会の立法政策の問題である。

 (4) 政治資金の調達を巡って癒着や政治腐敗が繰り返され、政治に対する国民の不信
  高まるなかで、選挙制度の抜本的改革と機を一にして、政治資金規正法においても寄
  付の制限の強化を諮るなどの改正がなされた結果、選挙制度の改革及び公的助成制度
  の導入とあいまって、政治資金の調達を巡る腐敗を防止しようと政治資金規正法21
  条1項及び22条の2が設けられたものである。

2 被告人戸田に関する憲法上の権利

 本件において、問題とされるべき憲法上の権利は、複合的性格を有することに留意され
なければならない。
  言うまでもなく、被告人戸田は、日本国民であり、自然人として政治的意見を表明  し、公職に立候補し、選挙権及び被選挙権を行使する権利を有する。
  さらに、市議会議員として職務を遂行し、住民自治を基本とする地方自治の本旨に基
 づいた使命を果たす職務と権能が与えられている。

 (3) 被告人戸田は、2003年門真市議会議員選挙において市会議員に当選した後、同
  年9月組合の上部組織にあたる連帯ユニオン近畿地方本部の執行委員長となり、その
  給料を貰うようになったという経緯があるから、本件は労働組合の政治活動の制限と
  いう一面を持つものであることは確かである。
 (4) しかし、本件で間われるべきは、むしろ被告人戸田個人の選挙権・被選挙権及び市
  会議員として職務を行う権限を中心とした、被告人戸田の政治活動の自由の制限の問
  題である。

 (5)1994年改正政治資金規正法(1部の改正は1999年)は、第21条1項にお
  いて、会社及び労働組合等の団体が政党及び政党め指定する政治資金団体以外に寄
  付を行うことを禁止し、第26条で罰則を定めるだけでなく、第28条で原則5年
  の公民権停止を規定する。
   第28条は寄付として収受された金員の追徴を規定する。

 (6) 本件で問われるべき憲法問題は、上記制限を行う立法の必要性が存するか、もし
  必要性があるとしても、およそ公民権の停止という被告人の政治家としての生命を
  奪うような手段ではなく、より制限的な手段が存在するか、という立法の合理性が
  あるかどうかである。

 (7) 本件では、原判決は、立法の必要性について、被告人戸田の政治活動の自由に立
  ち入って十分な検討を加えず、ただ文献を明示もしないで引用するのみである。
 (8) さらに、立法の合理性についてはまったく触れていない。

 (9) 原判決は、公民権を停止するという非常に重大な制限について、情状の検討のと
  ころで触れているが、その内容は、被告人戸田が、現職の市会議員でありながら、
  自ら組合やその代表者に働きかけるなどして、政治資金に関するルールに違反した
  犯行を行い、政治資金の収支を国民の前に公開するという重要な役割を担う収支報告
  書を作成するにあたり、虚偽の記入をしたというものであって、情状面が重いとする
  だけである。

 (10) 被告人戸田は、現職の市会議員である。
   原判決後に行われた、門真市議会議員選挙においても、2003年に続いてトップ
  当選を果たした。原判決がマスコミ報道されていたにもかかわらずである。
   裁判所はこの民意を真摯に受け止めるべきである。

 (11) 本件戸田被告人のように、政党中心の比例代表が導入されていない地方議会議員
  選挙に立候補し当選した議員であり、政党に所属しないため政党交付金の政党による
  配分を1円も受け取らない無所属の立場にあるものが、自ら執行委員長を務める労働
  組合の下部組織にあたる労働組合から、年間労働組合が政党及び政治資金団体に対
  して行うことが認められている金750万円を越えない金額を受け取った場合につい
  ては、政治資金規正法第21条、第22条の2、第26条、第28条、第28条の
  2は立法の合理性、必要性を欠き、従って、被告人戸田に適用される限度で上記規定
  は無効であって、被告人戸田は無罪に処せらるべきである。

                  (以下、「3 本件事案の概要」に続く) 
引用なし
<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows 98)@i58-89-133-146.s04.a027.ap.plala.or.jp>

最高裁への9/28上告趣意書全文紹介!(2)上告理由の3 本件事案の概要
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 戸田 E-MAILWEB  - 07/10/9(火) 13:49 -
  
           (第2 上告理由 原判決の憲法解釈の誤り)
3 本件事案の概要

 2005年12月28日付起訴状によって、被告人戸田及び被告人戸田が代表を務める
被告人団体が起訴された。
 その公訴事実は、
 ・被告人団体は、政党又は政治資金団体ではないのに、2回にわたり労働組合から合計
   90万円の供与を受け、以って労働組合から政治団体に対して寄付を受けたこと。
 ・また被告人戸田個人が政党又は政治資金団体ではないのに、労働組合から現金360
   万円の供与を受け、以って労働組合から公職の候補者の政治活動に関する寄付を受
   けた
 というものであった。
  適用罰条は、政治資金規正法第26条3号、同第22条の2、同第21条第1項であ
 った。

 さらに被告人戸田及び被告人戸田が代表を務める戸田ひさよし友の会は、2006年
2日3日に追起訴を受け、その公訴事実は
 ・被告人戸田において、大阪府選挙管理委員会に提出すべき資金管理団体である被告人
   団体の2003年分収支報告書を作成するに際し、労働組合から受けた90万円の
   寄付につき記載せず、虚偽の記入を行ったうえ提出した
 というものである。
  適用罰条は、政治資金規制法第25条第1項第3号、同第12条第1項である。

