「門真市団体役員情報隠し事件」国賠訴訟の概要
事件番号; 大阪地裁18民事部 平成14年(ワ)第8041号損害賠償請求事件
原告;戸田ひさよし(門真市議)
被告;門真市(代表;東 潤門真市長)
賠償請求額;金 83万5920円 (慰謝料や不当に支出させられた費用の賠償など)
請求の原因;門真市情報公開条例違反、虚偽公文書作成、偽計業務妨害
事件発生の日時 ;2002年6月11日
提訴日 ;2002年8月 9日
結審日 ;2003年5月 2日
■事件の概要と違法性
(1)原告は、02年5月23日に情報公開条例に基づき、市に対して、市長・議長あてに
「合併推進要望書」を出した38団体について、代表者の氏名住所、役員リストなど
の公開請求を行なった。
市は、代表や役員のデータを有している28団体のほとんどについて、「代表は氏
名住所の開示、役員は氏名のみ開示」との決定を6月7日に行ない、6月11日に
開示することが決めらていた。
(2)ところが、この6.7開示決定が既に原告に渡り、情報公開条例で定められた「15日
以内の決定期限」が6月7日で切れているのに、市は開示日の6月11日になってか
らあらゆる団体の代表・役員氏名の全面不開示という異様な決定を行ない、原告に
情報不開示をした。
(★情報公開条例の手続きに全く規定のない違反行為。開示請求者への違法な
不利益決定)
(3)この6月11日に日作成された「不開示の決定通知」は、全て「6月7日」の日付で
作成されていた。
(日付偽造=★刑法第156条(虚偽公文書作成等)、「公務員が、その職務に関し、
行使の目的で、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は文書若しくは図画を変造
したとき」に該当)
(4)市は、不開示の理由として「個人情報にあたるから」、としているが、市が公金を支
出している団体の役員は単なる「個人」ではなく、その氏名が不開示の対象になる
「個人情報」にあたるはずがない。
(★不開示情報の適用除外事項基準に完全に違反。公益法人の場合には、役員
の住所氏名開示を決めた閣議決定違反!)
(5)市は、原告が本件事件を6月20日の最終本会議一般質問の通告項目に入れてある
のを承知で、その「日付偽造文書」の原告からの引き渡し要求に対し、「夕方には、
明日には、」とかのその場逃れのウソを意図的つき続けた。
市が日付偽造文書の事実を明かしたのは、実に質問前日の夜9時からであり、し
かも日付偽造文書自体は廃棄されて原告の手に入らず、そこに何が書かれていたか
分からない状態にされたのだから、議会での質問によって行政のチェックを図るという、
議員にとって最も重大な業務を市幹部のウソによって妨害された。
(★議員の業務の妨害=刑法の233条(信用毀損及び業務妨害)で言う、「虚偽の
風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した」
ことに該当する。)
■原告が被った損害の算定
@事情究明のために原告が門真市の情報公開請求において支払ってきたコピー代金
;5920円。
A紙や事務用品、印刷費用、書面作成実費は5万円を下らない。
B本件のために要した150時間以上の時間を議員の月額報酬から算出して、48万円。
C議員として、市民として侮辱とストレスを受けた慰謝料が30万円。
従って、損害総計83万5920円。
■本件不開示の違法性の最も簡明な整理
(原告「第3準備書面」03年4月11日 より抜粋)
【1】 本件訴訟で違法な不開示であるとしているのは、「合併推進要望団体の代表者氏
名および連絡先(住所)と役員氏名」である。
【2】 そのうち「代表者氏名」は団体自らが議会に提出したリストに載っており、原告をは
じめとした議員は全て受け取っているものである。
●;従って被告の主張は「議会に公に要望書を出した団体自らが記載している代表者
氏名を開示することは個人情報の開示にあたるから開示できない」、と主張してい
ることになる。
☆これが公益から見て、また「議会情報は公開」という大原則から見て正しいかどうか。
☆これは「議員には見せるが一般市民への開示はしない」ことを意味するがこれは適正
かどうか。議員が情報特権を得てしまうという偏りと、この情報を開示した議員は「不
