はじめに;原告への反論不能状態を示した「被告準備書面2」

 被告が11月4日までに出すべきところをようやく11月7日になって提出した「被告準備書面2」は、原告が「被告10/1準備書面への完膚無きまでの反論」と題して提出した「10/31原告第1準備書面」によって追いつめられ、原告の各論点に全く反論ができない まま原告への不当な個人攻撃を重ねることで、門真市行政の感覚の異常さを一層浮かび上がらせたり、「7/14大阪地裁判決」の引用でかえって墓穴を掘ったりする有様である。

 被告が唯一新しい主張として出してきたのは、「情報開示請求者(情報公開の利用者)の責務規定」なる論点であるが、これとても被告の不当性をかえって示すものでしかない。

 以下にそれらの各点について論述する。

 

第1;原告への嫌悪と誹謗中傷と差別を一層明らかにした被告

  1;原告は「10/31第1準備書面」3項で、

  ―――――――――――――――――――――――――――――――――

  2;・・・被告の主張は、事実無根のデッチ上げをもって原告の正当な市民としての
   言論活動と議員としての言論活動・行政チェック活動を抑圧する、行政権力による
   とんでもない不当行為である。・・・(原告が行なってきたことが)「非難・中傷や個
   人攻撃」と言われる余地はどこにもない。
   ・・・・事実に基づく原告の報道が、「個人攻撃」であって「許されることではない」、
   と主張する被告の感覚には、戦前の全体主義国家もかくやと思わせる空恐ろしさ
   を感じさせられる。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 と述べておいたが、被告はこの指摘に何ら真摯に答えることなく、「何をもって誹謗中
 傷と断じるのか」の根拠や判断基準を全く示すことなく、とにかく原告による批判的言
 動の中に個人名があれば全て「個人に対する誹謗中傷だ」というが如き姿勢をさらに
 露わにして、「被告準備書面2」の「第1」において、「原告が、これまでインターネット
 上やビラにより個人を誹謗中傷してきた証拠」と称して「証拠」提出を行なっている。

   これら「証拠」のうち乙第12号証以外は全て原告のHP(ホームページのこと。以下
 同じ)からの無為承諾印刷で厚かましい話であるが、これらHP記事を見れば、どれも
 通常人の感覚では原告の活動の正当性とその時々に問題になっている門真市の議
 会や行政のおかしさを感じるようなものばかりである。
   裁判官諸氏にもぜひそこに書かれてあることを読んでいただきたいと思うが、これら
 を指して「原告による個人への誹謗中傷の証拠」とする被告の感覚の異様さがかえっ
 て浮かび上がるものでしかない。

   被告の主張及び提出証拠は、被告門真市行政の不当性(開示請求者の言動に対
 する恣意的な評価をすること、およびそれによって差別的に情報の不開示をすること)
 の証拠として以外は、裁判的には何ら検討する価値がない。

2;その上で解説しておくと、乙第3号証、4号証、6号証、7号証、8号証、9号証、10号
 証、11号証は原告が初当選してHPを開設した1999年の6月から12月にかけてのも
 のであり、この時期には、【門真市助役が税金怠納発覚・市民怒り沸騰】―【原告の
 HPや9月議会での疑惑追及】―【同議会で与党会派多数決による(門真史上初の)
 原告への不当な懲罰決議と問責決議】―【助役の辞職】―【10月;汚職疑惑で警察
 がこの元助役に厳しく事情聴取(任意出頭)】―【2日め任意出頭日の朝に元助役が
 自殺】―【汚職捜査中断】―【12月議会で原告への異様かつ不当な辞職勧告決議】、
 という門真市を揺るがす一連の事件が起こっており、その様子を伝えているのがこれ
 らHP記事である。

   乙第12号証の「問責決議」は、原告HPで議会や行政の実態がどんどん公開され、
 市民からして非常識としか思えない議会や行政への批判が寄せられたことに対する
 与党4会派議員達の過剰反応による不当決議であって、後に論述するようにこれは
 門真市議会の異常さを天下にさらけ出して笑いものになったものである。

   乙第5号証は、新人の無所属市民派議員たる原告への異常なバッシングが継続し
 て2001年3月議会で再び不当な出席停止懲罰決議がなされた事に対して、この処分
 の取り消しを求めて同年6月に大阪地裁に提訴した時の、第1回口頭弁論の報告であ
 り、乙第13号証は、2003年7/14の大阪地裁判決(門真市公金支出団体役員情報隠
 し事件;現在高裁で審理中)への批判コメント記事であるが、いったいこれのどこが「誹
 謗中傷」であって、「許されないこと」だというのか?