 第一審第1回公判2006年3月7日において、被告人戸田は、被告人意見陳述として
冒頭手続において、つぎのように述べている。

「私は1956年に秋田県の共働きの教員の長男として生まれ、l974年に秋田を出て
大阪大学人間科学部に入学し、同大学の鴻池寮という学生寮、大学用語では『学寮』で
ずっと生活し…、大阪市生野区に住み、いくつかの社会運動に関わりながら消費者グル
ープによる共同購入運動の配送員や日雇いの派遣運転手、タンクローリーの運転手など
をしてきました。

…91年に門真市にあるホクシンという杜員30人程の小企業に入社することで、その
中の5人だけの小さな独立労組に入って初めて当事者として労働組合活動をすることに
なり、翌92年からは、門真市に転居もしました。
…そして92年秋に、その単独組合の人達を誘って、みんなで連帯ユニオンに加入するわ
けです。

…また、私は労働運動の一方で、地域から政治を変えていくということを考えていたので、門真に移って、職住接近したこともあり、地域の色んな人達と交流したり、一緒に運
動したり、懇談したりして、門真の市制や市議会に目を向けるようになりました。
 門真市は、人口約14万人のとても小さな人口密集都市で、低所得層未組織零細労働者
が多く、様々に困っている住民が多い一方…、野党は共産党だけで、それなりに頑張って
いるけれども、何かと物足りないそんなことが見えてきました。

 99年、市議選に出馬したらどうかという話があったので、最初、驚いたけれども引き
受けて出馬し、最下位ながらも当選することができました。
…議員になって市役所や市議会を間近で見ると、予測通り守旧的閉鎖的で非常識なことを
常識と捉え違えている世界でしたが、そうした実態を議会発言やビラ、ホームページでど
んどん公表し、批判しつつ様々な疑惑を追及したり、長年放置されてきた問題を改善させ
たりして風穴を開けていきました。

… そういった闘いによって、私のホームページは自治体議員ホームページとしては、
アクセス数断然日本一に発展し、市民からの注目と声援も増えていきました。
… 03年4月の2期目の市議選では、門真市史上最高の得票率でダントツのトップ当
選を果たし、同年秋からは連帯ユニオンの近畿地本委員長にも就任し、現在に至っていま
す。」

 さらに、第一審第2回公判において、被告人戸田はつぎのように被告人供述を行ってい
る。
 弁護人永嶋靖久の「市会議員に出ることを決意した時期とその理由を簡単に説明してく
れますか。」という質問に対しては、

「1998年の決断したのは3月くらいだったように思います。その理由は、一つは連帯
に加盟して労働運動もしながら、それとはまたちょっと別個にですね、個人としても或い
は社会運動をやっている有志としても地域住民運動をいろいろやって行こうということも
自分なりに模索しまして
…学童保育設立の運動であるとか、保育園の問題、地域での障害者への支援の運動とか、いろいろ関わりまして、その中でやっぱり地域で自分たちの味方の議員を作っていくべき
だと、地域から社会全体を変えていくことが必要だということをいろいろ思い始めておったときなんです。」

 さらに戸田被告人は、永嶋弁護人の「議員としてやってきたことを簡単に説明してくれ
ますか。」との質問に対し、以下のように答えている。

「私が当選して一番掲げてかつ実践したことは、役所の実情、議会の実情というのをガラ
ス張りにして、オープンにしていくこと。公務ですからね。
 公職にあるものとして、誰がどういう言動をしているのか、賛否はどうなのかというこ
とを全部オープンしていくということをやりました。
 それから私自身の報酬、議員が国保料といったら幾ら払っているのかというふうなこと
も含めて、議員の実態とかもオープンにして…。

 当時、議会に1回出ると2500円の手当てが報酬とは別個に支払われていて、誰も文
句を言わない何もそういうことを問題と思っていないこと。それは2重払いでおかしいと
いうこと、これを止めさせることをやっていったり
…千数百世帯かそれ以上は、広報が実はまったく配られていなかったと…。
議会では、10年間、本会議で一言も質問しないような議員がずっとのさばってたりとい
うことに対し、私自身すべての議会で質疑、質問を必ずすると。

 そしてまた、他の議員の質問の実態を調べて一覧表にして、ホームページやビラで公開
をして、それによって市民から、なんだ当選してるのに何も質間してないじゃないかとい
うふうな意識を掻き立ててだんだん嫌がおうでも他の議員も議会での質問の回数がどんど
ん増えていく

…門真と守口の合併騒動というのが、私からすれば御上主導、住民無視で、利権食い逃げ
合併という風なことが非常に上から強力に2002年からですね、進められてきた、これ
を最初から終始一貫反対しぬいて2004年の9月の住民投票門真守口両方ですね、
そういうふうなこともいろいろ実現させて、とうとう門真市を守り抜いた実績もありま
す」。

 被告人戸田は、市議会議員になる前から労働組合の運動を誠実に行ってきた。
 それは、一企業内部で考えられる企業別組合ではなく、未組織の一般市民に開かれた
市民派の草の根的労働組合活動であった。

 本件で適用される政治資金規正法は、リクルート問題に端を発した政治改革において、
衆議院議員の選挙において政党中心の比例代表制が導入され、政党に対する国庫助成と
引換えに、企葉の政治献金が政党だけに集中する制度が導入されたことにより成立した
ものであった。

