門行監第 66号
平成17年10月27日
監査請求人代表者
寺 田 徳 様
門真市監査委員 北口 喜一
同 今田 哲哉
地方自治法第242条の規定に基づく住民監査請求の 監査結果について
平成17年8月29日付けで地方自治法第242条第1項の規定に 基づき提出された監査請求について監査した結果は別紙のとおりであ
り同条第3項の規定により通知します。
(別 紙)
第1 監査の請求
1 請求人
門真市新橋町○番○号
寺 田 徳(請求代表者) 他3名
2 請求書の提出
平成17年8月29日
3 請求の要旨
監査請求書及び請求書添付の事実を証する書面から、本件請求の要旨を次のように解した。
門真市職員の共済制度に関する条例(以下「共済条例」という。)第1条 に規定されている独立の組合は存在せず、同条例第2条第2項の規定により
組合が社団法人大阪府市町村職員互助会(以下「互助会」という。)に委託 することなどあり得ず、また門真市が直接互助会に負担金を支出できる規定
も無く、共済条例を根拠として互助会に負担金を支出することは条例に違背し公金の違法な支出に当たる。
互助会は同会の給付規程第22条により退会餞別金及び退会給付金を支給 しており、その原資は自治体が拠出した補給金(負担金)であり、これら退会者(退職者)への給付はヤミ退職金又は第2退職金と言わざるを得ないものである。
また、大阪高等裁判所における判決においても互助会に対する補給金(負担金)の一部が違法であるとされており、このような経緯を知りながら市は互助会に対し負担金の支出を続けていることは財産の管理を怠った事実と解すべきであり、以下の措置請求を求める。
(1)平成12年度から平成16年度に門真市が互助会に支出した補給金 (負担金)の合計607,941,009円を市長、支出手続担当者及び受給した
職員が連帯して互助会に対し市に返還を求める。
(2)平成16年度に支出された負担金相当額については決算手続き完了後に前記と同様に返還を求める。
(3)平成17年度以降、門真市から互助会への負担金支出の差し止めをすることを求める。
第2 監査の実施
1 請求の受理
本件請求は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第242条1項所定の要件を具備しているものと認め、平成17年9月1日これを受理した。
2 請求人の証拠の提出及び陳述
地方自治法第242条第6項の規定により平成17年10月3日、請求人に対して陳述の機会を設けた。
なお、請求人より平成17年10月4日付けをもって意見陳述は行わない旨の文書による提出があった。
3 監査対象事項
請求書に記載の事項及び請求人提出の事実を証する書面の内容から判断して、請求の趣旨は次のとおりであるので、これを監査対象事項とした。
(1)共済条例第1条に規定されている独立の組合は存在せず、市が共済条例を椴拠に直接互助会に負担金を支出することは条例に違背し公金の違法な支出にあたる。
(2)互助会は同会の給付規程第22条により退会餞別金及甲退会給付金を支給しており、その原資は自治体が拠出した補給金(負担金)であり、これら退会者(退職者)への給付はヤミ退職金又は第2退職金と言わざるを得ないものであり、大阪高等裁判所における判決においても互助会に対する補給金(負担金)の一部が違法であるとされており、このような経緯を知りながら市は互助会に対し負担金の支出を続けていることは財産の管理を怠った事実と解すべきであり、平成12年度
から平成16年度に門真市が互助会に支出した補給金(負担金)の合 計607,941.009円を市長、支出手続担当者及び受給した職員が連帯して互助会に対し市に返還を求める。
(3)平成16年度に支出された負担金相当額については決算手続き完了後に前記と同様に返還を求める。
(4)平成17年度以降、門真市から互助会への負担金支出の差し止めを することを求める。
4 監査対象部局
総務部人事課及び水道局総務課
第3 監査対象部局より提出された資料
資料1 大阪府市町村職員互助会の沿革と地方公務員の共済制度の沿革
資料2 昭和7年度門真村歳入歳出決算(写し)抜粋
資料3 大阪府市町村職員互助会定款(写し)
資料4 昭和28年門真町議会協議会記録抜粋
その他資料
@ 互助会のしおり
A 門真市職員の共済制度に関する条例(写し)
B 地方公務員法抜粋
C 門真市(町)決算書(写し)抜粋
昭和26年、昭和28年、昭和34年
昭和35年、昭和38年、昭和39年
