2004年3月議会 戸田の賛成・反対討論

◆6番の戸田です。
 提出された議案のいくつかについて、賛成および反対の討論を行ないます。


【 賛成討論 】

 まず、議案第5号;「門真市人権尊重のまちづくり条例案」については、現状での問題点や不足点を指摘しつつ、賛成の立場から討論を述べます。

 この条例案については、人権が尊重されるまちづくりの実現を目的とし、そのために「人権意識の高揚を諮るための施策や人権擁護に資する施策」を「積極的に推進する」ことを市の「責務」として設定しながらも、3月5日の本会議質疑でも指摘したように、その市当局自身が人権侵害をしたと市民が認識した場合に、その申立てを受け付けたり、調査したり、判定をしたり、処分をしたりする手続規定が全くなく、その面での実効性がない、という問題があります。

 また、差別問題を巡る種々の政治状況を反映して、この条例が門真市にとっては単によその自治体との横並びのおつきあいでしかないお飾りである側面も多分に持っています。

 それはこの条例を提出した門真市当局が、私が行政による情報隠しへの批判言動を行なっていることをもって、議員としての権利を濫用しているとか、だから戸田には情報を開示する必要がないとかの、常軌を逸した誹謗中傷と差別的取扱いを公然と続けていることにも現れているし、そういった門真市当局の実態に何の批判も行わない人達が、一方ではこの人権条例にはモロ手をあげて賛成している、という、 ある種の矛盾した「ねじれ」現象が起こっていることに、それは端的に示されています。

 しかしながら、そうであるからといって、この条例の制定が良くないということにはなりません。 「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利について平等であり、個人として尊重され、基本的人権の保障がされなければならない。」という言葉で始まり、「これは人類普遍の原理であり、世界人権宣言および日本国憲法の理念であって、我々が守り、伸長させなければならないものだ」、と明言し、様々な方面での人権侵害の現実と新たな課題の発生に触れて、「21世紀を真に平和で豊かな人権の世紀としよう」と謳う、この条例の前文は非常に格調高く崇高なものであります。

 とりわけ種々の内戦や紛争に加えてアメリカによる侵略戦争が頻発し、このアメリカに追随した日本政府の憲法違反の様々な戦争協力や国内の締め付けが起こっている現在、「戦争は最大の人権侵害だ」という言葉の意味がまざまざと浮かび上がっている現在にあって、この条例を自治体が制定する意味は、非常に大きなものがあると、私は考えます。

 現実に存在し派生する種々の差別や人権侵害を是正し、憲法を擁護し、戦争追従ではなくして平和創造の施策を自治体レベルでも実現させていくためのしっかりとした足がかりとして、この条例は大きな意味を持つものであります。

 現在の門真市当局の誤った姿勢をただすためにも、そのように活用するためのものとして、この条例制定の意味を主体的に捉えるべきであって、その点では部落解放同盟の関わりを主軸とした常任委や本会議での共産党の反対論は、全くまとを得たものとは思えません。

 それはあたかも、反戦平和の条例や宣言づくりの広範な運動に対して、その運動の発端が革新勢力であったとか、運動の一端を革新勢力が熱心に担っているとかの事実を捉えて、あれは革新派の運動だとか「アカ」の運動だから協力するな、と言って回る頑迷な勢力と好一対のように、残念ながら、思えてしまいます。

 種々の不正や腐敗を追及してきた共産党の功績の部分は高く評価しますが、この条例への対応については賛同できません。条例はあくまで条例の構成や内容で判断すべきものだと思います。

 行政の責務との関連で不十分点はあるとしても、この条例の中に、何か不当なものがあるでしょうか?外部からの不当な介入を許すような条項があるでしょうか? あったらその部分を指摘してもらいたいものですが、何もありません。
 今行なうべきなのは、人権尊重条例の制定に反対することではなくて、この人権条例を市が単なるお飾りとしてしまわないように、人権尊重と平和創造・戦争協力拒否の方向で条例を活用して、市の姿勢を正していくことであると述べて、人権尊重条例についての賛成討論を終わります。


