<12/14文教委所管事項質問;小中学校の「諸費」問題に切り込む。>

 文教委での所管事項質問で、どの会派にも今まで取り上げられることのなかった、小中学校の「諸費」の多額の未収問題を戸田は議会で初めてとり上げ、問題の存在をまず明らかにした。以下はテープをもとにその質問・答弁を再現したものである。


【戸田】

 「諸費」ということについて、小中学校で私ら子供のころ、学級費と言っていたんですけれども、今名目も変わって項目も色んな変化があるようですが、「諸費」とはどういうものであるか、どういう種類があって、およそ児童1人当たりの1ヶ月の負担がどれくらいなのか、お答えください。


【松井学校教育部次長件人権教育課長】

 まず「諸費」という定義付けの問題でございますけれども、「児童生徒が学習活動あるいは子供の活動していく上で、公費で賄えない様々な費用」のことでありまして、その費用については「全て児童生徒に還元されているものである」ということであります。「諸費」につきましては、その学校の取り組みにおいて様々でございますけれども、門真市内の学校として統一して言えることは、学級費、副読本、問題集・ワークブック、図工・理科等の教材費、映画や音楽の鑑賞代、遠足代、社会見学、修学旅行、林間学舎、臨海学舎、卒業アルバム等々が挙げられると思っております。費用の面につきましてですが、学校あるいは学年によって差がございます。
 例えば6年生でしたら臨海学舎、修学旅行、卒業アルバム等がありますから、金額は大きくなりますし、中学校でも同様であります。

 ですから平均的にみていきますと、小学校3年生では大体月に700円位、もちろん それに給食代
3200円、それにPTA会費、これも学校によって色々と額は違いますけれども、おしなべまして4000円から5000円位かと。

 ところが6年生になりますと先程申しましたように、修学旅行、臨海学舎等のを宿泊を伴う行事がございますので、月になおしますと約4000円位、それに給食費などを合わせますと7500円位になるのでは
なかろうかと。

 中学校になりますと、諸費に関しましては給食費を除きまして大体月に2700円位でございますけれども、中3になりますと7300円、それに給食費を合わせますと11000円位になるのではなかろうかというふ
うに考えております。


【戸田】

 今「諸費」について大体のこと聞かせていただきました。門真市のある学校で、校長先生が保護者の方にこういう呼びかけをされている。「学校の諸費の未納者が増えて教材や給食の支払い、宿泊行事、修学旅行の旅行社への支払いができないでいます。現在給食費の請求が門真市から来ていますけれども、徴収金が足りないために毎月全額払うことができません」。「副読本等の教材費の支払いも業者に待ってもらっている」とか、「修学旅行や宿泊行事についても業者から督促を受けているところです」と。「今後こういうことが続きますと郊外学習とかができなくなってしまいますので、是非全額きちっと納めてください」と、「多くの保護者にお聞かせするのは非常に心苦しいけれども、どうしてもこういうことを訴えざるを得ない」と、校長先生から保護者の方に伝えられたと聞いております。

 これはやはり余程の困難今までの積み重ねがずーっとあって学校内の努力だけではもうどうにもできないと万やむ負えずこういうような訴えをせざるを得なかった。学校現場から悲鳴が上がっているというふうなことではないかと思うんです。これは門真の学校の中でこの学校だけではなくて似たり寄ったりのことがどこでも共通してあるのであろうと十分に予測されるわけなんですね。また何人かのいろんな方々から聞いたところでは門真市の場合小中学校のあちこちで昔からこういうようなことが続いているようだと。校長先生,教頭先生,一般の教員の方の苦労が非常に大変なことがあるようです。

 本来ですね、今答弁にもありましたように、その「諸費」というのは、学校教育をやっていくに当たって、全て無料といいながらも現実的には色んな費用がかかると、これ無しには学校教育の運営はできないと不可欠な面ですから、一応「諸費」というのは学校の中での私的会計のような扱いであるらしいんですけれども、教育委員会として、教育を、環境を整えてきちっとやっていくために、こういう悲鳴をあげざるを得ない現場に対する実情把握とサポートをきちっとされていくべきだろうと思うわけなんです。
それで、教育委員会の方々には教師経験者がたいへん多いし、詳しい現場の実情を知ってる方が非常に多いと思うんですね。

 ですから本来、ただでさえ学校教育の現場の中で今までになかったような色々な問題が起こって大変な中で、こういうお金の催促であるとか、未納であってこれがどうやこうやというような話をず〜っとやっていくというのは、教員,校長,教頭にとって非常な、本来は不要な負担であるはずなんです。

 ここらへんについて教育委員会の方で実情をどのように把握しているのか、それからやはり教育委員会はこれを積極的に救っていくと、それと本来の教育の仕事に専念できるようにしていく、ということが子供の教育にとっても必要だと思うので、その辺の見解と実情を聞かせてください。


