20年度施政方針

 

  平成20年第1回定例会の開会に際しまして、新年度の市政運営の基本方針を申し述べ、議員並びに市民の皆様方のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 最近の社会情勢にありましては、年金受給問題やC型肝炎をはじめとする医療問題さらには輸入加工食品による健康被害事件などの食の安全・安心に関わる問題等々、私たちの日常生活における信頼や安心を揺るがす出来事が多発しております。

このような虚構多き社会問題を目のあたりにするにつけ、本質を見極めていくことの大切さを実感するとともに平穏で豊かな社会の実現のためには、市民の皆様の安全・安心の確保が極めて重要な課題であることを再認識いたしているところであります。

 また、経済分野をはじめとするグローバル化が急激に拡がり、今や国際的な大競争時代に突入いたしております。アメリカにおけるサブプライムローン問題に見られるとおりその衝撃は瞬く間に世界の経済圏を駆け巡り、世界金融市場を大きく揺るがしております。

何らかの要因により同時に世界が動く。
このような環境に私共は置かれており、これに敏感に対応していかなければならない訳であります。また、企業の多国籍化、外国資本の流入や情報通信網の拡大など、グローバル化の波はとどまることを知りません。
このような状況にあって我が国も国際競争に打ち勝ち、経済大国としてゆるぎない地位を保つべく、近年、これまで我が国を支えてきた旧体制から抜け出し、新たな体制の構築が図られてまいりました。

政治、経済などをはじめとする構造改革へのうねりであります。
地域間格差や所得格差など、いろいろな軋轢や痛みを伴いながらもその動きは続けられております。

今や我が国の債務残高は約840兆円もの巨額に達し、国際的な信頼や信用がゆらぎつつあるとされておりますが、事実として現出しておりますグローバル化の進展という大きな世界観に立って国際社会に対処していかなければ我が国の未来はないものと思っているところであります。

 地方自治体におきましても、また同様であります。都市間競争の生き残りをかけて、都市経営力を高め自立していくことが強く求められており、担税力の脆弱な本市は、他市にも増して構造改革を進め行財政基盤を強固にしていくことが最も重要なことと考えております。

今、本市が置かれております財政危機は、過去2度にわたる危機以上の深刻さがあるといっても過言ではありません。
これを乗り越えていくことは容易いことではないと思っておりますが、何としてでも財政破綻は避けなければなりません。

現在取り組んでおります収支均衡のとれた財政構造への転換、国民健康保険事業の健全化、そして第2次行財政改革の確実な実施などを柱に、全職員が一丸となって創意工夫に努めるとともに、市民の皆様、議員各位のご理解とご協力を賜りながら早期に財政再建を果たしていくことが私の大きな責務であると考えております。

 また一方では、このような財政状況にありましても門真市都市ビジョンに示す明日の門真への足取りは一歩ずつ着実に進めていかなければなりません。新たなまちづくりへの投資を行ってこそ、望ましい成果を得ることができるものと確信いたしております。

このため、時代の変化に対応した持続可能な都市構造への転換を図るべく、財政状況を十分見極めながら「まちづくり」「産業振興」「教育の向上」という3つのキーワードを基軸に据え、市民の皆様との協働のもとに市政の再生に取り組んでまいります。

 今後におきましても、様々な市政改革の推進に全力を傾け「財政の再建」そして「市政の再生」へと邁進してまいりたいと考えております。

 また、先般の知事改選により新たな大阪府政がスタートいたしました。
現在 いろいろな情報が飛び交っておりますが、その方向によりましては市町村行政
への影響も少なからず懸念されるところであり、府政の動きはもとより国政状 況の推移をも十分、注視しながら的確な市政運営に努めてまいりたく存じます。

 それでは、これより各施策について順次、申し上げます。

財政再建

 財政再建の取組みといたしましては、平成17年12月に「門真市行財政改革推進計画」を策定し、行政全般にわたる改革を進めてまいりました。

 しかしながら、国における三位一体改革の影響や保健、福祉、医療等の度重なる制度改正などにより、収支予測において乖離が生じ、大幅な収支の悪化が見込まれるところとなりました。

