第2;「議会への提出」問題を故意に隠ぺいした原判決

1;本件情報隠し事件では、行政府としての「市」に提出された団体役員情報だけでなく、
 「議会」に提出された資料の中の団体役員情報が開示されるべきか否かも重大な問題に
 なっているにも拘わらず、原判決は故意にこの「議会情報の公開」の問題を一貫して隠
 ぺいするという過ちを冒している。

  すなわち原判決は、

 @ 問題の発端となった「合併推進団体要望」の提出先が門真・守口両市の市長と市議
  会議長であるにも拘わらず、この2者がはっきりと記載されているのは「第2 事案
  の概要 2 前提となる事実 (4) 」の部分のみである。

 A 「第3 争点に対する判断(2)ア」では、「・・本件28団体は・・・要望書を門真
  市長という公の機関に提出したものであり」、とあえて市議会議長を除外するという明
  かな過ちを冒している。

 B また議会提出資料として議員たる1審原告に配布された資料(証拠で言えば甲25
  の2;社会福祉協議会、甲27の2:人権啓発推進協議会、甲27の3;老人クラブ連
  合会)に関して、姑息にも議会のことに触れずに「情報公開請求以外の方法で入手し
  た本件28団体の代表者住所又は役員氏名が記載されている文書が存在することが認
  められるが、これらはいずれも公表される場面や相手方が限定されたものであるか
  ら、・・・」(原判決17ページ中段)と述べるのみである。

2;原判決は議会問題を無視することを通じて「議会公開の大原則」の蹂躙を行なう違法
 な判断をしている。
  1審原告は一貫して、「議会に提出された情報は公開が大原則である」ことを主張し、
 市から補助金等を受けている団体(原判決添付「一覧表」中28団体中19団体+消防
 団)(甲第22号証)の役員氏名は開示対象であることを指摘しつつ、中でも議会に提
 出された情報は公開情報なのだから、「平成12年度主な50万円以上の各種助成団体決
 算書」(甲第27号証)記載の団体役員氏名は、この点からも当然開示情報であること
 を指摘してきた。
 (本件訴訟28団体中、(社)門真市社会福祉協議会(6141万円)・門真市老人クラブ連
  合会(636万円)・守口門真商工会議所(250万円)・門真市人権啓発推進協議会(130
  万円)・門真市婦人団体協議会(80万円)・門真市体育協会(115万円)の計6団体)

   国民主権下で議会制民主主義制度を採る日本国憲法は、

 第57条【会議の公開、秘密会】

  1 両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の三分の二以上の多数で議決したと
   きは、秘密会を開くことができる。

  2 両議院は、各〃その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると
   認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。

 と国会について定めているが、「地方自治の本旨」に則る地方議会においても、議会公
 開の大原則は変わるものではなく、

 <地方自治法>においても、

 第115条 普通地方公共団体の議会の会議は、これを公開する。但し、議長又は議員3
      人以上の発議により、出席議員の3分の2以上の多数で議決したときは、秘
      密会を開くことができる。

 と定められている通り、地方議会もまた公開が大原則である以上、議会に提出された資
 料に記載されている情報が非公開ということは、「秘密会」でもない限りあり得ないこと
 である。
  市民の代理人もしくは代表者として選出されている議員に見せる資料の記載事項を市
 民に見せない・開示しないということはかかる憲法・地方自治法の否定であり、議員に
 情報特権を得させることで「情報利権の温床」を作ったり、また議会提出情報を公開し
 たにすぎない議員を「個人情報を開示した」として不当に非難する道を拓くものに他な
 らない。

  このことを何ら考慮しない原判決は憲法及び地方自治法への違反が明白である。