3月議会一般質問と答弁 原稿 戸田ひさよし   2008年3月14日

5番、無所属・鮮烈左翼の戸田です。

1;低所得・小都市の賢い政策判断について

 門真市は低所得層が多い小都市として、上手な「生き残り」を様々な面で工夫していく必要があり ます。
 心意気としては「小さくてもキラリと光る都市」の気概を抱き、場合によっては「自公政権に対するしたたかでしなやかな面従腹背」で、政府・各省の煽りや強圧の正体を正しく見抜いて、不合理な支出やリスクを回避する判断力が、とりわけ市長に求められる、と私は考えます。  
  この点について、まず市長の概括的な気概や見解を述べてもらいたい。

  政府追随一方だと、維持費用とリスク費用が厖大なものになってしまう典型例としては、住基カー ド・ネット税務申告などがあります。
 個別には答弁を求めませんが、新聞記事で「住基カード偽造横行」、「発覚は氷山の一角」、「ネット 税務申告、自治体窓口書類発行パンクの恐れ」等々の見出しが踊っています。     

 政府はあの手この手で住基カード発行を増大をさせようとしてますが、真の意味での費用対効果に実は全く見合わない、厖大な費用とリスクを自治体が負い続ける愚は犯すべきではない一例として指摘しておきます。

  さて、「キラリと光る自治体」を作るのに不可欠なのが、正直で隠し事をしない事と、透明・公平な基準で行政を行なう事です。

  この点、少しずつ前進していると評価してきましたが、今般、08年度予算で「商工会議所への補助金を250万円アップで550万円とし、しかもそれを今後2年連続させる」という重大異例な事項が、 2/26議運後の2月29日に議員に提供された、新予算での変更事項一覧表資料の中に、全く載せられ ず情報隠蔽される、という事件が起こりました。  

 これは議員・議会に対する重大な情報隠しであり、2度とこのような事を起こさないよう、責任者が本会議の場で謝罪し再発防止を誓う事を強く求めます。

 また、この商工会議所助成は、ほとんど全ての団体が補助金減額される中で、現職議員が副会頭を やっている商工会議所だけが、前年度比1.8倍250万円ものアップを2年間、という異例さで、増額申請書や新事業説明資料もなく、市側の検討経過記録もほとんどない中で予算に盛り込まれており、 旧来の有力者口利き政治を引きずっているのではないかと深く疑わざるを得ません。

  なぜこんな異例な増額になったのか、経過と理由を説明されたい。

 次に、「第二の夕張になるな!」という危機煽りの下で財政健全化法や連結決算方式が金科玉条の如 く振りかざされている事に対して、元自治相・元鳥取県知事の片山善博氏が批判している論説の一端 を紹介するので、市長の見解を述べて下さい。

  ざっと述べますと、
1:夕張市破綻の3つの教訓は、   
・総務省が全く頼りにならないだけでなく、大量のハード事業を実施するようにけしかけてきた 「犯歴」があること、  
・外郭団体の借金と自治体財政との、両者の関係を遮断しておくこと、   
・粉飾に加担した金融機関に正常なリスク感覚を取り戻させることだ。  

2:新法は、この3つの教訓が全く生かされず、   
・総務省が「取り締まる側」に回っている。   
・連結財務的に自治体の財産状況を捉えようとするのは全く方向違いで、金融機関は外郭団体のバックにしている自治体をあてにして野放図な融資を行なうに決まっている。   
・財政悪化とみなされる自治体は「財政健全化計画」の策定を総務省から命じられるが、これは住民の犠牲の上になりたつ「金融機関保護計画」にほかならない。

3:このような新法が自治体の財政破綻防止に役立つなどと思わない方がよい。  

というものです。市長の見解はいかがでしょうか?  