 この改正法が、被告人戸田のように、労働組合活動をおこないながら、地方議員とし
て、無所属で政党と無関係に活動する市会議員を憲法上、正当に制限できるのであろう
か。
 特に、被告人戸田が立候補した理由が、政党に捉われない市民運動の経験によるとした
ら、このことは十分に吟味される必要があろう。

           (以下、「4 政治資金規正法の沿革」に続く)
引用なし
<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows 98)@i58-89-133-146.s04.a027.ap.plala.or.jp>

9/28上告趣意書全文紹介!(3)上告理由4・5 政治資金規正法の沿革・立法趣旨
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 戸田 E-MAILWEB  - 07/10/9(火) 14:12 -
  
              (第2 上告理由 原判決の憲法解釈の誤り)
4 政治資金規正法の沿革

 政治資金規正法は、政党、政治団体及び政治家の政治活動に伴う政治資金の規制を通
じて、政治活動の公明と公正を確保しようとするものである。これと連動して、公職選
挙法は、選挙の公正が確保されることを目的として、選挙運動に関する支出の最高限度
額を定める。
 各候補者は、法定選挙費用を越える支出を行うことができないとするとともに、選挙費
用に関する収支の状況を記載した収支報告書を提出させ、国民の前に公開することとされ
ている。

 ところで、政治資金規正法を執行し、収支報告書を受理し、その公表を行うのは総務大
臣及び都道府県の選挙管理委員会である。
 1948年7月29日、政治資金規正法が交付施行された。それはアメリカの連邦法で
あり、腐敗行為防止法を母法とするものであり、政党、政治団体に収支報告書の提出を義
務付け、これを公開することに重点を置いている点がそのことを端的に表している。
その後、政治資金規正法は若干の改正を受けたものの、大改正が行われたのは、1975
年である。

 1966年に黒い霧事件が表面化し、終には衆議院が解散するという事態にまで発展し
た。同年11月、第5次選挙制度審議会は特別委員会を設け、政治資金のあり方を緊急の
課題として審議し、67年4月に答申を行った。
 この答申を受けた佐藤内閣は、67年6月に改正案の立案に着手し、第55回国会にお
いて審議未了廃案となった。

 その後、1975年にようやく寄付の量的制限の導入、個人献金に対する税制上の融合
措置の創設等を中心に全条文にわたって抜本的な改正がなされた。
 これは先の審議会の答申にあった「政党の政治資金は、個人献金と党費により賄われることが本来の姿」というものに1歩近づくものであった。
 その後、1980年改正、1992年改正を経て1994年に大改正が行われた。

 1994年改正においては、政治資金と密接な関連を有する選挙制度の改革と期を一に
して、政党その他の政治団体及び公職の候補者の政治活動の公明と公正を確保するため
、会社その他の団体のする政治活動に関する寄付の制限の強化等を諮るとともに政治資
金は政党が中心となって集めるようにし、その透明性を高め、合わせて政治資金について
の規制の実行性を確保するなどの措置を講じることとされたのである。
 その概要は、以下のとおりである。

 (1) 会社・労働組合等の団体の寄付の制限
  会社・労働組合等の団体は、政党、政党が指定した政治資金団体、公職の候補者が指
  定した資金管理団体以外のものに対して、政治活動に関して寄付をしてはならないも
  のとした。
   また、企業、労働組合等の団体が同一の資金管理団体に対してする寄付は、
  年間50万円までとされる。

 なお、この改正においては、細川内閣総理大臣と河野自由民主党総裁の間で「企業等の
団体の寄付は、地方議員及び市長を含めて政治家の資金管理団体(一つに限る)に対して
5年に限り年間50万円を限度に認める。」との合意がなされたが、それが改正法規則第
9条となった。
 この附則どおり、1999年改正によって、政治資金管理団体への寄付は会社、労働組
合等は一切行えなくなった。

 (2) 政党要件の改正
  公職選挙法において、衆議院議員選挙制度を政党本位のものと改めるのと軌を一にし
  て、「政党」の要件を国会議員が5人以上所属している政治団体または最近の国政選
  挙のいずれかにおいて全国を通じて2%以上の得票数を得た政治団体のいずれかに該
  当することと改められた。

 (3) 法違反に対する制裁の強化
  政治資金規正法違反の罪を犯した者は、選挙犯罪を犯したものと同様、一定期間公民
  権が停止されるとともに、公民権の停止期間中選挙運動をすることができなくなるこ
  ととされた。

5 政治資金の制限と制裁についての立法趣旨

 本件で被告人戸田に適用された、政治資金規正法第25条3号、同法第22条の2、同
法第28条は、概ね、1994年改正で制定されたものである。
 その立法趣旨を、国会の会議録から調査するなら、成立までに紐余曲折があるものの、
その趣旨説明が行われた、1993年10月13日第128回国会衆議院本会議(衆議院
銀本会議録4号1乃至27頁)にほぼ現れている。
 以下その抜粋を掲載する。

(1) 国務大臣佐藤観樹の趣旨説明
 「選挙制度の改革に伴い、選挙や政治活動が政策本位、政党本位になりますので政治資
 金の調達を政党中心とするため、また、近年における政治と金とをめぐる国民世論の動
 向等にかんがみ、会社、労働組合その他の団体のする政治活動に関する寄付について
 は、政党に対するものに限りこれをみとめることとし、政党以外の者に対するものはす
 べて禁止することといたしております。・・・
  政治資金の規正の実効性の確保のための改正であります。

