21年度 施政方針


 平成21年第1回定例会の開会に際しまして、新年度の市政運営の基本方針を申し述べ、議員並びに市民の皆様方のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 本年は、私が市民の皆様の信託を受け、市長として市政の舵を取らせていただいてから4年目となり、今任期の総仕上げの年となります。

 これまで、本市の財政状況を十分見極めながら「まちづくり」「産業振興」「教育の向上」という3つのキーワードを市政運営の基軸に据え、市政の再生に全力を傾注して取り組んでまいりました。これらの成果は確実に実りつつあるものと自負しておりますが、今ここに決意を新たにし、「住みたい・住み続けたいまち」の実現に向け、諸施策を推進してまいりたいと考えております。

 我が国の経済情勢につきましては、未曾有の世界同時不況の影響により、国民一人当たりのGDP速報値において前期比を3.3%減少するなど、昭和49年のオイルショック時に匹敵する水準となり、重大な危機に直面しております。とりわけ、地域経済への影響も大きく、非正規雇用労働者の大量解雇など、深刻な社会問題に発展しており、我が国社会に蔓延する閉塞感を打開するまでの道のりは極めて厳しく、国における経済対策が、国民生活に一日も早く有益なものと実感することができるよう切に願うものであります。

 このような不安定な世相を反映するかのように、時代は「変革」を求めております。

 長い選挙戦の末、アメリカ史上初となるアフリカ系アメリカ人のオバマ大統領が誕生し、世界の中心国であり続けたアメリカの若き指導者として、今後、その動向が注視されることはいうまでもありません。一方、我が国においても昨年2月に全国の現職知事の中では最年少となる橋下大阪府知事が誕生し、過去に例を見ないスピードとエネルギーで府政を大きく改革しようと取り組まれているところであります。このように、各所で若きリーダーが時代の中心となって変革のうねりを起こす。まさに、日本における明治維新を彷彿させるものであり、先行き不透明な社会全体に、新たな息吹を吹き込む牽引役として、大いに期待を寄せるとともに、私もまた、時世の推移を十分に見極めていかねばならないものと思慮するところであります。

 時代を変革していこうとする動きは、私たち市町村におきましても、また同様に求められており、社会経済情勢の変化による産業構造の転換など、時流を敏感に読み取り、迅速に対処していくことが肝要であります。地方分権の推進に伴い、住民に最も身近な基礎自治体として、市町村の果たすべき役割はかつてなく大きなものとなってきております。しかしながら、行政における公平性の原則により、多様化する行政需要にきめ細かく対応していくことは、一定の限界があり、従来までの行政主導の市政運営から、市民の皆様、NPO法人、事業者と行政が手を携えて取り組みを進める公民協働の市政運営へと転換を図ってまいります。そのため、本年を「公民協働元年」と位置付け、お互いがそれぞれの役割を明確にした上で、市民力・地域力を活かす個性豊かで誇りと愛着を感じることができるまちづくりの第一歩を踏み出す年としてまいります。

 また、まちづくりは人づくりとも言われております。本市の将来を担う子どもたちが夢や希望を着実に実現できるよう確かな学力の向上につながるさまざまな教育施策を推進してまいります。  依然として厳しい本市の財政状況は、ここ数年間続くものと予想されますが、この危機を次の時代へのチャンスと捉え、全庁を挙げてより一層の経費削減、創意工夫に努めるとともに、身の丈にあった行財政運営を行ってまいります。

 新年度におきましては、私の市長としての僅かな残任期間を踏まえ、経常経費と継続事業を中心とした骨格的予算編成とし、限られた財源をでき得る限り有効に配分いたしたところであります。  それでは、これより各施策について順次、内容をご説明申し上げます。


財政再建

 「財政の再建」につきましては「市政の再生」への基礎となるものであり、今後の本市の発展の地固めともなる最重要課題として位置づけているものであります。

 この「財政の再建」を実現するため、財政健全化計画を策定し、昨年度より「歳入にあわせて、歳出を組む」ことを念頭に、各部局に一定の財源を移譲し、職 員の英知を結集して予算編成を行う「各部財源移譲型予算編成」を実施しておるところであります。

 この予算編成手法により、平成20年度から22年度までの3カ年で、歳入・歳出ともにバランスのとれた財政構造へと転換し、基金依存体質からの脱却を実現してまいりたいと考えております。