自治体としては「悪法も法なり」で新法に従わなければいけないとしても、政府・総務省が右を向 けと命令すれば全て右を向く、というあり方を変えないと何度も酷い目に会ってしまうでしょう。

 自治体の行政と住民の側には冷静でしたたかな判断が求めらるゆえんです。

 少し付け加えますと、老人殺しの後期高齢者医療制度、障害者自立支援法など、自公政権が自治体 と住民を苦しめている様々な悪法、制度改悪は、何も自治体の自民党首長や、自民・公明議員達が発 案して旗振りをやってできたものではありません。

 政府が決めたから、国会で法律が可決されたから、否応なく自治体が従わせられているだけで、自治体議員も自分の属する政府与党が決めたから、自動的に賛成する、時に野党への対抗上、賛成の論 陣を張るに過ぎない場合がほとんどでしょう。

 私からすれば、それでもけしからんとは思いますが、最も大事なのは自治体の現場では、住民と自 治体への被害や危険を最小限にする途を共に探る事だと思うようになりました。

 また、例えば後期高齢者医療制度や住基ネットでは、共産党の首長すら、遺憾ながら反対を取って いないのに、自民党の園部市長に声高にそれ以上の反対行動を求めるパフォーマンスをしても仕方な いだろうという気がします。

 自公政権打倒の民衆運動を断固追及しつつも、住民の安全・福祉・幸福のための実質的で賢明な判断ができる議員集団と行政への成長を求めたいと思います。 

【答弁】  北口企画財務部長
 低所得小都市の賢い政策判断についてのご質問の内、上手な「生き残り」の工夫に対する概括的な気概や見解、商工会議所への補助金アップが新規事業として参考資料に全く載せられていない件、財政健全化法等に対する見解につきまして、私より、ご答弁申し上げます。

まず、上手な「生き残り」の工夫に対する概括的な気概や見解についてでありますが、昨今、障害者自立支援制度や後期高齢者医療制度をはじめとして、国の法・制度改正等による様々な対応が矢継ぎ早に、市町村に求められてきており、電算システムの変更等、多額の費用を投入しなければならない事態が多くなっております。

法・制度改正につきましては、実施せざるを得ないものでありますが、中には、市民生活や財政に大きな影響を与えるものもあり、市町村の立場からは、制度運営に苦しむものもございます。

こうしたものにつきましては、内容を吟味し、市長会等を通じて国に要望いたしておるところでございますが、真の地方分権の確立を目指し、本市、市民にとって、何が必要で、費用対効果から見て、何を優先させるべきなのか、どこにリスクがあるのかなど、鋭意、判断しながら市政を推進することが使命と考えております。

本市は、小規模都市ではありますが、その小さいが故のポテンシャルを最大限に生かし、迅速に、かつ、ひとつひとつの施策を丁寧に吟味するという地道な作業を積み重ね、やがては、「小さくても豊かでキラリと光る」といった本市独自の行政スタイルが確立できるものと確信いたしております。

次に、商工会議所への補助金アップが新規事業として参考資料に全く載せられていない件、についてであります。 議員ご指摘の「平成20年度新規・廃止・縮小事業に関する参考資料」につきましては、財政再建のため、収支均衡予算を目指し、「各部財源移譲型予算編成」という、本市で、はじめての方式を採用したことを受けまして、透明性の確保、市民への説明責任を果たすべく、各部予算要求段階、査定段階の2回にわたり、情報提供を積極的に行ったものであり、あくまで、少しでも予算編成の内容がわかりやすくなるように、との思いから作成したもので、決して「情報隠し」を意図したものではございません。

商工会議所への助成金増額が新規事業として参考資料に載っていない点につきましては、従来から予算措置されている助成額の増大として捉え、新規事業という認識に欠けていたためであります。

  議員のご指摘を受け、改めて考えてみますと、本来は、新規事業として、参考資料に載せるべき内容であったと反省いたしており、今後、このようなことがないよう、努力いたしてまいる所存であります。

次に、財政健全化法等に対する見解についてであります。 財政健全化法が成立し、連結実質収支比率をはじめとする4指標による財政の健全化に対する判断基準が示されたところでありますが、これに対する様々な受け止め方があるのも事実であり、承知いたしているところであります。

それぞれの自治体におきましては、地域の抱える特殊性など様々な要因により、行財政運営が行われているところであることから、財政状況の把握にあたりましては、全国一律に示された基準のみならず、これまでの各種指標や財政分析データなどを含めてチェックすることにより、自主的な政策判断をし、市民への説明責任に努め、ご理解を賜りながら市政運営をすすめることが重要であると考えておりますので、ご理解賜りますよう、お願い申し上げます。

 

