平成14年(ワ)第8041号

損害賠償請求事件

原 告  戸 田 久 和  

   被 告   門  真  市

代表者市長  東 潤

準 備 書 面 (最終)

平成15年5月2日

大坂地方裁判所

     第18民事部 御中

被告訴訟代理人  弁護士  安田 孝

同     弁護士  上野富司

 上記当事者間の御庁・表記事件について、被告は下記のとおり陳述する。

第1 弁論準備期日における被告提出書面である平成14年12月24日付け釈明書、平成
    15年1月16日付け争点整理に関する意見書、平成15年3月3日付け準備書面を本
    弁論期日において改めて陳述する。

第2 争点(1)6月11日不開示決定の手続きの適法性について

   平成14年12月24日付け釈明書(第1)に記載したとおりであり、本件不開示決定に
   つき、手続的な違法はない。
    要するに、当初誤った開示決定をし、その後、その誤りに気付いた被告市が当該開
   示決定を取消し、改めて適法な不開示決定を行ったもので、釈明書にも述べておいた
   が、違法不当な処分を被告が自ら認めてこれを適法正当なものに改めるのは、むしろ
   行政の義務というべく、昭和31年3月20日最高裁判所判決も同旨の判示をしている
   ところである。
    また、原告は、期限徒過の違法を主張するが、本件には手続きの連続性があり、
   一連の手続きであるからこの点の違法もない。
    詳細は、釈明書の記載に譲る。

第3 争点(2)6月11日不開示決定の内容の適法性について

   平成14年11月13日付け準備書面1及び平成15年1月16日付け争点整理に関す
   る意見書に記載したとおり、本件不開示決定は適法である。
    詳細は、同準備書面等の記載に譲るが、原告は基本的に条例第6条1号の規定と
   同条2号の規定とを混同して論じていることを再び強調しておきたい。  ここで、1号
   の規定に関する手引書40頁の記載に触れると、同頁大分類1の1の「情報の具体的
   内容の例示欄」の末尾に「その他何人でも閲覧することができるとされている情報」と
   あるが、本件合併推進要望書は議会に対するものであり、議員に手渡されるのは当
   然としても、一般的に何人も閲覧することができるものではないから非該当である。
    次に、要望書を提出した団体の代表者の氏名等が大分類1の2の(1)「公表するこ
   とを前提として本人から任意に提供された情報」のウ「議会に対する請願云々」の規
   定の適用を受けるか否かであるが、請願に関しては、憲法第16条、請願法第1条か
   ら第6条、地方自治法第124条に手続きを含む詳細な規定がおかれており、本件の
   ような単なる要望とは手続きが違うのであって、本件合併推進要望は請願ではない
   から条例の上記部分の適用はないと言うべきである。
    さらに、付言すると、これは「公表することを前提として本人から任意に提供された
   情報」でもない。

第4 市が補助金・助成金を交付している団体の代表者及び役員氏名は開示するべきか

    補助金・助成金の交付と個人情報である代表者及び役員の氏名を開示することと
   の間には関連性がない。そして条例の何処にもこれを開示するべきであるとする具
   体的な規定はない。
    法律の解釈には幾つかの方法があるが、先ず基本は文理解釈である。
    殊に行政法の解釈は文理に忠実であることが要請されるとする考え方が強い。
    公務員は法律に忠実に従って職務を遂行することが義務付けられているからであ
   る。
    本件条例も行政法であるからこの理が当てはまるのであって、情報公開条例であ
   るから特別に扱わなければならないものでもない。

以上