 そのためには、各部、各課において最大限の歳入確保を図り、事業の廃止、休止、縮小または実施方法の転換など、あらゆる角度、あらゆる方向から全庁的に 事業全体を見直し、限られた財源をより効果的かつ効率的に活用できるように工夫するなど、より一層の行財政改革を推し進める必要があると考えております。

 また、本市の財政の健全性につきましては、国民健康保険事業特別会計の累積赤字により連結実質赤字比率が悪化しており、早期健全化団体へ転落することが懸念される状況が続いております。

 このことから、地方公共団体の財政の健全化に関する法律の趣旨を踏まえ、新たな公会計財務4表の作成を行い、本市の財政状況の分析を強化しながら、総合的な視点に立った財政運営に留意した取り組みを実行していくことに専心してまいります。

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まちづくりの推進に係る施策

門真市都市ビジョン

 門真市都市ビジョンに基づき、今日まで検討してまいりました「幸福町・中町まちづくり」についてであります。

 本市の新たなまちづくりへの投資は将来のまちの発展には必要不可欠なものであるという確信から、まちづくりの契機となる第一中学校と第六中学校の統合校 を平成24年4月に開校すべく、民間資金の調達による予算の平準化を図ることができるPFI方式により整備を推進してまいります。
   
 まず、そのスタートといたしまして、本年4月に統合校の性能仕様にあたる要求水準(案)を公表し、民間の知恵と工夫の提案を受け、最優秀者の選定・採択 を行った後、来年3月を目途に、PFI事業受託者との契約に向けた取り組みを進めるとともに、住宅市街地総合整備事業による既存公共施設の建物調査を合わ せて実施してまいります。

第二京阪道路

 次に、第二京阪道路についてであります。

 新年度末の供用開始をめざし、事業者において積極的に取り組まれており、橋脚工事が完成した区間においては、橋げたの架設が行われ、道路らしい姿が見え始めてきておるところであります。

 工事にあたっては、安全対策はもとより、市民の生活環境等に対して、より一層の配慮を行うとともに、環境保全についても、十分な対策が図られるよう今後 とも必要な事項は事業者に強く申し入れを行うなど、引き続き事業者と調整を図ってまいります。

地域整備

 次に、地域整備についてであります。

 四宮土地区画整理事業につきましては、昭和43年に事業認可を得、長期にわたりさまざまな困難を極めた事業でありました。しかしながら、現在、地権者及 び認可権者の大阪府、関係機関との協議・調整が整いつつあり、これを最後のチャンスと捉え、新年度は清算事務を除き、事業の最終工程として、換地処分を進 めてまいります。

 北島地区の市街化調整区域におけるまちづくりにつきましては、本年2月に地元権利者を中心に「北島地区まちづくり協議会」が設立されたことを受け、計画 的なまちづくりに向けて、技術や情報の提供を通じた支援を行い、平成22年度の市街化調整区域から市街化区域への編入を想定しながら、今後の土地利用のあ り方について検討してまいります。

計画的な市街地の整備

 次に、計画的な市街地の整備についてであります。

 本市北部地区の密集市街地につきましては、防災性の向上をめざし、住宅市街地総合整備事業整備計画による住環境の整備改善に取り組んでいるところであります。

 まず、小路中第1地区につきましては、土地区画整理組合設立に向け関係権利者等と協議を行い、早期に土地区画整理事業との合併施行による地区整備を進めてまいります。

 次に、本町地区につきましては、老朽建築物の除却が完了したことに伴い、独立行政法人都市再生機構が事業主体となる防災街区整備事業との合併施行による地区整備を早期に事業着手できるよう取り組みを進めてまいります。

 石原東・大倉西地区につきましては、建物除却や公共施設用地の買収等に取り組んでおりますが、土地区画整理事業との合併施行による地区整備が図れるよう努めてまいります。

住宅・住環境

 次に、住宅・住環境についてであります。

 住居表示につきましては、第13次住居表示整備事業といたしまして、今年度に引き続き、四宮土地区画整理事業地内とその周辺地域である大字上馬伏、下馬 伏、上島頭、岸和田、巣本の全部と大字下島頭の一部区域64.03ヘクタールについて、本年11月の区画整理事業終結と同時に住居表示を実施してまいりま す。これにより、実施率は全市域面積の約81.15%となり、今後も市民生活の利便性の向上を図ってまいります。

