2003年3月議会 一般質問原稿

 5番の無所属、戸田ひさよしです。

 3月5日に市長の市政方針説明を聞きましたが、10年1日の如き項目別紹介にとどまり、市税収入激減と扶助費の激増という構造的危機を打開していく気概と方策に欠けたものと言わざるを得ず、例年同様にがっかりいたしました。
 また、昨日の本会議答弁においては、非常に自己中心的で覇権主義的なアメリカのブッシュ政権の戦争政策によって、イラクの何万人という罪無き大人や子供たちが爆弾の雨によって大量殺戮されてしまう危険が迫っているにも拘わらず、・・・・・

★どういう訳か、アメリカの戦争政策に触れたあたりから、大本議長が執拗に「質問通告の範囲内で質問して下さい」と言って、発言の妨害と制止が激しくなったため、やむなく途中で戦争問題の発言を断念せざるを得なかった。発言予定だったのは以下のオレンジ色文字部分です。

またその切迫した危険性に対してアメリカを含めた世界中でベトナム反戦を上回る戦争反対運動が湧き起こり、フランス・ロシア・中国が拒否権を行使しようかという、未曾有の国連危機が発生しているにも拘わらず、東市長は、戦争のセの字も言わず、アメリカのアの字も言わずに、イラク問題を語ることによって、アメリカの無謀で道理のない戦争への追随姿勢を示したことは非常に遺憾であります。
 国際協調主義を実践し、戦後内閣総理大臣に就任して現在の平和憲法の草案作成に貢献した、幣原喜重郎(しではら きじゅうろう)を生み出したこの門真で、 この先人の偉大な業績と平和哲学に泥を塗り、「非核平和宣言都市」の看板に泥を塗るに等しい、こういった戦争追随姿勢を厳しく批判しつつ、今期最後の一般質問に入ります。


 

 はじめに、市と市民の収入増加を図るべきことについて 質問します。

 私が議員になって以来不思議に思い、何度も質問してきたことですが、財政難・財政難と唱えながら、市と市民の収入増加の方策を積極的に考え検討する部署を未だに作らないのは何故なのか。
 役所の中からは良い案が浮かばないというのならば、広く市民から公募すれば良いのに、それもしないのはなぜなのか、市の見解を聞かせて下さい。
 既に与党会派議員からも強く指摘されている、生活保護支出の削減に不可欠なケースワーカー増員の問題や、生活保護世帯のみならず所得の低い市民が多いこの門真で、財政難改善に不可欠なはずの、仕事の創出や積極斡旋に行政が積極的役割を果たしていくことについて、各部署が、どうやったら市と市民の収入を増加させられるかを考えることなく、場合によってはそれに逆行する形で日々の業務を機械的にこなすだけの、縦割り・セクショナリズム行政の打破が必要と思いますが、市はどう考えているのでしょうか。


 

次に、 公金支出団体の役員氏名を隠す暗黒行政について 質問します。

・門真市は昨年6月から突如、市が補助金・助成金等を支出している団体の役員氏名を「個人情報でプライバシーに関わる」という口実で、議員や市長ら幹部職員が役員になっている場合を除いて、全て不開示にするという、許し難い暗黒錯乱行政を始めて、その継続を明言し、裁判でもその主張を維持しています。

・新年度予算で、市が補助金・助成金を支出する団体の総数と、そのうちの公益法人とそれ以外の団体の数を答えて下さい。 また支出金額合計についても同様に答えて下さい。

・役員氏名不開示の公益法人はいくつで、それらへの支出金額合計はいくらでしょうか?
 また、市が職員出向や事務所無償貸与など便宜供与している公益法人は何か、その名前と内容・金額についてそれぞれ答えて下さい。

・公益法人以外の団体で、役員氏名不開示の団体はいくつかあるか、それらへの支出金額合計はいくらか? 答えて下さい。


 

次に、犯行者が実刑収監された後の産廃ゴミの山の撤去について 質問します。

 ライフそばの産廃ゴミの山の撤去に向けて、この間どのような方針で努力がなされてきでしょうか。
 また、年度内解決はできないのか。せめて今年の夏までに完全撤去はできないのか、その見込みを聞かせて下さい。  結局、現実問題として直接的には地権者の経費負担によって撤去実行するしかないようですが、そうするにあたっての現段階での困難点や未解決の問題は何か。地権者の認識やそことの話し合いは現在どのようなものか、答えて下さい。


 

続いて、広報配布と自治会への委託に関わる問題について質問します。

・広報の配布委託料のことを取り上げた、今年1月発行の私の通信への反応から見ると、「広報等配布委託料」の中身をかなり多くの自治会役員が知らず、ましてや一般市民のほとんどは配布委託料の存在自体を知らなかったことがうかがえました。
 また、通信を読んだ市民からの通報で「自治会を抜けたら広報配布をとめられ、ゴミ出し禁止までされた」という極端な事例まであることも分かりました。
 さて、市から自治会に助成金や広報配布等委託料を出している以上、自治会総会での会計報告資料でそれらが適正に記載されていることを市が確認する必要があるはずですが、どうなっているのか、市の指導や自治会側の認識や対応について答えて下さい。

  また、昨年9月以降、新たに広報配布がされるようになったのは何世帯か、シルバー人材センターに配布委託されたのは、どの地域でそれぞれ何世帯か、答えて下さい。
 一部の世帯に広報が配布されないというような情報差別は、あってはならないわけですから、市は「全戸配布されているはず」という姿勢で止まるのではなく、「未配布はないか、あれば敏速に対応する」という積極姿勢で望むべきだと思いますが、どうでしょうか?

