弁護士会への書面(2)前半〜「議会だより・市HP人権侵害事件」で
日付: 2001/07/11 9:45:41 名前: ヒゲ-戸田
申し立ての補充書面(2)
(長文なので掲示板では2分割して掲載)
大阪弁護士会・人権委員会 様 2001年7月9日作成
(申立人) 門真市議会議員 戸田ひさよし
これまで提出してきた補充書面や参考資料、「調査報告書案文への補正意見」に追加して、以下のことを申し述べます。
1;「市」という公機関では起こり得ない人権侵害が「市議会」でまかり通る不思議
今回の人権侵害事件にあたって、門真市広報担当者や人権政策室などの幹部職員に私は以下のことを問いただした。即ち、「仮に市の幹部職員が何かの事件で警察から捜索を受けて、実名は出されないものの一部マスコミに『門真市幹部宅捜索』と書かれ、本人は不当捜索だと主張して争って、それ以上の進展がない場合に、市民からの問い合わせが殺到したとか、他の幹部も間違われて困るからと言って、市の公報で『先日捜索を受けたのは○○部長です』などと全戸配布で実名報道するのか?」、という質問である。
「そんなことはあり得ない」というのが誰からも異口同音に帰ってきた返事であった。これは門真市の幹部のみならず、およそ日本中の誰に聞いても「警察に捜索されたら公機関が税金を使って、『捜索されたのは○○です』などとその人の実名を記載した刊行物を全戸配布して良い」という人はいないはずだし、それが公機関の守るべき人権保護の最低限の基準の1つであることに異を唱える人はいないはずである。ではなぜ、市議会という公機関の発行物において、本件のような非常識なことが許されて良いのか?「良いはずがない」、というまっとうな人権感覚と社会常識に沿って、物事の判断がなされなければならない。
2;「議会内容の公知にすぎない」という形式論の悪用を解明する
この「不思議」を解明するためには、「議会で発言されたこと・確認されたことを公知しただけ」=「だから何をどのように書いても良い」という短絡的な形式論先にありきではなく、議会が行なった事実行為、即ち「当人が不当捜索だと争い、実相が不明確であるのに、警察の捜索を受けたという事実だけを強調し、それ以外の事実を切り捨てて『捜索を受けたのは○○議員です』と見出しまで付けて強調した議会だよりを全戸配布したこと」が、適正妥当な行為
であるのかどうか、をまず判断しなければならない。
その事実行為とは既に述べたように、「誰が考えても市役所ならば起こり得ない行為」であり、「人権侵害行為」である。そして同時にこの行為が「議会で発言されたこと・確認されたことを公知しただけ」、という形式だけ見れば「正当な手続きを経た正当な行為」の具体的現実として存在しているという、「ふたつの正当性」の矛盾を認識し、なぜこのような矛盾が起こるのか、それはどう解決するべきなのかを、形式論でなく具体的事実に即して考えていくことが重要である。
3;「事実の確認」とは縁遠い議長ら与党の策謀
事実の究明や確認とは正反対の行動を続けたのが議長ら与党の実態である。
「補正意見文書」にも書いたが簡単に記せば、
@当事者たる戸田に一度たりとも事情聴取したり事情説明させたりしない。
A本会議最終日で非常に偏った、強権的な「事実確認」をしたのみで真に事実を知ろうとする
姿勢が微塵もなく、戸田の不利な情報のみを大宣伝しようとする意図が露骨。
B「本会議での偏った事実確認」ー「2/1議会だより掲載」ー「市のホームページ掲載」という
作戦を最初から立てて、戸田攻撃・住民への煽動を狙っていたと考えて初めて、議長や
与党らの「本当の事実確認とはほど遠い」一連の言動が理解できる。
4;「議会と市は別団体」という形式論の悪用
「議会内容の公知」という形式論に加えて議長らが悪用しているのが、この「別団体理論」である。門真市ホームページの市議会スペースから赤色文字見出しの「捜索を受けたのは戸田議員」、という人権侵害記事をいつでも、誰でも閲覧・印刷・転送できるようにしておきながら、「議会にスペースを貸しているだけで、編集権は一切ないから責任がない」と市は涼しい顔をして、議会は議会で「議会内容の公知を公知しただけ」、と人権侵害に一切責任を負わないですませる、という極端な無責任体制がここに生まれている。
しかしそれでは済まないこと、市ホームページの掲載基準が作成されていないことがそもそも大問題であることは、「補正意見」で指摘した通りである。
5;問題の根底は門真市議会の非常識で非民主的な運営実態と体質
この問題の根底にあるのは、門真市議会の運営実態と体質がおよそ常人の理解を絶するほどに非常識で非民主的である、ということである。
「議会の自律権」というのは「議員は市民一般よりも見識の高い人々で構成されている」と言う認識が前提になっていると推測するが、現実の議会はそうでないことは弁護士の方々にあっても往々にして目にする所だと思われる。
門真市議会の場合その程度が飛び抜けているのであって、この点を理解しないと、本件の本当の意味が見えてこないのではないかと憂慮するが、私のこの意見が決して過度に誇張されたものでないことは、ほんの一部の以下の紹介だけでも十分ご理解いただけると考える。(詳しくは、今回提出の「不当懲罰取り消し裁判訴状」などぜひご一読願いたい)
@戸田の初当選は99年だが、この年の9月議会以来、門真市議会は野党議員に対して日本の議会史上類例を見ない議会多数派による攻撃を頻発させてきた。
<1999年>
・9月議会ー戸田に懲罰決議2本、問責決議1本。
・12月議会ー戸田に辞職勧告決議。
<2000年>
・3月議会で共産党議員に対して懲罰決議
・6月議会で市の外郭団体の運営内容についての戸田質問に発言禁止命令
<2001年>
・3月議会で戸田に懲罰決議2本「日本の議会史上類例を見ない」議員攻撃のこの激しさ
は、行政のチェック機関たる議会で議員の自由闊達な言論が、与党の多数の横暴で攻
撃され続けていることを意味するものである。
A常軌を逸した非常識で非民主主義的な規定や運営を強行してきた。
・昨年2月議運で「議会への鞄持ち込み禁止」・「ネクタイ着用強制」などという噴飯ものの
規定のほか、前年末の議会で情報公開を議決していながら「委員会記録の全文公開禁
止」を決めたり、議長裁量による閲覧許可制」を新設することによ り、議員たる戸田に
5ヶ月に渡って議事録を見せないという悪質な業務妨害をした。
・昨年より戸田のみが一部事務組合議員のメンバーからはずされる(議員選挙という形式
で)、という事態になっている。
・傍聴議員の発言申し出制度はあるが、戸田の場合は申し出をしても全く発言許可され
ない。
・日頃財政難を唱えているくせに、戸田控え室を平均面積に狭めるという理由で、
百数十万円かけて奥まった所に隔離するかのように新個室を作った。
・またかねてから市民批判の高い議員の出席手当(=費用弁償。年間約160万円)に
ついて、与党会派は論議することを数の力で回避してやめようとしない。
・「議員たる者公の場で活発に議論する」、「不利益処分に際してはしっかり事実調査する」、
という当然の認識も与党の圧倒的多数に踏みにじられる。
・「門真市議会のカク乱を阻止する議員連盟」や「合併推進議員連盟」なるものが全与党
議員によって昨年結成されたが、未だに役員体制も連絡先もない幽霊団体のままで市
民をたぶらかすという無責任さである。
(以下、後半に続く)