戸田の一般質問 & 答弁全文
    2002年3
月議会


<1;高額な市長退職金や議員の複数報酬の見直しについて>

 自治体財政の危機が叫ばれている昨今、従来当たり前の支出と思ってきたことをも、新しい発想で見直してみることが必要になってきます。
 「法律や条例で定められている」、「だから正当な支出で見直す必要はない」、としてしまうのは、一種の思考停止であり、正しい態度とは言えません。
 それをどうしても固守しなければいけない理由があるのか、その理由が果たして妥当なものなのか、などをしっかりと吟味しなくてはなりません。

 例えば、門真市議会はつい先頃、30数年来継続してきた、議員の議会出席の費用弁償を全廃するという、勇気ある賢明な決断をしたばかりであります。私が問題提起してから2年半を要したものの、まことに良い実例を作りました。

  その私でも、つい1ヶ月くらい前までは、存在して当たり前と思ってきたのが、この問題でありまして、ですから市長やほかの議員に噛みつくとかいうことではなしに、たまたま最近、他市の市民派議員の問題提起を知って、考える契機を持った者として、皆さんに問題を投げかけ、一緒に考えていただきたい、というソフトなスタンスで、まずは始めていきたいと思って質問するわけであります。

  さて、現行条例では4年の任期終了ごとに市長は2073万円、助役1428万円、収入役・教育長・水道管理者は900万円の退職金が出ます。
 東市長の場合だと、今の任期を終了した時点での退職金受け取りの総額が、5期20年分合計で9806万円になり、それにまた年金が、月額で20万円を若干下回る程度付きます。

 これは、他市と比べて高いというよりも、低い部類であることは承知していますが、それにしても、職員の退職金に比べて何倍も高額に設定されているわけでありまして、その理由は何なのでしょうか?
 ちなみに議員の場合は、3期12年までは退職時に、自らが月額6万 8200円かけた共済金の7割から9割が返ってくるだけで、これが退職金がわりのようなものですが、正式には退職金はありません。

 昨今は、四国の新居浜市長のように、市長の退職金廃止を議会に条例提案する人も現れてきました。
 財政難の折り、市長はこれら退職金のあり方を見直し、大幅削減を検討すべきと思わないでしょうか。

・また、市長や議員は、他市と一緒に形成している一部事務組合の管理者や議員としての報酬も受けており、この額が、市長で年間約90万円、議員全体で約340万円ですが、結局これは市の財政から出ているも同然であり、これらを考え直して、門真市から市長・議員の報酬廃止を提案・発信していくべきではないでしょうか?

・さらに、各種の審議会・審査会や農業委員会の議員報酬も廃止すれば、年間540万円程度の節約になります。

 こういったものは、従来、市長本来、市議会議員本来とは別の業務だから、という理由で、それぞれ別途に報酬が付けられてきたのでしょうが、この際、発想を転換して、報酬・期末手当合計で、市長で年間1500万円近く、議員で1100万円台から1200万円台を得ているわけでもありますし、市長や議員に付随する業務、として捉えることでよいのではないでしょうか?

 高額な退職金がなくとも、情熱を持って市長を務めようとする人材はいくらでもいるし、そういう人材の方が市長として望ましいのではないでしょうか?

(以上、5分)

 

 答 弁       (藤田総務部長)

 戸田議員ご質問のうち、高額な市長退職金や議員の複数報酬の見直しにつきまして私からご答弁させていただきます

 まず、市長の退職金についてでありますが、市長等常勤の特別職の退職金につきましては、地方自治法の規定並びに特別職等の職員の退職手当に関する条例に基づきまして支給いたしております。
  退職手当を支給する趣旨としましては、一般的に在職中の功績・功労に対する報償とする考え方や退職後における生活を保障するために支払われる給付であるとする考え方などがあげられますが、特別職につきましては職務の特殊性を考慮しまして、在職中の功績・功労に対する報償という考え方を基本に支給 しております。

