はじめに;「2枚舌」と請求者差別をいよいよ露呈した1審被告

 被告が10月末までの提出を約束しておきながら、「控訴の具体的理由主張の50日期限」をさらに51日も過ぎ、実に控訴提起後101日を超過してようやく11月6日になって提出した「1審被告準備書面2」は、結局のところ、当方が「1審原告第1準備書面」で主張した通り、1審被告が高等裁判所に対して2枚舌を使っていて、本件の本質が開示請求者差別による不開示であること、および1審被告が7/14地裁判決の不服部分について何ら具体的理由を上げられないことを露呈しただけであった。

 すなわち、「1審被告 準備書面T」では「原告(つまり特定の請求者)の請求であるが故に不開示の処分にしたと盛んに非難するのであるが、そうではない。」と書いたものの、当方から本件1審02年「被告10/2答弁書」や本年「公益法人役員国賠訴訟」の「被告10/1準備書面T」との矛盾を暴かれたために、「1審被告準備書面2」では1審原告への個人攻撃を復活させてこれが不開示の主要な理由であったことを再び露呈させざるを得なくなった。

 まさに「舌の根も渇かないうち」の鉄面皮な「2枚舌使い」が1審被告の実態である。

 また、7/14地裁判決への不服については、「閣議決定には拘束されない」「当該団体を含めて他で開示していようと不開示は門真市の裁量の自由」、という1審で退けられた主張を繰り返すだけでしかない。

 1審被告が唯一新しい主張として出してきたのは、「情報開示請求者(情報公開の利用者)の責務規定」なる論点であるが、これも直接には個別1審原告への不当な差別不開示を示すものでしかなく、一般理論的にも開示判断要素にしてはならない事柄を判断要素に加える1審被告の不当性を示すものでしかない。

 

第1;日本国憲法と情報公開法および情報公開条例の深い関係

1;情報公開から見た戦前の日本と戦後の日本の違い。

  戦前の日本では、大日本帝国憲法(明治憲法)という天皇主権の立場に立脚していた
 ために情報公開という観念自体が成立する余地はなかった。
   国民は、天皇の「臣民」と捉えられ、統治に参加する権利を有せず、行政の内部に関
 することは、天皇及び内閣の専属的な事項と考えられ、国民の関与すべきこととは考え
 られなかった。公務員は天皇の官吏と捉えられ、その服務関係も法律によってではなく、
 天皇の官制大権により勅令形式で規律される建前であった。

  しかし、第2次大戦後の日本国憲法は、このような仕組みを大きく変更した。
 日本国憲法は、憲法を制定したのが国民であって、統治の最終的権威ないし正当性が
 国民にあることを明らかにしただけでなく、統治自体が国民の意思に基づいて行われる
 よう、民主主義原理に基づく統治を命じた。
   この日本国憲法によって樹立された民主主義原理に基づく統治にとって、情報公開は
 不可欠のものであった。

2;日本国憲法による「知る権利」の保障もしくはその要請

  日本国憲法は、民主主義に基づく統治を担保するため、国民に市民として不可欠の一
 定の基本的人権を保障した。
   なかでもとりわけ重要なのは、憲法第21条で保障された、言論、出版、その他一切の
 表現の自由である。この表現の自由は、単に自由に言いた
 いことを言わせておくことが 望ましいから保障されたのではなく、民主主義国家において
 不可欠の権利だからこそ保 障されているのである。

   表現の自由の保障は、何よりも公的論点に関する討論が広く開かれていなければなら
 ないことを意味する。表現の自由がないところに民主主義は存在し得ないのである。
   このことは、すでに日本の最高裁判所によっても認められている。最高裁判所は、北方
 ジャーナル事件判決の中で、「表現の自由、とりわけ、公共的事項に関する表現の自由
 は、特に重要な憲法上の権利として尊重されなければならないものであり、憲法21条1
 項の規定は、その核心においてかかる趣旨を含むものと解される」と述べている。
          (最大版1986<昭和61>年6月11日民集40巻4号872頁)

  実際、政治的言論ないし公的言論に限らず、全ての表現の自由は、民主主義において
 不可欠の構成要素だと考えなければならない。
  しかし、表現する自由を確保するためには、情報を受領する自由、情報を収集する自由
 も保護されなければならない。つまり、表現の自由の保障は、情報の受領・収集・伝達と
 いう情報の自由な流通なくしてはありえないのである。
   しかも、公共事項について自由な表現を行なうためには、政府の活動について情報が
 与えられることが不可欠である。
   それゆえ、憲法第21条の表現の自由の保障は、「知る権利」を含むものと考えられな
 ければならない。つまり、国民には政府情報公開請求権が認められなければならないの
 である。

3;この憲法の要請が時代とともに、1982年埼玉県、1984年東京都と大阪府、川崎市で
  「公文書公開条例」が制定されるなど、まず地方自治体における条例として先行して、
 各地で次々と具現化し、1999年4月1日で47都道府県の全てと847の市町村で条例が
 制定され、情報公開制度は地方公共団体のレベルではしっかりと確立した状態になっ
 たのである。

   こういった地方の先行を受けて国においても1999年5月に情報公開法(行政機関の
 保有する情報の公開に関する法律)が成立し、2001年4月1日よりの施行をみ、さらに
 2002年10月1日から独立行政法人等情報公開法(独立行政法人等の保有する情報
 の公開に関する法律)が制定され、特殊法人・独立行政法人等にも情報公開の法的
 義務が及ぼされることになったのである。

4;このようにしてできた情報公開法は、「第1章 総則」の冒頭、第1条に目的規定を置
 き、次のように定めている。
   「この法律は、国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利につき
 定めること等により、行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有
 するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な
 理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的とする。」

  すなわち、情報公開法は、法律自体が「国民主権の理念」に基づくものであることを
 第1条に明記しており、実質的には国民の「知る権利」を具体化したものとしての性格
 を持っているのである。
   したがって、情報公開法の規定の解釈においては、日本国憲法の国民主権原理と
 表現の自由の保障に含まれる「知る権利」を十分考慮した解釈がとられなければなら
 ないことになる。

