決算認定について <戸田の反対討論原稿>

 99年度一般会計決算認定について反対の立場から討論を致します。私がこの決算認定に反対せざるを得ないのは、主に2つの理由によるものです。

 その第1は、当然徴収すべき利用料を徴収せず、かつまた補助金を受けられない変則的形態に固執しているために、普通なら受理できる補助金を受ける道を自ら閉ざしてしまい、市の財政に打撃を与えていることと、それを指摘されてもなお改めようとしないという容認しがたい問題があるからです。

 第2には、国からの交付金を受けて保育所待機児童解消の事業を行なっているのに、その交付金の効率的な活用に何ら真摯に取り組まず、99年度中に達成すべき分について実情調査もせず、大幅な未達成が明白に予見できたにも関わらず何らの対策も取らないで放置し続け反省もしないという、公金を使用する行政としてあり得べからざる事態が判明したからです。

 第1の問題は、言うまでもなく学童保育事業と「ふれあい事業」の利用料及び補助金の問題であります。市の財政難ということが口を酸っぱくして言われ続けている昨今、親が働いて収入を得るために幼児を保育園に預ければ保育料を徴収することが定着しているのに、なぜ小学生を預けて労働収入を得る人から学童保育の利用料を徴収しないのか、門真市がそれほど裕福な財政状態なのか、全く合理性がないと言わなければなりません。

 費用負担そのものについては、学童保育利用の保護者からも異論があろうはずがありません。金額や減免制度については門真市利用者の実態を勘案し、その意見も良く聞いて過重負担のないように定めれば良いのであります。近隣市のみならず全国どこを見ても、学童保育の利用料が無料という自治体はまずないはずであります。市は一刻も早く学童保育についての条例を制定して、利用費徴収ができるようにすべきであります。

 そしてさらに不可思議なのが門真市が「独自の教育事業」と唱っている「ふれあい事業」の利用料金も無料にし、その方向をさらに拡大しようとしていることです。児童福祉法において法制化された学童保育が放課後保育に欠ける子どもたちにとって、いわば米や野菜・魚・肉といった基本的食料に当たるものだとすれば、自治体にとって法的な設置義務も努力義務ない、「ふれあい事業」は、基本的食料が足りたうえで意味を持ついわばデザートなのであって、学童保育以上の利用料金を徴収して当然であります。

 公教育は全児童に保障しているわけですから、各学校わずか60人定員程度の、それも設置計画達成のあかつきでも17小学校のうち10校だけ、門真全部の児童数からすると8%程度の児童だけが「門真市独自の教育」を受ける恩恵に浴するのならば、それ相応の、学童保育以上の利用者負担を願うのが財政的に当然ではないでしょうか。
 折々の議会答弁に於いて、市側が「定員の拡大」や「10校以上の増設方向」を示唆するような発言も行なっていますが、これは門真市の財政状況も省みず、不適切な無料利用施設を拡大しようとするものであり論外と言わざるを得ません。

 また一方で市は、「ふれあい事業」参加者の大多数は学童保育事業対象児童であるから事実上それら児童の救済措置になっている、と言う趣旨のことも述べています。もしそうであるならば、まずは「ふれあい事業」を補助金のもらえる学童保育事業に切り替えて学童保育としての料金徴収をしていくべきであります。

 以上述べたことに明らかなように、門真市が取るべきもっとも合理的な途は、「ふれあい事業」を学童保育事業に解消して一本化して補助金を受けることと、全ての学童保育利用を有料にして利用料を徴収できるように条例を制定することであるはずです。

 この政策を採れば、現在学童保育1校について、約130万円強の補助金が交付されていますから残り10校に設置すれば年間1300万円強の補助金が余計に入り、60人定員で17校の学童保育の子ども一人あたり、仮に月5000円の保育料を徴収すれば、年間で6120万円、合計して年間約7500万円の今よりも多くの財源を得た上で、現在の補助金900万円強と合わせれば、約8500万円の財源の上で学童保育事業を行うことができることになります。

 この間市が行なってきた、学童保育が無料で7校だけ、法的義務のない「ふれあい事業」までも無料で10校設置を目指し、さらに無料枠拡大を目指す、というのは財政改善に逆行する最悪の2本立て政策であり、早急に修正されなければなりません。

2番目の少子化対策交付金使用の問題も深刻であります。

 99年度途中に国から「極力平成13年度までに、保育所待機児童解消を行うことを前提とする計画を立てよ」という指導がなされ、門真市もそれに沿った「保育所待機児童解消計画」を立てて提出して、国から少子化対策交付金5億3960万円を受け取り、12月議会での補正予算審議を経てその使用を開始しました。門真市が国に提出したこの計画では、待機児童が2000年4月段階で7人に減り、2001年4月段階ではマイナス29人になる、つまり来年4月には完全解消されてまだ余裕がある、というまことに「結構な」計画でした。

 そしてこの解消計画の一環として、児童課から教育委員会を通して、民間の大阪東幼稚園に預かり枠35人達成を委ねることにして、預かり保育用の施設改造費補助金約1800万円を交付金の中から支出したのですが、児童課も教育委員会も計画達成状況を何ら把握しようとせず、また幼稚園側が1600万円強の自費負担もして同解消計画に協力してくれたのに、市公報でも窓口でも市民に東幼稚園預かり保育枠のことを何ら公知せず、結局新規入園で恒常的に夕方までの預かり児童わずか7名、という計画未達成の結果に終わらせてしまいました。

 この失敗も含めて、2000年4月1日段階での待機児童7人の見込みが実際にはなんと158人という計画当初からの大破綻となりましたが、このことは保育園申込者の中から入園決定者が決まる99年度終盤で既に確定していることであり、 99年度の行政支出結果の問題として関係部局で真剣な反省をすべき問題であるはずです。

 しかし、待機児童解消の直接の担当部署である保健福祉部・児童課も、そこから計画の一部を委託された教育委員会も、まったく対策会議もしないどころか、そもそも当初から東幼稚園預かり保育での待機児童解消状況を把握しようという意識すら持っていなかったことが、私の面談調査で明らかになりました。

 児童課は99年度末どころか4月になっても10月決算委員会で追求されてた後でも、「東幼稚園に於ける待機児童解消は何人だったのか」を同園にも教委にも問い合わせせず、実状把握をしないまま放置し、教育委員会は教育委員会で「児童課から問い合わせがないので特に調べていない」とか、「民間幼稚園の事だから立ち入ったことは聞けない」などという有様で、当初から一貫して他人事のように放置し続け、ようやく私が言葉の定義付けを行なってこの11月に幼稚園に問い合わせしてもらって初めて「待機児童該当の預かり保育利用児童7人」という把握ができたというお粗末さであります。

 99年度予算執行に於けるこのような驚くべき責任感の欠如、公金・交付金使用に当たって目的実現の為に誠実かつ効率的な業務を行なおうという意識の低さ、そのことへの無反省が、多額の交付金を受け取りながら今年9月1日現在354人という、待機児童解消計画大破綻につながっていることを厳しく弾劾しなければならず、とうてい99年度決算認定に賛成するわけにはいかないのであります。

 このような行政実態を産み出した東市長の監督責任も指摘し、真剣な捉え直しを求めつつ、
以上で私の反対討論を終了いたします。