 また、このような事態の中、昨年6月には財政の健全性を各種特別会計や公営企業などを含めた連結決算ベースで測ろうとする「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」が制定され、その後、12月に財政健全度を判定するための実質赤字比率など4指標の基準値が示されたところであります。

 現在本市は、昨年8月に行財政改革推進計画に財政健全化に資する緊急財政改善計画を加えた「門真市財政健全化計画(案)」を策定し、全力を挙げ、かつ、重大な決意をもって、この財政危機に対処していくための取組みを強化してきたところであります。
しかしながら、国民健康保険事業をこのまま放置すれば、本市は平成20年度決算において連結実質赤字比率の基準値をクリアできないことが明白な状況となっており、早期健全化団体に転落することが必至となっております。
このような状況に対処するため、「門真市財政健全化計画(案)」の中に国民健康保険事業特別会計収支改善計画を早期に策定・包含し、具現化を図るとともに、さらなる行財政運営の簡素化・効率化を進めるうえで、新たな方策を示す「第2次門真市行財政改革推進計画」を着実に実施し、改革をより強力に推進してまいりたいと考えております。

 また新年度の予算編成におきましては、緊急財政改善計画の内容となっております退職手当債の発行及び財産収入の確保を図るとともに、本市で初めての試みとして、できる限り行政の質を維持しつつ、事業内容や費用対効果において所管部局の自主的な意見を直接予算に反映することにより、限られた財源をより効果的かつ効率的に活用でき、職員の勤労意欲をも高め得るシステムである「各部財源移譲型予算編成方式」を実施したところであります。
このことにより、基金依存体質から脱却し、歳入歳出における収支均衡の取れた財政構造へと年次的に転換すべく、今後も「財政の再建」に向けた取組みを進めてまいります。

まちづくりの推進に係る施策

都市ビジョン

 私の市長就任の折からのゆるぎない都市再生とまちづくりへの信念を具現化し、「活力あるまちなか創出都市 門真」を都市理念として、行政と市民の皆様と事業者がともに目指すべき門真市の将来像として策定いたしました都市ビジョンについてであります。

 新年度はアクションプランの一つとして、第一中学校と第六中学校の統合を契機に、市役所周辺地区及び第一中学校用地の周辺を魅力あるまちの顔づくりと位置づけ、幸福町・中町まちづくり基本構想に引き続き、整備に向けた基本計画等の策定を行ってまいります。
また、その推進にあたりましては、本市がおかれている厳しい財政状況を踏まえ、PFI等民間活力の導入を視野に入れるなど、新しい門真市の再生となる顔づくりの実現を目指してまいります。

第二京阪道路

 事業者において、平成21年度末の全線供用を目標に、積極的に取組まれており、今後は、下部工事に引き続き、順次上部工事に着手される予定であります。市内全線にわたり工事が進められている状況にあって、工事中の安全対策はもとより、市民の生活環境等に対して、より一層の配慮を行うとともに、十分な環境保全対策が図られるよう、今後とも必要な事項は事業者に強く申し入れを行うなど、引き続き事業者と調整を図ってまいりたいと考えております。

鉄道駅舎におけるエレベーターなどの設置

 門真市移動等円滑化基本構想に基づき鉄道事業者である京阪電鉄に補助金を交付し、京阪大和田駅にエベレーター等のバリアフリー化諸施設を設置いたします。また、西三荘駅につきましても、平成21年度に事業が実施されるよう関係機関と協議・調整を行ってまいります。

道路

市道大和田茨田線の歩行者、自転車の安全対策として、年次計画に基づき改良工事を実施するとともに、その他の道路につきましても、市民の皆様が安全で安心して通行できるよう交通安全施設の整備と道路の維持管理に努めてまいります。
また、昨今、社会問題となっている橋梁等の老朽化の現状把握のため、一定の長さのある橋につきまして、調査・点検を実施してまいります。

地域整備

 まず、四宮土地区画整理事業につきましては、換地計画の整理に向け土地区画整理審議会のご意見をいただくとともに、平成21年度の換地処分に向け、引き続き認可権者の大阪府をはじめ関係方面と協議・調整を図ってまいります。
   