5;国会での情報公開法成立から1年余(法施行半年前)の2000年7月から施行されてい
 る門真市情報公開条例則の第1章 総則(目的)第1条に、
   「この条例は、市民が市の保有する公文書の開示を請求する権利を保障することによ
 り、市民の市政への参加と開かれた市政の一層の推進を図り、もって市の諸活動を市民
 に説明する責務が全うされるようにし、地方自治の本旨に即した市政の発展に寄与する
 ことを目的とする。」
 と記されているのも、この憲法の要請を土台においたものであるがゆえに、同条例の手引
 書1ページに、
   「本条例は「知る権利」という言葉を用いることはしなかったが、知る権利は、憲法の国
  民主権の理念にのっとり導き出されるものであって、その知る権利を具体的な「公文書請
  求権」として位置付けるものである。」と記載されているのである。
                           (甲第4号証 @の3枚目下段)

 

第2;自治体には憲法と情報公開法に則った情報公開をする義務がある

1;情報公開法はその第41条で、「地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保
 有する情報の公開に関し必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう務めなければな
 らない」と定めている。
   このことからして、まず地方公共団体は、少なくとも国の情報公開法のレベルまでは
 公開レベルを引き上げる責務を負うことになった。

   すなわち、情報公開条例を制定していなかった自治体は、少なくとも国の情報公開法
 を下回らないレベルで情報公開条例を制定し運用しなければならないし、すでに情報公
 開条例を制定している自治体においては、あとから制定された国の情報公開法の方が情
 報公開に進んでいる点がいくつかあるので、これらの点については既存の情報公開条例
 を改正して、国の情報公開法のレベルにまでは情報公開のレベルを引き上げることが求
 められのである。
   もちろん、地方自治体が、独自の立場から、国の情報公開法よりさらに情報公開を推し
 進めることは何ら妨げられないのは言うまでもない。

   そして現実に、情報公開法施行以後に、新たに情報公開条例を制定する自治体が多発
 したのみならず、東京都や大阪府などのように、「知る権利」を明記するほどにまで既存の
 条例を改善させて情報公開の考え方とレベルを進展させている自治体がいくつも発生して
 いるのである。

2;上に述べたように、地方自治体はかかる憲法21条の要請を反映した情報公開法で定め
 るレベルを下回るレベルの情報公開しかしなかったり、これに抵触する情報不開示を行な
 うことはしてはならないのである。

   この点からしても、情報公開レベルを大後退させて情報公開法に抵触する情報隠しを多
 発させた被告・門真市の異様さは際立っており、自らの情報公開条例への背理だけでな
 く、憲法と情報公開法への違反として厳しく断罪されなければならない。  

3;本件事件を考える場合、門真市情報公開条例が施行されたのが1999年5月に情報公開
 法が国会で成立した後の2000年7月からであることから、同条例の解釈や同条例の運用
 は情報公開法で規定されたレベルより下であってはならず、また本件不開示事件の発生が
 2001年4月からの情報公開法施行以降の2002年6月であったことからして、なお一層同条
 例の解釈や運用が情報公開法で規定されたレベルより下であってはならないのである。

 

第3;「不開示情報規定」を「公開禁止規定」と理解するのは誤り

1;不開示情報は情報の原則公開義務を免除したにとどまるもの。

  情報公開法でいう「不開示情報規定」を、公開を禁止した規定と理解するなら、情報公
 開法は情報公開を定めるだけでなく、一定の秘密の公開を禁止した「秘密保護法」だと
 いうことになってしまう。
   しかも、憲法は国民主権・民主主義原理に基づいて政府の情報の原則公開を求めて
 おり、さらに国民は憲法21条に基づき政府情報の公開を求める権利を持っているとの観
 点からは、「開示義務の免除規定」であればともかく、「情報の開示禁止規定」は直接憲
 法第21条違反の問題を生じさせる。
   「不開示情報規定」が開示を禁止した規定と考えてしまうと、このような包括的な禁止
 規定を憲法第21条に反しないと解することは困難である。

  従って、情報公開法は、あくまで行政機関の保有する情報の原則公開義務を定めたも
 ので、不開示情報規定はその義務を免除したにとどまるものと解すべきである。

   実際、情報公開法の条文はあくまで一定の情報を「除き」、「公開しなければならない」
 としているのであるから、除かれた情報については「公開しなければならないわけではな
 い」と読むのが素直な条文解釈というべきであろう。

   法律を解釈する際に最も重要なのは、条文である。そして法解釈の標準的な手法は、
 個々の条文を、法律全体の構造の中に位置付け、定められている法律の目的規定に照
 らし合わせて解釈することである。法律全体の構造と目的規定に最も適合した解釈をとる
 べきである。

  特に情報公開法は、法律自体が「国民主権の理念」に基づくものであることを明記して
 おり(第1条)、実質的には国民の知る権利を具体化したものとしての性格を持っている。
 情報公開法の規定の解釈においては、日本国憲法の国民主権原理と表現の自由の保
 障に含まれる知る権利を十分考慮した解釈がとられなければならないものというべきで
 あろう。

2;日本の地方公共団体の情報公開条例でも多くは、このスタイルをとっている。それゆ
 え、これらの条例は一般に一定の情報を列挙し、これらの情報については「公開しない
 ことができる」と定めている。

  門真市情報公開条例(甲第1号証)においても多くの自治体と同様に、

   (不開示情報)
    第6条 実施機関は、次の各号のいずれかに該当する情報(以下「不開示情報」
         という。)については、開示しないことができる。

 と定めているし、同条例の手引書10ページ(甲第4号証@7枚め)においても、

    1 適用除外事項とは
      適用除外事項とは、この条例に基づく原則公開の例外として公開しないことが
      できる情報の基準について定めたものであり、公文書の開示請求に対して、実
      施機関がその開示を阻むことのできる権限とその範囲を定めるものである

 と規定しているのである。
 決して「開示してはならない」ではなく、あくまでも「開示しないことができる」と定めている
 ことに注目しなければならない。

   そしてこれを補強するものとして、同条例では

    (公益上の理由による裁量的開示)
    第8条 実施機関は、開示請求に係る公文書に不開示情報が記録されている場合
         であっても、公益上特に必要があると認めるときは、開示請求をしたもの
         (以下「開示請求者」という。)に対し、当該公文書を開示することができる。

