証 人 申 請 書 (1)

原  告    戸 田   久 和

被  告     門   真   市

上代表者市長  東 潤

 上当事者間の御庁平成15年(ネ)第2569号、損害賠償控訴事件について、1審原告主張の事実を立証するため、下記の証人を申請します。法廷及び準備書面で述べましたように、本件の実相を知るためにはこれら証人への尋問が不可欠でありますので、なにとぞよろしく採用のほどをお願いいたします。

2003(平成15)年11月14日

大阪高等地方裁判所 第13民事部  御中

1審原告   戸  田  久  和

 


          

1 人証の表示

(1)送達先 :大阪府門真市中町1―1 門真市役所
   住 所 :大阪府枚方市茄子作4―51―22
   証人@:中本正秀(門真市役所企画部長)   (呼出 尋問所要時間約40分)

(2)送達先 :大阪府門真市中町1―1 門真市役所
   住 所 :大阪府門真市一番町16−7
   証人A :辻 光治(門真市役所総務部市民税課長 元企画部情報政策課長)
                                (呼出 尋問所要時間約30分)

(3)送達先 :大阪府門真市中町1―1 門真市役所
   住 所 :大阪府門真市元町14−27
   証人B:東 潤(門真市長)             (呼出 尋問所要時間約20分)

2 証すべき事実

  証人@中本正秀は、1997年度国体事務局次長、1998年度1999年度都市整備部次長、2000年度2001年度都市整備部長を経て、2002年4月に企画部部長に就き、同年6月の本件逆転不開示決定事件当時、本件開示請求に関して「原課を束ねて統一的対応を取った」企画部を指揮する立場にあった。

 その証言により、

1;証人は事件当時情報公開の諸原則や規定について十分な理解がなかったこと、

2;当初の開示決定の作成送付後の6月6日か7日あたりに一部から急に起こった不開
 示求に押されて逆転不開示に気持ちが傾いたこと、

3;しかし「開示決定期限」を過ぎた6月10日(月)に辻情報政策課長(当時)とその方向
 で会議をしたものの強く反対されて合意をみず、その結果を助役に報告相談し逆転不
 開示の方針を強め、辻課長には再検討を求めて翌11日朝の会議を設定したこと、

4;10日の時点で、市の方針として逆転不開示決定で押し切る方針が固まり、当然市
 長も了解していたこと、もしくは市長がそれを求めていたこと、

5;翌11日(火)朝の市議会本会議直前の辻課長との会議で辻課長にもその方針を飲ま
 せて逆転不開示の結論を確定させ、10時からの本会議の最中に各部長に逆転不開
 示にする旨の通知と作業指示をしたこと、

6;原告の反発を予想して対策を協議したこと、

7:その逆転不開示決定通知は6月6日や7日の日付で作成日付を遡って作成されたこと、

8;11日午後2時からの1審原告への開示行為において、原告からの猛烈な反発を受け
 た辻課長から報告を受けて対策を協議したこと、

9;その後、「日付を違えて決定通知を作成したこと」がまずいという意見が庁内で出て、
 その対応を模索したこと、

10:原告から「6/11作成の決定通知を引き渡せ」という要求が出ていることを知り、庁内
 で対策が決まって処理が終わるまでは実態を原告に明かさないことを決め、辻課長へ
 もそのような指示を出したこと、

11;原告に対しては、「もう少し待ってくれ」という言い方で引き渡しを引きのばし続けた
 こと、

12;原告には実は「6/11作成の決定通知」の現物は渡さないという方針で臨んでいたこ
 と、

13:6月13日に出た原告からの「本会議一般質問通告」の中で本件不開示問題が取り
 上げられたので、それへの答弁者として答弁作成対応に苦慮したこと、

14:原告の「市政ノート」やホームページ記事に書かれた様な事実があったこと、

15;ある種の人々が原告に関して、「インターネット等で特定個人の非難・中傷を繰り
 返 している」とか、「個人情報を与えると乱用される危険性がある」とか評価して強
 い警戒心や嫌悪感を抱いたりして、原告に対する市の情報公開に不快感を表明し
 ていること、

16;とりわけ合併推進要望書提出の団体決定の実態に関する原告の批判報道に関連
 して、これを「非難・中傷」と捉えるある種の人々がいて、市の情報公開に抑制を求め
 るようになったこと、その圧力に証人も直面したこと、

17;それらのある種の人々の意向が市の逆転不開示決定に影響を与えていること、 

18;本件逆転不開示決定にあたって、個別原告の言動や今後の行動予測などを取り
 上げて論議がなされたこと、 を立証する。


 

 証人A辻光治は、1997年度企画部情報課長代理、1998年度1999年度総務部情報課長代理、2000年度2001年度総務部情報課長を経て、2002年度企画部情報政策課長就任により、同年6月の本件逆転不開示決定事件当時、本件開示請求に関して「原課を束ねて統一的対応を取った」企画部にあって、情報公開のコーナーを所管する情報政策課長として情報公開の判断を担う中心的立場にあった。

 また、同人は地方自治体での情報公開条例制定の進展や1999年の国会での情報公開法成立を研究しながら、1999年12月市議会で可決、2000年7月から施行された門真市情報公開条例の作成と運用に直接関わり、情報公開について豊富な知識と見識を持つものであるが、本件事件発生の約4ヶ月後の2002年10月に総務部市民税課長に配属替えになり、現 在もその地位にある。

 その証言により、

1;証人は、1998年度1999年度は総務部情報課長松本吉隆の下の課長代理として、2000
 年度2001年度は自らが総務部情報課長として(松本吉隆氏は総務部参事に移動)、2002
 年度からは企画部情報政策課長として、情報公開の制度と運用について多くの知見を持
 ち、門真市の情報公開についてそのレベルを高めるよう努めてきたこと、

