こうして進んだ門真生コン建設手続き。住民的視点全くゼロの行政だぁ!

 本日4/27、建築指導課・開発指導係でじっくり聞かせてもらった。大久保建材門真生コ ンというものが門真市に出現するまでの手続き経過を以下に紹介するので、門真市の場合、どこにどのような問題があるのか、どう改善すべきなのか、みんなで考えて欲しい。 01/4/27


1;大阪府が土地開発について「要否判定不要」の判定を下した〜2000年11月6日

これは大久保建材が門真市を通さずに直接大阪府に申請して(500u以上の開発なので申請必要)、問題の土地が「既存宅地」に該当するから(=駐車場だった)、「都市計画法29条に基づく届出」による「要否判定」が不要である、という判定を下した。
  **府は書面による要件審査だけで、「こんな所に生コン工場作ったらどうなるかなどは全く
     考慮の外、ということだ。

2;門真市に「開発行為事前協議申請書」が出された〜2000年11月9日

 ◆この段階で、門真市は初めて大久保建材門真生コンの建設計画を知った。=11/9から大池町に、
  ああいう生コン工場が建設されようとしていることを市は承知していた。
                          (・・・・◆が、住民に知らせようとは全く考えもしなかった)

  この事前協議申請書で、申請者は大久保建材、その代理人にして設計委託を受けて設計したの
 が幸福産業。この申請は土地開発のことだけだが、「用途」の欄に生コンプラントであることが明記
 され、平面図と排水計画図、地籍図などが添付されている。
                      (この土地利用の段階では立体的な図面は出されていない)
  「事前協議」というのは、「本協議の前」という意味で、役所の関連各部署が合議(役所では「あいぎ」
 と呼ぶらしい)して、ここはこうすべきあそこはこう設計変更すべき、 などと行政指導内容をまとめて、
 業者に通知して従わせること。(業者はこれを受けて、書面を手直して「本協議申請書」を出して、そ
 れをそのまま承認してもらって、市との「協定書」を結んでから土地の工事にかかっていく。)

3;土地開発について役所内で事前協議の結論を出した〜2000年11月16日

  事前協議は毎週木曜日に関連各課が集まって行なう。本件では11/9の翌週の木曜日、というこ
  とで11/16。この日1日だけで結論が出て、手直しすべき内容が申請者へ書面で通知された。

 ★本件で合議した「関連部署」というのがなんと驚くなかれ、開発指導課と下水道管理課と市史編
   さん課だけなのだ!!

 ★「R163は国道だから市の道路管理課は除外」されるし、市民生活課(公害係)にも環境関係部署
   にも都市計画にも、ど〜こにも声が掛けられていないし、掛けようという考えもそもそもない。
   (他の部署にもこの事前協議に関わろうという発想がない)

★★生コン工場建設の第一歩であるのに、役所の側では「ここに生コン工場ができたらどうなる?」
  とか「駐車場は確保しているのか?」「公害対策は妥当か?」「道路渋滞はどうなる?」・・・などな
  ど、ナーンニモ考えてませ〜ん!!下水管との接続がどうだの、既存道路とのつながりがどうだ
  の、そんなことしかこの重要な最初の段階で門真市役所は考えないシステムになっている、とい
  うことです。

4;「門真市開発行為協議申請書」が出された。〜2000年12月7日

  これが「本協議申請」というやつで、ここでも申請代理人は幸福産業。
 申請窓口の開発指導係は、この申請書を下水道管理課・市史編さん課・建築指導係に回して合意
 を得て、都市整備部長が決済。

5;土地開発について市と業者が「協定書」を結んだ〜2000年12月11日

  市長と開発行為の事業者(=大久保建材)との間で結ばれた。定型通りの協定書だが、第2条に
 は「要綱を誠実に厳守するとともに常に、甲(市)と連絡を密にして行わなければならない」との定め
 もある。そして要綱(門真市開発行為指導要綱)には、災害・公害の防止義務などが定められてい
 る。しかし、お役所的には「開発」と「建築」は全然別物扱いされており、ごっつい基礎工事してプラン
 ト建てるのは「建築」であって「開発」とは関係ない、本件での「開発」では排水管工事をどうするか、
 くらいしか考えていなかったのが実状だ。

 ★「誰もが知っている軟弱地盤」にあの巨大プラントを建てて、周辺の地盤沈下は大丈夫か、
  市の責任はどうなるか、などと考える人は誰1人いなかったのだ!!!