  として「不開示情報の裁量による開示」をも定めているのである。

   こういった点について、1審判決は「公益法人」や「ホームページで自ら役員氏名を公
 開開示している団体」以外の公金支出団体の役員氏名の開示について判断を誤ってい
 るだけでなく、「不開示情報規定」を「ただし書き該当事項を除いては一律に公開 が禁
 止される規定」と解するという根本的な誤りを持っている。
  そのひとつの端的な例が、次に述べる「公務員の職名と氏名」公開の問題である。

 

第4;門真市が現に「公務員の職名と氏名」の情報公開を実施している実例

1;1審判決は、消防組織法15条の6・地方公務員法3条の定めによって「地方公務員」
 である門真市消防団員の中の役員氏名について、

   「何ら具体的な職務行為を前提としない公務員の職に関する情報が非開示とされ
    るべき個人情報から除外されるものではなく、まして、公務員個人の氏名が除外さ
    れることはないというべきである。そして、本件では、同消防団役員の具体的な職
    務行為が前提とされているわけではなく、しかも、原告が求めているのは、当該公
    務員の職に関する情報ではなく、公務員の氏名であるから、そのような情報につき
    ただし書イは適用されないというべきである。」(判決文16項下段〜17項)、

 と認定しているが、これは1審原告の[控訴理由書 第4;「公務員たる消防団役員氏
 名不開示」に見える原判決の違法性と事実隠ぺい]で指摘した誤りの他に、「不開示情
 報」を「ただし書き該当事項を除いては一律公開禁止」と解する誤りを冒した認定であ
 る。

2;当方は1審判決での認定の誤りの立証として、控訴理由書で「官公庁の人事異動発表
 記事」や「職員名札着用」を実例として挙げておいたが、さらに雄弁な実例として、1審被
 告門真市自身が、つい最近も「何ら具体的な職務行為を前提としない公務員の職に関す
 る情報と公務員氏名」を情報公開制度によって開示している実例を今回提示するもので
 ある。

   それが、甲第115号証:係長以上の職員氏名と職名等に対する「10/29開示決定通知」
 <門総人大606号 平成15年10月29日> と甲第116号証;門真市管理職名簿(上席主
 査以上)(平成15年10月1日現在)であり、これは、つい最近の10月15日に1審原告が「
 企画部と総務部の係長以上の職員氏名とその職名のわかる文書」を開示請求したところ、
 市が10月29日に開示決定し、11月5日に開示と写しの交付を行なったもの である。

   このように1審被告門真市は、「係長以上の市職員の氏名と職名」を「何ら具体的な職
 務行為を前提とせずに」、現に開示しているのであって、そこには係長という下級幹部も
 含めて(少なくとも)幹部公務員の氏名と職名は公開しなければ市民に対する公的責任
 に反するという当然の公益認識が働いているのである。  

3;門真市の常勤職員も消防団員も、「地方公務員」であることにおいて同じであり、まし
 て本件で問題となっている団長・副団長は「消防団条例の第13条、旅費規定」によって
 部長級の、分団長・副分団長は同じく課長代理級として定められているほどの「幹部」
 なのであるから、少なくとも幹部公務員の氏名・職名の開示についてあえて情報開示に
 差をつけるべき理由はどこにも見あたらない。

  同じ地方公務員でありながら、「市職員と違って消防団員は氏名・職名を開示してはい
 けない理由」、すなわち消防団員の氏名・職名が市職員の氏名・職名とは違って「通常
 他人に知られたくない個人に関する情報」であるという理由を、1審被告門真市は未だ
 かつて述べ得たことがなく、1審判決もまた何ら述べ得ていないのは、差を付けるべき
 何ら正当な理由を見出し得ない証左に他ならない。

   従って、消防団役員について氏名・職名を不開示とするのは、正当な理由のない恣意
 的不開示なのであり、これは門真市情報公開条例第3条(実施機関の責務)「実施機関
 は、公文書の開示を請求する権利が十分に保障されるようにこの条例を解釈し、運用し
 なければならない。」に反し、憲法と情報公開法の趣旨と規定にも反したものである。

 

第5;形式論による個人情報一律不開示は憲法と情報公開法に違反する

1;1審被告は「個人を識別できる情報は個人情報だから不開示である」、と繰り返すが、
 「個人情報」が保護されるのは個人のプライバシーの権利を保護するためであって、長
 年の審議の末制定された情報公開法も、これについては、「法令の規定により公にされ
 ている情報(登記簿に登記されている法人の役員に関する情報、不動産の権利関係に
 関する情報等)や慣行として公にされている情報(叙勲者名簿、中央省庁の課長相当職
 以上の者の職及び氏名等)は、一般に公表されている情報であり、これを開示することに
 より、場合により個人のプライバシーを害するおそれがあるとしても、受忍すべき範囲に
 とどまると考えられるので、これを例外開示情報とした」との考え方に立つものであり、
 この趣旨は門真市情報公開条例にあっても異なる所がない。

   「公にされ」ている情報とは、開示請求時点で何人でも知りうる状態に置かれている情
 報を言うのだから、「何人にも公開される公益法人役員情報」や「団体自らがホームペー
 ジなどで公開している役員情報」がまさにこれに合致することは議論の余地がない。
   公開されている情報については、プライバシーの権利は成立しないのである。

2;また、保護されるべきプライバシーは、「一般に他人に知られたくないと望むことが正
 当であると認められるもの」である。情報公開法第5条の1、個人に関する情報の部分
 に「特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利
 益を害するおそれがあるもの」との記述があることは、「個人の権利利益を害するおそ
 れ」からの防衛が個人情報不開示の理由であることを示しているし、大阪府情報公開
 条例の第9条では、「公開してはならない行政文書」として、「特定の個人が識別され
 得るもの(以下「個人識別情報」という。)のうち、一般に他人に知られたくないと望む
 ことが正当であると認められるもの」と規定している。

   また、門真市情報公開条例第3条では、「通常他人に知られたくない個人に関する
 情報 がみだりに公にされることのないよう」との規定がある。
   この、「一般(通常)に他人に知られたくないと望む」ことが相当かどうかの判断の基
 準は、決して当該特定の人ではなく、客観的に一般(通常)であれば開示を望まないか
 どうかを基準としなければならないことは、学説として確立しているものである。

