9/27本会議;戸田の請願賛成討論(新たな行政コストも指摘)
                             (戸田がテープ起こしして記録したもの)


戸田ひさよしです。民間委託反対の請願に賛成の立場、即ち民間委託に反対する立場から討論を述べます。

まず、この民間委託の考え方というのを大づかみに言った時に、行財政改革をしなくてはいけない、という中で、まあこういうのがまずは目に付くのではないか、というと ころから始まっている、いうふうに私は思わざるを得ないわけであります。ほんとの意味でのコスト削減にもなりきれない、もちろん安全・衛生の向上でもないもちろん今ある子どもたちに対する最もより良き学校給食の提供ということからもはずれておる。そういうことをかなり無理をしながら、(与党のヤジに)今からしゃべりますからどうぞ聞いて下さい。かなり無理をしながら進めていく、そういう問題であります。


ですから、もともと業者にとっては、例えば学校給食の業者の協会などは「献立が複雑すぎて採算が合わない」とか「手作りする側の負担を考えないと難しい」「作業の大変な手作りはほどほどに」
どということを、日本給食サービス協会の「学校給食委託の提言」などで言っているほどであります。
また、これはあとで問題にしますけれども、法律違反の疑いもある。
即ち、「業務委託」という形で行なうわけではありますが、実際問題としては水光熱費無料、既にあり機材の使用料が無料、という形で調理員を現場に、人間だけ派遣するという実態、これは労働者派遣法に反するわけでありますけれども、なぜそういうことをしなくちゃいけないのか。食材や献立も全て市の側で提供する、あるいは購入する。なぜかと言いますれば、より良い学校給食を提供しようと思えば、利潤追求の民間業者の利潤の論理には明らかに反するからであります。

しかしながら、学校給食の安全性や質を下げることはできない。こういう中からかなり無理をしたやり方を行なっていく。では、1食200円と計算見積もっておる、こういうことは何によって生み出されるかと言えば、本来、先ほどの業者の協会が言っておるように、利潤から言うと非常に苦しい中でやっていくということは、安い労賃によってのみ、これは可能である、ということが実態とならざるを得ません。こういう中での問題がまずは生じてくるということその中でいろんな無理に無理を重ねてとにかく民間給食委託ありき、というので進めておるのが実態である、ということに私はまず、大づかみに反対いたします。


それからコストの問題について言いますと、市教委の説明、これも委員会審議で非常にまた「打ち切り」のために不十分に行なわれましたが、後ほど教委に聞いたいろんなことを総合しますと、まず今ある調理員の人件費を全部平均して割って1人頭の人件費を出す、いうふうなことでやっておるようでありますけれども、民間委託をした場合にコストがどちらがどれほど低いのかと考えるのであれば、今11人の欠員が出た2校について、民間委託した場合、純粋公務員で行なった場合、これは当然新人の補充という賃金が安い人を含めて補充した場合それから第3の道として市の雇いではあるけれども嘱託やアルバイトを入れてやった場合、最低この3つくらいを比較をして、5年先10年先のコストを含めて見通しを出して、それを教育委員会や議会に提案してその試算を明らかにするべきでありますが、このような作業は実は何も行なわれていない。

今度のおそらくは11月の教育委員会で、この民間委託の方針が決定される可能性が大変高いのでありますがそういう教育委員会に対してもこのような試算の資料、5年先10年先どうなるかということについて、何ら出されていないという、極めてズサンなやり方でやっている、いうことがまず1点あります。それと先ほど言いましたように、年が若い公務員、あるいは途中採用の従って退職金の低い公務員、あるいは嘱託・バイト等の人、例えば人件費が大きく変わってきます。このことをキチッと踏まえていないということです。


それからもうひとつ、これも質疑打ち切りによって質疑できませんでしたけれども、栄養士の問題であります。現在は7つの中学校に3人の栄養士、府の職員が配置されて、これは市直営で全体でやっておるからこそ、こういう配置でも乗り切りことができるわけであります。
しかしながら民間委託を進めていった場合に要するに民間委託した所に栄養士を張り付けておかないと具合が悪い、ということで張り付きにしていくと。

じゃあ、民間委託の学校が3つ、4つ5つと増えていった場合、今3校にしか栄養士がいない、どうするんだ。大阪府は今のところは、栄養士は増やしていくという方針であるようでありますが、この財政危機の折り大阪府の考えがいつ変わるか分からない。また、配置が遅れるかも分からない。そうした場合に市のカネで結局栄養士を雇わなくちゃいけない。もしくは業者のカネで栄養士を雇わなくちゃいけない。
こういう人件費について、実は何ら考えられておらない、いう問題も明らかになっております。この、コスト計算についてかなりズサンである、ということ。


