戸田(注):原文の文言はそのままですが、見やすくまた意味を取りやすくするために、一部改行や文字強調などを施しました。

守口市職員措置請求書

平成17年7月12日

 守口市監査委員

請求人 守口市           
     橋本  他2名     
     

 下記の通り地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添え、 必要な措置を請求します。

請求の要旨
 守口市が毎年度、全会計予算の「共済費」から「社団法人大阪府市町村職員 互助会」(以下「互助会」という)に支出している「互助会補給金」(以下「補 給金」という)は、互助会がなした違法行為について守口市は不当に財産の管理を怠った事実があり、またそもそも守口市の互助会に対する支出自体が「守 口市職員の共済制度に関する条例」の規定に違背し、公金の違法な支出に当たるから、守口市に返還されるべきである。

 その具体的理由は次のとおりである。
(1)互助会は平成16年2月24日の大阪高等裁判所における平成9年(行コ)第51号補助金支出差止等請求控訴事件の判決で、退会給付金に充てた吹田市の補給金支出の一部(72,216,651円)を違法とされ、吹田市に返還を 命じられている。互助会は上告中であるが、高裁判決文中にもあるように、 互助会の退会給付金の前身の生業資金支出については昭和53年にすでに 「やみ退職金」ではないかとの複数の報道がなされ、当時の自治省も批判 的意見を述べているように、社会的にも問題視されていた。

  この間、生業資金は昭和55年度から退会給付金と衣を替え、さらに平成 16年度からは退会餞別金と名称を変えてきている。給付率を抑制し、自治体からの補給金率も低下してきてはいるが、退会後(退職後)に支給さ れる給付額としては、長年在職した職員にとっては自ら掛けた会費総額 (「退会給付金・生業資金の送付について」の表中では課税対象額から控除 される「必要経費」とされている)をはるかに上回る、社会通念上も高額 であることには変わりなく、例えば平成14年4月23日に互助会から退会 給付金および生業資金を合わせた給付額を受けた守口市の元職員の場合 は1千万円以上にのぼり、これは自らの会費掛総額の約6倍にも相当する
  高裁判決文や新聞記事によれば退会給付金等の原資の7割以上は自治体が 拠出した補給金とのことである。

 こうした事実を、請求人は最近守口市情 報公開条例や吹田市情報公開条例に基づいて、互助会への補給金関係の資 料を守口市や吹田市に公開請求したことによって知りえたのであるが、地方公務員法第41条「福祉及び利益の保護の根本基準」に規定された「職員の福祉及び利益の保護は、適切であり、且つ、公正でなければならない。」 に互助会を通した市の福利厚生事業の実態は逸脱するものと考えられる。

  これら退職者への給付は、新聞報道等にもあるように正規の退職金とは 別に条例に基づかずに公費から支給される「やみ退職金」または「第2退 職金」「第3退職金」といわれてもしかたがないもので、公金を集めてそ の直接的支給をなした互助会は、「平成15年度一般経理計算書」における 「収支計算書」を見る限り、退会給付額が全給付事業支出の約9割を占め、 「やみ退職金」給付を主要な事業とするために設立された「トンネル法人」 とでも呼ぶべき法人ではないかとさえ思われる。
 これまでの経緯を知りながら守口市は、互助会に対し漫然として補給金 を支出し続け、その大半が互助会によって違法支出された事実は、守口市 が財産の管理を怠った事実と同一である。

(2) 守口市総務部給与厚生課職員によれば、互助会への補給金支出は地方公務員法第42条と「守口市職員の共済制度に関する条例」(以下「共済条例」という)に根拠があるという。   
 共済条例を見ると、制定は昭和28年7月27日と今から半世紀以上も昔、守口市が庭窪町と合併して現在のすがたになる以前のことで、その内容も吹田市などの同様の条例に比べ、甚だ不明瞭で現行の守口市の互助会に係る予算執行が共済条例に基づいているとはとうてい思われない。   
 そもそも共済条例第1条にいう「本市職員は、相互共済及び福利増進を目的として独立の組合を組織することができる。」に該当する組合は、本市担当職員はその存在を知らないという。

 第2条以下、組合の事業、組合の運営について規定されているが、それによると、組合は互助会に事業内容を委託できること、組合の運営は組合員の掛金、及び市か組合員の掛金総額の4倍以内を補助しておこなうことが規定されている。   
 しかし、該当する組合が存在しない以上、守口市は組合を通して互助会に補給金を支出することはありえず、また、共済条例には守口市が直接互助会に補給金を支出できるとする規定はどこにもないから、守口市が共済条例を根拠として互助会に補給金を支出することは条例に違背するものといわざるをえない。
 
ということは、結局守口市は、根拠条例もなく公金を支出したことになり、財政法定主義に反し、守口市が互助会に対しておこなった毎年度の補給金の支出はその全部が違法な支出といえる。

以上の理由により、請求人は守口市監査委員に対し、以下の措置を求める。

@ 平成12年度から16年度に守口市が互助会に支出した補給金の合計額  9億3920万7897円について、
・ 当該予算の執行権者である市長、
・ 当該予算支出の決裁権看である職員、
・ 守口市の違法な補助金支出によって不当利得を得た互助会および
・ 互助会から退会後に退会に係る給付を受給した元守口市職員
に対し、連帯して守口市へ返還すること。
A 平成17年度以降
・ 守口市から互助会への補給金支出の差し止めおよび
・ 互助会から退職した元守口市職員 への退職に係る給付金の支出の差し止め。

以 上

別紙 事実証明書類リスト

1.守口市職員の共済制度に関する条例
2.平成9年(行コ)第51号補助金支出差止等請求控訴事件判決文
3.平成12年度〜16年度支出負担行為兼支払命令書(金額は、互助会のほかの共済費支出分を含む)なお、公営企業に係る部分は現在情報公開請求中であり、追って提出する。
4.平成12年度〜16年度振込金領収書
5.社団法人大阪府市町村職員互助会定款
6.平成15年度一般経理決算書
7.退会給付金・生業資金の送付について
8.吹田市職員の厚生制度に関する条例
9.平成17年3月15日付産経新聞記事
10.平成17年3月18日付(夕刊)読売新聞記事
11.市民グループ見張り番へのファクス回答文書
12.大阪府市町村職員互助会納付金(守口市給与厚生課作成)