  次に、広報の完全なる全戸配布体制をめぐって、ある意味で自治会との「仕切直し」がされているさなか、新年度から配布委託料を1世帯あたり月23円から21円に切り下げる、ということが市から出されてきたわけですが、 これはいかにも唐突で、不適切ではないかという気がしてなりません。
 市の考える切り下げの理由は何か、他市での配布委託料はどうか、自治会側の反発や意見はどうか、納得は得られているのか、 もっと説明納得の期間をおくべきではないか。市の見解を求めます。


 

最後に、「待機児童解消」は待ったなしの問題であることについて  質問します。

 本来、子どもを保育園に入れるのに苦労するなどということは、およそ文明国にあるまじきことであります。 子どもを異年齢の集団生活に馴染ませておく意味でも、希望する人は誰でも子どもを保育園に入れらるのが望ましいと私は自分の経験からも確信しており、そう言う点で門真市の行政姿勢は早急に改善されるべきだと思っておりますが、今回は、最低限、市の言う意味での「待機児童」は全員がすんなり入園できないと話にならない、ということで質問をしていきます。

 さて、公立の上野口保育園に上の子2人が在園し、3人目の子どもの育児休業を終えて昨年12月に再就職し、同園に申し込みをした共働き世帯の女性がおり、 この保護者は高額な無認可保育園に預けながら、今年2月には「週5日、40時間以上勤務」という、絶対に保育園に入れるはずの職場に変わり、4月からの入園を心待ちにしていたにも拘わらず、 今年2月17日、役所に聞いたら「今回は点数が足らなくて入れなかった」と言われてしまったという事件がありました。
 保護者が市を問いつめたところ、「昨年12月20日段階での仕事の状況で判定するので、その後の仕事の変化は点数に加味されない」とか、「2月4日のやり取りで、入園者はまだ決まっていないと言ったが、実はもう1月には入園出来る人は決まっていた」とか、 「待機児童に該当しても、もっと点数の高い人がいたら入れなくてもしかたない」とか、ますます納得できないことが出てくる始末でした。

  事実経過を見ると、「12月段階の仕事状況で判定してしまいその後の変化は判定に加味されない」ことや、 その時点のこの保護者の「8点」という点数では不利になることは、当時の窓口の認識として十分に分かっていたことなのに、 それを保護者に全く伝えていないのはあまりに不親切だし、 「仕事変更は電話でもOK」と12月申し込み段階で職員が言ったということは、12月以降の変更でも判定に加味される、ということを保護者に思わせたも同然です。

  そもそも昨年10月の市議会答弁や門保連懇談会での中東部長の「03年4月からは完全に待機児童解消ができる」という言明からしても、 また国に対する待機児童解消計画や男女共同参画社会基本法の規定からしても、 12月段階の状況を絶対化してその後就職した家庭の子どもを切り捨てたり、同じ家庭の子供であるのに上の子は保育するけれども下の子はできない、とかいうこと自体が許されないことであり、 「03年度から待機児童解消達成」を言う以上、この4月以降は規定以上の水準で就職している家庭の子どもの入園保障ができないことはあってはならないはずです。
 従ってこのケースでは「今回は入園できません」ではなく、「入園できるように調整をしているので待っていて欲しい」と言うべきところでした。
 ところが、職員側にそういう切迫した認識や責任意識もなく、また保護者に対して今後の見込みや可能性をきちんと説明する責任意識も無かったために、このような事態が発生したとしか思えません。

  今回の事件においては、そういった問題点を、当該の保護者および同じ園の保護者が裁判も辞さずの強い姿勢で非常に厳しく追及することで、 2月18日・19日に、中川課長が「再度選考するのでもう少し待って欲しい」、「努力しましたけども入れませんとは言いません」と明言するに至り、 3月になって私も一般質問通告に取り上げ、担当部署に改善を求めていくという状況の中で、 この3月10日の夜に中川課長と担当職員1名が保護者宅を訪ねて、待機児になっていると言った事への謝罪をして、上野口保育園に入園出来るようになったことを告げる、という形で一応の解決を見ました。
 こういう事実を踏まえて以下の6点について市の見解を求めます。

1;市の対応は、「入園できません」と言われて強く抗議して追及した人は調整にかけるが、おと
  なしく引き下がった人はそれっきり、ということになっている。
   待機児童解消達成を約束している以上、どういう理由であれ、規定以上の水準で就職してい
  る保護者に対して「入園できません」という言い方をすることは許されないはずだが、これは調
  整にかける児童数を減らすために、わざとこういう言い方をしているのか、それとも職員の認識
  不足でこういう言い方になったのか、どちらなのか?