 多くの地方公共団体におきまして、一般職の職員の退職手当に関する条例とは別に特別職等の職員の退職手当に関する条例を定めておりまして、給料月額に在職年数又は月数を乗じたものに一定の支給率を乗じて得た額を退職手当の額としており、本市におきましても同様の方法によりまして任期ごとに退職手当を支給しております。

 この退職手当の額を算出するに当たって用いている支給率は、客観的な算定方法として明確にするため条例で定めており、市長の場合は100分の45であります。これは大阪府下各市の平均よりも下回つており、市民の理解と納得が得られているものと考えております。

 次に市長や議員の複数報酬の見直しについてでありますが、一部事務組合等の管理者や議員等は、その組合等を構成する地方公共団体の特別職や議員と兼職することが地方自治法により認められております。
 したがいまして、これら職務を行った場合には、地方自治法第203条により一部事務組合の管理者や議員等には、それぞれの勤対する反対給付として報酬を支払わなければなりません。
  また、議会の議員が各種審議会や農業委員会の委員になった場合もそれぞれ の勤務に対する反対給付として報酬が支給されることになります。 これらの報酬の見直しについては考えておりません。

 

<2;財政危機克服の方策が貧弱な施政方針について>

 税収の落ち込みと生活保護費の大幅増による財政圧迫が、門真市財政の最大の問題 と言えると思いますが、これを正面に見据えて克服しようとする姿勢が、市長の施政方針には残念なことに全く見られませんでした。

 市収入アップの方策を市長や助役は持ち合わせていないのか、と質問する予定でしたが、昨日のやりとりを聞いていて、本当に何も持ち合わせていないことがよく分かりました。
 誠に嘆かわしいことであり、こういう無策な経営陣の体質をそのままにして、合併に走ったら、さらに財政危機を拡大するだけだとの思いを深めましたが、今の人材や機構の中で知恵が浮かばないのならば、場合によっては外部人材を招いてでも、市収入開拓と市民所得アップを戦略的総合的に考える頭脳機関を設置すべきではないでしょうか?

 また、ケースワーカー増員による生活保護費軽減方策や、公共工事落札価格の低減化誘導方策について、具体的にどう考えているか、聞かせて下さい。

 特にケースワーカー増員問題については、昨年12月議会での、志政会宮本議員が、その切迫性と費用効果を理路整然と解き明かした、素晴らしい質問をしました。
 さぞかし新年度から、この指摘を採用して増員されることと思っていましたら、何の改善もされていない、ということを知って愕然としました。
 聞けば、1月に大阪府の監査があって、ケースワーカー9名、査察員1名の不足が指摘されたというではありませんか。

 早急に、10人の市職員を他の部署引き抜いて配置し、その穴埋めは、単純な窓口業務や事務作業などを、バイトや業務委託に切り替えることを含めた人事異動で、充分間に合うはずです。
 市の見解を聞かせて下さい。

(2分5秒)

 

 答 弁        (今堀理事)

 戸田議員ご質問のうち、
第2点目の財政危機克服の方策につきましては、相関連致しますので、一括して、私からお答え申し上げます。

  まず、収入アップの方策でありますが、
議員ご指摘の主旨とは、いささか異なるかもしれませんが、市が行います、福祉教育施策、街づくり施策、商工・労働施策等々、そのいずれをとりましても市民生活の安定を願って実施するものであ りまして、この事が、直接的、あるいは間接的に、その結果につな がるものと考えております。
  従いまして、これら行政展開の中で全庁的な立場で、横断的に対 応する事が効果的であると考えております。

ご指摘のとおり、歳入環境の悪化に伴う、この打開策は重要な問題であると認識しており、だからこそ、各部局、各職員全てが英知を結集せねばならない問題であると考えております。

 

 答 弁        (藤田総務部長)

 戸田議員ご質問の財政危機克服の方策が貧弱な施政方針についてのご質問のうち、ケースワーカー及ぴ公共エ事に関するご質問につきましては私からご答弁申し上げます。

  先ず、ケースワーカー増員による保護費軽減方策についてでありますが、これまで限られた職員数の中、一定の増員を図ってきたところであり、今後はよりケ一スワークの専門的技術の向上や他法他施策などの活用を図り、保護世帯の自立支援を助長するとともに、相談業務の充実及び職員の年齢構成等をも十分考慮し、府の監査結果を踏まえ適正な配置について努力して参りたいと考えておりますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。