  公的便宜を享受している公金受給団体の役員の氏名等の公開については、「一般に
 他人に知られたくないと望む」ことの妥当性はなく、被告の言うように一律形式的に「個
 人識別情報だから不開示にする」ことには正当性を認める余地がない。

 

第6;公益法人役員公開の必要性を示す実例の詳述

1;1審被告は「閣議決定は自治体を拘束するものではない」とか「自治体は自らの裁量
 で不開示を決めることができる」とか述べて不開示を正当化するが、これはタメにする
 「形式論」でしかなく、自治体が憲法や法律の要請に反した不開示をすることを正当化
 するために「地方分権」や「地方自治」という言葉があるのではない。

   公益法人役員情報の公開を決めた1996(平成8)年および1997(平成9)年の閣議決
 定は、「2.公益法人は、我が国の経済社会において重要な役割を担うに至っており、
 今後ともその活動の適切な発展を図ることが重要であり、公益法人に対する適正な指
 導監督等を強力に推進していくため、これまでの基準を整理・強化」が必要だと述べて
 いる(甲第41号証)が、これは数多くの不適切事例が存在するからこそ必要とされた改
 善策であった。

   しかしそれでも閣議決定後6・7年も経った今も実態がなかなか改まらず、甲第77号
 証に示されるような補助金不正受給事件が後を絶たず、甲76第号証の<2003年度公
 益法人白書に関する9/24読売新聞記事>でも「野放図な経営実態変わらず」、との見
 出しをつけて報じられるような実態なのである。

   甲第76号証の記事はその実態を、

    ◎行政は高い公益性に配慮し、公益法人に対して様々な恩恵を与えている。その一
     つが税制上の優遇措置で、原則として所得税や地方消費税などの国税、地方税
     が免除される。また、6802法人が国や地方自治体から補助金や委託費という形
     で計1兆4813億円を受け取っている。

    ◎だが、白書を見ると、政府が運営の公正性や透明性を高める目的で1996年に決
     めた指導監督基準に、事業活動が違反している法人が依然として少なくない実
     態が浮かび上がる。

    ◎退職した公務員の天下りの温床にもなっている。「所管行政機関出身の理事は
     全理事の3分の1以下」という基準に反し、財団法人「埼玉県警察職員福利厚
     生会」では20人の理事全員を警察OBが占める。同様の法人は少なくとも70に
     及ぶ理事が所在不明となっていることなどから、行政の指導監督が行き届かな
     い恐れがある法人も626を数える。

 と述べている。まことに実に由々しきことと言わねばならない。

2;役員の情報公開はこういった実態を改善するための納税者への責務としてなされてい
 るのであるし、また、公益法人制度については透明性、適切性を高めるために、体系的
 な見直しが政府方針として決められ、改革へ大きく動き出しており、役員情報の開示が
 今より後退することはおよそ考えられない。さらに独立行政法人等情報公開法に続いて
 法律による情報公開の方向に進むことは間違いない。

   こういった実状を全く無視して、「個人を識別する情報」とか「自治体の裁量の自由」
 をかざして不開示をする被告の姿勢は、税金ドロボー発生への容認と公益法人改革妨害
 を意図的に図っているのではないかと疑わざるをえないほど、違法で異常な姿勢である。
  公益法人役員の情報開示については、この妥当な閣議決定に沿って対応すべきことは、
 かつて一度もどこでも問題になったことはなく、地裁7/14裁判でもはや決着のついている
 ことである。

 

第7;請求者の身分・言動・目的による差別不開示は情報公開法違反

1;情報公開法第3条は、開示請求権者については、「何人も、この法律の定めるところに
 より、行政機関の長に対し、当該行政機関の保有する行政文書の開示を請求することが
 できる」と定める。それゆえ何人でも、第3条に基づく「開示請求」を行なえる。

  情報公開制度は、誰から公開請求があっても情報を公開する制度であるから、公開請
 求を誰がしたかは重要ではない。それどころか、請求者が誰であるかとか、その身分や
 職業を判断材料に加えることは情報公開法に違反する行為として禁止されるのであり、
 ましてや「請求者の日頃の言動や将来の行動予測(への行政当局の評価)」を判断材料
 に加えるなどは論外の違法行為である。

  そうであるからこそ、2002年6月の「防衛庁情報開示請求者リスト問題」に際して朝日
 新聞社説は「国民は敵なのか」と題して防衛庁を厳しく批判した(甲第85号証F)のだし、
 火消しにやっきとなった中谷防衛庁長官の方は「情報公開はすべての人々に平等に取
 り扱われるべきで、思想や信条によって区別されるべきものではない。事実であれば、
 関係者の処分も検討したい」と繰り返し述べたのである。(甲第85号証@)
   つまり、あの防衛庁ですら違法と認識していたことを門真市はその当時も今も、全く
 違法ではないかのように、破廉恥にも声高に主張しているのである。  

2;また情報公開法は、(開示請求の手続)第4条において、開示請求者に氏名住所等と開
 示請求対象文書の特定のみを求めている。
  これは、「開示請求権制度は、誰かがいったん公開請求して公開されれば、その情報は
 本来全ての人がアクセスしうるものであり、行政文書の開示の請求の理由及びその利用
 の目的を問わず、また請求者の何人であるかを問わずに行政文書の開示を求めることが
 できるとする制度であるゆえに、請求の理由、利用の目的、開示請求者と開示請求に係
 る情報との関連性等に関する事項の記載は要求しないこととすべきである」という考えに
 基づいているからである。(この場合の「氏名住所等」は請求者への連絡のためのもので
 あって、決してその個人や所属団体等による識別をつけるためのものではない)
  それゆえ、行政機関がそれ以外の事実について開示請求書に記載を求めたり、開示請
 求を受け付けるに際してそれ以外の事実について尋ねることはすべきではないのである。

  開示請求の目的は、行政の監視のためのみならず、営利目的でも、商業目的でも問わ
 ない。情報公開の枠組みの中では、「何のために、情報公開請求するのか」という開示請
 求者の意図は関係ない。

