第4;除名以外の懲罰の司法審査を拒絶する1960年大法廷判決は変更さるべきである。 1:この40年間という長い年月の経過のなかで、日本は大きく変化を遂げ、基本的人権の擁護という点でも大きな変化・進歩を果たし、行政やこれに準ずる機関に対する訴訟の分野でも法理論の大きな発展が見られることは周知の通りである。 2;被控訴人は「1960年大法廷判決」を金科玉条の如く振りかざして、「除名懲罰以外の懲罰には司法審査が及ばない」と述べているが、そこには議会制民主主義の内実を如何にして深めていくか、という姿勢はかけらもなく、懲罰の根拠規定や懲罰事由の妥当性すら言わないままに居直ろうとしているが、控訴審裁判官諸氏におかれては、こういった民主主義原則の蹂躙姿勢を峻拒して、真に日本国憲法と地方自治法の規定と精神に基づいた、勇気と先見性のある高邁な判断を願うものである。 3;自治体議会に慧眼を持つ前田英昭駒沢大学教授は、週刊「自治日報」(株式会社 自治日報社発行)2002年2月15日 第3102号の1面左上段の論説記事において次のような注目すべき提起を行なっている。(甲第71号証)以下、その抜粋を紹介すると、「・・京都府の加茂町議会で『いらん事を言った』として懲罰に処せられた議員が名誉回復を求めている。これまでの判例は、除名処分を審査対象にしているように見受けられる。裁判所は、議員の斡旋収賄について職務権限を拡張解釈して対応してきたように、除名類似行為という概念を導入することによって司法審査の対象を拡大し、議員の名誉回復への道を開けないか。 議員は、除名にならなくても、発言を制限されれば、実質的には除名を受けたに匹敵する。「懲罰」という無言の圧力は、新人議員、無所属や小会派議員の発言に大きく影響する。 |