道路

 次に、道路についてであります。

 交通事故のない安全なまちづくりをめざし、歩行者が安全で安心に通行できるよう歩行空間の確保が可能な道路については、路側帯をカラー舗装にするなど、歩車道を視覚的に分離し、交通安全対策を充実してまいります。

 また、経年劣化が進む京阪古川橋駅前広場南側のタイル舗装の改良に着手し、計画的な歩道改修工事を実施してまいります。

鉄道駅舎におけるエレベーター等の設置

 次に、鉄道駅舎におけるエレベーター等の設置についてであります。

 京阪古川橋駅、大和田駅に引き続き、門真市移動等円滑化基本構想に基づき鉄道事業者である京阪電気鉄道に補助金を交付し、京阪西三荘駅にエレベーター等のバリアフリー化諸施設を設置してまいります。

上水道

 次に、上水道について申し上げます。

 安全で、かつ安心な水道水を安定・持続して供給するというライフラインとしての水道の責務を果たすため、「門真市水道事業基本計画」に基づく効率的な事業運営を推進してまいります。

 新年度につきましては、緊急遮断弁を設置するなど、水道施設の耐震化を推進し、第二京阪道路沿線における幹線配水管整備工事及び老朽化配水管の更新を行 うとともに、有収率の向上と市民サービスの一層の充実に努めてまいりたいと考えております。

公共下水道

 次に、公共下水道についてであります。

 公共下水道につきましては、快適な生活環境を創出するため、下水道整備計画に基づき普及促進と浸水対策に努めているところであります。

 新年度におきましては、第二京阪道路事業の進捗と整合を図りながら、幹線管渠である三ツ島千石幹線の整備を引き続き進めるとともに、浸水の解消や面的整備を積極的に行い、処理人口普及率78.7%の実現に向け、整備を進めてまいります。

△up


公民協働に係る施策

 多くの市民参加と参画による市民主役のまちづくりを実現するため、昨年10月には市民公益活動支援・協働指針を策定するとともに、市民の皆様との協働を推進するための拠点施設として、市民公益活動支援センターを一部オープンいたしました。

 NPOやボランティア活動など、市民の皆様が市民公益活動に参加・参画し、生きがいや誇りにつながるような協働の取り組みを支援するため、新年度におき ましては、市民公益活動支援センターを全面オープンするとともに、協働を推進する上で、市内NPO等による管理運営のもと、より一層の市民公益活動への支 援と相談業務等の充実を図ってまいりたいと考えております。

 また、市民の皆様のアイデアを活かしつつ、市の事業に主体的に参画していただく足がかりとなり、協働をより具体的に促進するための手引きとして「(仮 称)協働促進マニュアル」を作成し、協働が本市のまちづくりの基盤となって確実に実践されるような取り組みを進めるとともに、協働を促進するツールの一つ である地域通貨発行とその運営主体として、役割を担うことができるNPO法人の育成に努めてまいります。

△up


産業振興に係る施策

商工行政

 まず、商工行政についてであります。

 昨年度より実施しております製造業・商業・サービス業等のアンケート調査とヒアリング調査の結果をもとに、新年度におきましては、「門真市産業振興ビジョン」を策定し、産業の振興と活性化に向けた施策を展開してまいりたいと考えております。

 企業立地及び企業誘致施策につきましては、産業振興の大きな柱として「門真市ものづくり企業立地促進制度」を創設いたします。この制度は、本市に所在す る事業所や新規進出企業において、工場等の新設や建替等を行う場合に奨励金を交付するものであり、市内企業の流出を食い止めるとともに、新たな企業を呼び 込み、地域雇用を創出するなど地域経済の活性化を図るための取り組みを進めてまいります。

雇用対策問題

 次に、雇用対策問題についてであります。

 昨今の急激な経済情勢の変動により、離職を余儀なくされた労働者に対し、「ふるさと雇用再生特別基金事業」「緊急雇用創出事業」など、国や大阪府の雇用 対策施策が公表されたところであり、この施策により本市の実情に合った事業展開を検討し、求職者に対する雇用機会を創出する取り組みを進めてまいります。