【松井次長】

 議員の指摘のように「諸費」に対する未納者が多いというのは、学校長を通じて聞いておりますし、また各学校におかれましては学校長、教頭、職員が家庭を訪問しながら、先程ご意見ございましたけれども、非常に気を使いながら、つまり子供という存在がございますので、こういう「諸費」のことで子供を泣かしてもいけないし、又そのことによって不登校なり、学校に対して来ること自体不安になってもいけない、というような関係にございますので、気を使いながら督促している、請求している実情があります。

 教育委員会としても、その実情については学校長等の訴えを聞きながら、把握しているつもりでおりますけれども、その全体に対して具体的なサポートと申しますか、直接教育委員会が請求するような関係でもございませんし、色々な方法でやって下さい、としか言えないのですけど、今ひとつ言われたのは、議員が言われたように、保護者に訴えていく、あるいは子供の人権、学ぶ権利と申しますか、を守りながら請求させてもらっているというのが実情であります。

 北河内におきましても、事務担レベルで色々な方法も考えていますけども、現在のところ、特効薬的なそういう対応ができていないのが現状でありますし、もちろん決して校長の、学校のことだから学校任せするのではなくて、研究課題として私どもも勉強させていただきたいと考えております。


【戸田】

 たいへん難しい問題であろうとは思うんですけれども、教師体験者とかあるいは保護者とかで、よそ
の市から来たということで実情を知っている人から聞いたところによるとですね、門真市では未納常習者が非常に多いと、これが北摂あたりと比べると考えら れないくらい多いと、生徒の1割かそれ以上は未納ではないかと、あるいはそういう学校が多々ある、というふうなこととか、各校ともかなりの金額の未納を抱えて教師側が非常に大変であると、「3者懇談」する時も、色々話した上で子供に席をはずさ
せて、それから「実はね」、という話をせざるをえないとか、あるいは学校の給食費のことでお願いに行ったら、「うちの子供には食わせんでいい」と言われて、ぜんぜん話にならない親がおるとか、そういうような話を伝え聞いているわけなんですけれども、ここら辺の実情を、皆さん教師経験者の方が多いんですから、どこそこというわけではなく、門真の現状ということを体験も含めて話していただきたいな、と思います。

 それから本当に生活苦によるものじゃなくて、それ以外の、苦しくても一生懸命払っている人がほとんどなんですが、一部の保護者に「モラルハザードによる未納の蔓延」 というのが続いているんじゃないか、「払わなくても大した事ない」と、「子供3人おったけれど結局全部無しで卒業した」と、「卒業すれば終いや」というふうなことが口コミで広がっているとか、そうするとちゃんと払っているほうがかっこ悪い
感じになってしまいがちな部分もやはりあるのではないか。

 こういうことを放置しておけば、教師が大変なのはもちろんのこと、子供のモラル教育にとっても非常に歪めてしまうというふうに事態は悪化してしまうので、もうちょっと突っ込んだ答えをお願いしたいと思います。(与党の傍聴議員から「ええこと言うやないか」という声しきり)


【松井次長】

 まず最初の部分でありますけれども、例えば私共の仕事というのは、水道でしたら滞納したら水道を止めるとか、電気を止めるとかいうのと少し違うわけですね。給食費滞納したから給食食べさせんとこかと、それができないところが私どもの、やっぱり子供中心に教育は回っていきますので、何とかでき
ないもんだろうか、というこ とでお願いに上がっている、というのが実情であります。

 先程どんな苦労があるのかと申されましたが小学校の場合ですけれども例えば管理職の方で学校の請求に行かれる場合だってやっぱり子供を傷つけたらいけないというので子供が登校したあとに行って請求するとあるいは請求書の袋といいますか通知書も子供に分からないように他の子にも分からないように封筒に入れながらやると今は僕も現場を離れていますので分かりませんが以前でしたら「もうしゃあない自分のサラリーから出そう」というような実態があったのも事実であります

 ですから私共考えるのは、2点目の質問とも関係しているのですが、どういう状況において払わないのか、本当に生活が苦しい家庭であったら、私共も市にある「要保護」、 あるいは「準要保護」等をお勧めすることもございました。
 ところが2点目の、議員が言われてましたように、あるのに払わない、払いたくない、 払うのは損だと言うのは議員のご意見通り、もう道義に反する反道徳的な行為だというふうに考えております。

 ですからそういう問題というのは、区別して私共も対処していかねばならないと思う し、先ほどご指摘のように最近学校の子供の道徳心が落ちて来ているというのは、モロに社会的な道徳性の希薄さが影響してくるし、これは子供の教育にとって、周りの生活 の中から学んでいくという意味では極めて愁うべき事態である、というふうに認識しております。


【戸田】

 今かなり突っ込んだ話も聞かせていただきました。最後、要望としてですね、諸費の滞納について、「払えるはずなのに払っていない」ということを常習的に続ける保護者については、厳しい指導、処置をとるということと、「意図的な滞納をすることができない」、「意図的滞納の余地が無い」、「合理的で効率的」な、そして教師も子供たちにも精神的負担、事務的負担が覆い被さっていかない「合理的で効率的な集金方法」ということを工夫して事態の改善に進んでいっていただきたい、門真はこういうのが蔓延している、というようなことは一日も早く改善していっていただきたい、このことを要望して私の質問を終わります。