2;本件の当初の開示決定を判断するに当たっては、証人が中心的役割を果たして、他市
 の状況も含めて検討しながら判断をしたこと、

3;その判断内容に対しては、少なくとも6月6日時点までは庁内で何ら異論がなく、新たに
 検討を迫られることもなかったので、6月7日に休暇を取って私的に研修会に出かけたこと、

4;部署によっては当初の開示決定が6月7日に作成された所もあるけれども、これも当初
 方針通り問題なく行なわれたこと、

5;しかし6月10(月)に出勤したら、中本部長から逆転不開示の話を持ちかけられたこと、

6;この時証人は、情報公開に詳しい者としてこれにとうてい同調できなかったこと、

7;しかしその後、証人の意向に関わりなく「市の方針」として逆転不開示の方針が固まっ
 てしまい、6月11日(火)の朝の会議において、証人もそれに服従せざるを得なくなったこ
 と、

8;6月11日(火)の朝の会議で確定された逆転不開示決定については、中本部長は朝10
 時からの市議会本会議に出席するため、証人が各部署への指示連絡の責任を一手に
 引き受けたこと、

9;この逆転不開示決定については、市長部局の各部はもちろん教育委員会でも独自で
 主体的判断はいっさい行なわれず、企画部からの指示に従っただけであること、

10:6月11日午後2時からの原告への開示行為(逆転不開示の説明)に際しては、原告か
 らの反発・追及および自らの職業的良心と「市の方針」との板挟みで、内心非常に苦し
 い思いをしたこと、

11;その後、「日付を違えて決定通知を作成したこと」がまずいという意見が庁内で出て、
 その対応を模索したこと、

12:原告から「6/11作成の決定通知を引き渡せ」という要求が出されたが、「庁内で対策
 が決まって処理が終わるまでは実態を原告に明かさず引き延ばす」というのが市の方針
 だったのでそれに従うほかなかったこと、

13;原告に対しては、「もう少し待ってくれ」という言い方で引き渡しを引きのばし続け たこと、

14:6月13日に出た原告からの「本会議一般質問通告」の中で本件不開示問題が取り上げ
 られたので、それへの答弁書起案者として対応に苦慮したこと、

15:原告の「市政ノート」やホームページ記事に書かれた様な事実があったこと、

16;ある種の人々が原告に関して、「インターネット等で特定個人の非難・中傷を繰り返 し
 ている」とか、「個人情報を与えると乱用される危険性がある」とか評価して強い警戒心
 や嫌悪感を抱いたりして、原告に対する市の情報公開に不快感を表明していること、

17;とりわけ合併推進要望書提出の団体決定の実態に関する原告の批判報道に関連し
 て、これを「非難・中傷」と捉えるある種の人々がいて、市の情報公開に抑制を求めるよ
 うになったこと、その圧力に証人も直面したこと、

18;それらのある種の人々の意向が市の逆転不開示決定に影響を与えていること、 

19;本件逆転不開示決定にあたって、個別原告の言動や今後の行動予測などを取り上
 げて論議がなされたこと、

20:情報公開の分野に長年携わってきた自分個人としては、門真市がこのような逆転不
 開示をしてしまったことや、それが裁判にまでなってしまったことについて、非常に不本
 意に思っていること、 を立証する。

 証人B東潤は、長年門真市議会議員を務めた後1985年より門真市長に当選し、以来現在まで5期連続当選18年半門真市長の座にある。

 その証言により、

1;証人は情報公開の判断にあたっては、実際的には企画部情報政策課(機構改革以前
 は総務部情報課)に任せてきたこと、証人自身は情報公開の制度や運用に特段の見識
 はなく、特段の研究もしたことがないこと、

2;本件ついては、証人は当初の開示決定の後になって、逆転不開示にすべきだという意
 見をある筋から聞き、証人もそうした方がよいと思ったこと、

3;市の顧問弁護士もこの逆転不開示でも問題ないという意見だと聞いて、証人は安心し
 て逆転不開示の指示を出したこと、

4;原告が情報公開で求めている情報は、わざわざ情報公開するまでもなく誰でも知って
 いる情報だと証人は考えていること、

5;証人は、条例の条文に書いていないことはすべからく市の裁量で行えば良い、と考え
 ていること、

6;証人は、議員が既に知っている情報を情報公開請求するのは「権利の濫用だ」と考え
 ており、こういう請求には応じるべきでないと考えていること、

7:原告による行政への批判言動について、証人はかねがね苦々しく思い、これを原告に
 よる「誹謗中傷」であると考えていること、

8;証人は、原告について、「インターネット等で特定個人の非難・中傷を繰り返している」
 とか、「個人情報を与えると乱用される危険性がある」とか評価していること、

9;とりわけ合併推進要望書提出の団体決定の実態に関する原告の批判報道に関連して、
 証人もこれを「非難・中傷」と捉え、原告に対して市は情報公開を抑制すべきと思うように
 なったこと、

10;合併推進要望書提出団体の代表者ら役員の大半は、証人にとって長年の知己であり、
 証人と気さくに意見を交わす間柄であること、

11;公金を支出している団体の責任者が誰であるかは、市民に知らせる必要のない情報で
 あり、そういったことは「行政の説明責任」の範疇には入っていないし、団体責任者のプラ
 イバシーの方がより重視すべき事だと、証人は考えていること、

12;公益法人の役員に就任していることや、非常勤特別職の公務員に就任していることは、
 「一般に他人には知られたくない情報」として保護されるべきことだと、証人は考えている
 こと、

を立証する。

3 尋問事項

   別紙のとおり。