当に個人情報を開示した」として非難され るべきことになってしまうが、これは適切
かどうか。
◆これらのことを考えれば、当然「本件団体の代表者氏名は全員開示されねばならない」
ことが判明する。
【3】団体代表者の連絡先(住所)は、公益法人においては「何人にも開示」と閣議決定さ
れている。それ以外の団体については、議会に提出された決算書などの資料などに
記載されているものもあり、そうでないものもある。
●;従って被告の主張は
@「何人にも開示」と閣議決定されているものでも、
A議会に提出された資料に記載されているものでも、
代表者の連絡先(住所)を開示することは個人情報の開示になるから開示できない、と
主張していることになる。
☆閣議決定で「何人にも開示」とされている情報は、門真市情報公開条例「手引書」の
40ページの、「個人情報(ただし書き)《開示できるもの》」の中の、「その他何人でも
閲覧することができるとされている情報」に当たることは自明のことだが、それを「門真
市独自の判断で開示しない」というのは許されるのかどうか。
こういう不開示は請求者に不当な不便を与える嫌がらせではないのか。
☆「議会に提出された資料に記載されているものでも開示しない」ことの問題点は記述
済み
◆これらのことを考えれば、当然「本件団体の代表者の連絡先(住所)、少なくとも公益
法人の分と議会資料に載っている分は全員開示されねばならない」ことが判明
する。
議会資料にない団体であっても公金支出を受けている以上は、代表者の連絡先くら
い開示されて当然だろう。
【4】代表者以外の役員の氏名については、公益法人においては「何人にも開示」と閣議決
定されている。それ以外の団体については、議会に提出された決算書などの資料など
に記載されているものもあり、そうでないものもある。
●;従って被告の主張は
@「何人にも開示」と閣議決定されているものでも、
A議会に提出された資料に記載されているものでも、
代表者以外の役員の氏名を開示することは個人情報の開示になるから開示できない、
と主張していることになる。
☆「公益法人の役員氏名でも開示しない」ことの問題点は記述済み
☆「議会に提出された資料に記載されているものでも開示しない」ことの問題点も記述済み
◆これらのことを考えれば、当然「本件団体の代表者以外の役員氏名、少なくとも公益法
人の分と議会資料に載っている分は全員開示されねばならない」ことが判明する。
議会資料にない団体であっても公金支出を受けている以上は、役員氏名くらい開示さ
れるのが当然だろう。
■不開示動機の本質的悪質さと暗黒錯乱行政拡大の現実
(原告「第3準備書面」03年4月11日 より抜粋)
(1)これほどまでに行政にあるまじき錯乱的な違法行為に突如として踏み込んでしまった理
由は、開示請求したのが原告=戸田であったからであり、開示請求対象が合併推進要
望を出 した団体の役員氏名であり、戸田がそれら団体の多くが一部役員のみで勝手に
合併要望の「団体決定」をしていることをホームページや通信で調査報道していたこと、
を嫌悪する勢力が役 所の当初の適正な判断をねじ曲げてしまったからである、とこれま
での状況証拠から原告は確信している。
その何よりも雄弁な証拠が被告の「10/2答弁書」であり、まさに「問うに落ちずに語る
に落ちる」という言葉ピッタリに被告の本音=本当の動機がアケスケに語られている。
(2)こういう「『特定の個人・特定の状況への判断による不開示』を一度やってしまえば、そ
れはたちまち『誰に対しても・いつでも不開示にしなければ収まりがつかない』という『無
差別無制限な違法な不開示』に直結する。」、と警鐘を鳴らしておいたが、まさに今その
危険性が現実のものとなってしまった。
すなわち、本件不開示事件によって、直接的には(訴訟対象28団体のうち補助金交
付金を受けている)20団体・7696万円分についてとなり、それが無差別無制限で不
当な不開示が進むことによって、2003年度予算において、市が補助金、助成金を出し
ている団体数229、支出金額総計約4億200万円のうち、公益法人15,それ以外の
団体199、の実に合計214団体、 支出金額約3億700万円に関して、それらの団体
の代表者や会計、監査などの役員氏名が隠蔽されたまま、公金支出が続けられる(!)
