初めに;原判決の問題点の概要と本件の本質

 本件事件の本質は、団体の役員情報について当初まっとうで常識的な開示決定を行なったのに、その後急に「何が何でも団体代表者・役員の名前を出すな!」という理不尽かつ強力な圧力がかかり、その圧力に屈した市当局が法規範意識を投げ捨てるような形で「個人の氏名は全て不開示!」という違法な情報隠しに突っ走ったということにある。
 決して「門真市が、自らなした「開示決定」の中に判断の誤りがあったことに気が付いたので急遽決定を変更して個人情報を守った」、というような単純な「自庁取り消し」の問題ではない。

 だからこそ、「期限過ぎてからの決定変更」という前代未聞の重大事であるにも拘わらず、公益と個人のプライバシーとの比較考量など、何をどう検討したのかの痕跡が全くないままに、公益法人の会長氏名までも全て不開示にするなど、およそ行政機関としてあり得ないような突拍子もない行動に走ったのであり、その後も絶対に公開されるべき「個人情報保護審議会」の委員氏名までも一時不開示にするほどの錯乱ぶりを示したのである。
 これが原告が本件を「暗黒錯乱行政による情報隠し事件」と呼ぶゆえんでる。

 その背後にあるのは、諸団体による「門真市守口市合併推進団体要望」のかなりの部分 が極く一部役員らの独走による不正規なものであることを控訴人が暴露報道していったこ とである。

 これに対してこれまで自分の名前をビラやHPに批判的に書かれたことのない「会長」達=町の「名士」達が批判報道に過剰に反応し、「何が何でも戸田に情報を与えるな」とヒステリックになって市に圧力をかけたことが本件情報隠しの直接の要因であろうということが、状況証拠として十二分に考えられるのであって、またそうとでも考えなければ、1審被告門真市のおよそ行政らしからぬ錯綜ぶりは説明がつかないのである。
 事実として、市自身も1審で初めて提出した「10/2答弁書」で「合併推進問題での戸田が批判報道を強めていたから不開示にした」旨をはっきりと述べているのである。

 ところが原判決は、要するに、「閣議決定で役員情報公開が義務付けられている公益法人」と「自らホームページなどで役員情報を公開している団体」の役員氏名の不開示という、「子どもでもわかる違法行為」だけを違法と指摘するだけで、それ以外の団体役員情報については、公金支出の説明責任や「公益との比較考量」も、本件の本質も何も検討することなく、全て「個人のプライバシーだから不開示であるべき」という愚論で片づけてしまった。

 誰しも疑問に思うはずの、なぜに1審被告門真市行政が突如としてこのような「子どもでもわかる違法な情報隠し」にまで走ったのか、こういうことに走る行政の判断力や裁判での主張全体がまともなものであり得るのか、などを原審裁判官が少しでも考えて控訴人の提出書面を吟味して審理すれば、このような判決は書けなかったはずである。
 原判決は、こういった「子どもでもわかる違法な不開示」だけを形式的に咎めるのみで、それ以外はすべて1審被告門真市の異様な情報隠し行政の主張ベッタリの姿勢を持ち、あまつさえ1審被告がボロを出したところや不利なところを裁判所が隠ぺいしたり、論点修正してやったりして1審被告に加担することまでしており、とうてい公平な裁判とは言えず容認できるものではない。

 以下に原判決の問題点を具体的に指摘していくものである。