3:「教育立市」の裾野としての幼児教育への認識について
市長は「教育立市」という意欲を持って小中学校の条件整備に取り組んでいると思いますが、その必須の裾野である「保育園児・幼稚園児・施設未入児全てを含めた幼児教育」への理解もぜひ深めていただきたい。
そのための格好の学習材料が、昨年来門真市が開催している「幼児教育振興検討委員会」の議事録です。
それを読むと、非常に高度で真摯な話が交わされている事に感銘を受けます。
その主軸が、委員長・議長になっている大阪教育大学教授の早川勝廣(かつひろ)先生で、ご自身 の論文も出されて説明され、全体をリードされていますが、その深い見識、卓見には敬服させられます。
09年度から新しい「保育所保育指針」と「幼稚園教育要領」が実施される事になり、それに向けて既に厚労省から「保育指針の素案」が出され、文科省から「幼稚園教育要領」改定案が出されており、
08年度は新体制移行の準備期間となります。
「どんな場で育っても、公立・私立、幼稚園・保育所の別なく、同じスタイルの子育てを受けて義 務教育の場である小学校に上がっていくべきだ」、という考え方がその基軸であり、教育や保育だけで
なく、保護者への「子育て支援」や「虐待対策」をする事も、幼稚園・保育園の業務であると明確に され、法的強制力を持っていきます。
全ての就学前児童を巡る状況は、まさに一挙に変わっていきます。当然、門真市もこの新しい状況 を踏まえて、幼児教育・保育の改編・刷新をしていかなければならないわけです。
以上述べた上で、質問に移ります。
Q1:「幼児教育振興検討委員会」の1回めから4回目までの議事録について、市長・教育長・健康福祉部長、そして子ども育成室室長・保育園民営化推進担当参事のそれぞれは、既に読んだかどうか、読んだという方はそれぞれどのような感想を持ったか、聞かせて下さい。
少なくとも市長以外の方々にとっては、自己の所管に直接関わる重要な話なので、逐次読んでおくべき事と思います。
市長の場合は多忙でまだお読みではないかと想像しますが、もしそうならば、議会が終わった後にぜひ読んでもらいたいのですが、どうでしょうか?
Q2:「全ての就学前児童への幼児教育」への理解と支援を抜本的に深めるために、この議事録や関係規定を教育部門・保育部門の職員はぜひ精読・研究すべきと思うが、どうか?
Q3:「委員会」の事務局には保育部門からは課長補佐がたった1人しか出ていないが、課長も追加して補強すべきではないか?
Q4:保・幼・小連携が必須となる今後の状況において、東小学校校区にだけ保育園も幼稚園も全く無いという状態は、公平な行政実施という面も含めてどのような弊害があると認識しているか?
民間でもよいから何らかの幼児施設を誘致して改善すべきと思うが、その方策の研究と実施を どう考えているか?
Q5:「検討委員会」で副委員長から「門真市は公立幼稚園が4カ所しかないというのが保幼少連携を難しくしている」と指摘されているが、その上に7つある公立保育園を4園一挙民営化して公立を3つに減らしてしまうのは、保幼少連携をさらに難しくしてしまうのではないか?
4園民営化方針を決めていく期間に、市は「保育所保育指針」と「幼稚園教育要領」が改訂されて今後行政に大きな責任が増えることを認識していたのか?
こういう状況を考えずに民営化方針を進めたのではないか?
Q6:今後の幼稚園・保育所では、「子育て支援や虐待への対策は(正式な)業務になると明確にされた」、と指摘されているが、こういう重責を負わせるのに保育士や教諭をアルバイト身分で放置する事はあまりに不適切ではないか?
【答弁】 奥田学校教育部長
「教育立市」の裾野としての幼児教育への認識についてであります。
「幼児教育振興検討委員会」の議事録は、市長、教育長は目にとめております。健康福祉部部長、子ども育成室長は、教育委員会よりの回覧文書にて一読しております。保育園民営化推進担当者についても今後は回覧文書にて対応してまいります。
なお読後の感想につきましては、現在、検討委員会にて審議中ですので控えさせていただきます。また、関係する課は事務局として検討委員会に出席するとともに、議事録の確認をしておりますし、教育部門・保育部門におきましては、毎回の検討委員会終了の後、関係職員に回覧し、周知を図り、幼児教育の理解に役立てております。
議事録は市の情報コーナー・ホームページにも掲載しておりますので、今後もできるだけ関係部署への周知に努めてまいります。
次に保育部門から事務局員を追加補強すべきではないかということにつきましては、この検討委員会では、審議を進める中でこれまで保育所に関係する質問も出てきており、保育行政に精通した保育課長補佐が、各委員からの質問に対しても的確に対応しております。また資料の収集や次回の検討委員会の開催に向けての準備等、適切かつ十分にその任を果たしております。
したがいまして、現在は、1名で対応できるものと考えております。
次に東小学校区の保育園・幼稚園の問題ですが、議員ご指摘の内容につきましては、検討委員会で委員から出された意見として受け止めており、交流時における課題等は認識いたしております。検討委員会の中でご審議いただいておりますので、答申を受けた後、その内容について検討してまいりたいと存じます。
子育て支援や虐待への対策につきましては、保育園・幼稚園ともに園長を中心として園全体で対応を行うべきものであります。
したがいまして、臨時幼稚園教諭・保育士においても一個人に重責が負わされるものではございません。
臨時幼稚園教諭・保育士につきましては、今後ともその専門性を生かし、他の職員と連携・協力しながら、子育て支援や虐待への対応等を含め、組織の一員としてより適切な対応ができるよう指導に努めてまいります。
また、保育所保育指針の素案では、保育士は子育て支援について、そのことが業務であると明確にされており、これまで以上に重責であると認識しておりますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。
【答弁】 北村健康福祉部長
「教育立市」の裾野としての幼児教育への認識についてのうち、健康福祉部所管質問について、私よりご答弁申し上げます。
まず、保・幼・小すなわち保育所、幼稚園、小学校の連携についてでありますが、今後ますます重要になってくるものと認識しております。
また、公立・私立を問わず、保育所や幼稚園と学校とが連携していけるよう努めてまいりたいと考えております。
その様な中で、保育所におきましては、保育に欠ける児童の保育を行うことを目的とした福祉施設であり、公立から民間に移行しましても、引き続き地域での子育て支援の拠点としての役割を担うこととなり、幼稚園・小学校との連携を強めていくことに何ら変わりがないものと考えております。
次に、市立保育所民営化の方針決定時での「保育所保育指針」及び「幼稚園教育要領」の改訂内容への認識についてでありますが、現在、国で改定作業が進められている保育所保育指針では、行政責任の強化が盛り込まれていることは認識しておるところでございます。
また、新たな指針では、保育所の役割として、在園の子どもたちにとどまらず、地域の子育て支援の充実が重視されることを受け、市立保育所の民営化基本方針では、民営化により保育ニーズに柔軟かつ速やかに対応を図る一方で、存置する市立保育所では地域の子育て支援を強化していくことを掲げるなど、これまでにおいても、国における改定の経過を注視しながら検討を進めてきたところでありますので、よろしくご理解賜りますようお願い申し上げます。
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