2;多面的に効果絶大なシルバーによる広報配布について

 広報配布の委託について、シルバー人材センタ―も検討対象に上がり、シルバーもまた、それを目指して、内部で真剣に検討と体制づくりをしてきたと聞いています。

 私としてはこの動きを全面的に歓迎し、高く評価していますが、そういう立場から以下に質問いた します。

Q1:市広報の配布をシルバー人材センターに委託した場合、
A:営利を目的としないので、絶対に業者よりも安い値段で委託できる。   
B:事業所も含めた確実な全戸配布をするために、配布要員おおよそ130人前後が必要になろう    

が、担当する地区・建物状況によって、労力が全然違う。     

シルバーによる広報配布実施とは、要するに、「配布労力の不平等を承知の上で、不平を言わずに配布を受け持つ、使命感の高い130人前後の高齢者部隊」を形成・育成する、ということであり、「市民参画」・「市民協同」を前進させるためのひとつの強力な土台になる。   

C:それは市が08年度中に予定している「地域通貨」発行・NPO立ち上げとも連動して良い効果が出てくるだろし、行政業務を可能な部分は地域住民に分担して、地域雇用と効率的出費で住民参画を進めていく方策の一端を担う先駆例になる。

 というような、大きく多面的なメリットが考えられるが、これには市も同意できるのではないか?

Q2:広報配布業務受託をシルバーに引き受けてもらう場合は、その意義と難しさの両方を、シルバー側によく説明しておかなければならないと思うが、市の見解や、シルバー内部での準備はどうか?   

最後に、シルバーへの委託となった場合、市長が出向いてシルバーの人々を鼓舞激励すれば、志気が高まり効果が上がると思うので、ぜひそうされるよう、提起しておきます。

【答弁】 辻中市長公室中
シルバー人材センターによる広報配布についてであります。

市民と行政をあまねくつなぐ唯一の広報媒体であるという重要な役割を担う広報紙の配布につきましては、長期的かつ市内全域にわたる安定した業務の遂行能力が求められます。

このような役割と、高齢者の雇用の確保及び福祉の増進というシルバー人材センターの設立主旨を勘案し、検討を重ねております。

業者の選定につきましては、業務の遂行能力を慎重に見極めながら、シルバー人材センターも対象に加えて進めて参りたいと考えております。

なお、シルバー人材センターによる広報紙の配布が、地域通貨の発行やNPO法人の立ち上げに与える効果については、未知数の部分が多くありますが、代表質問でも答弁しておりますとおり、地域通貨の発行により、問題意識を持ちつつも団体としての活動に至っていない個人や同好の集まりについても、NPOやボランティア団体の立ち上げに結びついていくのではないかと考えており、そのような活動を展開していただきやすい土壌の形成を、市として積極的に進めて参る所存です。

3:「教育立市」の裾野としての幼児教育への認識について

 市長は「教育立市」という意欲を持って小中学校の条件整備に取り組んでいると思いますが、その必須の裾野である「保育園児・幼稚園児・施設未入児全てを含めた幼児教育」への理解もぜひ深めていただきたい。

 そのための格好の学習材料が、昨年来門真市が開催している「幼児教育振興検討委員会」の議事録です。

 それを読むと、非常に高度で真摯な話が交わされている事に感銘を受けます。

 その主軸が、委員長・議長になっている大阪教育大学教授の早川勝廣(かつひろ)先生で、ご自身 の論文も出されて説明され、全体をリードされていますが、その深い見識、卓見には敬服させられます。

  09年度から新しい「保育所保育指針」と「幼稚園教育要領」が実施される事になり、それに向けて既に厚労省から「保育指針の素案」が出され、文科省から「幼稚園教育要領」改定案が出されており、 08年度は新体制移行の準備期間となります。

 「どんな場で育っても、公立・私立、幼稚園・保育所の別なく、同じスタイルの子育てを受けて義 務教育の場である小学校に上がっていくべきだ」、という考え方がその基軸であり、教育や保育だけで なく、保護者への「子育て支援」や「虐待対策」をする事も、幼稚園・保育園の業務であると明確に され、法的強制力を持っていきます。

 全ての就学前児童を巡る状況は、まさに一挙に変わっていきます。当然、門真市もこの新しい状況 を踏まえて、幼児教育・保育の改編・刷新をしていかなければならないわけです。                     

以上述べた上で、質問に移ります。

Q1:「幼児教育振興検討委員会」の1回めから4回目までの議事録について、市長・教育長・健康福祉部長、そして子ども育成室室長・保育園民営化推進担当参事のそれぞれは、既に読んだかどうか、読んだという方はそれぞれどのような感想を持ったか、聞かせて下さい。

 少なくとも市長以外の方々にとっては、自己の所管に直接関わる重要な話なので、逐次読んでおくべき事と思います。

 市長の場合は多忙でまだお読みではないかと想像しますが、もしそうならば、議会が終わった後にぜひ読んでもらいたいのですが、どうでしょうか?