という、驚くべき事態にまで進んだのである。
税金の使い道に対する「説明責任」などどこにもあったものではない。公金をそそぎ
込んでいる団体の責任者が誰であるのか市民に秘密にしたまま億単位のカネが支払
われていくドロ沼が、腐敗を呼び寄せてしまうことは論を待たない。
■府下32市の団体役員氏名開示実態について、
被告;門真市の言い訳
「代表者の氏名は開示すると言うものが比較的多数を占めたことは認められるが、代表
者氏名を不開示としているところ(岸和田市、貝塚市、箕面市、柏原市、摂津市)もある」
原告の反論
@岸和田市は、開示の対象を「市民団体の長および役員の氏名は・・」としており、これは
原告の電話調査による「公的団体の代表と役員氏名は開示。それ以外の団体は出さ
ない。」ということと何ら矛盾しない。すなわち公益法人という「公的団体」の代表と役
員氏名は開示なのであって、門真市のように公益法人の代表者氏名までも不開示と
しているのではない。
A貝塚市や箕面市も同様。柏原市は、「ただし、慣行として公にされ又は公にすることが
予定されている情報であるならば開示。また、広報誌等に掲載されている情報のよう
な既に公になっている情報であれば情報提供で対応。」としているのであって、これを
「不開示」に分類することはおかしい。
B最低限どんなところでも「公益法人は公的団体」というのが常識になっているのであり、
「閣議決定で役員名簿の公開が決まっているのに開示しない」という常軌を逸した判
断をする自治体が門真市以外にあるはずがない。
もしあれば、被告弁護士が「不開示」と答えた自治体からさらにそのような答を引き
出せているはずである。
★以上のことから被告自身の調査結果を見直してみれば、少なくとも公益法人の代表の
氏名さえも不開示にしているところはひとつもないか、仮にもしあったとしても摂津市の
1市くらい、公益法人以外の市民団体も含めた団体の代表者氏名を不開示にしている
ところは「未定2」を除いた30市の中で多くても5市、少なければ2市程度であって、
これを見ても門真市の異常さは群を抜いており、原告の主張はほとんど正当である。
▼「戸田だから不開示」、と驚くべき非常識答弁を市長が裁判に提出!▼
「2002年10月2日、門真市の答弁書」
「誰が請求したかによって開示・不開示を変える」なんてことは絶対許されない、というのが情報公開制度の大原則。しかし、門真市は市長名で裁判所に出した「02年10月2日答弁書」の中で、「戸田だから不開示にした」(!)「合併推進団体要望問題を戸田が追求しているから不開示にした」(!)という、違法不開示の実態をアケスケに語って居直っている!
該当部分を全文引用しつつ解説すると、 ↓↓↓
7 そもそも原告は、本件公文書開示請求の前に、議員として門真市市議会において甲19第号証の「行政合併に関する要望書」受付名簿(門真市)を入手していて、右書面により原告は本件開示請求をしている各団体名、代表者役職名その氏名等は十分知悉している事実なのである。
にも拘わらず、原告が重ねて本件請求をする理由は、市議会議員として入手した情報は市議会議員の立場で私的に乱用することは出来ないため、改めて一市民の立場で利用すべく、本件請求に及んだものと推測される。 |
■戸田(注); @請求動機の勝手な推測。こういうことを情報公開請求受けた側はしては
ならないのが常識。
(「推測の動機」で判断するのではなく、あくまで請求案件そのものが条
例・手引に照らして開示すべきかどうか、判断しなければならない。)
A議員は市民の代表・代理人として資料を受け取っているのであって、あ
えて「秘密指定資料でない限り、その資料は市民に公開されているのと
同然である。「私的に乱用することは出来ないため」とは笑わせる。
8 原告は、本件訴状のその他の主張や甲第20号、同21号、同21号証等にその一端を現しているように、従前からインターネット上に個人名を明記して特定個人の非難・中傷を繰り返しており、そうした原告の言動に対して市・市職員並びに市議会・市議会議員の間で警戒感が強く、同人には個人名を識別し得る情報を与えることは乱用される危険があるとして、関係者の間で特に個人情報保護に気を付けるよう警戒心が持たれているようである。
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■戸田(注);@行政が、役所や議会の実態を公開し続ける戸田を敵視していた(ちょう
ど情報公開請求する市民を「オンブズ」とか「反戦自衛官」とか色分けし
て敵視していた防衛庁のように!)ことをあからさまに告白した!これも
行政として絶対してはならないことだというのは、常識だろ!
A行政が特定議員に対して、公文書で誹謗中傷する名誉毀損行為だ!
甲第20号、同21号証というのは、公的な行動をした人の事実をそのま
ま上げて批判しただけで、これをして「非難・中傷を繰り返しており」、と
はそれこそ誹謗中傷である。
Bここでも行政の常道をはるかに逸脱して、「請求者が誰であるか」で判断
したことをあからさまに告白している。
9 従って、原告が既に知悉している各種団体の代表者氏名を、いまさら不開示にしても意味がないとの意見もあったが、原告の各種団体代表者個人に対する署名権限の有無に関する非難・中傷が始まっている現状において、市が個人氏名を一般開示することは妥当ではないとの理由で、先の決定が取消され、改めて一部不開示の決定となったものである。
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■戸田(注);@開示不開示の判断に差し挟んではならない「政治状況」によって、判断
を左右したことを自己バクロ。「合併推進要望団体のことを調査・批判し
ているから不開示にした」、なんて涙が出るほど正直な告白!
A「戸田が既に知っている各種団体の代表者氏名を、いまさら不開示にし
ても意味がないとの意見もあったが」って、ここでも「請求者が誰か」によ
って判断していることを告白。
(※ 下線・太字は戸田)
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