第9;「団体に関する情報」としての考察を放棄した原判決の誤り
1;原判決は本件団体代表者氏名等の情報は、全て本件条例6条1号の「個人に関する情
報」のみに該当すると断定して判断を進めるが、それは失当であり、本件条例6条2号
「法人等に関する情報」にも該当する部分があるとして考察を行なうべきであった。
原判決が言う理由は、「各団体の代表者及び役員という個人に関する情報であること
は明かであるから、いずれも個人情報に該当する」という同義反復に過ぎず、また「し
かし、被告は、本件代表者氏名等が本件条例6条2号の不開示事由に該当するとの抗弁
を主張していないのであるから、この点については判断の要をみない。」として1審被告
の都合に同調しているに過ぎない。
1審被告は、団体の性格や公金との関わり抜きに「とにかく個人の名前は個人情報で
不開示!」という暴論で押し切りたいのだから6条2号に触れたくないだけであって、
そのことと、団体役員情報が純粋に「個人に関する情報」であるかどうかの検討は別で
なければならないはずである。
原判決に判断様式は、「窃盗と詐欺」で告訴された被告人が詐欺の部分では抗弁を主張
していないから詐欺については審理しない」と言っているようなものではないか。
2;「法人等に関する情報」の部分(甲第4号証のA)には、法人格を持たない多彩で身近
な各種市民団体も含めて「法人等」に入れているが、もし1審被告や原判決が言うよう
に、「個人の氏名や住所が書いてあるものは全て個人に関する情報だ」というのであれば、
なぜ「手引書」の「適用除外基準(不開示情報の判断指標)の中に個人の氏名住所に関
する記述があるのか?
必要ないはずではないか?
これはつまり、「団体というのは個人の集合であって、その個人が団体の様々な機能を
団体の構成要素として果たす」ものである以上、「個人の氏名や住所であっても団体とし
ての情報である」部分が存在するからに他ならないからである。
現に「パンフや社史に記載された情報」や「既に公表済みの情報」という区分は「法
人等に関する情報」の部分にしかなく、この中での個人の氏名住所等は「法人等に関す
る情報」として扱われることになっている。
|