6;排水管工事が完了し「門真市開発工事完了検査済み書」発行〜2000年12月 日

  市との12/11協定書締結のあとすぐに(12月 日)「工事の着工届」が業者から出されて、排水管
 工事が行なわれ完了。これを開発指導係が現地で検査して「開発工事完了検査済書」が業者に発
 行された。大久保建材としては、これでいよいよ生コンプラント建設の手続きに進むことができるよう
 になった。11/6の大阪府への申請以来わずか1ヶ月少々の快スピードで、住民には全く知られない
 ままだし、生コン工場のことで行政からの注意や規制も全くない。

7;生コン工場建設で「建築確認申請」提出〜2000年12月 日

  先の「開発工事完了検査済書」を添付して、大久保建材(代理人幸福産業?)から門真市の都市
 整備部―開発指導課―建築指導係に「建築確認申請書」が提出された。これを受けて建築指導課
 は大池町現地に行って「現地調査報告書」を作成し、これを当時門真市役所内に置かれていた「大
 阪府建築指導課門真分室」に出す。これで「建築確認申請受付」がなされたことになり、審査が行な
 われる。なお、この4月から門真市が「特定行政庁に移行」したので、この分室は廃止されて、そこの
 権限が全て門真市に移譲されている。当時の分室の分室長だった人が4月から都市整備部建築指
 導課長になっているから、 この課長が門真生コン建設工事の具体的なことに関して一番詳しい責任
 者ということに なる。(役所の機構改革で従来の「開発指導課」が「建築指導課」に変わり、「監察課」
 が新設 された。監察課課長は「開発指導課」の課長だった人。)

8;門真市が大久保建材に「建築確認」を出した。〜2000年12月20日

  これで大久保建材は「門真市の許可をもらった」として大手を振って工事にかかれる段階に来た。
 守口市の大久保町工場での周辺住民トラブル続きで立ち退き訴訟を起こさ れたのが12/22でその
 日の夕刊に載ったのだから、実に絶妙なタイミングで建築確認を得たことになる。
  門真市ではこの新聞報道があるまで大久保生コンの実態を知らなかったが、新聞で知っても特段
 の情報収集をしたわけでもない。

★★この審査の段階で初めて立体図が出るのだという。しかし「審査」と言っても、「図面のみによっ
  て」、「建築基準法(と関連法規)のみを基準に」して問題ないことを確認するだけだという!!

★★ここでも、「ここに生コン工場ができたらどうなる?」とか「駐車場は確保しているのか?」
  「公害対策は妥当か?」「道路渋滞はどうなる?」・・・などなど、誰もナー ンニモ、ナーンニモ
  考えてませ〜ん!!

★★生コン工場の建物は「人が居住するものではないという申請なので、『建築物』ではなくて、
  『工作物』である」=従って周辺住民との協議の義務もない=だから市から住民にも知らせない
  (=住民にちゃんと説明するよう業者に言っておけばそれでいい)、と判断したのが東市政16年
  で培われた門真市役所のシステムと体質の産物です。

9;さあ周辺大迷惑の突貫工事が始まった!〜2001年1月から

  1月段階では工事業者が直近の13戸にだけ挨拶に来て「町工場を作る」「高さ6mのテストプラント
 を作る」「生コン製造ではなくテスト用プラントを作る」などとウソの説明をしつつ日曜休日もお構いな
 しの突貫工事。近所の人も特に疑問に思わなかった。
  しかし2月に入ってものすごい基礎工事で家の床が傾きひび割れるわ、土曜休日お構いなしで騒
 音振動もひどいわで、住民が市役所に苦情を出すが、市は何ら業者への規制をせず。
  (住民と業者の話し合いの斡旋と住民への「アドバイス」はしたが・・)

■■今どきどこでも土曜休日の工事はしないし、平日も時間を限定して工事をするものだが、門真市
   はこれほどの被害が出ても「法律上の根拠がないので工事の規制はできません」、という態度。
   ホントは種々の条例などで根拠になるものがあるはずなのに、探そうともしなかったのだ。

■■被害住民の所で騒音振動の測定もしていないし、土曜休日の工事の実態を公害係などが調べに
   来ることもしていない。ただただ「大阪府の条例で届出の必要有りとされている振動・粉塵・騒音の
   設備機械の届出は適正にされている」と言うのみ!!