Q2:「全ての就学前児童への幼児教育」への理解と支援を抜本的に深めるために、この議事録や関係規定を教育部門・保育部門の職員はぜひ精読・研究すべきと思うが、どうか?

Q3:「委員会」の事務局には保育部門からは課長補佐がたった1人しか出ていないが、課長も追加して補強すべきではないか?

Q4:保・幼・小連携が必須となる今後の状況において、東小学校校区にだけ保育園も幼稚園も全く無いという状態は、公平な行政実施という面も含めてどのような弊害があると認識しているか?  
 民間でもよいから何らかの幼児施設を誘致して改善すべきと思うが、その方策の研究と実施を どう考えているか?

Q5:「検討委員会」で副委員長から「門真市は公立幼稚園が4カ所しかないというのが保幼少連携を難しくしている」と指摘されているが、その上に7つある公立保育園を4園一挙民営化して公立を3つに減らしてしまうのは、保幼少連携をさらに難しくしてしまうのではないか?

4園民営化方針を決めていく期間に、市は「保育所保育指針」と「幼稚園教育要領」が改訂されて今後行政に大きな責任が増えることを認識していたのか?   こういう状況を考えずに民営化方針を進めたのではないか?

Q6:今後の幼稚園・保育所では、「子育て支援や虐待への対策は(正式な)業務になると明確にされた」、と指摘されているが、こういう重責を負わせるのに保育士や教諭をアルバイト身分で放置する事はあまりに不適切ではないか?  

 【答弁】 奥田学校教育部長

 
「教育立市」の裾野としての幼児教育への認識についてであります。

「幼児教育振興検討委員会」の議事録は、市長、教育長は目にとめております。健康福祉部部長、子ども育成室長は、教育委員会よりの回覧文書にて一読しております。保育園民営化推進担当者についても今後は回覧文書にて対応してまいります。

なお読後の感想につきましては、現在、検討委員会にて審議中ですので控えさせていただきます。また、関係する課は事務局として検討委員会に出席するとともに、議事録の確認をしておりますし、教育部門・保育部門におきましては、毎回の検討委員会終了の後、関係職員に回覧し、周知を図り、幼児教育の理解に役立てております。

議事録は市の情報コーナー・ホームページにも掲載しておりますので、今後もできるだけ関係部署への周知に努めてまいります。

次に保育部門から事務局員を追加補強すべきではないかということにつきましては、この検討委員会では、審議を進める中でこれまで保育所に関係する質問も出てきており、保育行政に精通した保育課長補佐が、各委員からの質問に対しても的確に対応しております。また資料の収集や次回の検討委員会の開催に向けての準備等、適切かつ十分にその任を果たしております。

したがいまして、現在は、1名で対応できるものと考えております。

次に東小学校区の保育園・幼稚園の問題ですが、議員ご指摘の内容につきましては、検討委員会で委員から出された意見として受け止めており、交流時における課題等は認識いたしております。検討委員会の中でご審議いただいておりますので、答申を受けた後、その内容について検討してまいりたいと存じます。 子育て支援や虐待への対策につきましては、保育園・幼稚園ともに園長を中心として園全体で対応を行うべきものであります。

したがいまして、臨時幼稚園教諭・保育士においても一個人に重責が負わされるものではございません。

臨時幼稚園教諭・保育士につきましては、今後ともその専門性を生かし、他の職員と連携・協力しながら、子育て支援や虐待への対応等を含め、組織の一員としてより適切な対応ができるよう指導に努めてまいります。

また、保育所保育指針の素案では、保育士は子育て支援について、そのことが業務であると明確にされており、これまで以上に重責であると認識しておりますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。

 