  次に、落札価格の低減化につきましては、平成12年7月より予定価格、最低制限価格の事前公表の実施や、平成13年4月よりの「公共エ事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」の施行に伴う、発注工事名、入札参加者名、入札金額等の公表など透明性を高めたことにより、平成13年度におきましては、平均落札率が91.49% となり、予定価格と落札価格の差額は4億円強と、祇減化にも一定効果があったものと判断致しております。
  又、平成14年度よりは公募型指名競争入札制度の導入を予定しており、受注意欲を反映させることが出来ることから、より競争性 が高まるものと考えており、落札価格の低減化につながるのではないかと、考えております。
  今後も、低減他に向け種々研究してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いします。

 

<3;市の将来を誤る性急な合併促進と行政の責任について>

「2025年を見通しつつ、おおむね2010年を目標年次とする門真市第4次総合計画」を約2000万円を投じて作成し、一昨年12月議会で議決したばかりなのに、新たな街づくり構想も抜きで、「早急に合併しなければダメだ」というような性急で強迫的な主張に市は同調するべきではありません。市は今後の街づくりをどう考えているのでしょうか。

・「合併すれば市長や議員などを減らすことができる」として人件費削減効果を言いながら、門真市がどこと合併しようとも、必ず必要になる、市庁舎や議会の新設、コンピューターシステムの統合、など機構統合費用が、数百億円規模で発生するのは確実なのに、これを言わない「合併問題の啓発宣伝」は正しい情報提供と言えず、市民を惑わすものであります。

 出費のことになると、「そういう話は合併協議会で検討すること」と言い逃れするのは、オイシイ話で客を釣っておいて、逃げられないようにしてから、あれやこれやと別料金を請求してくる悪徳商法みたいなものだと言わなければなりません。
 また、合併特例債だ、なんだといっても、それも私たち国民・市民の負担であることに他なりません。

 市の啓発の中で、「広域行政にも限界がある」と題して「1市でも反対すれば実現しないなど、現実にはなかなか広がらないのが実情です」という一文がありますが、
「市が関わっているどの広域行政で、合併をしなければ克服できないほどの、どういう限界があるのか、事実を示してくれ」、と私が、これの作成責任者である妹尾総合政策課長に先日、ただしたところ、課長は「現実に何か承知しているわけではない」として、何ら事実を上げることができませんでした。

 事実根拠が上げられないのに、「広域行政にも限界がある」と書くことは、虚偽宣伝ではないでしょうか? 行政として許されないことだと思います。

 昨日、「まず守口市と協同して合併可能な枠組みを考える」、という趣旨の助役答弁がなされましたが、守口市が500億円超の借金を抱え、また鉛水道管の早急な取り替えで今後150億円など、多額のインフラ再整備出費を予測されていることを承知しているでしょうか?

・また、「住民主体」の考えに基づき「合併の是非も含めて検討する」法定合併協議会には、合併反対の住民代表の参加を排除する規定はないことを確認しておきたいと思います。

 昨日の本会議を聞いていて、守口市と合併しても、財政事情が好転する何らの要素も、存在しないし、市も示せない、ということがまざまざと明らかになりました。
 門真市がやっていくべきことは、所詮は朝三暮四的な合併優遇措置に釣られて浮き足立つことではなく、ジックリと腰を据えて市政改革を進めていくことです。

 ほんの一例を上げれば、生活保護費の急増に困りながら、保育園年齢の子供を抱えて保育園に入れず、仕事に就けないで生活保護を受けている世帯が100世帯以上あるのに、同じ福祉部の児童課は、保育園の数は足りていると考えて、何の連携もないまま、誰もこの関係性を考えない、という実状があります。