  その一は、政治資金の規正の実効性を確保するため、罰金額を2.5倍以上引き上げ
 るとともに、企業等の団体の役職員または構成員が、政治資金規正法違反をしたとき
 は、その行為者のほか、その団体に対して刑罰を科することといたしております。

  その二は、政治資金規正法に規定する罪を犯し、罰金以上の刑に処せられた者は、
 公職選挙法に規定する選挙権及び被選挙権を一定期間有しないことといたしておりま
 す」。
  法案の提出者自民党三塚博議員の趣旨説明もほぼ同様である。

(2) 自由民主党鹿野道彦議員の質間と細川護煕総理大臣の答弁

鹿野議員
 「民主主義の原点は地方政治にある、地方分権は一層推進しなければならない、これが
 本院の共通認識であります。そのためには、何よりもまず地方議員に自由で活力ある政
 治活動を保障しなければなりません。
  しかるに、政府案では、節度を持った企業・団体献金する全面的に禁止いたしており
 ます。
  しかも、なぜ国会議員を有する政党にだけ認め、地方議員に認めないのか。地方を大
 事にするという総理のお考えにはどうしてもそぐわない気がするのです。
  この配慮はどうされようとしているのか、御見解をお尋ねしたいと思います」。

細川総理大臣
 「地方議員に対する政治活動を保障する必要性についてのお尋ねでございますが、この
 たびの法案では、政党、政治資金団体以外の者に対する企業などの団体献金は一切禁
 止することといたしましたことから、国政及び地方自治のいずれの場合も、政治家個
 人の政治活動のための政治資金は、政党から給付されるもののほかは、みずからが代
 表者である政治団体に対する個人献金に主として依拠していただくことになるわけで
 ございます。
  無所属の地方議員の場合は、地域を基盤とした個人献金により多く依拠することにな
 るわけでございますが、これは、最近の政治に対する国民の不信を解消するためにこの
 ような厳しい制限を設けることにしたものでございまして、関係各位のご理解とご協カ
 をいただけると思っております」。

(3) 公明党森本晃司議員の質問と山花貞夫政治改革担当大臣、及び提案者自由民主党
 額賀福志郎議員の答弁

森本議員
 「政党助成金は、国会議員の議員数、選挙得票率などの前提といたしておりますが、
 これによって、地方自治に中央の政党の系列化が促進されることになるのではないか、
 また、地方レベルでの無所属議員や草の根政治のハンディをもたらすことはないのか、
 さらに、地方レベルでの政党・会派助成制度創設などにつながることも考えられるの
 でありますが、これらの点について、・・・伺いたいと思います」。

山花政治改革担当大臣
 「今回の政治改革により、国政及び地方政治のいずれの場合においても、政治家個人の
 政治活動のための政治資金は、みずからが代表者である資金管理団体を設置し、この政
 治団体に対する個人献金に主として依拠していただくことになるものと考えています。
 ・・・今回提案の政党助成法に基づく政党交付金とは別に、地方議員等への公費による
 政治活動助成を行うことにつきましては、その前提となる地方の選挙制度のあり方、政
 党とのかかわり方、政治活動の実態等、なおさまざまな観点からの慎重な検討が必要で
 あると考えているところでございます」。

額賀議員
 「森本議員ご指摘のとおり、地方自治の政党化、つまり中央政治の流れが浸透していく
 のではないかということは心配されていることでございます。
  現在、おおざっぱに言いまして、地方議員というのは全国で七万人以上いると思いま
 すけども、そういう方々が、中央では国費の助成を受けておりながら、地方は政治活動
 の財政基盤はどうなるかにつきまして何ら言及されていないということで、大変心配し
 ております。
  我々は、地方政治が民主主義の原点でありますから、これは、地方の独自性、特色を
 生かした政治が行われるために、やはり、政府・与党が提案しているように個人献金で
 やりなさいということは、今のような状況の中で、個人献金がまだ定着を見ていない段
 階で、時期尚早ではないのかなという感じがいたしております」。

          (以下、「6 政治資金規正法の立法の必要性と合理性」に続く)
引用なし
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9/28上告趣意書紹介!(4) 憲法解釈の誤り6、事実/法解釈の誤り(量刑不当)
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 戸田 E-MAILWEB  - 07/10/9(火) 14:43 -
  
                  (第2 上告理由 原判決の憲法解釈の誤り)
6 政治資金規正法の立法の必要性と合理性

 政治資金規正法第26条は、同法第22条の2の規定に反して、寄付を受けた者に対し、年以下の禁錮または50万円以下の罰金に処すると規定し、同法第28条は、同法第
26条の罪を犯し、罰金の刑に処せられた者について、その裁判が確定した日から5年間
公職選挙法に規定する選挙権及び被選挙権を有しないと規定する。

 さらに、同法第28条第3項において裁判所は情状により、刑の言い渡しと同時に5年間について、選挙権及び被選挙権を有しない旨の規定を適用せず、もしくはその期間のうちこれを適用すべき期間を短縮する旨を宣告することができるとしている。
 同法第28条の2は、寄付として収受された金員に対する追徴を規定する。

 被告人戸田は、第一審判決において、罰金80万円の刑に処せられ、金360万円の追
徴を受けただけでなく、政治資金規正法28条1項の選挙権及び被選挙権を有しない期間
を2年とされたものである。
 被告人団体は、金90万円の追徴を受けた。