【答弁】 北村健康福祉部長

「教育立市」の裾野としての幼児教育への認識についてのうち、健康福祉部所管質問について、私よりご答弁申し上げます。

まず、保・幼・小すなわち保育所、幼稚園、小学校の連携についてでありますが、今後ますます重要になってくるものと認識しております。 また、公立・私立を問わず、保育所や幼稚園と学校とが連携していけるよう努めてまいりたいと考えております。

その様な中で、保育所におきましては、保育に欠ける児童の保育を行うことを目的とした福祉施設であり、公立から民間に移行しましても、引き続き地域での子育て支援の拠点としての役割を担うこととなり、幼稚園・小学校との連携を強めていくことに何ら変わりがないものと考えております。

次に、市立保育所民営化の方針決定時での「保育所保育指針」及び「幼稚園教育要領」の改訂内容への認識についてでありますが、現在、国で改定作業が進められている保育所保育指針では、行政責任の強化が盛り込まれていることは認識しておるところでございます。

また、新たな指針では、保育所の役割として、在園の子どもたちにとどまらず、地域の子育て支援の充実が重視されることを受け、市立保育所の民営化基本方針では、民営化により保育ニーズに柔軟かつ速やかに対応を図る一方で、存置する市立保育所では地域の子育て支援を強化していくことを掲げるなど、これまでにおいても、国における改定の経過を注視しながら検討を進めてきたところでありますので、よろしくご理解賜りますようお願い申し上げます。

4:他市に税を取られる市外居住職員がついに7割を越えた事への改善策について

 私が01年および05年本会議質問で指摘し、警鐘を鳴らした通り、門真市では職員の市外居住がジワジワと増え、中高所得の部類に入る市職員が他市に税金を払って、門真市からは通勤手当を受け取る、という構造が進んでます。

 職員の市外居住率は、1995年で既に69.5%で、今年1月段階で全職員1081人のうち768人、 70.5%となり、課長級以上で見ると01年で77.7%、今年は79%に達しています。

 08年度予算で通勤手当受給者は全職員1081人のうち982人で、その金額が9808万8000円になってます。

 これは、その1割が不要になれば年間980万円、約1000万円が浮いてくると言う事です。

 また、職員が門真市内に住めば、直接の税金だけで年間平均70万円くらいは門真市に入るはずで、 そういう職員が100人増えてくれれば税収だけで年7000万円、地域経済への波及では1世帯300万円 とみれば年間3億円の効果を生むことになります。

  だから、門真市に転入する職員に例えば現金30万円払っても全然構わないし、また市内居住の職員 には門真から出ていかれるよりは、引き留め策として年間10万円出し続けても十分に釣り合う、と私 は主張するわけです。

 これは、金銭勘定からしても市民に十分納得してもらえると思いますし、また市内居住職員はいわ ゆる「近所の目」を365日背負い、事あるごとに動員体制に組み込まれる大変さにも配慮してあげる べきだと思います。

 近隣他市に住んで通う方が、個人生活の上ではずっと楽なはずです。

 また、門真市は自然環境・都市環境面で変えようがない不利な面が多い事も否定できません。

 だから中高程度の所得層に定住してもらうには社会的優遇措置を工夫する事が不可欠なのです。

 ただ、いくら財政的に望ましいと言っても、職員の7割も8割もが市内居住できるとは思ってませんし、それが善だとも思っていません。弊害も出てしまうでしょう。

 私はただ、できれば5割近くは市内に住んで欲しい、せめて今後10年かけて4割くらいにはなって欲しいと願うものです。

 このまま放置すれば職員の2割か1割しか市内に住んでいない状態になるのは明白なので、それは絶対に避けて欲しい、と思っているのです。

 私がこの問題を強く主張するのは、全庁挙げて「行革だ、行革だ」と言って数万円数千円単位にまで支出減・収入増の案を打ち上げていながら、この問題だけは全くタブー扱いで、誰も言わない、行改の項目に取り上げる事すらしないでいる事に呆れているからです。