 せめて公設民営で、経費の安い簡易保育園でも設置すれば、数十世帯は生活保護から脱却できるでしょう。
 将来、幼児の絶対数が減って定員割れになることを心配するのなら、その時に撤退しやすい条件を考えて設置方法を決めればいいし、施設は児童館などに転用すればいいはずです。
 こういう工夫を何もせずに、ただただ、財政難と言う言葉をおまじないのように唱えて具体的な対策を考えないのが、今の実状です。

 行政機構の総力を挙げて、斬新な手法を編み出さなければいけないときに、合併を持ち込むことは、よけいで、厖大な準備業務を押しつけることであり、本来やるべき業務の妨げ以外の何者でもありません。

 例えば、学校の統廃合という微妙な問題と、もうすぐ合併するぞ、ということがどうして両立できるのでしょうか。
 門真市の場合、「合併は最大の行政改革」どころか、「最悪の行政破壊である」と私は断言いたします。

 

 答 弁        (田村市長公室長)

3.市の将来を誤る性急な合併促進と行政の責任について

 まず、合併についてでありますが、
 市における総合計画は、地域の将来と整備の方向を示す重要な計画であり、まちづくりの連続性という観点において、空白の期間が生じることは許されないものであります。また、現総合計画が前計画の計画期間満了を迎えることに伴い、平成10年度より平成12年度まで3か年をかけて策定したものであります。合併議論は、その後全国的に本格化しておりますが、このことをもって現総合計画が無駄であるとの認識は持っておりません。
  今後とも、本市の長期計画に基づき、施策の具現化を進めてまいらねぱならないものと考えております。

  また、合併における統合費用等の問題につきましては、合併による効果、効率などを長・短期を問わず、どのようなスパンで考えていくのかが重要であろうかと考えているところであります。具体的な合併に関するさまざまな計画につきましては、合併協議会の中で十分に議論されるぺきものと考えております。

  次に、広域行政との関わりでありますが、広域行政にはさまざまな形態があり、広域的に一定事務を共同処理することによる効果は、消防や下水道処理事業などに見られるところであります。しかしながら、これら各市の寄り集まりにより執行される行政である場合と、合併により一市の施策あるいは事業として成り立つ場合との差は、総合的一な効率性の面において、これまでの広域行政よりもさらに増すのではないかと考えております。

  また、合併につきましては、当然、近隣市のさまざまな実態について考慮していかなけれぱならないものではありますが、今、特定の市の置かれている個々具体の現状について云々するこ竿=け控えたいと考えております。

 次に、法定合併協議会への反対住民を排除する規定につきましては、明示さ れておらないと理解しております。

 

 < 4;環境センター労働者とダイオキシン調査について>

・この問題については、昨日いろいろ説明がなされました。
 ところで、今回の問題では、厚労省が、調査結果をホームページ発表するに当たって、環境センターに、何の連絡もしなかったことや、焼却施設で働いていない、大阪労働局の職員1名の健康調査を含めて、「施設F、(即ち門真市環境センター)の労働者21名の調査結果」として集計するというおかしなミスがありました。

 ですから、全国145名の労働者の調査ではなくて、144名の労働 者の健康調査結果としなければならないわけです。
 私からの申し入れで、厚労省の担当者がこのミスを認め、統計結果の訂正を、印刷物による報告書においては正誤訂正表を差し挟み、ホームページにおいては、修正して3月中に対処することを約束しました。

市の今後の対応として、厚労省の動向や発信情報に最大限の注意を払い、何かあれば機敏に連絡を取って、改善や訂正を求めるべきことには、そのように対処すること、また広くダイオキシンに関する情報に一層の関心を払いつつ、市民に対しても、民間労働者を含めた環境センターで働く全ての労働者に対しても、積極的な情報公開・情報発信と安全保護策を、共同して進めて行くべきだと思いますが、市の見解を聞かせて下さい。

(1分30秒)

 

 答 弁        (高木環境センター部長)