3;また、開示請求者が開示された情報をいかなる目的で利用するかも関係がない。
  行政の恣意的差別的判断が入り込まないようにするためには、開示請求された情報が
 例外事由に該当するかどうかは、情報に即して客観的になされるべきであり、開示請求
 の意図が何であるか、開示請求者の利用目的が何かによって左右されるべきではなく、
 開示を拒否できるのは、あくまで規定で定められた例外事由に該当する場合だけであっ
 て、それ以外を理由とする開示拒否は違法である、というのが情報公開制度と情報公開
 法の趣旨である。

   しかるがゆえに、自治体に法のレベルを下回らないことを求める情報公開法が施行さ
 れて2年強経過した6/11の朝日新聞では、「請求理由(目的)」の欄を設けているのは
 全国47都道府県のうちわずか18に減り、しかもうち欄外に「文書特定の参考にするた
 めのもので、記入は任意です」などの注釈を設けている自治体が7都県になっているこ
 とが報じられているのである。(甲第86号証)

  自治体の情報公開条例においても、今後は情報公開法のように開示請求の理由を問
 わないようになり、何人も請求できるような方向に、事態が進んでいくことは疑いがない
 ところである。 かかる時代・法律状況にあって、請求者の言動を勝手に非難をして不当な
 不開示を正当化して恥じない被告門真市の愚劣さは、客観的に見てもまさに「暗黒錯乱
 行政」以外の何物でもない。

 

第8;「利用者の責務」を口実とした不開示は違法である

1;1審被告は「11/6準備書面2」の「第1」において、門真市情報公開条例の第4条の
  「利用者の責務規定」
    (利用者の責務)
   4条 この条例の定めるところにより公文書の開示を求めるものは、この条例の目
       的に則してその権利を正当に行使するとともに、公文書の開示により知り得
       た情報を適正に使用しなければならない
 を持ち出し、「1審原告は、公開請求により知り得た情報を個人攻撃に用いている」との
 デッチ上げを基にして「個人を誹謗中傷するような使用方法は、明らかに利用者の責務
 に反している。」、として原告に対する不開示の正当性を述べているが、これは以下の
 理由によって、全く失当である。   

2;まずもって、原告が既に詳述しているように、請求人の身分・言動・目的による差別
 不開示は、情報公開法の規定に違反することは素より、情報公開本来の趣旨からし
 てもとうてい許されるものではない。
   また、原告が「個人を誹謗中傷した」という被告主張自体が、被告が何ら法的事実を
 上げ得ないデッチ上げであり、論ずるに値しない。

3;なるほど地方公共団体の情報公開条例では、門真市のように、通例、開示請求者の責
 務についての規定が置かれている場合が多い。大阪府の条例でも、「この条例の定める
 ところにより行政文書の公開を受けたものは、それによって得た情報を、第1条の目的に
 即して適性に用いなければならない」(第4条)としているのは、その典型である。

   しかし、これらの規定はあくまで倫理規定であって、法的意味を持たないものであり、
 開示を拒否することができるのは、あくまで条例に定められた例外事由に該当する場合
 だけであって、それ以外を理由とする開示拒否は違法である。

   例えば、ある機関に対する苦情の情報は必ずしもその苦情が真実であることを意味
 するものではないから、その苦情情報を情報公開で得た者が、もしもそれを「こういう
 苦情が出ている」という範囲を超えて、その苦情内容があたかも真実であるかのように
 宣伝したがために名誉毀損に問われたとしたら、それはその者が開示請求をした行為や
 行政機関が開示した行為そのものに法的問題があるかどうかではなく、開示を受けた
 後のその者の行為に法的問題があったかどうかが争われるべきことである。

   情報公開制度による開示は「誰にでも等しく開示される」ものであり、「目的に則して」
 にしろ、「権利を正当に行使する」にしろ、「適正に使用」にしろ、開示請求者が自分の
 目的や行為を正当だと考えているのに、開示請求を受けた行政機関が開示を判断す
 る段階で請求者のそれが「正当でない」と判断出来うるとするならば、それは行政機関
 による恣意的判断・思い込み・勝手な予測による差別を許してしまうものであって、許
 されることではない。

4:そして既に詳述しているように、あえて国の情報公開法には、「利用者の責務」の規定
 は置かれていないから、誰がどのような目的を持っていようが、その目的を記載するこ
 となく、情報公開法第5条に定める例外事由に該当する場合を除いては、開示請求者の
 責務を理由として開示請求を拒否することは許されない。

   そしてまずもって地方自治体の条例は、法律に違反した規制や禁止をすることができ
 ない上に、「原告第1準備書面」の「第3」にあるように、情報公開法がその第41条で、
 「地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保有する情報の公開に関し必要な
 施策を策定し、及びこれを実施するよう務めなければならない」、と定めている以上、地
 方自治体は情報公開法で定めるレベルを下回るレベルの情報公開しかしなかったり、こ
 れに抵触する情報不開示を行なうことはしてはならないのであるから、そこからしても、
 被告門真市が情報公開法で問われることのない(あえて規定を設けていない)「利用者
 の責務」を理由として情報の不開示を正当化することは、情報公開法への違反行為とし
 ても許されないのである。

 

第9;「濫用」とは1審被告の「公開拒否の濫用」こそである

 門真市情報公開条例は、第1条で「開かれた市政の一層の推進を図り、もって市の諸活動を市民に説明する責務が全うされるようにし」と唱い、第3条で「実施機関は、公文書の開示を請求する権利が十分に保障されるようにこの条例を解釈し、運用しなければならない。」と定め、その運用にあたっては「市の保有する情報は、原則開示とし、例外として不開示とするものは、最小限にとどめるものとする。」、と定めている。

 しかし1審被告門真市がやっていることは、「(閣議決定等によって)何人にも公開されているもの」でも、「大阪府や国など他の公機関で公開されているもの」でも、「当事者自らが公開しているもの」でも、「公益との比較で当然受認されるべきこと」でも、「公金受給団体の責任所在情報」であっても、「議会に提出された公開資料」であっても、個人氏名があれば全て市の裁量で不開示だと言うのであるから、いったいどこに情報公開があるというのだろうか?
 これは開示請求者に対する嫌がらせに等しく、公開拒否の濫用に他ならない。憲法や情報公開法のみならず門真市の情報公開条例にも違反しているものである。