   これらHP記事が「許されざる誹謗中傷・個人攻撃」とされるのならば、およそ憲法
 第21条で保障された「言論、出版、その他一切の表現の自由」などは成立しない。
 「表現の自由」の保障は、何よりも公的論点に関する討論が広く開かれていなければ
 ならな いのであり、被告の主張はまさに憲法違反の言論封殺主張であって、行政と
 して絶対に許されないことである。

3;「被告準備書面2」で明らかになったのは、被告門真市行政(東市長)が、実に4年前
 の原告初当選の1999年の当時から、原告を「好ましからざる議員」として嫌悪し差別し
 て見てきた、という事実であり、議会や行政への批判が公開的に行なわれること自体
 を嫌悪してきたという事実である。

   同時に、その嫌悪は本件情報不開示で裁判を起こされるまでは、東市長行政として
 は表面化させることなく一見中立を装いながら内部に秘めて保持してきたが、その代わ
 りに市議会で圧倒的多数を占める与党4会派議員達が、原告に対してまさに日本の議
 会史上類例をみない、「懲罰・問責・辞職勧告(99年)、また懲罰(01年)」という激しい
 攻撃をかけてきた、と見ることができる。

   市議会内では、原告の不屈の闘いによって与党4会派連合がもはやこれ以上懲罰攻
 撃を連続させることができなくなり、原告の議会やビラ・HPでの言論はますます鋭くなっ
 たのに、01年4月以降は議会での懲罰や問責等の攻撃はされなくなったのである。

   それに変わって表面化してきたのが、東市長行政そのものによる、合法性をかなぐり
 捨てた原告への差別的情報不開示であり、はるか4年前までにも遡った原告への誹謗
 中傷であって、東市長行政の本心がここに如実に見えている。それは原告に「情報公開
 に関する禁治産者」とでも言うべきレッテルを貼って、「原告には個人氏名等が入った文
 書は開示しない」と決めているのも同然の暗黒の差別行政に他ならない。

 

第2;原告への言論抑圧で全国の笑いものになった門真市と
   世論の圧倒的支持を受けている原告およびそのホームページ

1;原告の開設しているHPは、「国会議員以外の地方自治体議員のHPとしては、アクセ
 ス数が断然日本一の議員HP」であって、原告初当選の1999年9月にカウンター設置し
 て計測開始して以来、この4年2ヶ月間で延べ20万4453アクセス(11月11日午後3時頃
 段階)という「怪物的な超人気HP」として定評がある。
   (この原告HPの扉ページと「ちょいマジ掲示板」表紙および「自由論争掲示板」表紙
   を甲第32号証@ABとして提出する)

   この「人気」の土台になったのが、上記に述べたような門真市での原告への不当なバ
 ッシングの数々とそれに対して果敢に闘う原告の不屈の姿勢とHPでの情報の公開であ
 った。

   被告の言う、「原告のHPに対する門真市議会での問責決議」(99年9月29日。乙第12
 号証)は、「日本初の珍事」として一般紙のみならずパソコン情報の人気雑誌「週刊 アス
 キー」や著名なジャーナリストの故黒田清さんが発行する「窓友新聞」というミニコミにも
 疑問提起的に報道されたり(甲第33号証)、「関西じつわ」という週刊誌で大きく取り上
 げられたりして(甲第34号証)、まさに門真市議会の非常識ぶりが天下にさらけ出されて
 全国の笑いものになっただけであった。

   この時、問責決議の理由とされ一定の問題提起として話題になった「HP掲示板の管
 理責任」については、「この問責決議はインターネットの何たるかを知らない人がやった
 もの」というのがインターネットの専門家の一致した見方であって、その後もHP掲示板に
 関しても、その他のHP記事に関しても、原告のHPに関しては誰も「誹謗中傷記事」とし
 て問題にする人もなく、そのような訴えが起こることもなく、「地方議員として断然日本一
 アクセス数HP」として現在も隆盛を極めているのであって、この事実をもっても、今さらな
 がらの被告の原告HP非難はお笑いぐさというほかない。

2:被告東市長のやることをベッタリ容認してきた門真市議会与党4会派による原告への
 バッシングが常識的に見ていかにおかしなものであるかを示す一例として、「門真市議
 会のイジメの構造 お粗末さを情報公開」と題する2000年6月22日の「夕刊フジ」の記
 事(甲第35号)と、「あなたは信じられますか?」と題して原告の著書「チホー議会の闇
 の奥」(2001年12月発行。青林工藝舎)を紹介した02年10月の「ライフタウン」というタ
 ウン誌(甲第36号証)を提出しておくが、原告はこういう攻撃と毅然として闘ってあくま
 でも情報公開を貫いてきたからこそ、2003年4月の2期目市議選においては、 「門真
 市史上最高の得票率でのブッちぎりトップ当選」を果たして再選されたのである。
   (甲第37号証の原告ビラ)