 この問題をタブー視するような有様で何が行革か、何が収支改善か、と思うからです。

 財政改善問題としても、市の姿勢と志気の問題や住民との共感共鳴の問題としても改善を考えるべきで時です。

 市の見解を述べて下さい。

  さて、なるほどこの問題については、役所内部で議論するには様々な心理的抵抗がある事もまた、 理解できます。

 どこに住むかは全く個人的な自由と事情に委ねられる事であって、しかも人生どこで変化が起こるか、当人にも分からない事です。

 それぞれに個人事情を抱えた上司・部下・同僚が、論議をせよと言われても、市外居住の人は自分が責められているみたいに思えるだろうし、市内居住の人は自分を優遇せよと求めるみたいで、どちらも気持がこわばってしまって、客観的な論議ができないでしょう。

  そこで、私は、08年度内に行政外部の有識者によって、   
・職員の市内居住率が、さらに下がった場合の種々の弊害、   
・逆に市内居住率を40%程度に向上させた場合の経済効果・意識効果・行政効果   
・10年程度でその方向での効果を出すための方策

 などを自由闊達に研究・提言してもらう事を提起します。   

それを必ずやることを、市には明言して欲しいがどうでしょうか?             

【答弁】   北口企画財務部長

他市に税を取られる市外居住職員がついに7割を超えた事への改善策につきまして、私より、ご答弁申し上げます。

  本来、職員がどこに居住するかは、職員それぞれの生活事情や住宅事情の中で、職員自身が決定すべきものであると考えておりますが、職員が市内に居住する事により税収が増加し、地域経済にも波及効果があることについては、認識いたしております。

しかしながら、職員の市内居住を誘導する方策のひとつとして、給与制度等において優遇策を講じることは、行財政改革により市民サービスの見直しを行っている状況のもと、市民の理解と納得を得られるものかどうか、また、国の行財政制度の中で技術的に可能かなど、課題は多々あるものと考えております。

なお、まちづくりの観点からは、通過都市から脱却し、定住都市へと転換するためには、定住できる住宅や住環境の創造を促進する仕組みや施策を重視した定住環境の創出に重点をおいたまちづくりが重要であり、門真に住み、働き、学び、憩う、元気な若い世代が暮らしやすい生活環境の整備が必要と考えております。

この考え方において、担税能力のある市民の方々の定住促進に取り組むことが、ひいては、職員の市内居住の促進にもつながるものと考えております。

今後は、まちづくり施策において、定住促進の実現化の方策を検討する一方、議員ご指摘の点等を踏まえながら、様々なご意見を頂戴し、試算も含め調査・研究してまいりたいと考えておりますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。

5:国保料等と年金・給与等の差押え問題について

  各種料金の値上げと生活苦が強まる中で、税・保険料・公営住宅家賃等の収納に関して、「悪質滞納」 とは別に、「払うに払えない」人々や「値上げ反対闘争」が発生する事例が、各地で増加しています。

 その中、2月に八尾市当局が、市営住宅の家賃を供託しつつ家賃値上げ反対運動をしている住民28世帯に対して、突然、無警告に、高齢者の命綱である年金が振り込まれて土日を挟んだ月曜に、郵便貯金口座を差し押さえ、全額引き出すという事件が起こりました。

 住民の方々は、国民健康保険料、電気・ガス・水道料金の引き落とし等、全ての支払いが不能になり、命にも関わる生活危機に突き落とされ、ショックで心身の状態が悪化した人も出ました。

 これを行政が絶対にしてはならない「反面教師」として捉え、以下に質問するものです。  

Q1:差押えの禁止や制限は法的にどう規定されているか?  

  年金の場合は差押えする事が禁止されているのではないか?

  「最低生活の維持」、「地位または対面の維持に必要と考えられる金額」を保障しなければならないのではないか? 

Q2:年金の支給は全て口座振り込みになっているのではないか?  

  給与についても圧倒的多数が口座振り込みにされているのではないか?

Q3:八尾市当局の場合、「年金を差し押さえたのではなく口座を差し押さえただけだから合法だ」と言っているそうですが、これは詭弁というものです。    

給与に関して、「受給者の生活保持の見地からする差押え禁止の趣旨は尊重されるべきであり、預金口座の差押え命令は、執行法第153条により取り消されるべきである」、という判例もあります。

 国税庁の「基本通達」でも、「差押えにより生活の維持を困難にする恐れがある金額については、 差押えを猶予し、又は解除することができる」と定めており、また、民事執行法第153条第1項で差押え命令の取り消し請求が規定されていて、今回の事案では、差押え処分の全部または一部解除の決定が出される事は明白です。

