国賠訴訟;地裁 第3準備書面(4)

4:府下32市の団体役員氏名開示実態について、被告への反論

 被告は門真市行政の異常さをなんとか軽く見せようとして、原告が1月9日に提出した「回答文」のB【大阪府下の他市での団体役員開示の実態】(甲第66号証)において、「2;当然と言えば当然であるが、大阪府と府下32市において、補助金等交付団体の代表者氏名までも不開示にしている自治体はひとつもなかった。「代表者・役員氏名は個人情報だから全て不開示」などという所は門真市以外にはない。」と調査結果を報告したことに対して、「3月3日付け 平成15年1月9日付け原告からの回答文に対する意見書」を出して、その中で「代表者の氏名は開示すると言うものが比較的多数を占めたことは認められるが、代表者氏名を不開示としているところ(岸和田市、貝塚市、箕面市、柏原市、摂津市)もあり、」などと述べて、『代表者氏名までも不開示とする自治体は門真市を除いて皆無である』などと主張するところは、被告の調査結果 に照らしても正鵠を得たものとは言えず、これら調査結果が、原告の主張を根拠付けるものとも言えない。」と結論づけている。

 しかし、ここにおいても被告は労力を払って墓穴を掘ったと言うべきであり、原告としては大変有り難く感じている。
 まず、「岸和田市、貝塚市、箕面市、柏原市、摂津市は代表者氏名を不開示としている、」としているが、よく見てみると、

  @岸和田市は、開示の対象を「市民団体の長および役員の氏名は・・」としており、これ
   は原告の電話調査による「公的団体の代表と役員氏名は開示。それ以外の団体は
   出さない。」ということと何ら矛盾しない。すなわち公益法人という「公的団体」の代表
   と役員氏名は開示なのであって、門真市のように公益法人の代表者氏名までも
  不
開示としているのではない。

  A貝塚市は、「長を含めた役員の住所・氏名については、役員が団体それ自体に代わ
   って、その行為を行なう機関であるから、団体の情報の一部ととらえ、個人情報から
   除外されるが、」との前提の上で「一般的に社会通念上、開示できる場合であるか
   どうかが、客観的に明白である場合を除き、当該個人から意見を聴くなど、慎重に
   取り扱い、客観的な判断に努める必要があると思われる。」と答えているのであり、
   これも戸田報告の「役員氏名を公開している団体の役員や、補助金申請書に書か
   れている代表者・役員の氏名は公開。」ということに矛盾するものではない。
    少なくとも門真市のように何でもかんでも「氏名は個人情報」として公益法人
  役員
や補助金申請書の役員氏名までも不開示にしているわけではない。

  B箕面市は、「市民団体役員名簿の場合 個人情報に該当」としているが、これは
   益法人の役員をも不開示にしているとはとうてい考えられない。
  戸田報告では「団体役員氏名は「個人情報」としての支障がないので代表者・役員
   の全氏名を公開する。」としているので、公益法人以外の団体について「代表その
   他の役員氏名」と「住所までも記載した役員名簿」とを混同しているのではないかと
   思われる。

  C柏原市は、「ただし、慣行として公にされ又は公にすることが予定されている情報
   であるならば開示。また、広報誌等に掲載されている情報のような既に公になって
   いる情報であれば情報提供で対応。」としているのであって、これを「不開示」に分
   類することはおかしい。
    戸田調査では「公的団体は役員も全て公開。ほかは個別に検討する。」と答えて
   いるのだから、公益法人はもちろんのこと図書館やそれぞれのホームページで公
   開されている氏名情報は開示されていると考えるのが妥当である。

  D摂津市は、「個人情報により不開示。」と明言して門真市と似ているが、戸田調査
   では「少なくとも公的団体は全て公開だろう。」と答えており、少なくとも公益法人の
   役員氏名まで不開示とは考えていないはずである。

 また、被告は「結果として開示しても本人の同意を得ているとするところ(富田林市)」や「現在 審査会で審議中のため、結論は出ていないなどの理由で開示、不開示の回答しなかったところ」(寝 屋川市、阪南市)も上げているが、最低限どんなところでも「公益法人は公的団体」というのが常識になっているのであり、「閣議決定で役員名簿の公開が決まっているのに開示しない」という常軌を逸した判断をする自治体が門真市以外にあるはずがない。
 もしあれば、被告弁護士が「不開示」と答えた自治体からさらにそのような答を引き出せているはずである。

 以上のことから被告自身の調査結果を見直してみれば、少なくとも公益法人の代表の氏名さえも不開示にしているところはひとつもないか、仮にもしあったとしても摂津市の1市くらい、公益法人以外の市民団体も含めた団体の代表者氏名を不開示にしているところは「未定2」を除いた30市の中で多くても5市、少なければ2市程度であって、これを見ても門真市の異常さは群を抜いており、原告の主張はほとんど正当である。

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