 戸田議員ご質間のうち、「環境センター労働者とダイオキシン調査について」 並びに、「さらに増えた「山本組」ごみの山について」 ご答弁申し上げます。

  先づ「環境センター労働者とダイオキシン調査について」 でありますが、情報公開・情報発信については、従来より実施しており、市民に対しましては、今後も公報誌等を通じて、情報の公開をして参ります。
  市職員につきましても、従来通りいつでも見られるようにして参りたいと考えております。
  また、委託作業員の安全対策には、市職員と同様の作業マニュアルで今後も安全確保を図って参ります。
  よろしくご理解いただきます様お願い申し上げます。

 

<5;さらに増えた「山本組」ゴミの山について>

・美しいまちづくり条例を誇る門真市で、大きな汚点となっているのがスーパー「ライ フ」そばの産廃のゴミの山であります。私の方で毎月現場の写真を撮ってホームページ にも発表しながら警鐘を鳴らしておりますが、誠に残念なことに、今年になってかえっ て大きくなっている有様です。

 12月議会以降、どうなっているのか、府や警察の対応も含めて、事実経過と市の努力を詳しく説明して下さい。
・このゴミの山ができてから既に2年くらいになり、今年度中の解決は無理になってしまいしたが、もうこれ以上の放置は許されないと考えます。
 かくなる上は強制執行に訴えてでも、せめて夏までには撤去させるべきだと思いますが、どうか。市の決意を聞かせて下さい。

(50秒)

 

 答 弁        (高木環境センター部長)

 さらに増えた「山本組」ゴミの山について

 次に さらに増えた「山本組」ゴミの山についてでありますが、
先の議会以降についても、本市独自の取り組みとして建設廃材の搬入を阻止する現場への立ち入りを行い指導してまいりましたが、資金不足を理由に建設廃材の保管量は増減を繰り返すのみでありました。
  大阪府においては昨年12月に行為者に対し産業廃棄物の保管基準違反で改善命令を発令し、また、門真警察署においても、付近路上に違法駐車する作業車に対し、駐車違反の摘発を行い出頭を命じております。
  さらに、大阪府は地権者に対し、過去2回にわたり是正の協カを求めており、本年3月初旬には地権者と面談し、廃棄物をこれ以上搬入させないよう勧告を行ったところであります。

  なお、代執行による撤去についてでありますが、安易に公的資金を投入することは、いわゆるやり得を助長することとなり更なる不適正処理を招くこととなるため、本ケースにおいては行為者と地権者により処理させることが重要と考えております。
  今後においても、引き続き廃棄物の指導権限者である大阪府及び関係機関との更なる連携を図り、早期解決を目指して参る所存でありますのでご理解のほどお 願い申しあげます。

<6;広報の全戸完全配布体制について>

・広報は自治会未加入でも、住民票がなくても、店舗事業所であっても、門真市内全戸配布であることについて、全職員や窓口アルバイトへの周知徹底は大丈夫でしょうか。

・新年度より、全戸完全配布体制を実現するにあたって、この半年間責任部局はかなりの努力をしてきたようでありますが、委託契約書の改訂も含めて、具体的にどのような準備・調整・調査を行なってきたのか、詳細に述べて下さい。

(30秒)

 

 答 弁        (田村市長公室長)

 広報の全戸完全配布体制についてであります。
広報紙の配布につきましては、各自治会に地域内全戸へ配布をお願いしているところでありますが、自治会によっては自治会未加入世帯に配布をしていないところもあることから、昨年12月に広報公聴課・地域振興課の両課で全戸配布の依頼をしたところであります。
  その結果1自治会ではありますが全戸配布の申し出がありました。
  また、自治会境界線の確認につきましても境界線が複雑な大字地区につきまして昨年12月末に広報公聴諌・地域振興課において3自治会につき調査し、自治会区域図を作成しているところであります。

  いずれにいたしましても、新年度より一部改正した業務委託契約書において、市より配布して頂きます地域を明記し、指定地域内の全ての世帯に配布するよう契約する予定をいたしております。
  また、なんらかの事情で自治会において配布できない世帯、マンションなどにつきましては、未配布世帯を広報公聴課まで報告して頂くようお願いし、配布もれのないよう努めてまいりたいと考えておりますのでよろしくお願いいた します。