   こういった事実は、原告の活動が門真内外の市民から絶大な支持を与えられている
 という事であり、もとより原告が誰かを「誹謗中傷した」として非を咎められたこともない
 という事実とも合わせて、被告の原告非難の荒唐無稽さは明かである。

 

第3;「利用者の責務」を口実とした不開示は違法である

1;被告は「準備書面2」の「第2」において、門真市情報公開条例の第4条の「利用者の
 責務規定」

   (利用者の責務)

   4条 この条例の定めるところにより公文書の開示を求めるものは、この条例の目
       的に則してその権利を正当に行使するとともに、公文書の開示により知 り得
       た情報を適正に使用しなければならない

 を持ち出して、「本件の如き「暗黒・乱行政の実態調査」なる請求目的に係る権利行使
 に果たして正当性が担保されるのであろうか。」として原告に対する不開示の正当性
 を述べているが、これは以下の理由によって、全く失当であることが明白である。   

2;まずもって、原告が既に「10/31原告第1準備書面」の(第8項〜10項)「第5」で詳述
 しているように、請求人の身分・言動・目的による差別不開示は、情報公開法の規定
 に違反することは素より、情報公開本来の趣旨からしてもとうてい許されるものではな
 いから、原告が請求目的として「暗黒・錯乱行政の実態調査」と記載したからとして不
 開示を正当化することはそもそもお話にならない失当である。

   また、原告が「個人を誹謗中傷した」という被告主張自体が、被告が何ら法的事実を
 上げ得ないデッチ上げであり、論ずるに値しない。

3;なるほど地方公共団体の情報公開条例では、門真市のように、通例、開示請求者の
 責務についての規定が置かれている場合が多い。大阪府の条例でも、「この条例の定
 めるところにより行政文書の公開を受けたものは、それによって得た情報を、第1条の目
 的に即して適性に用いなければならない」(第4条)としているのは、その典型である。

   しかし、これらの規定はあくまで倫理規定であって、法的意味を持たないものであり、
 開示を拒否することができるのは、あくまで条例に定められた例外事由に該当する場合
 だけであって、それ以外を理由とする開示拒否は違法である。
   例えば、ある機関に対する苦情の情報は必ずしもその苦情が真実であることを意味
 するものではないから、その苦情情報を情報公開で得た者が、もしもそれを「こういう苦
 情が出ている」という範囲を超えて、その苦情内容があたかも真実であるかのように宣
 伝したがために名誉毀損に問われたとしたら、それはその者が開示請求をした行為や
 行政機関が開示した行為そのものに法的問題があるかどうかではなく、開示を受けた
 後のその者の行為に法的問題があったかどうかが争われるべきことである。

   情報公開制度による開示は「誰にでも等しく開示される」ものであり、「目的に則して」
 にしろ、「権利を正当に行使する」にしろ、「適正に使用」にしろ、開示請求者が自分の
 目的や行為を正当だと考えているのに、開示請求を受けた行政機関が開示を判断す
 る段階で請求者のそれが「正当でない」と判断出来うるとするならば、それは行政機関
 による恣意的判断・思い込み・勝手な予測による差別を許してしまうものであって、許さ
 れることではない。

4:そして当方の「原告第1準備書面」の「第5」で詳述しているような理由を持って、あ
 えて国の情報公開法には、「利用者の責務」の規定は置かれていないから、誰がど
 のような目的を持っていようが、その目的を記載することなく、情報公開法第5条に定
 める例外事由に該当する場合を除いては、開示請求者の責務を理由として開示請求
 を拒否することは許されない。

   そしてまずもって地方自治体の条例は、法律に違反した規制や禁止をすることが
 できない上に、「原告第1準備書面」の「第3」にあるように、情報公開法がその第41
 条で、 「地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保有する情報の公開に
 関し必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう務めなければならない」、と定めて
 いる以上、地方自治体は情報公開法で定めるレベルを下回るレベルの情報公開しか
 しなかったり、 これに抵触する情報不開示を行なうことはしてはならないのであるか
 ら、そこからしても、被告門真市が情報公開法で問われることのない(あえて規定を
 設けていない)「利用 者の責務」を理由として情報の不開示を正当化することは、情
 報公開法への違反行為と しても許されないのである。

   被告がもしこの原告の主張に異議があるとするならば、それを論述すべきであるが、
 それを今の段階でもなし得ていないということは、原告主張への反論ができないから論
 議を避けているとしか考えられない。  