☆ 結局住民が生コンプラント建設の事実を知るのはこの2月になってプラントが建てられてからからだ
  った。門真市が計画を知ってから約3ヶ月最終段階で初めて知ったわけだ。この3ヶ月弱・・・大久保
  建材・幸福産業にとっては他市ではあり得ない快スピードでうれしいことだったろう。



これもひどい話だ。「建築確認」での住民無視のカラクリ

(4/27建築指導課で詳しく聞いてきました。手続き経過報告の補足です。) 01/4/28

プラント本体;設計及び申請代理人は日本建設(株)の一級建築士事務所
     12/15に「建築確認申請」(大阪府門真分室で受理し「審査」)
     12/20に「建築確認」(大阪府門真分室から「建築確認済証」発行)
     工事施工者は日本建設(株)大阪支店

事務所棟;設計及び申請代理人は幸福産業の一級建築士事務所
     12/21に「建築確認申請」(大阪府門真分室で受理し「審査」)
     1/18に「建築確認」(大阪府門真分室から「建築確認済証」発行)
     工事施工者は幸福産業 
  ==============================
 この当時は、門真市は「確認」には一切関わらず(申請書を府に渡したり「現地調査報告書」を作って
府に渡したりはする)、大阪府(門真市役所分室)が「審査」し、「建築確認」を行ない、合格の証として
「建築確認済証」を事業者に出します。
 (この4月からは門真市が「特定行政庁」に格上げされたので、全て門真市が行なうようになった)
  「開発行為」の場合と違い、「建築」の場合は「着工届」は「申請書」と同時に提出されているので、
  「確認済証」発行と同時に着工ができるようになります。

◇「建築確認」の場合は、建築基準法という「単なる技術法」に照らして、提出された図面が適合して
  いるかを審査するだけなので、「開発」の場合のような「事前協議」の制度がなく、「審査」するのは
  建築指導課だけ。
◇「協定書」を交わす制度もない。
◇「開発行為」の場合だったら「協定書」を交わし、そこに「門真市開発行為指導要綱を遵守し・・」と
  定めるし、「要綱」には公害や工事被害を出さないことの義務づけなどがかかれているが、「建築」
  の場合はそれらにあたるものが存在しない。
◇生コンプラントは建築基準法88条で定めるところの「工作物」であって法的には「建築物」ではない。
  「高さ10mを超える建築物」は「門真市中高層建築物に関する指導要綱」での規定によって「住民
  との協議」が義務づけられているが、「工作物」には適用されない。
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  要するに、現在の「建築確認」=建設工事着工の実態は、
■「ここに生コン工場ができたらどうなる?」とか「駐車場は確保しているのか?」「公害対策は妥当
  か?」「道路渋滞はどうなる?」・・・などなど、誰もナーンニモ、ナーンニモ考えてませ〜ん!!
■事業者に建物配置やその運営について、規制をするどころか注文を付けることすらできない。
  そういう話とは全く無関係の世界。
■図面が建築基準法に適合してさえいればよく、「この建物を建てたら地盤沈下被害を引き起こす
  のではないか」という想定などは全く関係ない、という世界。
■だから何も規制できないし、業者になにか強制することもできない、というのが門真市の言い分だ。

         ◆◆しかし、それは違うだろう!!◆◆

★要は市のやる気の問題なのだ。住民の生活と安全を守るという自治体公務員としての責務を自覚
  し、憲法の立場に立って、市の生活基本条例・まちづくり条例の規定や「指導要綱」の精神と社会
  常識に立って考えれば、こんなひどいことを放置しておれるはずがない。

★「できいない言い訳」に法・条例を挙げるのではなくて、「住民のためにやる」道具として法・条例
  その他ありとあらゆるものを如何に活用するか、がプロの行政マンの腕の見せ所ではないか。
  門真市の幹部職員はもっとシャキッとせよ!!
  (そいうやる気を引き出してこなかった市長の責任は大きい。自省されたし!)