農業振興

 次に、農業振興についてであります。

 大阪エコ農産物認証制度に基づき、本年1月に「門真市エコ農産物推進協議会」を設立したところであります。これは、安全で安心な農産物を市民に提供する とともに、環境に配慮した農業に取り組む農業者を支援する目的で、農薬と化学肥料の使用量を通常の5割以下に削減し栽培された農作物を「大阪エコ農産物」 として認証する制度であります。本市の特産物であるれんこん・くわいにつきましても、昨年3月よりエコ農産物栽培基準の品目に追加され、早々に、れんこん 栽培農家から認証申請が提出されており、今後も本制度のさらなる普及に努め、本市の地域特性を活かした都市農業の振興を図ってまいります。

△up


教育の向上に係る施策

学校教育

 まず、学校教育についてであります。

 本市の未来を担う子どもたちの教育を考えるとき、学力向上問題は、喫緊の課題であります。この課題を解決するためには、学校の教育力の向上、教職員の指 導力の向上はもちろんのこと、小中一貫教育の推進、基本的生活習慣の確立が必要不可欠であります。

 とりわけ、全国学力・学習状況調査の分析の過程で浮かびあがった種々の課題に対し、「わがまち『豊かな学び』ステップアッププラン」を軸に、学力向上に向けた施策を展開してまいります。

 具体には、平成18年度に内閣府より認定を受けた教育特区事業につきまして、これまで実施校の研究発表等を通じ、成果を広めてきたところであります。新 年度からは、その成果を踏まえ、小学校国語の「ことばの時間」、中学校英語の「コミュニケーション」の授業を全校で実施してまいります。

 次に、本市独自の教育研究指定校制度や、府の施策等も積極的に活用し、「学校力」を高めるとともに、教育センターを中心としたさまざまな研修を実施し、教職員の指導力の向上に努めてまいります。

 また、教育課題を解決し、子どもたちに確かな学力を育むため、小学校教育と中学校教育がより連続的な一貫性のあるものとなるよう小中一貫教育を推進して いく必要があります。その取り組みの一つとして、全小中学校が参加する研究組織を立ち上げ、義務教育の9年間を見通したカリキュラムづくりに着手いたしま す。

 全国学力・学習状況調査での児童生徒に対する質問紙調査におきましては、「家庭での学習時間が少なく、就寝時間が遅く、朝食を食べずに登校する子どもたち」の姿が多く浮かんできております。

 基本的生活習慣の確立は、学力向上に向けた大きな要素の一つでもあり、学習習慣を確立するため、放課後の学習支援に取り組むとともに、土曜日につきまし ても、「かどま土曜自学自習室サタスタ」として、本市独自の小中学校における学習支援に関する事業を実施してまいります。この事業は、昨年、各中学校区で 立ち上げた学校支援地域本部と行政が連携した取り組みとして開始するものであり、教育委員会組織が一体となって、地域・保護者との連携による協働を促進 し、より効果的な事業として取り組んでまいります。

 次に、学校施設の環境整備につきましては、安全で安心な学校づくりをめざすため、校舎・体育館の耐震化を進めてまいります。また、給食調理場につきましては、設備の改良を図り、引き続き効率性の高い施設の改修に努めてまいります。

 学校給食につきましては、より効果的な学校給食を実施していくため、新年度も引き続き、現行の給食内容を維持しつつ、小学校の調理業務の民間委託化を推進してまいります。

△up


生涯学習及び文化振興に係る施策

 まず、生涯学習についてであります。

 平成12年度より地域の教育力の向上を図る取り組みとして、各中学校区の地域教育協議会「すこやかネット」の活動を支援してまいりましたが、これに代わ り昨年より、児童・生徒の学力向上対策の一環として、地域が学校を支援する「学校支援地域本部」を各中学校区に設置いたしたところであります。

 地域の皆様方が学校を支援することを通して、地域コミュニティの形成や地域の教育力の再構築を図るとともに、児童・生徒の学習習慣の確立と学力向上に寄 与するため、引き続き、学校支援地域本部と行政が連携し、小中学校における「かどま土曜自学自習室サタスタ」の開設など、さらなる事業の充実に努めてまい ります。

