9/27本会議;共産党中西議員の請願賛成討論(大変緻密)
8番の中西みよ子でございます。日本共産党を代表いたしまして、請願第2号「安全で豊かな学校給食の充実・強化。民間委託化反対を求める請願」について賛成の対場から討論を行います。学校給食は、戦後間もない食糧難の時に、1日に一食も食べられない子供たちが多い中「子供たち
に1日も早く学校給食を」の運動が、教員を中心に巻き起こり、ついに、「学校給食実施の普及奨励について」の通達文がだされ、1947年不十分ながらも実施されたのが始まりです。
そして、1952年講和条約が結ばれた時、戦後救済資金がこなくなることを理由に大蔵大臣から「廃止」が出されました。しかし、教員組合・父母・PTAなどから学校給食存続の要求が高まり、1954年
学校給食法が成立しました。学校給食法は、第1条で、学校給食が児童および生徒の健全な発達を保障することを目的とし、第2
条で学校給食の目標を定め、教育の一環としての位置付けを行い、第4条で学校設置者の学校給食の実施義務、第6条で施設・設備・運営費などの設置者負担を定め、学校給食が公的責任できちんと実施されるよう法制化しています。こうした学校給食法にもとづき、門真の学校給食は、中学校まで実施され内容的にも大変すばらしいものとなっています。1つが、ハム、ソーセージ、かまぼこなど加工食品は無添加のもの、くだものや野菜は低農薬のものを使い、できるだけ国内産のもので、今問題になっている遺伝子組み替え食品は使わないなど材料が安心であること、
2つめに、和風だしはこぶと削り節でとる、洋風・中華だしは鶏がらまたは、無添加の液体スープを使う、カツやフライは給食室で小麦粉・卵・パン粉をつけて揚げる。肉団子やハンバーグも細かく刻んだ
野菜や下味をつけたひき肉をこねてつくる、カレーやシチュウのルウは、小麦粉とマーガリンでつくる
など手作りを行っていること、3つめにれんこん、くわい、小松菜、しろ菜、大根葉の5種類の野菜を門真の農家から購入し地場野菜
をつかっていること、4つめに中華風おこわなど難しい料理も取り入れ、 メニューが豊富で子供たちに喜ばれていること、
5つめに、アレルギー児に対し、なるべく他の子供と同じ物を食べられるように除去食を行うなど一定
の対応をしていることなど全国的にも誇れる内容となっています。これも、センター給食が全国で広が
る中、自校直営を守り、子供たちの健全な発育のため、中学校までの給食を実施してきた門真市、そ
して、調理員、栄養士の今度はこんな風にしようという絶え間ない努力と子供たちに本物の味を伝え
たいという熱い思いなど長年の積み重ねの中でうまれてきたのではないでしょうか。ある保護者の方
は「なぜ、こんないいものを変えなければならないのか」と大変憤慨しています。今、市が行うべきこと
は、このようなすばらしい学校給食を守り、さらに発展させていくことではないでしょうか。それでは、請願項目に従い順次賛成の主旨をもうしあげます。
1点目の、「自校直営方式を守り、学校給食の民間委託は実施しないでください」についてですが、
なぜ、民間委託が問題なのかということです。1つは、営利主義の企業に教育の一環としての給食が行えるのかと言う点です。市は、文教委員会
で「調理する人は、公務員であっても、民間の人であっても、子供たちに安心でおいしいものを食べさ
せたいという思いは同じだ」とのべました。しかし、企業は、採算が第一であり、与えられた献立を確
実につくり、後片付けを行ういわゆる、作業を行うのみです。子供たちがおいしいといってくれたことの
喜び、よりよいものをつくろうという意欲、残采が多いとなぜだろうと考えるこういう営みは、企業には
期待できません。こういう意欲は、営利を目的とせず、市民に奉仕する公務員だからこそ、また、安定
した雇用・きちんと給料や労働条件が保障されてこそ責任感、使命感が生まれてくるものです。今までは、教育の一環として給食全体が一体となっていたものが、調理業務の民間委託により、
調理だけが分断され、栄養士と調理員、調理員と子供たち、教員との交流が遮断されてしまいます。
教育の一環としての学校給食は、栄養士・調理員・教師・子供との相互のつながりを軸としながら発
展していくものです。このように、調理業務を営利を目的とする民間会社に委託するということは、調
理員を分断するものであり、これでは教育の一環としての役割は、果たせないと考えます。2つめに、質の低下をもたらすという点です。学校給食は、大量調理であるため、特別の技術を必要
とします。これまでは、定年退職など少しの人員の入れ替わりなため、技術が途切れることなく引き
継がれてきましたが、民間委託となるとすべての人員が入れ替わります。
その時、果たして今まで通りの技術を維持できるのか疑問です。民間委託された堺市では、味が濃
かったり薄かったり、チラシ寿司のご飯が団子状態になったり、緑色の青梗菜が茶色になっていたり、
食器の汚れ、数の不足、給食の時間に10分遅れたなどいろんなトラブルが発生したと聞いておりま
す。また、先ほど手つくり給食の中身をのべましたが、あそこまでの手作りが引き続きおこなわれる