 次に、北島地区の市街化調整区域におけるまちづくりにつきましては、第二京阪道路の機能を最大限活用すべく、商業・業務施設や住宅等が集積した高度な土地利用の実現を図るため、既存の「北島地区の今後を考える会」が発展的にまちづくり協議会に移行できるよう、技術や情報の提供を通じた支援を継続してまいりたいと存じます。

 さらに、上三ツ島地区につきましては、土地区画整理事業の可能性の調査・検討を行い、産業立地を含めた土地利用について検討を行ってまいります。

計画的な市街地の整備

 市北部地域の密集市街地につきましては、民間と協働のもと安全で安心な防災性の高いまちづくりを目指し、住環境の整備改善に取り組んでいるところであります。

 まず、小路中第1地区につきましては、老朽建築物等の除却が完了したことに伴い、関係機関、権利者等と協議・調整を図りながら土地区画整理事業との合併施行による地区整備を引き続き進めてまいります。

 次に、本町地区につきましては、新年度には老朽建築物の除却が完了する予定であります。当地区は独立行政法人都市再生機構が事業主体であります防災街区整備事業との合併施行による地区整備を計画しており、早期に事業の着手に向けた取組みを進めてまいります。

 石原東・大倉西地区につきましては、任意の組合が設立されて以降、建物除却や公共施設用地の買収等に取り組んでおります。

 新年度も北部地域における住環境の整備改善をさらに加速させてまいりたいと考えております。

住宅・住環境

 市営住宅につきましては、地震に対する安全性の確保を図るため、昭和56年以前に建設された新橋市営住宅2期及び寿市営住宅1期の耐震診断を実施いたします。また、分譲住宅等との合築施設である新橋市営住宅1期は、耐震性確保のための諸課題について検討してまいります。

 次に、住居表示につきましては、市民生活の利便性の向上を図るため、
第13次住居表示整備として、未整備区域のうち四宮土地区画整理事業地内とその周辺地域である大字巣本、岸和田、上馬伏、下馬伏、上島頭の全部と大字下島頭の一部区域64.03ヘクタールについて、区画整理事業終結と同時の事業実施に向けた基礎調査を行うとともに、地元自治会等のご意見をお聞きしながら事業の推進を図ってまいりたいと考えております。

 また、門真地区住居表示整備事業としまして、松下電器産業株式会社の本社所在地であります大字門真の全部、及び大字三番の一部区域12ヘクタールについて、事業実施すべく作業を進めてまいります。

 次に、建築開発行政についてであります。昨年度、策定いたしました門真市既存建築物耐震改修促進計画に基づき、建築物の耐震性向上に関し、市民の皆様への普及啓発を行うとともに、従前より実施してまいりました耐震診断費補助事業と併せて、新たに木造住宅の耐震改修工事費の補助制度を創設し、より一層の安全性の向上を図ってまいります。

上水道

 料金収入が依然として減少し、事業経営は厳しい環境にありますが、行財政改革を推進し、これまでよりさらに効率的な事業運営に努め、健全な経営を持続いたしてまいります。
事業につきましては、水道のあるべき将来像を示す「水道事業基本計画」に基づき、水道施設の耐震化を推進し、老朽配水管更新工事及び第二京阪道路建設関連の幹線配水管整備工事を実施するとともに配水管網の維持管理の充実と有収率の向上に努めてまいりたいと存じます。

公共下水道

 公共下水道につきましては、浸水を防除するとともに、公共用水域の水質を保全し、市民の皆様が快適で潤いのある生活を営む上で、欠くことの出来ない重要なライフラインであります。
新年度におきましても、第二京阪道路事業の進捗状況に合わせ、中部排水区の幹線管渠及び面整備の推進とともに、西部排水区におきましても、主要な管渠の整備を図るなど、良好な生活環境を実現すべく、普及率の向上に向けて、事業推進に努めてまいりたいと考えております。

市民協働に係る施策

市政への市民参加・参画

 少子高齢化・人口減少時代の進展に伴い、行政需要も広範多岐にわたるとともに質的にも変化してきており、行財政構造の見直しと新たな公共的空間づくりが必要になってきております。