それからこれも大きなことですけれども、例えば民間委託を考えずに今の、直営の学校給食を一生懸命充実させていこう、調理員の多能化・多様化も図っていこう、いうこ とを考えて内容のアップと経費の削減を図っていくのと違って、民間委託をしようとすれば、様々なことを調べなければいけない。調査に行って、契約の仕様書を膨大なものを作って、安全を図って一生懸命やって、チェックして、それを毎年毎年やっていく。議会対策もしなくちゃいけない。資料も作らなくちゃいけない。いったい、そういう手間と人件費はどうなのか、ということであります。

ここから例えば、大阪府庁まで行くのに、電車代がもったいないから歩いていったらカネがかからない。交通費はかからないかもしれないけれども、労力、手間ヒマ、そういうことで考えたら当然そういうやり方は取らないでありましょう。ところがなぜ、この民間委託の場合、その民間委託を実施する準備、チェック、これからのことに関わる労力・費用を無視して考えられるのか。これは優に人件費1000万以上投入するのと、私は何ら変わらないと思います。

そして先ほど言った様々な立場の公務員を雇っていくあるいはバイトを雇ってい くを考えれば、市が言っているようにそのズサンな見通しによって2900万と言ってますが違ったとしても1000万円台場合によってはそれを切るのではないか。そして今言ったこの手間ヒマの労力を考えた場合にはかえって民間委託しない方が、はるかに、今ある人材を、労力を有効な、本来教育の所にもっと向けるべき事に活用できる、という面からも、大きな不合理を抱えたまま、ますます進むことになる。この点が大きな問題であります。


次に法律的な問題で言いますと先ほど述べたように労働者派遣法等に違反する疑いが大変濃厚である。現に各地で住民監査請求や行政訴訟も起こされています。それから、職安法によって府の公務員である栄養士が直に現場の業務の指導ができない、責任者にしかできない。
けれども実際問題として、文書でアレコレして責任者だけにいってもうまくいかない。現実の民間委託された所で、法律違反になるけれども、そういう注意をせざるを得ない、いう話が幾つも伝わってきております。これは公務員に対して法律違反を強いるようなことになってしまうわけであり、行政としては厳に避けるべき話であるというふうに思います。


そして今の門真のほんとにレベルが高い全国的に誇れる内容でありますそれは皆さんもよくご存知の通りであり、それを維持しようということにおいては、一致しておる訳でありますけれども、こういう高い内容がどうやって作られてきたのか。公務員である調理員栄養士そして教育委員会学校の現場の先生達、保護者、これが一体となって作ったものであります。これからじゃあ、民間委託が進んでしまうとどうなるのか?

調理員は、今100何人おるのが80人、60人と減っていく。そこで研究開発をしていろんな情報交換を
して或いは「ここの設備がおかしいよ」「この学校の現場のこれがおかしいよ」といろいろ注文つけ
合って作ってきたものが、今度そういう力がなくなる。どんどん衰退して、一体の給食をやってきたも
のが、「ここはA社、ここはB社、こっちはC社」全くバラバラな問題そういうふうになってしまった時
に、より良い学校給食を作っていく力は逆に衰退してしまう。


そして一方でアトピーに対する対策、アレルギーに対する対策、いろんな事を進めな ければいけない
けれども、民間業者の場合、これは全てコスト、契約の追加・変更にならざるを得ない訳で、その都度、当然コストもかかってくる。こういうことについて考えるならば、より良いものを保障する、門真でせっか
くやってきたものを、せめてこのラインで保障していくために、民間委託というは全くその趣旨に反する
もの、というのは今言ったことをじっくりと考えていただければ、誰しも納得できることであると思う訳で
あります。


従って今まで言われてきた問題について総合的に考えればこの民間委託というのは極めて筋違いの或いは勘違いした考え方であると思います。教育委員会の側も、「コスト削減が主ではない」とい
うことを言い始めました。そして「民間活力の導入である」とか「行政の合理化である」とかと言っておりますが、教育のこの現場、まして子どもの食生活に携わるこの現場を効率主義或いはそういう「行政改革」という名の下で、改悪することは何らプラスになりません。今までの論議においても、これが子どもとってプラスである学校給食の発展にとってプラスであるということはひとつも出されておらない。


設備改善のためのお金を作り出す、ということは本来、一般予算でキチッと行なわれなければならないはずであって、子どもの学校給食を後退させていく、学校給食を創っていく力を衰退させていくことと引き替えに作ったお金でやるべき話では全くございません。
そしてまた、この行革大綱の方で示しておりますけれどもこれ自体も非常に不十分であって例えば何10億というお金が節約できるかもしれない入札制度の改善ということは盛り込まれておらないし、高級なお金をもらっていながら出席手当がまたダブルに付くという議会費の問題も何ら触れておらないなぜ、こういう学校給食の最も効率主義・市場経済とは違って子どものそして 私達の文化の発展
を考えなくちゃいけないものを、このような形で切ってしまうのか。


これはぜひみなさん、考え直していただきたいし、そして今後とも矛盾がドンドン広がってきますから、
そう気がついた時に改める先行きをストップさせてじっくり考えていくいうことを方々訴えて私の請
願に対する賛成、民間委託に対する断固たる反対の討論を以上で終わります。