第3;「連絡先(住所)」を「自宅住所」に一面化させて
「プライバシーの危険」を振りかざす原判決のトリック
1;1審原告としては、団体代表者に直接確実に問い合わせできるため、また公金支出団
体代表が一部地域に偏っていないかなどを検証するためにも、自宅住所が望ましいとは
思っているが、必ずしもそれに絶対的にこだわるものではないからこそ、団体代表者の
「連絡先(住所)」の開示という求め方をしているのである。
諸団体の中には「事務所は市役所(教育委員会)内に置く」と規約で定めている団体
や独立の事務所を持っている団体も多々あるのだから、その事務所住所を代表者の
「連絡先」として開示するとの判断がなされても特段奇異ではない。
また、「不特定多数に私生活の場を知られるなど大きな不利益の恐れ」を「公金支出
の説明責任」よりも重く考えるというのならば、個人の住所全てではなく「○○町」と
か「○○町○番地」までしか開示しないとかの工夫も(1審原告が賛同するかどうかは
別として)行政としてあってもよいだろう。
2;また、「公開を目的として収集した情報ではない」とか、本当に情報公開と個人情報保
護との狭間で苦慮するのであれば、当該団体に連絡して開示を了承するかどうか聞けば
よいのであって、現に今年7月に大阪府に行って守口門真商工会議所の役員情報の開示
を求めた時に、大阪府はそのような問い合わせをした上で当方に開示・不開示の情報提
供を行なったのである。
(代表者の「連絡先(住所)」だけでなく役員氏名についても同様)
3;ところが、原判決は「争点に対する判断」において「団体代表者の連絡先(住所)」と
すべきところを全て「代表者住所」と勝手に変更して、上記のような工夫のバリエーシ
ョンの幅を一顧だに検討することなく、個人の自宅住所の問題に一面化して「私的情報
としての側面を強く有している」とか「不特定多数に私生活の場を知られるなど大きな
不利益の恐れ」などを描き上げて、不開示を正当化するというトリックを行なっている。
4;1審被告門真市行政がこのような工夫検討を行わなかったのは、彼らがなした「不開
示決定への変更」が、実は急激な外部圧力に堪えきれずなされたことの証左であり、
開示日の6月11日朝になって判断を変えるまでは、「公益法人の代表者氏名までも不
開示にせよ」というような不開示圧力は論外であるとの正論が実質的な判断担当者たる
「企画部情報政策課」・辻課長(当時)にあったゆえに、そのようなある種小手先で行
政としての整合性を取り繕う作業を一切しなかったしできなかったためであることを
十分にうかがわせるものである。
すなわち、1審被告の不開示決定し直しは、情報公開条例や法的公益とのバランスな
どを個別団体ごとに検討し直すなどの真摯な検討を全くせずに行なった不当なもので
ある。(だからこそ検討会議の記録や痕跡が全く出せない)
5;かかる1審被告門真市の情報隠しの不当さとその実状から目をそらし、「団体代表者の
連絡先(住所)」開示を個人の自宅住所の問題に一面化して「プライバシーの危機」を
針小棒大かつ無内容に振りかざすことで、行政の情報隠しを逆に正当化する原判決は
明らかに誤っている。
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