 このような状況の中、本市の自立を目指した成長とこれからの持続的な発展のためには、自分たちのまちは自分たちで創り、守るという自助自立の精神を基本理念として、行政並びに市民の皆様と事業者との協働によるまちづくりを推進することが不可欠であります。
そのため、市民の皆様が主体的に地域の課題解決に向けたNPOやボランティア活動に参加・参画し、やりがいや達成感を感じられるような協働の取組みを進めてまいります。

 また、この取組みを推進するためのツールである地域通貨につきましては、これまで市民フォーラム、外部の地域通貨制度調査研究委員会や庁内の検討委員会での議論、先進事例の収集などを通じた調査・研究を進めてきたところであります。
新年度におきましても、地域通貨がコミュニティや地域経済の活性化に寄与できるよう、これを支える地域のNPOやボランティア活動が醸成されやすい土壌づくりに努めるとともに、発行主体となるべきNPO団体等への支援を行ってまいります。

コミュニティ活動

 活発なコミュニティ活動を振興していくためには、市民の皆様の誇りや愛着につながるふるさと意識の醸成が大切であります。
これまで、市民が主体となった実行委員会形式により、市民全体の象徴的イベントとして毎年実施されてまいりました「ふる里門真まつり」につきましては、地域住民間におけるコミュニケーションの充実やより一層の地域活性化につながる事業となるよう、小学校区ごとの校区版門真まつりとして企画立案していただき、その事業実施に対して補助を行う制度を確立してまいります。

産業振興に係る施策

商工行政

 昨年は、市内産業のあり方や振興の方向性を検討するための基礎資料とするため、製造業においてアンケート調査を実施いたしました。
新年度も引き続き、商業及びサービス業等においてアンケート調査を実施し、今後の商工業の活性化に向けた「門真市産業振興ビジョン」策定への取組みを進めてまいります。
 
 企業誘致につきましては、交通アクセスに優れた本市の立地特性をいかし、優良企業の誘致、地域雇用の創出、さらには市財政の基盤強化に繋げていけるよう進出意向のある企業からの多様なニーズ把握に努め、総合的・効果的な誘致支援策等について、検討してまいります。
 
農業振興

 本市の特産物であるレンコン等を護るため、今後も、農業振興補助事業を実施してまいります。また、環境と調和した米の生産調整推進対策事業及びさく井事業などを実施し、地域特性をいかした都市農業の振興を図ってまいります。

教育の向上に係る施策

学校教育

 昨年4月に行われました全国学力学習調査では、大阪は大変厳しいレベルにあり、その中で本市も極めて憂慮せざるを得ない状況であります。

 学力向上につきましては喫緊の課題であり、2年目となります門真市「わがまちが誇れる学校づくり」特区で、さらに国語力と英語のコミュニケーション能力の育成を目指してまいります。
また、本市独自の制度である研究指定校制度を活用し、研究校の発表会やカリキュラムの冊子化等により成果を広く周知し、市内各校の教育改革の推進につなげてまいります。

 また、行政・学校・家庭が連携しながら子どもたちの豊かな学びにつながるよう、わがまち「豊かな学び」ステップアッププランを策定し、中長期を展望した取組みを進めてまいります。
具体には、行政におきましては教育特区や研究指定校を活用した「確かな学力」の定着を目指すとともに、教育センターを中心とした様々な研修の実施により教職員の指導力の向上を図ります。
学校におきましては、学校の教育力向上、教職員の指導力向上、家庭・地域との連携とともに、教育理念の柱となる小中一貫教育を推進してまいります。また家庭におきましては、学校・PTAと協力し、子どもたちの基本的生活習慣の確立に取り組んでいただきたいと考えております。

 市立小・中学校の学校規模及び配置の適正化につきましては、昨年8月に立ち上げました第3次門真市学校適正配置審議会におきまして、適正な小・中学校のあり方について検討し、本年秋頃を目途に答申の予定となっております。