のか疑問です。給食会社の166社が参入している、日本給食サービス協会の「集団給食経営合理化マニュアル」
の中に
@作り手の負担を考えない強化磁器の使用はやめる
A作業の大変な手作りはほどほどに
B食材の一括購入と冷凍食品の活用を
C献立が複雑すぎては採算があわないという方針があります。
これでは、民間会社に今まで同様の給食を期待することはできないのではないでしょうか。3つめに、民間委託で安定した学校給食が提供できるのかという点です。 営利優先の民間会社では、学校給食の安定した実施と会社の利益とが相反した場合には、会社の利益を優先することが十分考
えられます。昨年度八尾小学校で調理を請け負った給食会社は、本社が不採算部門からと撤退指令をだしたことを理由に、年度途中に八尾市に撤退を申し出たということです。このように、民間会社では、常に、不安感がつきまとい安定した給食を提供できるのか疑問です。4つめに、民間委託では、調理員と栄養士が心を一つに学校給食がつくれないということです。現在は、栄養士が直接、献立の説明・調理の手順、指導、衛生面の指導も行います。
しかし、委託化すると、栄養士が民間会社のチーフに指示書を渡すだけで調理員は、チーフの指示
に基づいて仕事をします。これは、栄養士が民間会社の調理員を指導すると、職業安定法第44条
違反になるからです。このように、栄養士と調理員の密接なつながりがなくなり、これで果たしてより
よい給食ができるのか疑問です。5つめに、アレルギー児や病児への細かい対応ができるのかどうかということです。現在は、アレルギー児に対して、除去食を実施し、なるべく他の子と同じになるよう工夫されています。これも、教育の一環だからこそできることであり、営利優先の企業にここまでの配慮ができるのか疑問です。
6つめに、「設備も食材もこれまでと一緒、調理する人がかわるだけ」「食中毒が起きた場合市が責任
をもつ」という民間委託は、実態として労働者派遣になり職業安定法・労働者派遣法に抵触するおそ
れがあるということです。労働者派遣事業は、業務請負や業務委託などの形式での脱法を防ぐため
に、真の請負と偽装請負による違法派遣を区別するため、職業安定法施行規則第4条で4つの要件
を決め、請負もしくは委託を受けた業者は、すべてその要件を満たすこととなっています。4つの用件とは
@作業の完成について、事業主としての財政上および、法律上のすべての責任をおうもの
であること。
A作業を従事する労働者を指揮監督するものであること
B作業に従事する労働者に対し、使用者として法律に規定されたすべての義務を負うもの
であること。
C自ら提供する機械、設備、器材もしくは、その作業に必要な材料、資材を使用し、または、
企画もしくは専門的な技術、もしくは専門的な経験を必要とする作業を行うものであって、
単に、肉体的な労働を提供するものでないことですが、学校給食の安全性は市が責任を
負うことであり、学校調理設備、器材などは、すべて行政財産であり、事業者が提供する
のは単なる労働力であることから4つの用件は満たされない。
つまり、学校給食を民間委託した場合、その調理業務は、請負ではなく派遣となります。
また、労働者派遣となると、労働者派遣法の派遣が認められる26業務の中に、学校給
食業務はこの中に入らないため、労働者派遣法違反として、堺市などで裁判に訴えられ
る事態も現実にあります。この点でも民間委託は法的に問題があります。
次に2点目の「安全で豊かな学校給食の充実をはかるために、施設・設備や食器の改善をおこなって
ください」についてです。門真市の学校給食は、初めに述べましたように、全国的にもすぐれた内容と
なっています。しかし、まだ、古い洗浄機や換気扇、冷蔵庫が小さいなど施設・設備での改善が望ま
れるし、子どもたちの食器は、長年アルマイトで、食事が味気なく熱い汁物はもてず、すぐに冷めやす
くなっています。ランチルームも、全クラス分なく、子どもたちは、ホコリの舞う教室で食べさせられて
います。千葉県睦沢町では、「学校給食は教育である。教育にお金を出し惜しんではならない」と中学校に
ランチルームを設置、テーブルの上にはジャム・ソース類は、ビニール袋でなくガラスのビン、瀬戸物
の容器に入っているそうです。市は、文教委員会で、民営化をおこなった時の差益で、施設、設備、
食器の改善をはかると答弁していますが、施設改善を民営化と引き換える姑息な手段です。
直ちに、市は、民営化とかかわらず、学校給食法にもとづき、施設・設備・食器の改善を図り、子ども
たちに豊かな学校給食を保障すべきです。以上、請願項目にもとづき賛成の主旨を述べさせていただきました。 学校給食は、成長期にある子どもたちにとって、大変重要なものです。だからこそ、学校給食は教育として位置付けられており、経費が安い・高いということだけで、判断するものではありません。子どもの権利条約は「児童に関するすべての措置をとるにあたっては、児童の最善の利益が考慮されるものとする」定めています。
子どもたちに最良の環境を提供することが、自治体の責務であることを最後に申し上げて私の賛成討論を終わらせていただきます。