D 公益法人に対する立入検査結果(互助会提供資料)
E 平成16年度互助会決算資料(「ふれあい」より抜粋)
F 大阪府市長会、大阪府町村会の要望書(写し)
G 互助会、補給金率の改定通知
H 大阪府市町村職員互助会事業検討委員会答申
第4 監査の結果及び判断
1 事実関係
(1)共済条例第1条に規定されている独立の組合は現存しない。
(2)互助会定款第31条の規定により平成12年度から平成16年度の5カ年間に門真市が補給金607,941,009円を互助会に支出してい ることは措置請求人から提出された証拠書類で確認された。
2 監査委員の判断
(1)共済条例に規定されている独立の組合は存在せず、共済条例に違背していることについて。
本条例は昭和28年5月に制定されたものであり、監査対象課より提出された昭和28年門真町議会協議会記録(抜粋)から判断すると本条例(門真町職員の共済制度に関する条例)は当時独立の組合が存在し互助会への委託という実態があったことにより審議され議決されたと推測されるものであり、また昭和28年度の一般会計決算書においても負担金補助及び交付金として互助会に支出されている。
昭和28年に互助会費が社会保険料控除の対象となり、互助会負担金が負担金補助及び交付金から支出されていたが昭和39年以降共済費に変わる中で人事課の人件費の事務に継承統合され独立の組合は形骸化し今日に至ったものと判断され、共済条例との整合性に欠ける面もあるが、そのことを以って直ちに条例に違背し、公金の違法な支出と判断されるものではない。
(2)監査請求の期間制限について。
請求人は平成12年度から平成16年度に門真市から互助会に支出した負担金にっいて措置請求を求めているが、地方自治法第242条第2項の規定により「当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過したときは、措置請求出来ない」とされており、本請求の1年前以前の行為は措置請求出来ないものである。ただし「正当な理由があるときはこの限りではない」と規定されており、正当な理由の有無とは「特段の事情のない限り、当該普通地方公共団体の住民が相当の注意力を持って調査すれば客観的にみて住民監査をするに足りる程度に当該行為の存在及び内容を知ることが出来たと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって
判断すべきである。」とされている。
共済費の支出は予算書、決算書において明示されており、特段、秘密裡 に執行されたものではなく、又平成16年2月24日の大阪高等裁判所に
おける補助金差止等請求事件(平成9年行コ第51号)の判決についても、 その翌日に新聞報道等において取り上げられており、措置請求人は十分に 知り得たもので、請求期間を徒過したものとは認めがたく、当該行為のあ
った日すなわち平成16年9月30日支出分からを監査対象期間とする。
(3)互助会によって違法支出された事実は、門真市が財産の管理を怠った事実と同一であるについて。
住民監査請求は当該地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該地方公共団体の職員(以下「長等」という。)が財務会計上の行為として遵法もしくは不当な公金の支出に限られていることから、退会給付金等の支出は互助会の規約に基づく互助会独自の事業であり、互助会がなした退会給付金等は直接に長等による公金の支出ではないものであり、監査請求の対象には該当しない。
(4)市が互助会に支出した負担金を市長、支出手続担当者及び受給した職員が連帯して互助会に返還請求を求めることについて。
市長等については前述した通り財務会計上の行為ではないので監査請求の対象には該当しない。
3 結論
以上のことから請求人の主張は、いずれも理由が無いものと判断する。
なお、次の点について市長に要望する。
@ 共済条例に規定されている組合が存在していたかは推測の範囲でしかなく、現存しないものであるが、その事務は人事課において継承されていることから、条例と実情との整合性を早急に図られたい。
A 補給金の適正化については、平成17年4月1日から1000分の21から1000分の14に改正され一定の是正措置が図られているが、今後大阪府市町村職員互助会事業検討委員会の答申を互助会が尊重するよう積極的に働きかけられたい。
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