 つぎに、広報の全戸配布にいての全職員への周知でありますが、広報紙が市内の全世帯等に配布されている旨を職員として理解されているものと考えております。
  しかしながら、アルバイト等一部でその理解がなされていないということもあったようであり、これらへの周知については、その所属長に文書にて行なったところでありますのでご理解賜りますようお願いいたします。

 

<7;住基ネットで危惧される諸点への対応について>

 有名なジャーナリストの桜井よし子さんが、 「BSE(狂牛病)対策でウシは10ケタ番号で生涯管理されるが、人間が11ケタ番号で生涯管理されることになる」と危険性を訴えているのが住基ネットであります。 特徴的なのは、日弁連など人権派・護憲派だけでなく、改憲派や例の「つくる会」教科書支持陣営の著名人が積極的に危惧を表明し、反対の行動を取っていることであります。

 その現れが、桜井よし子さんが音頭をとって元内閣安全保障室長の佐々淳行氏らと「国民共通番号制に反対する会」を結成し、三田よし子さん、川島なお美さん、奥田瑛二さん、林真理子さんなど、著名な俳優、作家、ジャーナリストが加わって、街頭行動まで行なうとか、「つくる会教科書」積極支持の著名人を教育委員に任命して、物議をかもした杉並区長が、住基ネット反対を積極表明して抵抗を続けていることなどであり、こういうことからも、住基ネットの問題性が伺えると思います。

 住基ネット対応費用として、これまで市が支出した費用、今年度予算への計上額、今後の支出見込み、また国や府の支出について答えて下さい。

 「ICカードでパスポート申請ができるようになる」と政府が宣伝していますが、住基ネットでは戸籍情報は流れないことになっているのに、これはどういうことか?

 法を変更して戸籍情報を流すと言うことか?
 ただでさえ厳しい身元確認のもとになされてきたパスポート発行の条件を、対テロ政策盛んな今、緩和することがあるはずがないのであって、これを見ても、政府の狙いが、利便性を口実に、なし崩し的に、戸籍情報までも住基ネットに加えていくことに あるのは明らかではないでしょうか。

 ICカード発行について、現段階ではどう考えているか? 発行費用や利用者負担、ICカードを求めると想定される人はどんな人か、居住市および他市で、それぞれ使える場所や用途、について答えて下さい。

 ICカードの危険性や注意点については、データを不正に読みとられる危険性があり、住基情報であるゆえに被害は重大で、また本人が暗証番号を覚えておくことが不可欠だが、これのトラブルも大きいのではないか、他人への貸与が問題になることが予想されるし、転出したら使えなくなるだけでなく、確実に返却する義務も発生する、等々、これらについて答えて下さい。

  ;ICカードがある場合、ない場合、転出転入に当たって水道・教育・医療等々の窓口での手続きに回る度合いがどう違うのか? カード返却など、ICカード所有者にだけ増える義務手続があるのではないか?

 さて、昨年11月に日弁連が全国全ての自治体に、住基ネットについてのアンケートを行なったところ、1824もの回答自治体の大半が、「住基ネット」に懐疑的で、「国にとって便利でも自治体と住民のメリットはわずかな一方、費用労力負担過大でセキュリティの危険が大きい」という悩みが多いことが明らかになった。
 その一部を以下に紹介すると、

@プライバシー保護が不十分。

@日常業務が増えるデメリットが大きい。住基ネットは国の事務として、経費は、全額国の負担とすべき。

@地方自治体の住民情報を集中管理できることによる、国のメリットは大きいが、地方自治体のメリットは無いし、住民の利便性が高まることも期待できない。セキュリティが大丈夫か心配。

@広域住民票交付制度の住民票には、本籍等記載がないため、住民側の利用価値は低いと思う。また付記転出入の制度も、現在郵送で行える。

このような意見について、門真市はどう受け止めるか、聞かせて下さい。

 住基ネットの場合、自治体の住民登録担当課は、国などの機関が住民の本人確認情報を取得したことを知る由もないし、それが妥当な請求か否か、請求の都度に判断することは全くできずに、自治体の頭越しに住民の情報が流れる仕組みになっていて、どの機関にいつ取得されたかの記録すら、市役所に対しては提供されないし、住民本人も、自分の情報がどこにいつ提供されたか知り得る術はない。
 こういうことでよいのでしょうか?