 ところで、政治資金規正法第22条の2は、何人も第21条第l項の規定に違反してさ
れる寄付を受けてはならないと規定し、同法第2l条第l項は、労働組合その他の団体は、政党及び政治資金団体以外のものに対しては、政治活動に関する寄付をしてはならな
いとしているものである。

 政治資金規制法第21条第1項は、会社、労働組合等の団体のする政治活動 に関する寄付について、1994年の法改正において政治資金の調達を政党中心とするため、
また、近年における政治と金を巡る国民世論等の動向等に鑑み政党及び政治資金団体
並びに資金管理団体以外のものに対する寄付を禁止することとされたが、
さらに1999年12月の法改正により、資金管理団体に対するものも禁止することとさ
れたものである。

 ここで言う政党及び政治資金団体は、同法第3条第2項が定義する政党及び政党が指定
する団体のことであって、第3条第2項にある通り、国政選挙において活動する一定規模
以上の団体を念頭におかれている。

(1) 従って、地方選挙特に市町村レベルの議員の候補者の多くを占める被告人戸田のよ
 うな無所属の政治活動に対する規制としては、そもそもそのような厳格な規制を行う
 必要 性があるのかが問われなければならない。
  上記議事録にあるとおり、地方議会議員については、法の欠陥が国会で共通認識とさ
 れていたのである。

(2) しかも、公職選挙法の比例代表法は政党中心の選挙であるが、地方議会議員選挙で
 はそのような方式は全く採用されていない。

(3) まして、第21条第1項の規定の骨格が制定された1994年法改正は、政党助成
 法という政党交付金制度の制定と表裏をなしており、政党助成金の交付を受けない被告
 人戸田らのような公職に就く代議士の政治活動の自由という観点から、大きな問題があ
 ったと言わねばならない。

(4) 特に1994年法改正の際に導入された公民権停止に関する条項について、政党に
 所属し政党助成を受け政党及び政治資金団体を通じての政党交付金を受けているにも
 拘わらず、その枠外で不正に寄付を受けた場合と、被告人戸田のように全くそのよう
 な援助も受けず、カンパと給料だけで生活している代議士に対する規制を同一に論ず
 ること自体、立法の必要性に疑問を抱かせるものである。

(5) この点、政党助成法の憲法問題を扱った上脇博之教授がつぎのように述べるのが憲
 法解釈論の出発点とされるべきである。
  政党助成法は、政党の定義を行い、政党助成の受給資格としているが、無所属の立候
 補議員がそもそも受給資格から排除されている。
  これは一人政党だけの問題ではなく、受給資格を有する政党の党員だけが優遇され、
 それ以外の国民、多くを占める無党派層の国民の結社する自由や結社しない自由が侵害
 される。

(6) 本件戸田被告人のように、政党中心の比例代表が導入されていない地方議会議員選
 挙に立候補し当選した議員であり、政党に所属しないため政党交付金の政党による配分
 を1円も受け取らない無所属の立場にあるものが、労働組合から寄付を受けたとして
 も、それが相当の範囲にある限り、政治活動の自由を支えるもととして制限の対象から
 除外されるべきであり、政治資金規正法にはそのような場合についての立法の必要性を
 論証する立法目的が存在しない。

(7) 1994年改正法の基礎となった、第八次選挙制度審議会が行った「政治資金の調
 達は政党中心にするとともに、さらに政治資金の公開性を高め、政治資金の規制の実行
 性を確保する」という答申の趣旨は、全く地方にはあてはまらないのである。

(8) しかも、本件組合でも、相手が政党及び政治資金団体であるなら、金750万円を
 越えない金額が認められている。
  被告人戸田及び被告人団体が、2003年に受け取った金員合計450万円がたとえ
 寄付だとしても、量的に相当額の範囲内であることは明白である。

(9) 原判決は、会社の政治献金と労働組合のそれとを同一に論じているが、後者が労働
 者の団結権を規定する憲法28条に支えられていることを無視している。

(10) 従って、上記のように、本件被告人戸田のように、政党助成の対象とならない無所
 属の地方議員に対し、労働組合からの寄付を一律に禁止することには、およそ立法の必
 要性がないと考えざるを得ない。

(11) しかも、被告人戸田は、本件事件の概要で述べたように、無党派層を中心とした
 市民の政党政治によっては代表されない草の根的市民政治を誠実に行うだけでなく、
 それをビラ、ホームぺージなどで随時市民に報告するという、民主主義の根本に戻った
 政治活動を行っている市議会議員である。そのような市議会議員に対し、本件のように
 組合の寄付といっても個人有志の寄付の要素を含み、また生活費を含めた給料である要
 素が濃厚な寄付があったとしても、それが相当額の範囲内であれば、憲法上制限をする
 ことができないと解すべきである。

(12) 本件で何より問題なのは、立法目的を達成する手段として、罰金や両罰規定、さら
 に追徴金の制度を超えて、何故、政治家の政治生命にとって致命的な公民権停止という
 方法を、政党に所属しない地方議員にとらなければならないかについて、立法過程にお
 いてまったく議論されていない点である。

(13) それどころか、1994年改正政治資金規正法の提案者の一人である自民党の額賀
 議員において、「中央では国費の助成を受けておりながら、地方は政治活動の財政基盤
 はどうなるかにつきまして何ら言及されていないということで、大変心配しておりま
 す」という懸念さえ表明されている。