 また、本市における幼児教育の振興につきましても、門真市幼児教育振興検討委員会において昨年8月より検討し、保育所・幼稚園・小学校の連携方策や子育て支援、幼児教育のあり方、公立幼稚園の適正規模等について、同時期に答申をいただくこととなっております。

 次に、学校施設につきましては、子どもたちが教育の場として過ごすことはもちろんのこと、地域住民の災害時における避難所としても活用されることから、安全で安心な学校づくりを進めるため、校舎・体育館の耐震化に取り組んでまいります。

 また、教育環境の整備につきましては、昨年に全小中学校においてエアコン設置を完了し、学習環境を整えてまいりました。
新年度におきましては、児童・生徒の安全確保の観点から、全小中学校にAED(自動体外式除細動器)を設置し、不慮の事故等における救命率の向上を図ってまいります。

 学校給食につきましては、現行の給食内容を維持しつつ、より効果的な学校給食を実施していくため、新年度から小学校におきましても一校について調理業務の民間委託化を推進してまいります。
また、給食調理場につきましては引き続き、設備の改良を図り、効率性の高い施設の改修に努めてまいります。
 
生涯学習及び文化振興に係る施策

生涯学習

 門真市民プラザ内の生涯学習センターにつきましては、自主的な市民の文化や生涯学習活動の積極的な支援を図り、利用者の拡大に努めてまいります。さらには、最新の情報機器を整備いたしておりますIT視聴覚室を拠点にNPOとの協働による情報教育を推進してまいります。

 図書館分館につきましては、蔵書の充実を図り、市民の皆様の読書機会の向上を図ってまいります。

 スポーツの振興につきましては、市民プラザ体育館利用者の熱中症や脱水症状等に対応するため、施設の一部に空調設備を整備するとともに、市立体育館等の社会体育施設にも、不慮の事故への備えとして、救命率向上のためのAEDを設置してまいります。

 また、市民プラザグラウンドにおきましては、市民の皆様に安心してスポーツやレクリエーション活動を楽しんでいただけるよう、各種大会運営及び非常時の避難誘導用といたしまして、放送設備を設置いたします。

文化芸術

 真に、ゆとりと潤いの実感できる心豊かな生活を実現していくためには、文化芸術は必要不可欠なものと考えております。

 市民の皆様の自主的・主体的な文化芸術活動を支援していくため、昨年4月に施行いたしました門真市文化芸術振興条例に基づき、本市の文化芸術振興施策を総合的に推進するための指針となる基本方針の策定に向け、取り組んでまいります。

 また、市民文化会館を中心に展開しております文化事業等について、継続性などの検証を行うとともに、現在まで本市の市民文化振興の一翼を担ってまいりました財団法人門真市文化振興事業団の存廃について、協議を進めてまいります。

健康福祉に係る施策

医療保険

 国民健康保険事業についてでありますが、本市国民健康保険事業の運営は、年々危機的な状況が深まっております。平成18年度決算においては単年度赤字額7億9千万円、累積赤字額は58億5千万円にのぼっております。
この非常事態に対処するため、庁内関係各課によるプロジェクトチームを立ち上げ、国保事業の運営健全化に向けた見直しや改善策を早急に検討し、「国民健康保険事業特別会計収支改善計画」に基づく取組みを進めてまいります。

 また、保険料収納につきましては、未納者の履行管理や滞納処理業務を効率的に推進するため、滞納整理支援システムを導入し、より一層の収納率の向上に努めてまいります。

 次に、後期高齢者医療制度と特定検診、特定保健指導についてであります。
国の医療制度改革により75歳以上の後期高齢者と、65歳から74歳までの前期高齢者で一定の障害をお持ちの方を対象にした後期高齢者医療制度と、40歳から74歳までの国保加入者の内臓脂肪症候群、即ちメタボリックシンドロームに着目した特定健診及び特定保健指導が本年4月から開始されることとなりました。

本市といたしましても、新たな法・制度に基づいた体制を整備し、市民の皆様への周知徹底と受診率の向上、健康づくりの普及啓発及び予防医療を推進し、医療費の縮減につながるよう取組みを進めてまいります。