 やはり、市が市民の個人情報を保護できるように、現在の条例の補強をすべきではないでしょうか? 市の見解を聞かせて下さい。

 とりあえず、いったん質問を終わりますので、答弁をお願いします。いくら私や共産党が指摘しても、この議場にスピーカーが取り付けられていない、というとんでもない状況なので、遠くの傍聴者にちゃんと聞こえるように、答弁は大きな声でお願いします。

 

 答 弁        (藤田総務部長)

 戸田議員のご質問に対し、お答え申し上げます。

 まず、住基ネットに対応する費用でありますが、平成13年度はコンピュータシステム費用4,733万円、平成14年度はコンピュータシステムの費用に3,100万円、住民票コード通知に係る費用586万円、工事費用160万円の合計3,846万円をそれぞれ計上しているところであり、今後平成15年度は、1,100万円、平成16年度以降は1,000万円を見込んでいるところで あります。

  また国・府の費用でありますが、平成11年9月の、当初の国の試算によりますと、システムの基本的な導入経費として400億円、システム稼動後の毎年必要とする経常経費として200億円と示されました。ついで平成12年9月、当時の自治省の概要では、導入経費として320億4千万円、稼動後の経常経費として毎年178億9千万円とされたところであります。そして大阪府の場合、導入経費として9億6,740万円、稼動後の経費として毎年2億9,500万円の試算がなされているところであります。

 次に日本弁護士連合会が昨年11月に全国の自治体に行ったアンケートでの自治体回答をどう受け止めるかについてでありますが、まず従来の個人情報保護条例は住基ネットを想定していないものの、積極的にプライバシー保護対策に取り組み、関係職員の啓発はじめ不測の事態が生じることのないよう努めることは、至極、当然のことであります。
  また住基の事務が地方自治体固有の事務と位置付けられている以上、住基ネットを国の事務として、その経費を国の負担とするのには無理があると考えております。
  またセキュリティと情報の漏洩については常に不安等が伴うものでありますが、万全を期すしか方法はないと考えるところであります。
  そして住基ネットに対するメリット、デメリットについては種々ご意見があることを承知いたしているところであります。

 次にICカードのセキュリティの問題でありますが、このカードは住民票コード、氏名、生年月日、性別、有効期限、パスワード、カードの鍵情報を共通データとして記録しております。
  磁気データと違い簡単にその内容を読み取ることはできない仕組みになっており、パスワードの設定がないとカードとして機能せず、間違ったパスワードで規定回数以上照会すればロック状態になる仕組みや、カードと住基ネットのシステムが相互に認証するシステムを採用し、ICチップをこじ開けるなど、物理的・電気的にショックを与えて情報を読み出そうする行為に対しても、解析されない仕組みを有しております。

  そしてカードの鍵情報により、利用権限が設定されているため、情報の読み出し、書込みができない仕組みにもなっております。
  その他多種多様のセキュリティ手段が講じられているところでありますが、自分のカードのパスワードを自分自身を守るために忘れないようにしておくのは、当然のことでありまして、カードを他人に貸与するなど、言語道断の話であることは、お答えするまでもないことであると存じます。
  また他市町村に転出した場合には返却しなければならないのは、本人確認情報である4情報のうち、住所の変更が行われ、住所地市町村がICカードを発行しているところから、致し方がないのではないかと考えているところであります。

 次に住民が、本人確認情報が提供された国などの機関を知り得ないことについてでありますが、本人確認情報が提供される場合については、住民基本台帳法別表第1から第5までに法定されているところであり、それ以外の事務については利用できない仕組みになっております。
  したがいまして、本人確認情報を利用するに当っては、利用する側の裁量はないところでありますものの、いつ、誰の情報が、どこに提供されたのかを知る仕組みは、作られていないようであります。

 

 答 弁        (南市民生活部長)

