国賠訴訟;地裁 第3準備書面(2)

2:日付偽造の「虚偽公文書作成」は否定しようがない

(1)被告は様々な奇妙奇天烈な言い逃れを展開しているが、どのような言い逃れをし
   ようとも、被告が原告に渡す目的で、6月11日に(情報公開条例で規定している
   決定期限遅れで)行なっ た不開示の新たな決定の通知の日付をあえて「6月6
   日」もしくは「6月7日」と日付偽造した決定通知を作成して公印を押した事実は
   動かしようがない。この公文書が正式な決裁を経たものであり、被告が組織的・
   意図的に作成したことも動かしようがない。
   日付を遡って偽造した理由は情報公開条例で規定している決定期限が6月6日
   ・7日だった ためであり、この当時はまだ「条例で決めてある期限を越えることは
   まずい」という判断があったためであろう。そして、決定期限遅れで決定変更した
   事実を決定通知の上で隠ぺいするために行なわれたのであるからこそ、原告が
   差し替えに同意する以前には原告に見せようとせず、差し替え拒否すると原告に
   渡さず、再三再四の引き渡し要求にも言を左右にして引き延ばしたあげくに、19
   日になってこの日付偽造文書を廃棄処分して原告に現物が渡らないようにしたの
   である。
   そして11日から19日までの迷走の中で、被告の法規範意識はどんどん溶解し
   て、「条例で定めた回答期限を過ぎてから不利益変更しても構わない」、「条例で
   規定していないことを行政の独自の判断でしても構わない」、「開示・不開示の行
   為が終わった後にその開示不開示の決定通知を作成しても構わない」という「毒
   を喰らわば皿まで」状態になり、19日以降は更に悪化していって今日に至ってい
   るのである。(つまり決定期限をどれだけ過ぎようとも行政が好き勝手に決定変
   更して良いのだ、という「新理論」を開発して居直るようになったということ)

  (2)原告は行政の一般的行為として「日付の遡り」や「文書差し替え」という手法が
    あることを 全て否定するものではない。しかし本件での「日付の遡り」や「文書差し
    替え」は、その目的が「条例規定に従った正当な公文書を回収して消滅させてしま
    うこと」と「条例で定めた回答期限を過ぎてから作成した文書をあたかも期限内に
    作成されたかのように見せかけること」であり、それをもって違法な情報隠しの正
    当化を図ろうとする、極めて不純で違法性が高いものであるから、虚偽公文書作
    成として糾弾するのである。
    被告の意図の悪質さと主張の支離滅裂さは、「10/2答弁書」に典型的に現れて
    おり、「・・し かし、原告の過去の言動から考えて、そのような文書差替えの方法
    で決定内容の変更に応じる筈がなく、また遡って同じ日付で内容の異なる決定書
    を作成することはおかしいから、正式に先の決定を取消し、改めて一部不開示とし
    た新たな公文書開示決定書を作成・交付したものである。」とまで言っているので
    ある。
    つまり、「原告が応じるはずがない」と予測する手法を用いた意図は、「原告が不
    開示決定文書の受け取りを拒否した」という歪曲非難を行なうためであったことが、
    ここで露呈された。
    行政として実に悪質・悪らつな姿勢である。
    また、「おかしい」と考えたのは、11日の不開示騒動が終わってしばらく経ってか
    らのことであり、その時点では「日付を遡って作成したこの公文書を原告に渡すこ
    とは法的にヤバイ」という認識が被告に確かに存在していたこと、すなわち「これが
    日付偽造の虚偽公文書にあたる」と被告が認識していたのであり、だからこそ原
    告からの引き渡し要求を1日延ばしにしつつ、庁内で検討を重ねて6月19日にな
    って文書の作り直し(「6.19付け不開示決定文書」)を行なったのである。
     (詳しくは原告の「11/9第2準備書面」の<1;違法な6/11逆転不開示決定を誤
    魔化す被告主張>の3〜4ページなど)
    さらに言えば、答弁書を出した「10/2段階」でも「遡って同じ日付で内容の異なる
    決定書を作成することはおかしい」という認識を被告がしていたことも重大である。

  (3)この点を衝かれて慌てた被告は、その後かろうじて「12/24釈明書」でのみこの
    問題の釈明 を試みたものの、しどろもどろを繰り返すのみで、肝心の「6月11日
    にした決定を6日・7 日の日付で文書作成したことがなぜ適正な行為なのか?」、
    「これはなぜ日付偽造=虚偽公文書作成に当たらないのか?」ということに答え
    ることができずじまいだった。
     それだけでなく逆に、「11日付け公文書部分開示決定通知書」(甲第11号証
    のA)(釈明書2ページ1行目)などというありもしない文書をデッチ上げたり(甲
    第11号証のAは「11日作成の、6日付け決定通知書であり、「11日付け公文
    書部分開示決定通知書」という文書はそもそも存在しない)、「11日に当該情報
    開示決定を通知した」(同4ページ2〜3行め)とか「同時に変更通知を行ってい
    る」(同4ページ9〜10行め)という全く誤った記述を行なっている。
     すなわち、門真市情報公開条例(甲第1号証)および門真市情報公開条例施
    行規則(甲第2 号証)は、開示請求に対する決定等に関して「文書で行なうこと」
    を明記しているのであって、
    条例第11条 3 実施機関は、第1項に規定する決定をしたときは、速やかに
               当該決定の内容を開示請求者に書面により通知しなければ
               ならない。
             4 実施機関は、開示しない旨の決定(公文書の一部を開示し
               ない旨の決定及び公文書が不存在であることにより開示
               請求を拒否する決定を含む。)をしたときは、その理由を前
               項の規定による通知書に付記しなければならない。
    施行規則4条 条例第11条3項の規定による決定の通知は、次の各号に掲
              げる区分に応じ、当該各号に掲げる通知書により行う。
    本件のように「決定通知」を請求者に手渡すどころか見せもしないで隠したまま、
    口頭で不開示とか部分開示になったとか告げることは情報公開条例による「通
    知をした」とは言えない のである。
    また、同釈明書4ページ4行目の「D 同月19日に上記Cの通知を文書化した。」
    という記 述も「通知とは書面でなければならない」という基本原則への無知か無視
    によるものでしかない。
     総じて被告の出した文書は、被告がいかに法規範や行政手続きの重要性をぞん
    ざいに考えて いるか、それらを遵守しようとする意識に欠けているかを如実に示す
    ものと言うほかない。 

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