2;保育係の職員の対応については、この事例の他にも、「入れてやる」という態度が強いとか、
  「あなただけが困っているわけではない」と言われたとか、担当者の勧めに従って園を選定し
  たら「待機」といわれ、抗議すると逆切れされて、「入いれる保育園を自分で探せ!」と言われ
  たとか、保護者の切迫した気持ちに寄り添った対応になっていない、保護者が知りたいこと、
  知っておくべきことをちゃんと説明せずに後になって言う等々、横柄で不愉快だという声がい
  ろいろ聞こえて来るが、これは上司達の 行政姿勢の反映ではないか。
   保護者に不快をもたらしている事実と責任について市はどう考えているのか。

3;各保育園・各年令クラスの在園や待機の状況については、現在は紙の簡単な一覧表がある
  だけだが、これでは職員にとっても入園希望者 にとっても不十分です。
 待機者の点数なども入力したコンピューターのデータ表を作成して入園希望者に対して、より
  適切に状況や見込みを説明できるようにするべきではないか。

4;「兄弟が多いからと言って同じ保育園に入園させると、ほかの入園希望世帯に対して不公平
  になる」という話を聞かされることがありますが、こういう見識は、一方で小子化を憂い子どもの
  出産増加を望むことと明らかに矛盾したことであって、行政は今や積極的に子どもの多い家
  庭を奨励し優遇措置を与えていくのが当然ではないでしょうか。
   その一環として、また同時に女性の仕事と育児の両立を妨げないためにも、兄弟の一部が
  入園できないなんてことは論外として、いくつもの保育園への分散を強いたりせずに同じ保育
  園に通えることを当然のこととして保障するべきではないでしょうか。

5;門真市の保育行政の一番の問題は、保育園の入園キャパシティが少なすぎることです。
  最低限、市の言うところの「待機児童」は年間いつでも入園保障できなければ、男女共同参
  画社会基本法違反ではないか。
 これを保障するには、「定員弾力化」でも足らない、伸びきったゴム同然の現状の収容能力で
  は必要に応えられないのは明白ではないですか。
   端的な例を上げれば、子どもが入園ができれば求就職して生活保護脱却可能性ある母子家
  庭が数10世帯あり、その生活保護費の4分3が国庫負担で残りにも交付税措置がされるとは
  言え、ケースワーカーへの過重負担にもなり、就業所得からの市税も得られず、そこの児童は
  保育園での集団生活と遊びも知らずに家庭内に置かれて幼児時代を過ごして、いきなり小学
  校という集団生活の場に上げられるというギャップにさらされることになり、決して望ましいとは
  言えない状況です。
   ところが市は、現在の「伸びきったゴム同然」の収容能力を改善しようとせず、こういった世
  帯の生活保護脱却の途をふさいだままで、「財政難」だとか「生活保護費の増大に苦慮」だと
  か言っているわけで、福祉事務所所長の指揮下の児童課と生活保護課という、まさに隣合わ
  せの部署の間で何ら共同対処を考えず、保育園収容能力の拡大という一石二鳥の、しかも
  唯一の解決策を構想せずに日々の業務をこなすだけというのが、まさに縦割り・セクショナリ
  ズムの無能行政の典型です。
 もちろん生活保護世帯以外の、「子どもを保育園に入れてくれないと求職・就職ができず家計
  が維持できない」と悲痛な思いをしている数多くの市民に対しても、積極的な保育園保障が
  必要なわけで、現状のように「仕事を確保してからでないと入園資格がない」とか、「週4日、
  1日6時間以上、収入も無しでずっと仕事探しで駆け回っていないと入園資格がない」、とい
  うおよそ馬鹿げた条件を付けて入園の途をふさぐことは、市の財政にとっても、市民と児童に
  とっても、市の職員にとっても、害を及ぼす愚策であることは明白ではないですか。
 これを改善するために、福祉事務所所長がもっと積極的に本来の役割を果たして、就業機会
  の保障や条件整備の一環としての保育園保障を、官設民営も含めて中小規模保育園開設
  を工夫するべきではないか。
   市の見解を聞かせて下さい。

6:福祉事務所の岡所長の説明によれば、2月24日段階で「待機児童」約90人、「空き」約70人
  と言うことですが、この90人の入園保障を具体的にどういう手段で行なうつもりなのか?
   それは可能なのか?
  形式ではなく実質的に仕事と両立できる保育園を市は保障しなければなりません。
  万一、この期に及んで、この最低限の待機児童解消ができないようなことがあれば、今春退
  職の中東部長は3000万円を超すであろう自分の退職金を削ってでも、無認可保育に費用等、
  保護者の損害を補償する道義的責任があるのではないでしょうか。
   長年の役人生活最後の議会答弁として、中東保健福祉部長の決意のほどを聞かせてもら
  いたく思います。

   中東部長、この最低限の待機児童解消は大丈夫ですか?