第1;「違法行為の自白」とも言うべき「10/2被告答弁書」での
    1審被告主張を全部隠ぺいした原判決

1;裁判は当事者双方が提出した主張や証拠に基づいて審理を行なうものであり、当事者
 がある主張をしたにも拘わらず、それをあたかも主張をしなかったかのように裁判所が
 その主張事実を「争点に関する当事者の主張」から隠ぺいすることがあってはならない
 はずである。

  ところが原判決では、「団体役員情報の開示が是か非か」という本件訴訟の根幹部分
 において、1審被告が2002年提出の「10月2日付答弁書」で「違法行為の自白」とも
 いうべき重大な主張を行ない、それに対して1審原告が違法行為の証拠としてそれを批
 判指摘した(2002年11月9日提出原告「第2準備書面」第2項・第3項ほか2003年
 4月11日提出「第3準備書面」の第5項・第6項など)にも拘わらず、これを全く無
 視して「争点およびこれに関する当事者の主張」を描き上げて判決を組み立てているの
であって、これは1審被告への不当なかばい立てであり、その不公正さは甚だしい。

2;1審被告は1審において、2002年に「10月2日付答弁書」を提出し、その中で

 @開示請求動機を勝手に推測して不開示判断に加味したことを表明した上に、
  「原告は、・・・従前からインターネット上に個人名を明記して特定個人の非難・中傷
  を繰り返しており、そうした原告の言動に対して市・市職員並びに市議会・市議会議
  員の間で警戒感が強く、同人には個人名を識別し得る情報を与えることは乱用される
  危険があるとして、関係者の間で特に個人情報保護に気を付けるよう警戒心が持たれ
  ているようである。」、として

 A1審原告に対する(悪意ある)個人評価を理由に不開示にしたことを堂々と表明し、
  「原告の各種団体代表者個人に対する署名権限の有無に関する非難・中傷が始まって
  いる現状において、市が個人氏名を一般開示することは妥当ではないとの理由で、先
  の決定が取消され、改めて一部不開示の決定となったものである。」、として

 B恣意的な「状況判断」によって開示判断を左右したことを自己バクロしているので
  ある。

 これはまさに現代において「情報開示判断の大原則」として当然視されている事に全く
 反しているのであって、その違法性が明白である。

3;この「10/2答弁書」は1審被告門真市が02年6月11日の事件発生以来4ヶ月弱、8
 月9日の訴訟提起以来2ヶ月弱の時間をかけて「自信を持って」作成したものであり、
 裁判戦術を考慮したとしても「もっとも生々しいホンネを」示す重大な証拠である。
  また、同年6月頃と言えば自衛隊が情報公開請求者を「弁護士・オンブズ・反戦自衛
 官」などと分類しての別途入手の個人情報を付けたリストを作成していたことが判明し
 て大問題になって国会が紛糾し、防衛長官が「開示請求者が誰かによって区別を付け
 ることは決してしていない」と釈明に汗をかいた時期だが、そういう話題が生々しい中に
 あってさえ、裁判文書でこのような愚かしい主張を堂々とするところに、1審被告門真
 市行政の非常識ぶりや条例・法律への無理解と法規範意識の希薄さが如実に示され
 ているのである。

4;1審被告は当方から02年10月7日のホームページ掲示板書き込みで(甲第53号証)
 指摘されてその非に気づいてからは、姑息にも11月以降の裁判文書ではただひたすら
 に「氏名や住所は個人情報だから不開示」という形式論に逃げ込んで、この「10/2答弁
 書」主張を2度と口にしなくなったけれども、この主張を取り下げたことは一度もなく、
 1審被告が「開示請求者が誰であり、どういう動機を持ち、どういう評判の人間か、そ
 れをどう使いそうなのか、を判断の材料として不開示にした」という主張は確固として
 継続しているのである。

5;従って、原判決の「争点及びこれに関する当事者の主張:(1)6月11日決定の内容は
 違法か。ア 本件代表者氏名等が本件条例6条1号ただし書の除外事由に該当するか。」
 の部分において、(被告の主張・反論)として「10月2日付答弁書」の内容を除外する
 ことは許されず、また(原告の主張)として、これへの詳細な批判をした1審原告の主
 張を除外することも許されないのであって、それらを欠落させた原判決の「争点に対す
 る判断」に妥当性はあり得ないのである。