 【 反対討論 】

 次に、議案第10号;平成16年度門真市一般会計予算案について、反対の立場から討論を行ないます。
 5つの項目に渡って反対の理由を述べますのでお聞き下さい。

  まず第1に、情報公開と行政の説明責任この時代にあって、2002年6月からずっと、公金の支出先団体の代表等役員氏名を「個人のプライバシーだから公開しない」、「個人情報だから公開しない」という、驚くべき情報隠しを続けていることであります。

 新年度において、市が補助金、助成金を出している団体数は230団体、支出総額は4億2千292万3千円、そのうち100万円以上支出団体は門真市社会福祉協議会など49団体、支出総額3億9千566万7千円になりますが、それらの団体の代表者や会計、監査などの役員氏名を隠ぺいしたまま、公開しないという態度のまま、公金支出が続けられるという驚くべき実態です。

 とりわけ、その中にある15の公益法人については、今から8年も前に、公益法人の透明性を高めるためになされた閣議決定において、役員の住所、氏名を記載した名簿を公開することを決めているにもかかわらず、日頃は何でも政府追随の門真市がこの件に関してだけは公益性も無視して「自治体の自由裁量」を振りかざして、これに真っ向から反して、また昨年7月に大阪地裁判決で敗訴して20万円の賠償命令を受けたにも拘わらず、これにも従わずに役員情報隠しを続けている有様です。 これを異常と言わずして何と言うでしょうか。

 門真市がやっているこの暗黒行政は、公金支出の説明責任に背き、腐敗の温床をつくると同時に、それらの団体の方々の誇りと名誉を踏みにじるものでもあります。
 これら団体の代表者、会計、監査など役員氏名を隠したまま公金支出するというような自治体は、およそ今の門真市以外に全国どこにもありません。

 市長がこれをよしとして、助役や部長以下すべての職員がこんな違法な情報隠しにだれも異議を唱えないとは、まさに雪印、日ハム以上の不正、腐敗が役所の中に蔓延している、正義の当たり前の声を言う勇気がない、そういう判断力がない役所になぜか成り下がってしまったと言わなければなりません。

 しかも、こういう情報隠しを批判する議員に対して、裁判文書において悪罵を投げつけたり、開示請求の資格なしとするなど、議会議員の行政チェック機能を阻害する、言語道断な攻撃を繰り返しております。

 このような東市政は、まさに行政の根本土台が腐敗しており、暗黒錯乱行政と言うほかなく、こういう姿勢の下で編成された予算案に賛成することはとうていできません。

 

次に第2に、
 与えられた職務を誠実に果たさない人達を雇い続けて変えようとしない不合理な姿勢であります。

 それは端的に言って、裁判所に出すべき文書を再三再四に渡って出さなかったり遅らせたりして、裁判所の心証を害してきた、門真市の顧問弁護士事務所に属して裁判業務を続ける上野弁護士と安田弁護士に今後もお金を払い続けようとすることであり、また再三に渡って、不服申立ての審査結果を出すのに誠実な業務をせずに訴えを受けてから1年近くも時間を浪費したり、答申書が内部で確定したのに3ヶ月もそれを出さずにしたりしてきた、情報公開審査会の金谷(かねや)重樹会長ら5人の委員を継続させようとしていることに現れています。

 

第3に、行財政改革のための大胆な見直しをすることなく、旧態依然たる既得権益や現在の実態にそぐわないかつての計画の温存を続けていることです。

  市長助役ら特別職の短期間で高額な退職金プレゼント制度や、大阪府内で今や唯一の、現職議員と消防団長との兼任を見直ししようとしないことや、バブル期的発想で作成した南部地域整備大綱の見直し拒否の姿勢にそれが現れています。

 

第4に、支出に当たって市民への思いやりとバランス感覚を欠いていることです。

 土地の購入などには何億円ものお金をポンと出す一方で、全部の小中学校の子供たちへの猛暑の被害を確実に軽減させる全校扇風機設置がわずか1500万円ほどでできるというのに、こっちの方はガンとして支出をしないという姿勢にそれが端的に表れています。
 南駅前土地区画整理事業への、法的名分の怪しい2億円余の支出も同じです。