 戸田議員のご質問にお答え申し上げます。

 戸籍情報が、ネットワークシステムを通じ国等へ流れないかとのご質問についてでありますが、政府は今国会で、住民基本台帳法の一部改正をして、パスポートの申請等本人確認情報の利用事務拡大を予定されておりますが、本人確認情報の提供につきましては、システム上4情報即ち氏名・住所・性別・生年月日及び住民票コードと付随情報に限られており、今後も戸籍情報は提供されないものと承知しております。

  次に住民基本台帳カードがある場合と、ない場合の転入転出届における窓口での手続き相違点ですが、現状は現住所地で転出証明書の交付を受け、国民健康保険、国民年金等の諸手続を行い、新住所地に転入届と諸手続を行います。郵送による転入転出手続については、現住所地へ郵送で請求した転出証明書を転入地の市町村に提出し、転入届と諸手続を行ないます。次に住民基本台帳カードで転出される方は、現住所地に付記転出届を郵送し、転入する市町村に住民基本台帳カードを提示し転入届及び諸手続を行うことになり、転入先の市町村の窓口に1回出向くだけで転入転出の届出が済むことになります。

 次に、住民基本台帳カードの費用及び利用者負担のことですが、発注枚数による変動もありますが、1枚当たり千円程度の見積り提示がなされています。又、カードの費用につきましては利用者負担を原則に各市の動向も踏まえて検討してまいりたいと考えております。

 次に、住民基本台帳カードの利用者予想ですが、顔写真付カードは身分証明書としても利用できることから、身分証明書を持たない市民の方々や住民票請求の頻度が高く、本市以外で勤務するサラリーマン、サービス業等の方々が相対的に多いのではないかと予想しております。
  カードの利用場所の事でありますが、市区町村の市民課窓口が基本になろうかと考えておりますので、よろしくご理解賜りますようお願い申し上げます。


  **再質問**

 <住基ネットについて、>

 門真市の住民票交付申請件数は、2000年度9万2401件、人口13万8499人だから、市民一人あたり、たった0.67通。
 さらに、金融業者等からの請求も多く、郵送による請求3万48件の95%程度に上るとのことですから、これをかなり控えめに2万9000件として、差し引いた6万3401件の交付申請で計算すると、市民一人が年間に必要とす住民票の写しは0.46通でしかありません。 2年に1回程度、ということです。 

 また、住基ネットによって、転出時の手間が省けると国は説明していますが、門真市の転出者数は、2000年度8803人。仮に、この数字で毎年市民が転出していくとすれば、13万8499人に達するまで15.7年。
 要するに計算上、市民が転出時の手間が省ける恩恵に浴するのは、 1人平均16年近くに一回だけです。

 この程度の利便性のために、答弁にあったように、新年度前後3カ年で9679万円、以降毎年1000万円も市が支出するのは費用効果が良いとはとても言えません。

 そしてさらに重大なことは個人のプライバシー保護です。
 この電脳化社会の中でプライバシー侵害の危険性・甚大性・回復不能性は巨大なものになっており、これを守るコストも厖大なものになりますが、これは民主主義の当然のコストと考えなければなりません。

 そして費用対効果の面で最も優れているのが、自治体の住民データを全国的にコンピューター接続しない、個人を単一の番号で識別しないやり方であり、これは個人データ収集にちょっと手間がかかる、と言う程度の最小限のコストで、電脳社会のプライバシー保護という困難で巨大な成果をもたらしているのであります。

  ところが、今政府がやろうとしているのは、多額な費用をかけた上で、プライバシー保護という民主主義社会の必要条件を破壊しようとするに等しいものです。

 残念なことに、市はこの危険性への認識を深めて、対応を適切に取ろうとしている、とは言えません。幅広く情報を集め、住民情報保護の立場から現在の個人情報保護条例の強化などの対策を検討していくことを強く要望しておきます。

 市長の退職金や議員の報酬に付いての答弁は、まさしく形式論的、思考停止的なものであって、残念ですが、今後もねばり強く訴えいくことにします。

 ケースワーカーも問題については、大阪府の監査に全く従わなくても、何も問題がないのかどうか、答えて下さい。