 

第4; 7/14大阪地裁判決への評価と公益法人役員情報開示の関係

1:被告は「被告準備書面2」で「第 3」として、7/14大阪地裁判決(甲第31号証)を利用
 して自己の主張の正当化を図っているが、これは論理的に成立し得ないことを述べて
 いるに過ぎない。

  なぜならば、同判決は確かに

 A;「本件28団体が被告から補助金又は助成金の交付を受けていたとしても、そのこと
  のみを理由に、本件条例6条の文言に関わりなく代表者氏名、住所及び役員氏名を
  開示すべきであるとは解することはできず、原告の主張は採用できない。」
   (同判決17頁(3)ア)と判示して原告の主張を排斥しているが、公益法人については、
  その以前の同判決14頁(ア)と15項で、

 B;「社団法人大阪府公衆衛生協会(※原文通り)門真支部及び社団法人門真市社会
  福祉協議会はいずれも公益を目的とする法人であるところ、公益法人の役員名簿は、
  『公益法人の設立許可及び指導監督基準』(平成8年9月20日閣議決定、平成9年12
  月16日一部改正)7条において、「主たる事務所に備えて置き、原則として、一般の閲
  覧に供すること」とされており(甲41)、また、総理府内閣総理大臣官房管理室公益法
  人行政推進室は、役員名簿の必要的記載事項は、登記事項である役員氏名及び住
  所である旨(民法46条1項)、及び『一般』とは「どのような人からもという趣旨」である
  旨回答しており、(甲42)、公益法人の役員名簿は、行政指導により、既に一般に公
  開されていることが認められる。

   上記によると、前記各社団法人の役員名簿は、『公益法人の設立許可及び指導監
  督基準』に従って既に公開されているのであるから、両者の役員氏名を開示すること
  により、場合により個人のプライバシーを害するおそれがあるとしても、それは受認す
  べき範囲内にとどまるものというべきであろう。
    したがって、社団法人大阪府公衆衛生協会(※原文通り)門真支部及び社団法人
  門真市社会福祉協議会の代表者住所及び役員氏名は、本件条例6条1号ただし書ア
  の除外事由に該当する。
 (下線・赤字は原告による)

 として、「公益法人の場合は文句なく代表者住所及び役員氏名は開示」と明確に判断し
 ているのであって、この7/14地裁判決文からはとうてい被告のような「公益法人であっ
 ても被告門真市から補助金又は助成金の交付を受ける団体は役員情報を不開示にで
 きる」という主張を正当化できる余地はない。

   日本語をどのように読んだら被告のような理解が出てくるのか、原告のみならず誰し
 も首を傾げるところである。

2;7/14判決のAの部分は、原告にとって全く承服できないので控訴をしている所であり、
 その批判内容は当方の高裁における「控訴理由書」や「1審原告準備書面」に詳述して
 いるが、本訴訟で検討すべきは「公金支出団体一般」ではなくて、公益法人の場合に
 限定して、その代表者住所及び役員氏名の(被告のなした)不開示決定が妥当かどう
 かなのである。

   この論点について、原告は単に閣議決定に沿うべきの妥当性だけでなく、日本国憲
 法と情報公開法の規定からも、また公益法人の現実の諸問題と改善の必要性および
 公金支出の説明責任という公益からも、閣議決定の内容が正しいからそれに沿った開
 示をすべきことを詳細に論述しているのであるから、被告がそれらに対して反論しえな
 いままに 「公金支出団体一般」に対する7/14判決を持ち出すのは、全く失当である。

   被告は原告が7/14判決を「極悪判決」と呼んで批判することを、さも重大な悪事のよ
 うに言い立てているが、原告にとって本質部分が非常に良くないと判断する判決を原告
 が自らの分析と言い方で批判することの、いったいどこが「誹謗中傷」だと言うのか?
  原告の判決批判の中で何か事実と違うこととか、個人のプライバシーを侵害するよう
 なことがあるとでも言うのか?

   裁判の判決を手厳しく批判公開すること自体が悪事であるかのように言い立て、それ
 をもって本件裁判官諸氏の歓心を買おうとしているかのような被告の主張は、その実態
 は、原告に対してまともな反論をなし得ないがゆえの代償行為であろうが、自らの気に
 入らない言論は潰してしまいたいとする心根が露骨で、これが門真市長の主張であるこ
 とを考えると、誠におぞましい限りである。

   裁判所におかれては、この門真市行政の実態を踏まえて厳正早期の判決を出して頂
 きますよう、重ねてお願いいたします。

以上。

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