生活自立の援助

 生活困窮者への対応につきましては、生活保護制度の趣旨に基づき、適切なケースワークによる被保護者の自立助長の努力を促しているところであります。

 新年度には、就労支援カウンセラーや就労支援相談員の活用により、被保護者への積極的な就労支援を行ってまいります。

 また、健康管理支援員や介護支援専門員の設置により、高齢者や障害者等の被保護者に対する病状把握を的確に行い、自立阻害要因の解消を図り、適切な医療扶助を促進するとともにケアプランの検証を行うなど、医療扶助及び介護扶助の削減に努めてまいります。

 さらに、膨大な事務事業の効率化を図り、訪問指導等を充実させるため、新たな生活保護事務処理システムの構築に向けて取り組んでまいります。

高齢者福祉

 本市におきましても、急激な高齢化が進んでおり、高齢者の増加はもとより、独居高齢世帯比率の高まり、認知症高齢者とその家族への支援、高齢者虐待、介護予防や生活支援、生きがいづくりなど課題が多様化してきております。

 高齢者の方々が住み慣れた地域でいきいきと安心して暮らせることができ、また、介護が必要となっても人間としての尊厳をもって老後を過ごすことができるよう、相談支援体制を強化してまいります。

児童・ひとり親家庭福祉

 核家族化と都市化が顕著な本市にあって、子育て家庭への支援は重要な柱となっております。
そのような中で保育所における保育ニーズへの対応といたしまして、待機児童解消のため、社会福祉法人が設置している既存施設の分園化等による定員増を図るとともに、入所の円滑化事業等によりその解消に努めてまいります。

 また、現在公民の役割分担の観点から市立保育所の役割を見直し、多様化する地域の保育ニーズへの柔軟かつ速やかな対応を図るため、「門真市立保育所民営化基本方針」及び「門真市立保育所民間移管計画」に基づき、泉町、北島、小路及び柳町保育園の4つの市立保育所を平成21年度から民営化に移行すべく作業を進めているところであります。

 新年度におきましては、民営化後の保育所を運営していくこととなる社会福祉法人を選定するとともに、保護者・運営法人・市で組織する三者懇談会の設置や運営法人の職員と市の職員がともに保育を行う合同保育を実施するなど、保護者の理解を得ながら、また、子どもたちへの影響に配慮しながら、円滑に民営化を推進してまいります。

 放課後における児童の健全育成事業につきましては、平成17年度より放課後児童クラブの開設に取り組んでいるところであり、現在の6校に加え、新たに門真、古川橋、沖、北巣本、五月田小学校の5箇所で開設してまいります。

 次に、児童虐待の予防と早期発見・早期支援に対応するため、新年度には児童家庭相談システムの導入により、一層の相談業務の効率化を図り、子どもにかかわる関係機関や団体を構成員とする要保護児童対策地域協議会のもと、子どもの権利擁護や子どもと家庭の福祉向上を目指してまいります。
  
健康増進事業

 保健福祉センターを拠点に各種事業を実施してきたところでありますが、新年度におきましては、妊婦の方々の健康確保と経済負担の軽減を図るため、妊婦健康診査の公費負担を現在の妊娠前期分1回から、妊娠中期・後期分、各1回を追加し併せて3回に拡大してまいります。

 また、昨年は全国的に10代及び20代を中心とした年齢層に麻しんが大流行したことから、国において麻しん蔓延防止対策を柱とする「麻しん排除計画」が策定されたところであります。
本市におきましてもこの計画に基づき、今後5年間の時限措置として中学1年生と高校3年生に相当する年齢の方を対象に、麻しん風しん混合予防接種の追加実施を行ってまいります。

市民生活に係る施策

廃棄物処理

 資源循環型社会を目指し、分別の徹底やごみ排出の抑制などごみの減量化・再資源化を進めてまいりましたが、さらに積極的な取組みが重要であると考えております。環境保全などの市民意識の向上、エコライフスタイルへの転換を目指すとともに、受益者負担による公平性の観点から、本年4月より粗大ごみの有料化を実施いたします。

 また、社会情勢の変化や新たな法整備等を踏まえ、今後の本市における一般廃棄物処理行政の方向性やあり方について検討するため、平成11年に策定いたしました「一般廃棄物処理計画」の改訂作業に着手してまいります。