(14) 政治資金規正法は、本来、国民に対し、政治資金の流れを国民に公表し、その合理
 性、正当性の判断を国民に委ねようという趣旨の法律であった。
  被告人戸田に至っては、原判決後に行われた門真市議会議員選挙においてトップ当選
 を果たしている。市民の判断は明らかである。

(15) 政治資金の流れを政党中心にしてそれ以外は、個人献金で賄うという立法趣旨から
 すれば、政党中心の選挙が行われない、無所属の市議会議員の場合、その違反に対し、
 罰金なり両罰規定を設けたうえで、寄付自体を追徴金として吸い上ければ、制裁として
 は十分である。
  それを超えて、公民権の停止を行うのは、被告人戸田の選挙権、被選挙権及び市議会
 議員としての職務を行使する政治活動の自由を著しく制限するものであり、憲法に反し
 許されないものといわざるを得ない。

7 政治資金規正法の適用違憲

 本件戸田被告人のように、
  ・政党中心の比例代表が導入されていない地方議会議員選挙に立候補し当選した議員
    であり、
  ・政党に所属しないため政党交付金の政党による配分を1円も受け取らない無所属の
    立場にある
  ものが、
  ・自ら執行委員長を務める労働組合の下部組織にあたる労働組合から、
  ・年間労働組合が政党及び政治資金団体に対して行うことが認められている金750
    万円を越えない金額を受け取った
  場合については、
  政治資金規正法第21条、第22条の2、鯛26条、第28条は立法の合理性、必要
  性を欠き、従って、被告人戸田に適用される限度で上記規定は無効であって、被告人
 戸田は無罪に処せらるべきである。

  被告人戸田に対する政治寄付の制限が違憲である以上、それを収支報告書に書かな
 かったことを罰することもできず、受け取った政治資金団体である被告人団体も無罪
 である。

第3 上告理由 原判決の事実誤認及び法令解釈の誤り(量刑不当)

1、第一審以来永嶋靖久弁護人によって主張されているように、2003年に被告人
 団体になされた90万円の寄付は、組合有志個人の寄付である。
2、同様に、2003年9月に、被告人戸田は連帯ユニオン地方本部執行委員長に選挙
 のうえ選任されているのであって、被告人戸田に支払われた360万円は給料である。

3、支出報告書の記載についても、被告人戸田に故意はなく、無罪に処せられるべきであ
 る。
4、本件の量刑として、公民権停止2年は、被告人戸田の政治活動を不当に制限するもの
 であり、政治資金規正法第28条の適用を誤るものである。

                      以 上
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  (※この後に政治資金規正法等に関する資料が50ページ近くつくが省略する)
引用なし
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★08年4/22、最高裁に上告趣意補充書を提出!(本文全部を紹介)
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 戸田 E-MAILWEB  - 08/4/26(土) 15:51 -
  
 連帯労組第3次弾圧事件=戸田と武委員長への「政治資金規正法違反」弾圧=戸田へ
の「議員即刻クビ切り・選挙出馬禁止」攻撃について、遠藤弁護士が4/22(火)に最高裁
に「上告趣意補充書」を提出してくれたので、その全文を紹介する。

 気鋭の遠藤弁護士は「裁判の相場論」に捕らわれず、「どう考えても戸田さんは無罪
だ」と本気で考え、研究調査を重ねて最高裁に憲法論議を挑んでくれている。
 「起訴されたら無罪率0.1%」のこの日本で、その0.1%をこじ開けようとする頼もしい
同志であり、戸田も大いに励まされている。
 
 思えば07年4/25の高裁不当判決から、もう1年が経とうとしている。
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 
        平成19年(あ)第1001号  政治資金規正法違反
被告人 戸田久和
被告人 戸田ひさよし友の会

上告趣意補充書
                         2008年4月22日  
 最高裁判所 第2小法廷 御中
                 上記被告人ら弁護人  遠藤 比呂通

                 記
第1 上告理由の要旨

  先に、弁護人は、本件について、以下の内容の上告理由書を提出した。
  本件では、政治資金規正法第21条、第22条の2、第26条、第28条が戸田議員に適用される限度で憲法に違反する。従って、戸田議員は、無罪である。
 その理由は、
  1.戸田議員は、政党中心の選挙である比例代表が導入されていない、地方議会議員選
   挙に立候補し、当選した市会議員であること、
  2.戸田議員は政党に所属しないため、政党交付金の政党による配分を1円も受け取ら
   ない無所属の立場にあること、
  3.もし、給料ではなく、寄付を受け取ったのだとしても、自分が執行委員長を務める
   労働組合の下部組織にあたる組合から、法律上労働組合が政党等に対して行うこと
   が認められている年間金750万円を越えない金額を受け取ったこと、

という3つの事実からすれば、本件のような事案に適用される限りで、政治資金規制法は憲法に違反する、からである。

 政治資金規正法は、1994年に大きな改正を受けたが、それはいわゆる政治改革の一環として、政党の助成金、衆議院への比例代表の導入と相俟って、政党中心の選挙で政党を通して政治資金の流れを規制しようとするものであった。
 しかるに1994年改正時点において、戸田議員のような無所属の地方議員の政治活動が不当に制限されることについて、まったく手当てがなされていなかった。

