2003年11月28日臨時議会: 戸田の質疑と討論

● 行政委員会事務局長 宮崎局長の答弁


■職員給与に関する条例改正について 質疑

1;12月議会を目前にした11月28日にあえて臨時議会を招集しなければならなかった必
 要性は何か?
  そういった必要性があったというのならば、 聞くところによれば、
   (8月の人事院勧告に沿った期末手当の変更をするためには、どうしても12月1日以
   前に議会を開いて条例改正をしておかなければならない、というならば)
 議員にも、労使交渉の相手の職員労組に対しても、少なくとも1ヶ月前の10月下旬には
 通知しておくべきではないか。 9月中にでも通知できることではないか。
  なぜそうしないで、職員労組には11月5日になって初めて口頭通知するような遅らせ
 方をしたのか?

2;いわゆるマイナス人勧に従っての「不利益遡及」の提案を、市は職員労組にしてきたわ
 けだが、こういう提案はそもそも使用者側としてするべきことではないし、妥当とは言えな
 い提案ではないか。
  私は零細な民間企業において労働組合に所属していたことがあったが、およそ賃金や
 一時金の交渉において、既に支払ってきた賃金給料に ついて過去にさかのぼって削
 減するからその分一時金からさっ引くなど という提案は聞いたことがない。 もし経営者
 側がそのような提案をしてきたら大問題になる。
   この点に関してどう考えているのか?

3;今回、もしも労使妥結ができなかったら、どうするつもりだったのか?妥結できなくても、
 議会で圧倒的多数のいわゆる与党会派の数の力によって条例改正を可決してもらって、
 その結果を労組に飲ませればいい、という考え方なのか? それともそうではないのか?

4;職員の退職金については、減額の方向で改訂を進めるのに、なぜ市長や助役ら特別
 職の、4年ごとに2000万円とか1400万円とかの高額な退職金プレゼントについては見
 直ししようとしないのか?


 

■議案第37号 職員給与に関する条例改正について 賛成討論

  この内容で職員労組との妥結合意をしているということと、市の財政状況からして賛成するものですが、 市側の職員労組に対する提案の仕方やその内容、11月臨時議会の開催通知のあり方などについては、賛同できない部分があり、決して手放しで賛成というわけにはいかないものであります。

 交渉によって最後には取り下げとはなったものの、そもそも既に支払っている賃金をさかのぼって減額する、という労働者にとって不当な不利益遡及の提案自体をするべきではないし、その上に 「12月1日段階で条例改正を済ませておくためには11月中の臨時議会開催が不可欠」と認識していながら、臨時議会開催について職員労組に対して長らくダンマリを決め込んでおいて、11月の5日とかになって初めて通知する、というようなことは、市職員に対する不誠実で、抜き打ち的な圧力戦術としか思えないし、議員に対しても不誠実な議会設定であって、 今回のような臨時議会の設定は、今後決して前例としてはならない、ということを、議案賛成にあたっての、私の意見として申し述べておきます。


■一般会計補正予算についての質疑

6番の戸田ひさよしです。一般会計補正予算について質疑します。 多少詳しく問い質しますが、衆院議員選挙費用支出4027万円の内容やそれに関わる市の捉え方や見解について、この本会議の場でしか審議することができない、ということがあって、昨日担当部局と質疑の打ち合わせもしているので、それなりの答弁を用意しているものと思いますので、みなさんのご清聴をお願いします。
 それでは、

1;議案書の7ページ、「衆院議員選挙費・報酬」についての説明の部分で、投票管理者
 30人分で43万5千円、投票立会人60人分で81万円、とありますが、この投票管理者や
 投票立会人は、どのようにして選んで任命しているのか、説明して下さい。

2;また、投票管理者や投票立会人への就任に伴って、選挙運動をすることや、政党や
 後援会に入ることなどの禁止事項があるとすれば、具体的にはどういうものか、
  例えば、 投票管理者や投票立会人の自宅前に特定の政党や候補者の看板を出す
 ことは許されるのかどうか、特定候補者への投票依頼をすることは許されるのかどうか、
 など具体的に答えて下さい。

3;投票管理者や投票立会人が禁止事項に違反した場合は、罰則などはどうなっている
 のか?
  また、当然、投票管理者や投票立会人の地位から更迭しなければならないのではな
 いか?
  違反した人に投票管理者や投票立会人としての報酬を支払うことは、不正支出として
 許されないのではないか? 違反が立証された場合は、報酬を市に返還させるべきでは
 ないでしょうか?