消費生活

 近年、これまでの長引く不況を背景に、多重債務者が増加し続けております。
生活困窮などによる返済能力を超えた借り入れが要因として指摘され、このことが住宅、教育問題、公租公課等の滞納問題にも影響を及ぼしております。
当事者が自己の多重債務問題を解決し、生活再建ができるよう新年度より専門相談窓口を開設するとともに、庁内関係部署とも連携を図り、相談体制を充実してまいります。

防犯・防災対策

 ひったくりなどの街頭犯罪のない安全で安心なまちづくりに向け、市民・企業・警察・市が一体となった防犯活動が重要であると考えております。
とりわけ、夜間における犯罪防止効果を高めるため、各家庭や企業などに玄関灯や門灯の点灯を呼びかける「一戸一灯運動」を進める一方、市におきましても必要な地域に対し、通行人に反応するセンサー付き防犯灯の設置について支援し、明るいまちづくりを促進してまいります。

 自主防災につきましては、自治会を自主防災組織と位置づけ、その育成強化に努めるとともに、共助の精神の醸成と地域における防災活動を支援してまいります。

 また、災害時における速報性の充実と確保を図るため、「FMハナコ」においてコミュニティ放送では初めてとなる緊急地震速報を開始するなど、幅広い行政情報を発信してまいります。

行政管理に係る施策

人事管理

 現在、少人数行政への移行を進めており、職員の人材育成や人材の有効活用による組織力の強化が緊急の課題となっております。

 昨年策定いたしました「門真市人材育成基本方針」に基づき、職員研修を充実・強化し、よりスリムな行政を目指す中で、政策形成能力を高め、課題を的確に実践できる職員を育成してまいります。

 また、新たに人事評価制度を導入し、目標管理との連携による評価を行うことにより、職員の能力向上と組織力の強化を図ってまいります。

 さらに、今ある人材を有効に活用するものとして、技能労務職から事務職への任用替制度を実施してまいります。

組織管理・庁舎管理

 まず、組織・機構についてでありますが、本市がおかれている極めて厳しい財政環境や社会情勢のもと、行財政改革や新たな行政課題等の政策・施策を的確かつ確実に実現すべく、さらに効率的な行政組織を整備するため、本年4月に機構改革を実施してまいります。

 庁舎管理につきましては、来庁者用の駐車場における障害者用駐車区画を増設し、体の不自由な方のみならず、身体内部に障害をお持ちの方や妊産婦などの皆様にも、気遣いなく利用していただけるよう、従来の車イスマークに加え、ハートプラスマークやマタニティマークを表示してまいります。

第5次総合計画の策定

 総合計画は、未来の門真のあるべき姿と、それにいたるための方向を示すものであり、本市の有する特性を踏まえながら、新年度よりその策定に着手してまいります。

 計画策定過程におきましては、市民協働によるまちづくりへの強固な礎となるよう市民・事業者の皆様に参画していただくための市民会議を立ち上げ、門真市の将来像をともに検討してまいります。

 

 以上、新年度の主要施策とその概要を申し上げたところでありますが、新年度の予算規模につきましては、一般会計予算が458億1,800万円、また、国民健康保険事業特別会計ほか7事業会計予算をあわせまして、総額770億635万円の予算といたしたところであります。
本市は、行財政改革、財政の健全化など、将来を見据えた安定性のある行財政基盤を確立する上で、今まさに正念場に立たされております。

 これまでも、市民の皆様にとって住みたい・住み続けたいまちとなるよう各種施策に取り組んでまいりましたが、今後の第2次行財政改革を進めるにあたりましては、市民サービスの見直しなど苦渋の選択を迫られることもあろうかと存じます。

このように極めて厳しい事態に直面してはおりますが、このことを試練としてとらえ、私をはじめ全職員の英知を結集し、限られた財源・資源を有効に活用しながら、次代を担う子どもたちのためにも夢ある門真への展望を切り拓くべく市政運営に取り組んでまいる覚悟でありますので、何卒、格別のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げまして説明を終わります。