視覚障害者にもヒゲ-戸田通信を!テキスト入力ボランティア募集!

 視覚障害者が最も困っているのは、様々な情報へのアクセス手段が断たれていること。世界で唯一人の視覚障害者の落語家、笑福亭伯鶴(しょうふくてい・はっかく)さんが、ヒゲ-戸田通信の点字印刷を引き受けてくれることになりました。ついては伯鶴さんに渡すための全文テキスト形式の原稿が必要になります。
 「ヒゲ-戸田通信」ではテキスト文の他に「ワードアート」の図形文字を多用しているので、これを全てテキスト形式に入力し直さなければなりません。
 戸田からヒゲ-戸田通信現物を送り、メール送信もしますから、全文テキスト化のボランティアをお願いします。
(めーる添付の「通信」は、受信者側で再生すると、必ず形が変わってしまうので、現物との照らし合わせ賀不可欠です。

★ 02/12/3発行 メルマガ:「ヒゲ-戸田メール通信15号」より紹介

☆目の見えない人のメール・HPの世界を初体験〜伯鶴さんの家で

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 戸田のメルマガ読者の中に、実は笑福亭伯鶴(しょうふくてい・はっかく)師匠という、世界でたったひとりの全盲の落語家が存在します。旧布施市生まれで41才の伯鶴さんは、落語の他にホノルルマラソンやニューヨークシティマラソン出場・完走などなどいたって元気な人で、パギやんこと趙博(チョウ・バク)さんと旧知の関係で戸田もファンかつ知り合いになった人。詳しくは以下のHPを見て欲しい。

@笑福亭伯鶴の会 http://www.wbs.ne.jp/cmt/hbn/event_0706.htm

@音声ソフトを頼りに、視覚障害者だけで手作りしている美雪HP
   http://zero-yen.com/yukimifan/index.html の中の
   「サイトマップ」http://zero-yen.com/yukimifan/site.html
   の中の「笑福亭伯鶴師匠のご紹介」
   http://zero-yen.com/yukimifan/shoo.html

 この伯鶴さんがバリバリのパソコン使い手で、音声ソフトというものを使ってメールやインターネットを堪能しているというので見学させてもらうというのが、前号での「メルマガ読者のお宅を訪ねて『生まれて初めての体験』をしに行く」という予告の正体であった。(伯鶴さん、メルマガ発行遅れてゴメン!)
 この方面にトント疎い戸田は興味津々、東三国の伯鶴さんの自宅に上がる込み、伯鶴さんのキーボード操作と説明の下でIBM製品のノートパソコンの画面と音声にご対面したのだが、一言で言うと「近未来映画の場面そのもの」(現在の話だっちゅうに!)
 かなり生の人間の声に近いソフトな人口音声が、次々と画面の情報を、ひらがなカタカナはそのまま、漢字若干の解説付きで、そして英数文字・記号は全て律儀に読んでいく。例えばこのメルマガ冒頭ならば、「くろしかく しろしかく(その数だけ延々と) いちぎょうくうはく じゅんかんめるまが ひげはいふんとだ めるまがつうしん ぶいおーえる まるかっこひらく にぜろぜろに・・・まるかっことじる」、というように。
 HP画面の場合は上・左から順番に全ての文字情報を読みまくっていく。今のソフトの難点は、HPの途中からの読み始め・読み直しができず、一々最初から読んでしまうので疲れてしゃあない、とのこと。とんでもない漢字読みをすることも多々あって、ソフトの改善が望まれるがなかなか進んでいないらしい。
 また、一般的には「人に優しい」と言われるマックが音声ソフト対応を全然し ていなかたり、一太郎とワード間の転換がものすごく面倒だったりもある。

 アメリカでは視覚障害者への対応をしていないHPは違法になるために、全てのHPがその対応をしていることも、恥ずかしながら戸田は初めて知った。戸田のHPなんかはそんな対応を全く考えずに作られている。
 日本でも公機関や企業中心に視覚障害者対応HPが増えつつはあるが、まだまだ。

 視覚障害者にとって一番困るのが、文字情報無き表示で、写真とかバナーの絵情報だけとか、http://ウンヌンの表示はあっても、それが何のHPなのか文字情報がないとクリックするのに躊躇するということも教えられた。
 また、ヒゲ-戸田通信も20部くらいでいいから点字訳を作っておいて、街で視覚障害者を見かけたら、点字版もありますよ、と渡してあげたらものすごく喜ばれるから、テキストデータから自分がパソコンで点字転換して実費のみで作成してあげる、ぜひやって欲しいとの提案も伯鶴さんからしてもらった。

 視覚障害者の持つハンディの最大のものは、自分で得られる情報量が圧倒的に少ない、どこに何の情報があるかすら分からないということなんだ、とも教えてもらった。なるほど晴眼者にとって黙っていても目に入ってくる、ありとあらゆる膨大な情報から遮断された中で社会の様々な事に対する認識を磨いていくというのは容易な事ではない。その格差に比べれば他の「不便さ」はどうってことはない、と言い切る伯鶴さんであった。

 実に考えさせられること多き体験だったが、「動態視力」に類似したものとして「動態聴力」という言葉を戸田は思い浮かべた。選択無効部分は音程やトーンを少し変えるなどの芸も含みながら、記号から何から何までベラベラと読んでいく音声言語だけから、伯鶴さん達視覚障害者は意味を組み立てて理解していくのだが、そのスピードが凄まじい。
 普通の言語スピードで聞いていると時間がかかってしゃあないので、猛烈なスピードで音声を流しながら意味を理解していくのである。ウーム、これぞ動態聴力!暗号化された電子記号を見て場面が読めるという、映画「マトリックス」のワンシーンみたいで、やっぱり「近未来映画的」なのだ。
 それにしても絶え間なく流れ続ける人口音声の音圧と、そこから意味を組み立てる集中力からくる疲労は、かなりのものになる。
 この方面の思索と改善を戸田もおいおいと進めていこうと思うので、伯鶴さん始め、色々ご存じのみなさんのご意見や提言をお願いします。