4;今回の衆院選の投票管理者や投票立会人で、禁止事項に違反した人がいない、とい
 うことはどうやって確認しているのか?
   例えば、1投票所あたり2人の投票立会人については「同一の政党や後援会に所属し
 ていない」ということが必要なようですが、それぞれの立会人から申告してもらった上で
 市がつきあわせない、それは分からないと思うんですけれども、どういう点検や確認はし
 ているんでしょうか?

5:投票管理者や投票立会人のそもそもの設置趣旨を考え、公明正大で適切な報酬支
 出を担保するためには、次のような工夫と改善が必要かと思うが、市はどうお考えで
 しょうか。
  その工夫と改善というのは、

   @投票管理者や投票立会人の趣旨や禁止事項について市民に広く周知させておく
    こと。

   Aそして、投票管理者や投票立会人の人選手続時期を早めて、選挙の公示と同時
    にその氏名を広報への挟み込み等で公開しておくこと。

   B投票管理者や投票立会人になる人には、法律遵守等についての誓約書を1人1
    人出してもらい、政党や後援会に所属する人はその申告もし てもらうこと。

   C特定の政党や候補者を熱心に応援している自治会長などが投票管理者や投票
    立会人として投票所にいられると、圧迫感を感じる、その人の目が気になる、とい
    う市民感情に配慮して、自由で気軽な雰囲気の中で投票してもらいやすくするた
    めに、政党や候補者の看板を自宅に出したりして熱心に応援している人ではない
    人に、投票管理者や投票立 会人になってもらうこと。

  という4点ですが、いかがでしょうか。

 それでは以上、5項目に渡る質疑について、市の見解を聞かせて下さい。


● 行政委員会事務局長 宮崎局長の答弁:

  まず、1番目の「管理者や立会人はどのようにして選んでいるか」ということでございますけども、自治連合会を通じまして、各自治会長さんに推薦をお願いいたしまして、選挙管理委員会で選任をいたしているところでございます。

 それから、2番目、「職場に併って、選挙運動をすることや、政党、後援会に入るなど、禁止や規制事項があるのではないか」というご質問でございますけれども、投票管理者につきましては、公職選挙法第135条第1項におきまして、在職中、その関係区域内において選挙運動ができない、ということになっております。
 投票立会人につきましては、そのような規制はございません。
  また、自宅前にカンバンを出す、ということは特に選挙運動ということで、この項目について規制されているものではございません。
 また、投票を依頼するということにつきましては、明らかに選挙運動でございますので、規制の対象になるかと考えております。

 3番目に、「管理者や立会人が禁止事項に違反した場合、どうなるのか」ということでございますけれども、違反した場合につきましては、これは司法の問題でございまして、裁判所におきまして公職選挙法第241条の適用によりまして、6ヶ月以下の禁固、又は30万円以下の罰金という、刑罰規定の適用がございます。

 次に、「違反した管理者や立会人に報酬を支払うことが許されるのか」ということでございますけども、現実に管理者や立会人の職務が行なわれました以上は、当然、役務の反対給付としての報酬は支払わなければならないものである、と考えておりまして、不当利得返還請求権はこの場合は生じないと思っております。

 次に、「今回の衆院選挙で違反した管理者や立会人がひとりもいない、ということはどうして確認したか」ということでございますけども、違反があったかどうか、ということにつきましては、選挙管理委員会が把握できるものではございません。  もし違反がございましたら、他の法律の適用によりまして、取り締まりがなされてるものであるか、と考えております。

 次に、「管理者、立会人の条件を広く市民に周知するべきではないか」ということでございますけど、このことについては考えておりません。

 次に、「管理者、立会人の氏名を公示日に公開するために、人選の手続時期を早めるべきではないか」とのご質問でございますけども、投票管理者につきましては、公職選挙法の施行令第25条の規定に基づきまして、その住所及び氏名を告示いたしているところでありまして、投票立会人につきましては、公表すべき規定がございませんので、議員ご提案の立会人の氏名を公開するために人選手続の時期を早める、ということは考えておりません。

 次に、「自宅前にカンバンを出す人は、管理者、立会人にしないことを周知する」ということでございますけど、管理者、立会人につきましては、公職選挙法の規定に基づきまして選任をいたしているところでありまして、「自宅前にカンバンを出す人をこれらの職に選任しないということを周知する」ようなことを考えてすらないところでございますんで、よろしくご理解たまわりますようお願い申し上げます。

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■戸田、再質問

 ほとんど全て「考えていない」ということだったんですけども、ひとつだけ、ちょっと聞きますが、公職選挙法によって、「立会人の場合ひとつの投票所については、同じ政党や政治団体、後援会に所属している人であってはならない」ということのはずでありますけども、これを確認する責任は市にあるはずでありますが、この点はいかがなんですか?