 また、同じく学校支援地域本部と行政が連携した取り組みとして、小学校の放課後の自学自習室「まなび舎Kids」事業の拡充にも努めてまいります。

 門真市民プラザ内の生涯学習センターにおきましては、開設以来、市民の生涯学習活動の一拠点として親しまれており、年々、利用者も増加してきておりま す。今後におきましても、公民館、文化会館と一層の連携を図り、生涯学習の振興に努めてまいります。

 次に、生涯スポーツの振興につきましては、市民の皆様がスポーツやレクリエーション施設として、快適に利用できるよう夜間照明の保守点検等、施設の整備に努めてまいります。

 また、これまで門真市民プラザグラウンドにおける維持・清掃活動、建物周辺の美化活動等にNPO団体やスポーツ団体の皆様方のご協力をいただきながら、 施設の維持管理に努めており、これこそが本市における公民協働の自助自立の精神につながるものと考えております。各種団体の皆様方とさらなる公民協働を進 め、施設整備に取り組むとともに、地域のスポーツ活動を振興する中心となる社会体育指導者の養成に努めてまいります。

文化芸術

 次に、文化芸術についてであります。

 生きがいや心の充足感をもたらす文化芸術が、市民の皆様にとってより身近なものとなるよう、また、地域に根ざした文化が創造され、市民の皆様の自主的な 文化芸術活動の推進により、心豊かで活力ある地域社会を形成することを目的に、門真市文化芸術振興条例に基づき、本市の文化芸術振興策を総合的に推進する ための方向性を示した基本方針の策定を進めておるところであります。

 昨年実施いたしました市民アンケートに引き続き、新年度にはパブリックコメントやフォーラム等を通じて市民の皆様のご意見を十分に反映した基本方針を策定してまいりたいと考えております。

△up


健康福祉に係る施策

医療保険

 はじめに、医療保険について申し上げます。

 国民健康保険事業につきましては、本市の危機的な財政状況を改善するための最優先課題として、国民健康保険事業特別会計の健全化に取り組んでおるところであります。

 同事業の再建につきましては、昨年3月に策定いたしました「門真市国民健康保険事業特別会計収支改善計画」を実行することにより、計画的な赤字解消、収 納率の向上、医療費適正化対策の推進、保健事業活動の促進など、国保事業の運営健全化を着実に進めてまいります。

生活自立の援助

 次に、生活自立の援助についてであります。

 生活困窮者への対応につきましては、生活保護制度の趣旨に基づき、適切なケースワークによる被保護者の自立助長の努力を促しているところであります。

 新年度におきましては、介護支援専門員の設置により、ケアプランの検証を行い、介護扶助のより一層の適正な運用に努めてまいります。

 さらに、膨大な事務事業の効率化を図り、訪問指導等を充実させるため、新たな生活保護事務処理システムを本格稼動してまいります。

高齢福祉

 次に、高齢福祉についてであります。

 急激な高齢化の進行は、本市におきましても高齢化率が20%を超えるなど、今後も一層そのスピードを速めることが予測されております。

 著しい高齢化の進展にあっては、高齢者の人権の尊重、利用者本位の視点に立った高齢者保健福祉サービスの向上とともに、高齢者の方々が積極的に社会参加 していくことによる生きがいづくりや住みなれた地域で安心して暮らしていくことができる地域ケア体制の整備などが求められております。

 このようなことから、「すべての市民が健康で生きがいを持った高齢者になる」ことを基本理念とした新たな高齢者保健福祉計画をもとに、高齢者保健福祉の取り組みを進めてまいります。

 介護保険事業につきましては、くすのき広域連合と連携し、地域の特性を重視したきめ細やかな介護保険サービスの実現が図られるよう努めてまいります。

障がい者・障がい児福祉
 
 次に、障がい者・障がい児福祉についてであります。

 本市におきましては、「障害」の「害」の文字に対するマイナスイメージが強いことから、本年2月より、可能な限り公文書等における表記をひらがなとする ことといたしました。これを契機として、改めて障がいのある方への偏見や差別について考えるとともに、障がいのある方への理解を深めていただける機会にな るものと考えております。

 次に、新年度より門真市保健福祉センター内の障がい者福祉センターを障がい者の方々の地域活動の拠点として施設機能を拡大・強化し、生活介護事業や生活訓練事業の一層の推進に努めるとともに、日中一時支援事業を実施してまいります。