 

第10;1審原告への誹謗中傷と差別、言論抑圧姿勢が一層明らかに

1;1審被告は、「何をもって誹謗中傷と断じるのか」の根拠や判断基準を全く示すことな
 く、とにかく1審原告による批判的言動の中に個人名があれば全て「個人に対する誹謗
 中傷だ」というが如き姿勢をさらに露わにして、「原告が、これまでインターネット上やビ
 ラにより個人を誹謗中傷してきた証拠」と称して「証拠」提出を続けている。
   これらHP(ホームページのこと。以下同じ)記事やビラを見れば、どれも通常人の感
 覚では原告の活動の正当性とその時々に問題になっている門真市の議会や行政のお
 かしさを感じるようなものばかりである。

   裁判官諸氏にもぜひそこに書かれてあることを読んでいただきたいと思うが、これらを
 指して「原告による個人への誹謗中傷の証拠」とする被告の感覚の異様さがかえって
 浮かび上がるものでしかない。
   被告の主張及び提出証拠は、被告門真市行政の不当性(開示請求者の言動に対す
 る恣意的な評価をすること、およびそれによって差別的に情報の不開示をすること)の証
 拠として以外は、裁判的には何ら検討する価値がない。
   これら1審原告の言論活動が「許されざる誹謗中傷・個人攻撃」とされるのならば、お
 よそ憲法第21条で保障された「言論、出版、その他一切の表現の自由」などは成立し
 ない。

2;1審被告は1審原告が1審判決を「極悪判決」と呼んで批判することを、さも重大な悪事
 のように言い立てているが、1審原告にとって本質部分が非常に良くないと判断する判
 決を自らの分析と言い方で批判することの、いったいどこが「誹謗中傷」だと言うのか?
 原告の判決批判の中で何か事実と違うこととか、個人のプライバシーを侵害するような
 ことがあるとでも言うのか?

   先日衆院選挙と同時に行なわれた最高裁判事の国民審査を考えても分かる通り、もし
 も裁判官やその判決に対する評論や批判について、誰かが、あるいはどこかの機関が国
 民の言論に眼を光らせていて、その「許容基準」に抵触したらその人が「誹謗中傷行為を
 した」と論難されたり、「情報を開示しない」理由とされたりしたらどうなるか。
   それは「国民審査」の自由も何もない超管理主義の全体主義国家ではないか。

   裁判の判決を手厳しく批判公開すること自体が悪事であるかのように言い立て、それ
 をもって本件裁判官諸氏の歓心を買おうとしているかのような1審被告の主張は、その
 実態は、1審原告に対してまともな反論をなし得ないがゆえの代償行為であろうが、自
 らの気に入らない言論は潰してしまいたいとする心根が露骨で、これが門真市長の主張
 であることを考えると、誠におぞましい限りである。

  「表現の自由」の保障は、何よりも公的論点に関する討論が広く開かれていなければ
 ならないのであり、1審被告の主張はまさに憲法違反の言論封殺主張であって、行政と
 して絶対に許されないことである。

3;1審被告が出してきた乙第18号証の「ネット中傷に実刑判決を言い渡した大阪地裁の
 名誉毀損事件の事例は、@私人間の争いごとであり、A何の罪もない交通事故の死亡
 被害者家族に対して、B事故の加害者が被害者家族を逆恨みして、Cインターネット掲
 示板に匿名で、D被害者家族を「人間のくず」などと悪質な誹謗中傷を書き続けた、とい
 うものであり、1審原告のHP記事とは何の類似性もない。

   1審原告のHPは、@市議会議員たる原告の責任を明らかにしているHPであり、A
 そこでの批判や批評は個人のプライバシーではなく公的事柄を対象とし、B全て事実に
 基づいた批判や批評であり、C行政や議会の改善や市民への啓発と言った公益に資す
 るものであって、これを上記のような悪質犯罪と何か類似性があるかのようにコジツケて
 1審原告に対する悪印象を植え付けようとする1審被告こそ、悪辣な誹謗中傷をなす者
 であって、実に憤りに堪えない。

4;1審被告が1審原告への悪印象を裁判官に抱かせるために提出してきた一連の「証拠」
 で明らかになったのは、1審被告門真市行政(東市長)が、実に4年前の原告初当選の
 1999年の当時から、1審原告を「好ましからざる議員」として嫌悪し差別して見てきた、
 という事実であり、議会や行政への批判が公開的に行なわれること自体を嫌悪してきた
 という事実である。

   同時に、その嫌悪は本件情報不開示で裁判を起こされるまでは、東市長行政として
 は表面化させることなく一見中立を装いながら内部に秘めて保持してきたが、その代わ
 りに市議会で圧倒的多数を占める与党4会派議員達が、原告に対してまさに日本の議
 会史上類例をみない、「懲罰・問責・辞職勧告(99年)、また懲罰(01年)」という激しい
 攻撃をかけてきた、と見ることができる。

  具体的に言えば、1999年4月の1審原告初当選直後の夏から【門真市助役が税金怠
 納発覚・市民怒り沸騰】―【1審原告のHPや9月議会での疑惑追及】―【同議会で与党
 会派多数決による(門真史上初の)1審原告への不当な懲罰決議と問責決議】―【助役
 の辞職】―【10月;汚職疑惑で警察がこの元助役に厳しく事情聴取(任意出頭)】―【2日
 め任意出頭日の朝に元助役が自殺】―【汚職捜査中断】―【12月議会で1審原告への
 異様かつ不当な辞職勧告決議】、という門真市を揺るがす一連の事件が起こっており、
 さらに年を越えて2000年や2001年にも1審原告と市議会与党4会派との激しい対立が
 続き、1審原告が再び不当懲罰にかけられて出席停止にされたり、それの取り消しを求
 めて訴訟が起こったりしてきたのであり、その様子を伝えているのがこれらHPやビラの
 記事なのである。

  いったいこれらのどこが「誹謗中傷」であって、「許されないこと」だというのか?