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● 宮崎局長:再答弁

 投票立会人の選任につきまして、自治連合会の方に、推薦要領ということをお渡しいたしておりまして、「同一の政党、政治団体に所属する方2名を同時に投票立会人に推薦はできませんよ」ということをお願いいたしているところでございます。
 ただ今、戸田議員のご提案の件でございますけども、エー、今後、手続におきまして、エー、投票立会人の同一政党性の確認、ということを検討してまいりたいと考えております。

 


 

■反対討論

 6番の戸田ひさよしです。承認第8号の衆院議員選挙費用支出に関する一般会計補正予算の専決処分について、反対の討論を行ないます。

 今回の衆院選挙が終わったあとから、私の所に、何人かの市民から、 「どこそこの政党支持者として名うての人で、自宅のポスターを貼ったり看板を立てたりしている自治会長が、投票所に行ったら管理者や立会人として座っているので、圧迫感を感じて投票しにくい」とか、さらには「さかんに投票依頼をしてきたどこそこの自治会長が投票管理者をしているけれども、これはおかしくないのか」、というような意見や疑問、情報提供がありました。

 それで先ほどの質疑になったわけですが、市の答弁を聞いてみて、やはりこれでは、この補正予算の執行に賛成するわけにはいかないと思わざるを得ません。

 まず、各投票所ごと2人の投票立会人については、先ほど述べたように公選法によって、「同一の政党や後援会に所属していてはならない」となっている、といっておきながら、本当にそういう人選になっているかについて、市自身は何の確認もせずに、自治会への丸投げになっていることです。
 法で定める要件を満たしているかどうかを、市自身が確認もせずに、さらにいえば確認しようとすらせずに報酬を支払ってきた。ま、これからは若干検討していくという事でありますけども、今の段階では、そういうようにして報酬を支払っているわけで、これは とても正当なこととは言えません。
 最低限、それぞれの立会人から政党や政治団体・後援会の加入について申告してもらった上で、市がそれをつきあわせて確認するようにしないといけないのではないかと思います。

 また、投票管理者や投票立会人の趣旨や禁止事項について市民に広く周知させているとはとても言えない状態の中で、しかもまた、そういうつもりもない、と今言われたわけですけども、慣例的に自治会丸投げで人選をしてきたことが、「投票管理者なのに選挙運動をしている人がいる」という市民からの情報を発生させる背景となっているのではないか。
 その実態について厳密な調査をする必要があると私は考えます。

  そもそも、選挙の投票は公明正大で自由な雰囲気と環境の下に行わなければならないのであって、それを積極的に保証するのが行政機関の責務であるはずです。
 そういった原点を考えるならば、「特定政党や候補者の看板を熱心に設置しているような人が管理者や立会人になっていると圧迫感を感じて投票しにくい」、という普通の市民の感覚にもっと配慮するべきであって、投票管理者や投票立会人を選定するに当たって、そういう「熱心な方」をその任に充てるよりは、そうでない中立的な方を充てる方が、はるかに合理的だし、そのような人はいくらでもいるのですから、そうできるように工夫をするべきだと思いますが、現段階では、全くそうなっておりません。

 つまり、今回の衆院選挙の投票管理者や投票立会人の人選すなわち報酬支払いについては、適正さのチェックや費用支出趣旨に対する合理性と市民感情に対する配慮に欠ける部分があると、私は考えますから反対の意見を取る次第です。

 この後、来年の2月には大阪府知事選挙、7月には参院選挙があります。投票管理者や投票立会人の人選については、早急に改善を図るべきだと思いますから、私はこの問題を12月議会でも取り上げていくとともに、市民への啓発を行ないつつ情報提供求めて実態の調査と問題点の探求を深めていくことを申し添えて、反対討論を終わります。