 国会の本会議及び委員会の記録を精査すれば、改正の提案者の一人であった、自由民主党の額賀議員が、「中央では国費の助成を受けておきながら、地方は政治活動の財政基盤はどうなるかにつきまして何ら言及されていないということで、大変心配しております。」等の発言をしていたことが判明する。

 つまり、立法過程において、政治資金規制の対象を無所属の市会議員まで広げる必要があるかについて、立法の必要性が、地方議員との関係で正当化されていないのである。

 更に、市会議員という地位を剥奪される公民権停止という方法によらず、政治資金規制という目的を達する手段があったのではないかという点について、即ち、立法の合理性については、立法過程においてまったく論じられてもいない。 

 本件で問われるべきは、戸田議員の選挙権・被選挙権及び市会議員として職務を行う権限を中心とした政治活動の自由の制限の問題である。

 本件では、原判決は、立法の必要性について、被告人戸田の政治活動の自由に立ち入って十分な検討を加えず、ただ文献を明示もしないで引用するのみである。
 さらに、立法の合理性についてはまったく触れていない。

 原判決は、公民権を停止するという非常に重大な制限について、情状の検討のところで触れているが、その内容は、戸田議員が、現職の市会議員でありながら、自ら組合やその代表者に働きかけるなどして、政治資金に関するルールに違反した犯行を行い、政治資金の収支を国民の前に公開するという重要な役割を担う収支報告書を作成するにあたり、虚偽の記入をしたというものであって、情状面が重いとするだけである。

 戸田議員は、現職の市会議員である。原判決後に行われた、2007年4月の門真市議会議員選挙においても、2003年に続いてトップ当選を果たした。
 原判決がマスコミ報道されていたにもかかわらずである。
 裁判所はこの民意を真摯に受け止めるべきである。

 戸田議員のように、政党中心の比例代表が導入されていない地方議会議員選挙に立候補し当選した議員であり、政党に所属しないため政党交付金の政党による配分を1円も受け取らない無所属の立場にあるものが、自ら執行委員長を務める労働組合の下部組織にあたる労働組合から、年間労働組合が政党及び政治資金団体に対して行うことが認められている金750万円を越えない金額を受け取った場合については、政治資金規正法第21条、第22条、第26条、第28条は立法の合理性、必要性を欠き、従って、被告人戸田に適用される限度で上記規定は無効であって、戸田議員は無罪に処せらるべきである。

第二 第168国会における政治資金規正法の改正

 2007年7月29日に行われた第21回参院議員選挙において、民主党は改選・非改選合わせて109議席を獲得して参議院第一党になるだけでなく、政権政党である自由民主党及び公明党以外の政党・会派をあわせ過半数を占めるに至った。

 参院選で自民党が敗退した原因の1つは、国務大臣である自民党政治家の「事務所費問題」であった。
 そこでは、政治家の実家が事務所とされ、多大な支出が行われていたという事実が判明しているにも拘わらず、結局、政治資金の支出の透明性を確保するための方策である領収書は公開されなかったのである。

 法の不備を修正するために、第168回国会において、政治資金規正法の改正法律が成立した(2007年12月28日法律第135号)。
 その改正の概要は、資料1にあるように、国会議員関係政治団体にかかる支出について、人件費を除く経費で1件1万円を超える支出については、収支報告書に支出の明細を記載し、領収書等の写しを添付しなければならないというものである。

 更に、収支報告書の提出に際しては、登録政治資金鑑査人の鑑査をうけなければならず、収支報告書自体は閲覧だけでなく、写しを交付する請求権が市民に与えられた。

 この改正において、本件との関係で注目されるのは、政治資金支出の透明性の確保をするための当該方策が、国会議員関係に限定され、地方自治体の長及び戸田議員のような地方議会議員が対象から除外されていることである。

 国会での議論において、2007年12月20日に行われた参議院の委員会審議では、中村哲治議員は、「政党の職域支部、首長等の政治団体が考えられますが」として、対象の拡大について質問をしているが、総務大臣増田寛也は知事を対象にすべきであるという考え方を示しただけで、地方議会議員については言及すらしていない。

 今回の改正法において、地方議会議員の支出について領収書等が義務づけられなかったのは、政党交付金を受けていない戸田議員のような地方議員にまで、そのようなコントロールを及ぼす必要性がなかったことが理由である。

 そうだとすれば、本件事案で問題となった収入報告書についても、地方議会議員に全て法人からの寄付を禁止したうえで、本件のような罰則の他に、現職議員にとっては議員の地位を剥奪されるという極めて重大な不利益を課す罰則である公民権停止を制定する必要性及び合理性がなかったことが裏付けられている。

第三 戸田議員の労働組合活動の自由と支出の透明性

 原判決は、労働組合が法人であり、人権享有主体性がないということから、極めて短絡的に、政治資金を寄付する自由がないという結論を出している。

 しかし、労働者が団結し、団体交渉を行い、ストライキを行う権利は憲法において保障されており、労働組合の団結権が保障される以上、それに不可分な形で付随する政治活動の自由についても、労働組合の公共性という見地から認められなければならないのは当然である。
 特に労働組合の活動が不活発になりつつある現在、個々に分散された労働者が組織化されず、ワーキングプアーとなり、大きな社会問題となっている現状では、このことは強調してもしすぎることはない。

 本件において戸田議員に対し、給料を支払っている全日本建設運輸連帯労働組合は、未組織労働者を職種別ユニオン運動という形で組織し、ワーキングプアーの貧困からの離陸のための重要な役割を果たしている組合である(資料2及び3)。