4;しかし市議会内では、1審原告の不屈の闘いによってさしもの与党4会派連合も、もは
 やこれ以上懲罰攻撃を連続させることができなくなり、原告の議会やビラ・HPでの言
 論はますます鋭くなったのに、01年4月以降は議会での懲罰や問責等の攻撃はされな
 くなったのである。

   それに変わって表面化してきたのが、東市長行政そのものによる、合法性をかなぐり
 捨てた1審原告への差別的情報不開示であり、本件訴訟の場での、はるか4年前まで
 にも遡った誹謗中傷であって、東市長行政の本心がここに如実に見えている。
   それは1審原告に「情報公開に関する禁治産者」とでも言うべきレッテルを貼って、
 「原告には個人氏名等が入った文書は開示しない」と決めているのも同然の暗黒の差
 別行政に他ならない。

 

第11;言論抑圧で全国の笑いものになった門真市と
    世論の圧倒的支持を受け
ている1審原告およびそのホームページ

1;1審原告の開設しているHPは、「国会議員以外の地方自治体議員のHPとしては、ア
 クセス数が断然日本一の議員HP」であって、1審原告初当選の1999年9月にカウンタ
 ー設置して計測開始して以来、この4年2ヶ月間で延べ20万4453アクセス(11月 11日
 午後3時頃段階)という「怪物的な超人気HP」として定評がある。(地方議員のHPで
 10万を超えるものさえ他にはない模様である。)
   この1審原告HPの扉ページと「ちょいマジ掲示板」表紙および「自由論争掲示板」
 表紙を甲第93号証@ABとして提出する。
   (この書面を作成している11月18日午後3時現在、アクセス数は20万6000余)

  この「人気」の土台になったのが、門真市議会での1審原告への不当なバッシングの
 数々とそれに対して果敢に闘う1審原告の不屈の姿勢とHPでの情報の公開であった。
   「1審原告のHPに対する門真市議会での問責決議」(1999年9月29日)は、「日本
 初の珍事」として一般紙のみならずパソコン情報の人気雑誌「週刊アスキー」や著名な
 ジャーナリストの故黒田清さんが発行する「窓友新聞」というミニコミにも疑問提起的に
 報道されたり(甲第94号証)、「関西じつわ」という週刊誌で大きく取り上げられたりして
 (甲第95号証)、まさに門真市議会の非常識ぶりが天下にさらけ出されて全国の笑い
 ものになった。

   この時、問責決議の理由とされ一定の問題提起として話題になった「HP掲示板の管
 理責任」については、「この問責決議はインターネットの何たるかを知らない人がやった
 もの」というのがインターネットの専門家の一致した見方であって、その後もHP掲示板に
 関しても、その他のHP記事に関しても、1審原告のHPに関しては誰も「誹謗中傷記事」
 として問題にする人もなく、そのような訴えが起こることもなく、「地方議員として断然日
 本一アクセス数HP」として現在も隆盛を極めているのであって、この事 実をもっても、
 今さらながらの1審被告の1審原告HP非難はお笑いぐさというほかな い。

2:1審被告東市長のやることをベッタリ容認してきた門真市議会与党4会派による1審
 原告へのバッシングが常識的に見ていかにおかしなものであるかを示す一例として、
 「門真市議会のイジメの構造 お粗末さを情報公開」と題する2000年6月22日の「夕
 刊フジ」の記事(甲第96号)と、「あなたは信じられますか?」と題して1審原告の著
 書「チホー議会の闇の奥」(2001年12月発行。青林工藝舎)を紹介した02年10月の
 「ライフタウン」というタウン誌(甲第97号証)を提出しておくが、1審原告はこういう攻
 撃と毅然として闘ってあくまでも情報公開を貫いてきたからこそ、2003年4月の2期目
 市議選においては、 「門真市史上最高の得票率でのブッちぎりトップ当選」を果たし
 て再選されたのである。(甲第98号証の原告ビラ)

   こういった事実は、1審原告の活動が門真内外の市民から絶大な支持を与えられて
 いるという事であり、もとより原告が誰かを「誹謗中傷した」として非を咎められたことも
 ないという事実とも合わせて、被告の原告非難の荒唐無稽さは明かである。

 

第12;その他の重要な追加および補充

1;6/11前日の6/10でも逆転不開示の兆候すら一般の部課長クラスの念頭にはなかった。

  本件当初の開示決定が、庁内で何ら問題なく6月6日・7日に行なわれ、6月11日(火)
 の朝に突然逆転不開示決定される以前には、まさかそのようなことが起こるとは庁内で
 は全く知られていなかったことについて、1審原告は「11/13高裁第2準備書面」3ペー
 ジ上段(「第1」の3)において「少なくともそれは6/7(金)当時は庁内的に公なものには
 なっていなかった。だからこそ開示判断の第1人者である辻課長は・・・・6/7は休暇を
 取って出勤していないのである。」と記述したが、これに追加して、「さらに、6月10日
 (月)においても、当初の開示決定を1審原告事務所に持参する部署があったくらいだか
 ら、この6月10日時点でも当初の開示決定が庁内で公に問題になったりしておらず、ま
 してやその翌朝に逆転不開示決定がされるなどとは、(中本部長と辻課長以外の)一
 般の部課長クラスは誰も知らないことだった。」ということを補充する。

   その根拠は、第118号証Aの「市政ノート29」【6/11記載分の1;「情公〜理事リスト
 かくし事件」発生」の下段部分に、「かなり急激な圧力あったもよう。昨6/11(月)にも通
 知文事務所に持ってきた部署があったくらいだから。」という当時の記述があるからで
 ある。

  この「昨6/11(月)」という記述は明らかに「昨6/10(月)」の書き間違いであるが、6/11
 (火)の逆転不開示事件発生当時の生々しい記述であって、6/11(火)前日の6/10(月)で
 さえ、1審原告の個人事務所(門真市新橋町12-18三松マンション207)に開示決定通
 知を持参してきた部署があったことから、なおさら6/11逆転不開示の唐突さに1審原告
 が怒り驚いたことを示している。

   なお、この部署がどこであるかの記載は市政ノートにはないが(6/10分にも)、1審
 原告が文教常任委員会を3年間も続けていた(当時)ことによる「なじみ」からして、「6
 月7日付け決定通知書」を作成した教育委員会(甲第11号証◯38〜◯41)である可能
 性が最も高い。