 また、障がい者や障がい児の方々が、地域でさまざまな社会資源を活用しながら、自立した日常生活や社会生活を営むことができるよう、相談・情報提供・ サービスの調整等をニーズに合わせてコーディネートし、地域における相談支援のネットワークの構築と生活支援体制の整備に努めてまいります。

児童・ひとり親家庭福祉

 次に、児童・ひとり親家庭福祉についてであります。

 急速な少子化と子育て支援をめぐる課題の多様化への対応として、本市における具体的な取り組みと目標事業量を定め、計画的に施策の推進を図るため、平成 17年3月に5カ年の前期計画として「門真市次世代育成支援行動計画」を策定いたしました。新年度におきましては、保育サービスや子育て支援に関する潜在 的ニーズを十分に把握し、平成22年度からの5カ年を後期計画期間とする新たな次世代育成支援行動計画を策定してまいります。

 近年、核家族化の進展やひとり親家庭の増加により、子育てに対する不安や悩みを抱えたまま地域社会から孤立し、児童虐待につながる事案が増えてきております。

 児童虐待の予防と早期発見・早期支援につきましては、児童家庭相談システムの稼動により相談業務の効率化を図るとともに、家庭児童相談員の専門性を高 め、個々の困難事案に対応しているところであります。今後も、要保護児童対策地域協議会のもと、関係機関との連携を深めながら子どもの権利擁護や子どもと 家庭の福祉向上をめざし、未来を担う子どもたちを安心して産み、育てられる社会をつくるための支援体制を充実してまいります。

 平成17年度から進めてまいりました全小学校への放課後児童クラブの開設につきましては、新年度に大和田、二島、北、東小学校の4箇所を開設することにより、すべて完了いたします。

 これを機会に、過大クラブの分割等により、新年度より国が定める「放課後児童クラブガイドライン」に基づき、1クラブの定員を適正規模の40人とし、全小学校とも定員40人で2クラブ制として運営してまいります。

市立保育所の民営化

 次に、市立保育所の民営化についてであります。

 いよいよ本年4月から泉町、北島、小路及び柳町保育園の4つの市立保育所が、社会福祉法人により運営される新たな保育所としてスタートを切ることとなっております。

 今後、これらの保育所では、多様化する地域の保育ニーズに柔軟かつ速やかな対応を図るため、延長保育の拡充や休日保育、一時保育、産休明け保育といった 新たな保育サービスに順次取り組んでいただくとともに、三者懇談会や合同保育などを引き続き実施し、保護者の不安や子どもたちへの影響に十分配慮しなが ら、民営化後の新たな保育所が地域の保育ニーズに対応した保育所として発展していかれるよう支援してまいります。

 また、存置する3つの市立保育所におきましては、新たに地域子育て支援を担当する保育士を配置し、より地域に根ざした保育所として地域子育て支援を充実 するなど、公・民それぞれの保育所がその役割を十分に発揮し、本市の保育水準を高めることによって、子どもたちの保育環境の向上に寄与してまいりたいと考 えております。

健康増進事業

 次に、健康増進事業についてであります。

 近年、国においてさまざまな少子化対策が打ち出される中、本市も例外ではなく、妊娠届出数並びに出生数は減少傾向をたどっております。妊婦の方々への健 康管理の充実及び経済的負担の軽減を図り、安心して出産を迎えていただけるよう新年度におきましても、妊婦健康診査の公費負担額をさらに拡充してまいりま す。また、その運用にあたりましては、対象者の妊娠状況に応じた活用がなされるよう定額の受診券方式とし、国基準の健診回数を受診していただけるよう努め てまいります。

△up


市民生活に係る施策

廃棄物処理

 まず、廃棄物処理についてであります。

 社会情勢の変化や新たな法整備を踏まえ、環境保全を前提とした循環型社会の形成を軸に、低炭素社会・自然共生社会への実現に向けた取り組みとして、「門真市一般廃棄物処理基本計画」の改定作業を引き続き実施してまいります。

 次に、ごみの減量化・再資源化につきましては、ごみの排出抑制や分別の徹底に取り組んでまいりましたが、さらに積極的に資源循環型社会への普及啓発を図り、市民の皆様の自主的なリサイクル活動の促進に努めてまいります。