 

第5に、子育て支援について、間違った政策や姿勢を続けていることです。

  そもそも、放課後に学童に欠ける児童を対象とした学童保育については、既に児童福祉法改正によって各自治体にこれを設置する義務が定められたにもかかわらず、東市長はいまだにこれを尊重せず、門真市17小学校のうち既に設置されている7校以外の残り10校に学童保育を設置する方策を全くとらないという重大な法律無視の政策を今予算においても継続しております。

 そして、学童保育にかわるものというふれ込みでふれあい事業なる独自の教育事業をこの10校で進める方針のもとに、本年度もその予算を計上しております。このふれあい事業は、放課後に保育に欠ける児童を対象とする留守家庭児童会とは認定されない、すなわち児童福祉法で設置が義務づけられたものとは性質が異なり、そのために補助金も受けられない、門真市だけが行っている独自の教育事業であります。

 市民の間において、学童保育のない10校の校区において、法律で規定されるほどに必要性の高い放課後に保育に欠ける家庭が多数存在することを知りながら、これの救済、すなわち学童保育設置をせずに、しかも財政が苦しい苦しいと言いながら、補助金が交付される学童事業ではなくて、何ら補助金のつかないふれあい事業をあえて選択して推進しているということは、どう考えても適法かつ合理的な予算執行とは言えません。

  ふれあい事業と学童保育の有料化及び補助金をもらえるようにする工夫、市にとっては大体9000万円ぐらいから1億円近い収入が見込めることなのですが、新年度途中からの有料化と一本化を検討するとはいえ、先行きがはっきりしません。
  学童保育保育に一本化することが最も簡単で合理的であり、市の公的責任とサービスの均等化と住民参加の面からも望ましいにも拘わらず、学童保育を廃止して個別個別の民間団体への委託の方向に進もうという気配が濃厚であり、この点でも重大な問題があります。

  また、市は保育に欠ける児童のみに保育所を保障すればよいという政策判断に固守し続けていますが、これは明らかに男女共同参画社会基本法に違反する行政行為であると思います。
 そもそも基本法というのは、一般の法律の上に立ち、今の法律の中で不十分な部分、欠けている部分があればこれを補う、そして基本法に反する施策や法律の執行は許されないと、こういうことが基本法という言葉の持つ意味であり、重みであります。

 女性の場合、出産による休職を余儀なくされます。すんなりと復職できるのは公務員とか一部の恵まれた企業でしかありません。
 この参画基本法は、社会制度や慣行が男女に中立ではないといった性別による格差を是正すると、こういう立場に立った法律であります。

 性別による影響をできる限り中立なものにすること、このことを基本法でしっかりと理念として述べております。また、家庭生活と他の活動の両立ということにおいては、家事、育児、介護等を円滑に果たし、他の活動を行うことができるようにすること。
  すなわち男性の場合、家事のこともできるし、仕事もできる、けれども女性の場合、家事、育児等で仕事の方につけない、仕事での活躍が非常に制限されておるということがあってはならない、あるとすれば改善しなければならない、その義務を国や自治体が負うと、こういう法律が基本法であります。

  この観点からすれば、門真市当局がずっと見解を述べておるのは、児童福祉法のことだけで、保育に欠ける児童にのみ保育所を保障すればよい、それ以上のことはしないし、する必要がないという見解は、明らかにこの基本法に違反しておるし、門真市の男女共同参画プランについても、大きく矛盾するはずであります。

 また、学校給食調理の民間委託の推進についても、私は学校給食の本来的意味にそぐわないものとして、反対いたします。

 

他にも色々ありますが、主として以上5つの項目を理由として、私は新年度の一般会計予算案について反対をいたします。

 

また、議案第11号国保一般会計についても反対の立場を取らざるを得ません。
 保険料徴収の締め付けではなく、この際、一般会計からの繰入を増やして、保険料の引き下げをすることが、門真の実状に合い、収納率アップにもつながる、「損して得取れ」の逆転の発想をすべき。

 以上で私の討論を終了いたします。ご清聴ありがとうございました。