   ちなみにこの当時、決定通知の受け取り方法は、担当部署と1審原告の打ち合わせ
 によって、市役所内での受け取りや議会事務局内の文書ボックスへの投入、1審原告
 事務所への持参や郵送などの各手段で行なわれていたものである。

2;6/11当日以前には逆転不開示を検討した会議の痕跡がないことについて。

  既に1審で02年原告の「10/5地裁第1準備書面」6ページ上段に、
    [役所内部で何ら真摯な検討が行われなかったことは、
      ◎甲第33号証;6月18日公開請求(市長あて)
      ◎甲第37号証;公開請求日ごとの市の対応一覧の6ページめ、
      <6> 6月18日の公開請求(市長へ)
  にあるように、「6月11日に当方に不開示説明をした『6月11日決定』に関わる決裁、会
 議文書の全て」を求めても、会議をした痕跡を示す文書は一切なく、]と書いてある通り
 であることを改めて追加指摘しておく。

3;「議会に出された情報」に関して、若干の補充をする。

  一般的に言えば確かに、「秘密会の議決がなされた」場合以外にも、「一般市民には見
 せないが議員には行政の裁量によって情報を提供したり開示したりする」場合というのは
 存在する。そしてこの場合は、「情報公開制度」による一般市民や他の議員からの情報
 開示請求に対しては、その資料の中味によっては、例えば「個人情報の部分は不開示」
 などと対応することもあり得ることであり、1審原告はそれをも不当だと言うのではない。

   しかしそれは個別議員からの請求や調査に行政が応じる場合の一部分に妥当する話
 であって、本件はそれとは全く違う。

   すなわち、本件で「議会との関係」で問題となっているのは、「議会(その代表とし議長)
 に対して公式に提出され、全議員に配布された「合併推進要望書と添付資料」記載の団
 体代表者氏名の問題と、「決算審議資料として議会に市から提出され全議員に配布され
 た、「平成12年度主な50万円以上の各種助成団体決算書」(甲第27号証)に記載のある
 団体役員氏名の問題である。

   前者の代表者氏名が公開されるべきであることは、もはや言うまでもないが、後者は、
 議会での審議のためにこそ全議員に一律に配布されていることを重視しなければなら
 ない。「秘密会」指定でもない普通の公開の議会に対して提出される審議資料は、「市
 民全般、公衆に対して公開されて審議される」という理念の下に各議員に配布されるも
 のであって、そこに記載されていることが全て「公開の情報」であることは、議会制民主
 主義の大原則として子どもでも分かる事柄である。

   議員に配布されたこういった資料を広く市民に公開して勉強会や報告会をしたり、市
 民から意見を求めたりすることは議員の活動として普通に行なわれることであるが、も
 しも1審被告の主張に従うならば、こういった議員として当然で望ましい活動が、「議員
 しか知り得ない内容を市民に漏らした」とか、「秘密にしておくべき個人情報を違法に漏
 洩した」とかの「罪」に問われてしまうことになる。

   これを考えるだけでも、1審被告の主張がいかに馬鹿げていて、しかも議会制民主主
 義を踏みにじる暴論であるかが直ちに理解できるし、こういった暴論をあえて見過ごした
 1審判決の誤りもまた明白である。

4;「守口市・門真市合併協議会」の新たな委員会名簿について

  今回提出した甲第117号証;「守口市・門真市法定合併協議会」委員名簿は、1審原告
 が同協議会に10月17日に開示請求して10月31日開示決定を受け、11月5日に開示を受
 けた最新の情報である。

   従来は同協議会が作成公開していた名簿は、その「3号委員」の肩書は一律に「学識
 経験を有する者」とされているだけで、どういう人物なのか一般市民にはさっぱり分からな
 い状態であった(甲第83号証)から、ようやく少しだけマシになったとは言え、実は1審原
 告が「学識経験者委員」について[職業や肩書(非常勤・特別職の公務員や公益法人役
 員等の「公職」も当然含むし、市から補助金等を受けている団体の役員等も含むべきであ
 る)]として開示請求したにも拘わらず、同協議会の会長が1審被告代表の東市長その人
 であったためだろう、各委員ごとにたったひとつの肩書しか開示されなかったために、合併
 推進要望諸団体の諸役員と同協議会委員会との重複関係の把握に十全に役立つものに
 はなっていない。すなわち市民への情報公開として非常に不十分なままである。

5;「市政ノート」29の一部墨塗り提出について

  今回証拠として提出した甲第118号証の「市政ノート」29(1審原告作成)のコピーにお
 いては、その極く一部分(BとFの極く一部分の記載)について、墨塗りをしたものを提
 出せざるを得なかったが、これは、同ノートが1審原告が見聞きし考える様々なことを、
 その時々に生々しく書き記すものであるために、本件訴訟争点と直接関係がなく、公開
 するとその該当者に不愉快や不利益を及ぼす可能性のある個人氏名や肩書が書かれ
 ている部分までもが記載されている部分があったので、これを伏せておく配慮をしたため
 である。

   しかし、このことは、証拠として提出した「市政ノート」のコピーの信用性をいささかも
 損なうものではない。1審原告の「市政ノート」の性格からしてこのような部分が記載さ
 れることがあるのはむしろ当然であって、かえって「その時々の様々なことを生々しく記
 載している」という1審原告の主張や、このノート記述に基づくその時々のHP記事の信
 頼性を裏打ちするものである。

   ちなみに、1審被告は本件事件経過に関わる1審原告の主張やHP記事について、
 事件当時から現在まで、異議を唱えたり反論したりは全くなし得ていないのだから、
 それらの真実性を承服しているとみなすべきであろう。

6;1審被告への「答弁要求」について

  1審原告は、その「高裁第1準備書面」の最後で「1審被告に対する答弁要求書を提
 出する」と述べたが、今回申請した証人申請が認められて証人尋問が実現できれば、
 答弁要求書に応じさせることと同じであることに思い至り、現段階では証人申請一本に
 絞って答弁要求書の提出は見送ることとした。

  高裁裁判官におかれましては、当方からの証人尋問をぜひお認め下さるよう、強くお
 願いいたします。

 

以上。

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