国賠訴訟;地裁 第3準備書面(1)

1:「偽計業務妨害」の事実を覆すことができない被告の実態

(1)「偽計業務妨害」は、本件損害賠償訴訟において、原告が被告の違法行為として「請
   求の原因の5・6・7・8」に上げている4つの違法行為、すなわち「情報公開条例の手
   続に違反」(訴状4ページ)、「情報公開条例の適用除外事項基準に違反」(同5ペー
   ジ)、「虚偽公文書作成」(同 7ページ)、「偽計業務妨害」(同7ページ)、のうちのひ
   とつである。
   そして訴状で「請求の原因 9;これら違法行為は意図的、組織的になされたもので
   ある」としているように、原告はこれら4つの違法行為を一体のものとして「本件違法
   行為」と呼んでいるのであって、「請求の原因 10;原告が上記違法な6.11不開示決
   定によって被った損害」の(3)で述べているような「本件違法行為がなければできて
   いたはずの数々の議員としての業務や活動ができなくされている。」という損害の原
   因になっているのであり、同項目の(5)損害の算定、の @コピー代金5920円、
   A紙や事務用品、印刷費用、書面作成実費は5万円を下らない、B原告の労力の
   時間換算で48万円、C慰謝料30万円、の原因の重要な一部をなしている。

(2)議員にとって議会で質問することが「業務」であること、それもかなり重要度の高い
   「業務」であることは争いのない明白な事実である。これを妨害することが業務妨害
   一般に当たることは論を待たないだけでなく、議会制民主主義社会における議会の
   権能への妨害攻撃としてその悪質性は格段に高いと言わなければならない。
    議会での質問の場合、議会本番での質問と答弁がなされる以前の段階で、議員
   が質問案件を行政側に通告し、それを受けて行政側が議員に質問の趣旨や内容の
   調査を行ない(これを一般に「聞き取り」と称する)つつ答弁作成を図り、議員の側は
   議員の側で行政側との対応の中で様々な事実や見解を出させたりしつつ議会質問
   の組立を考えるという、いわゆる「摺り合わせ」を行なうのが普通である。
   この摺り合わせをした上で、議員は質問制限時間(門真市議会の場合、「本会議
   一般質問」では1回限りの「再質問」も含めて1人20分以内)に収まるように質問原
   稿を作成し、実際に何度も読み上げて時間測定をして原稿を完成させて、本番に
   臨むのである。
    従って質問通告してある事案に関して行政側が議員から事実の提出や説明を求
   められているのにウソをついたり、事実を隠したり、正常に質問原稿を作成する時間
   的余裕を阻害したりすることは、「事実に基づいた質問」とそれへの答弁を受けての
   再質問を議員ができないようにしてしまうのだから、十分に「業務妨害」を構成する
   悪質な妨害工作である。

(3)然るに、訴状7ページにあるように、中本企画部長、辻情報政策課長ら市幹部は、
   本件事件 を6月20日の最終本会議一般質問の通告項目に入れてある(6.13通告
   済み)のを承知で、「6.11不開示決定通知」が日付偽造文書であるという重大事
   実を6月19日夜9時まで原告に隠し通し、原告からの再三再四の引き渡し要求に
   はその都度「夕方にはなんとか」とか、「明日にはお渡しできる」とかのその場逃れ
   のウソを意図的につき続けた。
   最後は原告が「このまま提出しなければ警察に窃盗届けを出すぞ」と言わざるを
   得ないほどだったが、それでも改善しようとしなかった。
   中本企画部長らが日付偽造文書の事実を明かしたのは、実に質問前日の夜9時
   からであり、 しかも日付偽造文書自体は廃棄されて原告の手に入らず、そこに何
   が書かれていたか分からない状態にされたのだから、議会での質問によって行政
   のチェックを図るという、議員にとって最も重大な業務を市幹部のウソによって妨害
   されたのは、その都度のホームページ記事でも明白である。

    ◎甲第16号証;「6月議会本会議での質問答弁記録の本件該当部分」の1ペー
      ジめ。
    ◎甲第38号証;「6.11不開示事件の様子と市の偽計業務妨害対応を示すホー
      ムページ記事」
        3ページめ;▼情報政策課長が公文書抱えて所在不明?奇っ怪な話 1▼
        4ページめ;▼6/18朝10時になっても通知文渡さず連絡なし!奇っ怪な話2▼
               ▼6/18怪事件!正午段階、中本部長所在不明、辻課長出張!?▼
    (この件については原告の第1準備書面の8〜9ページにも詳しく書いてある)

(4)これに対して被告はこの事実があまりにも明白で取り繕いようがないためであろう、
   昨年8月に提訴されて以来今年3月4日の弁論準備に至るまで、これらの生々しい
   事実を「市議として日本一アクセス」の原告のホームページに書かれ、2002年6月
   議会でも9月議会でも追及され、本件訴訟文書でも何度も書かれてきたのに、被告
   はいっさい口をつぐみ続け、昨年の「10/2答弁書」においては「偽計業務妨害」の
   問題にだけは触れずに「6 原告のその余の主張は争う。」としながらも「11/13被
   告準備書面」でも全く触れず、それ以降の弁論準備書面でも口頭の主張でも全く
   触れることがなかった。被告のこの異様な沈黙自体が、圧倒的事実を前にして反
   論しようがなかった被告の実状の反映に他ならない。
   そのような被告が、3月4日の弁論準備で「偽計業務妨害」への判断を裁判所が
   触れることになったことへの対応として、出席していた中本企画部長が「自分はウ
   ソを言っていない」と言ったり、被告弁護士も偽計業務妨害について反論を出す、
   と言ったので本日までに何らかの反論が出されたことと推察するが、被告がどんな
   詭弁を弄しようとも中本企画部長、辻情報政策課長ら市幹部が、偽計を持って原告
   の議会質問という業務を妨害したというこれほど明白な事実はごまかせるものでは
   ない。
   被告が自己正当化を図れば図るほど、被告の見識や主張の異常性が一層露呈す
   るだけである。

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