 その取り組みの拠点施設として、新年度におきましては、今議会にご提案させていただきます「門真市立リサイクルプラザ条例」に基づき、リサイクルプラザ を広く市民の皆様に利活用していただけるよう施設の管理運営に努めるとともに、さらなる周知を図ってまいります。

防犯・防災対策

 次に、防犯・防災対策についてであります。

 安全で安心なまちづくりには、市民、事業者、警察、市が一体となった防犯活動が不可欠であります。新年度におきましても、引き続き各家庭や事業者に玄関 灯や門灯の夜間点灯を呼びかける「一戸一灯運動」を進める一方、昨年度から取り組みを進めておりますセンサー付き防犯灯の設置支援を行い、明るいまちづく りを推進してまいります。

 防災対策につきましては、公共施設における耐震性の向上をめざし、門真市住宅・建築物耐震改修促進計画に基づき、児童福祉施設等の耐震診断に着手してま いります。また、自治会を主体とする自主防災組織に対する育成強化のための支援など、公民協働による地域防災力の向上を図るとともに、災害時における防災 体制が迅速かつ確実に機能するよう図上型の防災訓練を引き続き実施し、庁内組織の充実強化に努めてまいります。

△up


行政管理に係る施策

人事管理

 はじめに、人事管理についてであります。

 現在、効率的な行政運営をめざし、少人数行政への移行を進めておりますが、団塊世代の大量退職が続く中、強固な組織体制の確立が急務となっております。

 このため、門真市人材育成基本方針に基づき、職員研修の充実を図り、時代の変化を的確に見極め、新たな課題に挑戦し、市民の皆様に信頼される職員を育成してまいります。

 また、今年度から実施いたしております人事評価制度につきましては、目標管理との連携による評価を通じた職員の能力向上と組織の強化を図る観点から、その拡充に努めてまいります。

 人材の有効活用につきましては、技能労務職から事務職への任用替を本年4月から実施し、今ある人材の活用に努めてまいります。

事務管理

 次に、事務管理についてであります。

 高度化・多様化する行政需要や地方分権の推進に対応し、電子自治体推進に向けた基盤整備として、職員一人に付き一台のパソコンを配置し、庁内の情報を共 有化することにより、事務の簡素化・効率化を図り、市民サービスの向上をめざしてまいります。

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第5次総合計画の策定

 本市の新たな総合計画は、まちづくりを進めていく上において、市民の皆様と行政との共有の都市経営指針となるべきものであると考えております。

 昨今の急激な社会環境の変化への対応から、これまで以上に本市の有する特性を踏まえた行政運営が求められております。

 現在、本市のまちづくりの課題に対し、「活力あるまちなか創出都市 門真」を都市理念とした都市ビジョンをもとに、市民・事業者・行政がともにめざす協働のまちづくりを進めておるところであります。

 新年度におきましても、引き続き、協働によるまちづくりへの歩みを留めることなく、都市ビジョンとの整合を図りながら、市民の皆様とともに門真市の将来像を検討し、第5次総合計画の策定作業を進めてまいります。

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 以上、新年度の主要施策とその概要を申し上げたところでありますが、新年度の予算規模につきましては、一般会計予算441億2300万円、国民健康保険事業特別会計ほか7事業会計予算309億7579万円、総額750億9879万円の予算といたしたところであります。

 本市を取り巻く情勢は、依然として厳しいものではありますが、これまで「財政の再建」と「市政の再生」を実現するため、「門真市行財政改革大綱」及び2 次にわたる「門真市行財政改革推進計画」を策定し、府内でも例を見ないほどの厳しい内なる行財政改革を断行し、早期健全化団体への転落の回避に向け、今日 まで全力で取り組んでまいりました。

 今後におきましても、時には市民の皆様に痛みの伴う改革を断行せざるを得ない状況も出てくることが予測されます。本市の危機的な財政状況の克服と同時 に、新たな時代のサービスを提供する体制を確立するため、さらなる収入の増加、歳出の削減など、財政基盤の強化を図るとともに、行政の果たすべき役割を見 極めながら、平成26年度までの計画期間内で200億円の効果額をめざし、私はもとより全職員が一丸となって、強力に改革を推進してまいりたいと考えてお ります。

 何卒、議員並びに市民の皆様の格別のご理解とご協力を賜りますようお願いを申し上げまして、説明を終わります。

 


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