平成14年(ワ)第8041号

損害賠償請求事件

原  告   戸 田 久 和

  被  告   門  真  市

準 備 書 面

(平成15年1月9日付け原告からの回答文に対する意見書)

平成15年3月3日

大阪地方裁判所

第18民事部 御中

被告訴訟代理人  弁護士  安 田   孝

同           弁護士 上 野 富 司

上記当事者間の御庁表記事件につき、被告は、下記のとおり意見を述べる。

1 原告は、平成15年1月9日付け回答文において、大阪府、府下全32市(ただし、門真
  市を除く、以下併せて「各自治体という。」)の情報公開担当部署に対し、補助金等公金
  交付団体の代表及び役員の氏名の開示請求に対する対応を確認した結果として、代表
  者氏名までも不開示にしている各自治体は一つもなかったとしているので、被告側でも
  調査したが、その結果は、「不開示情報に該当するとされている氏名・住所に関し、市民
  団体の長及び役員の氏名・住所の開示について」と題する一覧表(乙第12号証)のとお
  りである。

2 そこで言えることは、各自治体の回答には なるほど、代表者の氏名は開示すると言う
  ものが比較的多数を占めたことは認められるが、代表者氏名を不開示としているところ
 (岸和田市、貝塚市、箕面市、柏原市、摂津市)もあり、結果として開示しても本人の同
  意を得ているとするところもあった(富田林市)。そして、「現在審査会で審議中のため、
  結論は出ていない。」などの理由で開示、不開示の回答しなかったところ(寝屋川市、
  阪南市)もあった。

3 以上のように、代表者氏名までも不開示のしているところは皆無であるとは必ずしも言
  えず、各自治体において、それぞれ対応が異なっていると言うのが正しい分析である。
  その背景には、事案によっても異なるという事情もあろうし、或いは条例の規定や解釈
  が異なるという事情もあるであろう。
  情報公開制度自体が、発足して日が浅く、未だ確りと根付いていないために、各自治
  体とも程度の差はあれ、試行錯誤の状態であると思われるのであって、開示請求自体
  が無い旨の回答をした自治体が13団体と全体の約40%を占めていることもこれを裏付
  けている。
  (原告も、平成15年1月9日付け回答書の4頁末尾で「全体的に、開示請求事例がま
  だ少なく、公益法人の役員氏名住所公開に関する閣議決定や情報公開条例手引書の
  内容への理解の薄さも見受けられた云々」と述べてその旨を認めている。)
  従って、各自治体において取扱いが異なることもやむお得ないことで、事例と経験の
  積み重ねにより、できるだけ各自治体が有する情報は開示するという制度の目的と、
  しかし、徒に個人のプライバシーを侵害してはならないというもう一つの制度の要請と
  の調和を如何に図って行くかということが今後の課題であると考える。

4 以上のように、原告が調査結果として上記回答文において「代表者氏名までも不開示
  とする自治体は門真市を除いて皆無である」などと主張するところは、被告の調査結果
  に照らしても正鵠を得たものとは言えず、これら調査結果が、原告の主張を根拠付ける
  ものとも言えない。

以上