 以上を考えれば、八尾市がやった事は、法的に無効な部分があるのを承知の上で、家賃供託住民への嫌がらせや分断のために、生活資金強奪を行なったと思うほかありません。

  こういった攻撃によって、もしも住民側に心身の疾患や障害とか、自殺者などが出た場合、 どう償えるのか、想像するだに恐ろしい事です。  

  行政たるもの、八尾市の如き無体な手法は決して取ってはならず、法律の条文趣旨に沿って、 基本的人権への配慮を欠落させない手法によらねばならないと思います。  

  市の姿勢と見解を明確に述べて下さい。  

【答弁】 柏木市民生活部長

  
@についてであります。  

年金や給与に関しての差押えの禁止や制限の法令上の規定についてでありますが、まず、年金や給与につきましては、債権であります。 したがって、差し押さえに関しましては、国税徴収法第62条で債権の差押の手続き及び効力発生時期が規定されております。

また、同法第76条で給与等の差押禁止額等が規定されております。

 年金につきましては、国民年金法、その他厚生年金法等の法律に給付を受ける権利は、譲り渡し・担保に供し、又は差押えることができないと規定されていますが、各年金法等の但し書きにより滞納処分により差押える場合は、この限りでないと定められており租税公課での差押は、禁止されている物ではないと定められております。

なお、年金の差押禁止額についても、国税徴収法第77条第1項で同法第76条の規定を適用すると定められております。

給与につきましては、国税徴収法第76条で差押禁止財産として規定されており、最低限の生活を維持するために必要な金額は差し押さえることはできないこととし、給与の全額を差押えることは、できないものとされています。

「最低生活の維持」「地位または対面の維持に必要と考えられる金額」につきましては、具体的に、年金及び給与の差押禁止額の計算方法でお答えさせていただきます。

計算方法は、次のとおりでございます。

1号は、給付から差し引かれる源泉徴収税額 2号は、給付から差し引かれる地方税 3号は、給付から差し引かれる社会保険料等 4号は、本人分10万円と本人以外の家族数に4万5千円を乗じた額との合算額、ただし年金の場合は、この合算額の3倍の額 5号は、以上、1号から4号の合計額に0.2を乗じた額以上、1号から5号の合計額を、年金及び給与の給付額から差し引いた額に対し0.2を乗じた額。 又は、4号の額を2倍した額のいずれか低い額に 1号から4号を加算した額が、国税徴収法第76条第1項各号に定める差押禁止額であります。  以上でございます。

Aについてであります。

各種年金の支給等については、直接携わっておりませんので、詳細については不明でございますが、国民年金・厚生年金保険老齢給付査定請求書によりますと、支払機関として金融機関・郵便貯金への振込みと郵便局窓口の現金払いの選択ができるようになっていることから、口座振込みに限定されていないようでございます。 給与につきましては、実態等については、不明でございますが、大部分の方が口座振込みを利用していると思われます。

Bについてであります。

 年金や給与が、一旦受給者の預金口座に振り込まれた場合は、その法的性質は受給者の金融機関に対する預金債権に代わり、何ら制限されることなく、その預金金額について、差押えることができるものと認識しております。

 しかしながら、差押をすることによって、受給者の生活の維持を著しく困難にするおそれがあると認められる場合は、地方税法第15条の5の規定により、換価の猶予すなわち納付緩和措置を適用し、猶予期間内の分割納付を認め、必要に応じ、差押を猶予し、または、差押を解除することができます。

 ただ、差押等滞納処分を進めるに際しては、納付義務者の個々の実情等を十分に把握して、実情に応じた納付緩和措置を適用しながら進める所存でございます。

 しかし、納付実績も無く、納付相談にも応じない悪質滞納者については、積極的に財産調査を進め、財産差押えを進めて参ります。

 現状においては、財産差押を執行しても、差押え後の納付相談に応じるなど、納付義務者の実情が把握でき財産差押を継続することにより、滞納者の事業の継続・生活の維持を困難にする恐れがある場合には、先程述べましたように、地方税法第15条の5の規定を適用し、全額又は一部の差押解除を行っているのが現状でございます。

 今後とも、納付義務者の実情に即し、適宜的確に納付緩和措置を適用しながら、市税の確保及び国民健康保険料の確保に努めて参りますのでよろしくお願いいたします。