 戸田議員は、1999年に門真市議会議員に当選する以前から、上記組合員であったが、議員に当選してからも近畿地方本部の特別執行委員に指名され、組合活動を継続した。

 戸田議員は、2003年4月に門真市議会議員にトップ当選を果たし、同年9月の定期大会で近畿地方本部委員長に選挙で選任され、現在に至っている。
 労働組合が地方本部委員長に給料或いは寄附を行うことが制限されるべきでないのは当然である。

 加えて、資料4につけたように、政治資金の支出という点に関しても、戸田議員は2006
年度以降、政治資金改正法の流れに先行し、「事務所費問題」がマスコミでクロースアッ
プされる以前から、公的に受け取った政務調査費の支出について、1円以上の領収書全てを添付して収支報告書を提出し、それを公開している。

 裁判所において是非ご覧いただきたいのは、戸田議員の政治活動のための政務調査費は、門真市から支給される月額6万円の調査費では到底足りず、例えば2006年度の収支報告書によれば、170万2151円を支出し、98万2151円不足していることである。
 戸田議員は、その政治活動の内容も公開されており、資金の流れ、政務調査費について、むしろ積極的に点検するよう市に請求しているのである。

第四 結論

 このような政治活動を行う戸田議員の市会議員の地位を奪うことは、現代民主主義社会において無所属、無組織の市民のマイノリティーの権利を制限することに等しく、本件は、統治過程において代表されない少数者の権利を積極的に擁護すべき最高裁判所において違憲判断が下されるべき最も相応しい事案である。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

資料1:政治資金規正法の改正法律が成立した第168回国会の記録(07年12月)
     (参院の委員会および本会議での改正法案の説明) 
    
資料2:月刊「世界」2008年1月号記事 http://www.iwanami.co.jp/sekai/
     ワーキングプアの貧困からの「離陸」――職種別ユニオン運動という選択肢
      木下武男 (昭和女子大学)

資料3:月刊「世界」2008年1月号記事 http://www.iwanami.co.jp/sekai/
     貧困=格差を乗り越える労働運動勢――関西生コン支部とたたかいの40年
      武 健一 (全日本建設運輸連帯労働組合)

資料4:戸田の「政務調査費報告収支報告」・関連文書

   ・門真市の政務調査費の交付決定通知書
   ・「門真市議会政務調査費の交付に関する条例」と施行規則・使途基準

   ・戸田が領収書添付で提出した「06年度政務調査費収支報告」
   ・戸田が領収書添付で提出した「07年4月度政務調査費収支報告」
   ・「6/18政務調査費に関する市長への意見と要求の書」
   ・政務調査費問題についての戸田の議会質問
   ・07年6月議会一般質問通告
   ・07年6月議会での一般質問原稿と答弁原稿
   ・07年9月議会一般質問通告
引用なし
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◎貼付資料4(戸田の政務調査費)に関して内容を詳しく紹介
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 戸田 E-MAILWEB  - 08/4/26(土) 16:13 -
  
 リンクを張って紹介します。
 主として、「政務調査費問題大特集!領収書を公開させるぞ!」
   http://www.hige-toda.com/_mado04/zeimuchousahimondai/index_seimushousa.htm
や当該議会特集に原文があります。

資料4:戸田の「政務調査費報告収支報告」・関連文書

 ・門真市の政務調査費の交付決定通知書
   http://www.hige-toda.com/_mado04/zeimuchousahimondai/seimu_200704.htm#12
 ・「門真市議会政務調査費の交付に関する条例」と施行規則・使途基準

 「門真市の政務調査費使途基準」(08年3月末まで適用の分。〜4/1以降は改正基準)
  http://www.hige-toda.com/_mado04/zaiseitatenaosi/2004/seimuchousahi_sitokijun.htm

  条例や施行規則については、門真市HPの「門真市例規類集」 (平成19年12月
  26日現在) http://www.city.kadoma.osaka.jp/tokei/reiki1.html で見る
ことができる。
 
   ※ただし、政務調査費交付条例と施行規則は、08年3月議会で抜本改正され、4/1
    から改正条例・規則が施行される。

 ・戸田が領収書添付で提出した「06年度政務調査費収支報告」
http://www.hige-toda.com/_mado04/zaiseitatenaosi/2007/seimuchousahi_2006/seimuchousahi_2006.htm#200601
の中段から下の部分

 ・戸田が領収書添付で提出した「07年4月度政務調査費収支報告」
http://www.hige-toda.com/_mado04/zaiseitatenaosi/2007/seimuchousahi_2006/seimuchousahi_2006.htm#200601
の上段部分

 ・「6/18政務調査費に関する市長への意見と要求の書」
  http://www.hige-toda.com/_mado04/zeimuchousahimondai/zeimutyousahiteisyutu-1.htm

 ・政務調査費問題についての戸田の議会質問
   ・07年6月議会一般質問通告
     http://www.hige-toda.com/_mado05/2007/06/toda_tuukoku.htm
      (1;政務調査費の意義と領収書添付について)

   ・07年6月議会での一般質問原稿と答弁原稿
      http://www.hige-toda.com/_mado05/2007/06/toda_situmon_touben200706.htm

   ・07年9月議会一般質問通告
      http://www.hige-toda.com/_mado05/2007/09/toda_tuukoku.htm
      (5;門真における「政治家と金」の諸問題について)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
引用なし
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