はじめに;新証拠提出による事件の実態解明と違法性の立証

 原告は、本日、新たな証拠として、逆転不開示決定と原告への対応を直接担当した中本企画部長と辻企画部情報政策課長(当時。現在は総務部市民税課長)らの公務実態を示す情報開示資料(甲第101号証〜107号証)や、事件当時の生々しい事実を記録している原告作成の「市政ノート」(29)および(30)の写し(甲第118号証・111号証)などを提出することで、既に提出した主張や証拠と併せて、本件逆転不開示手続の違法性と虚偽公文書作成、偽計業務妨害の事実を立証するものである。

 とりわけ、「市政ノート」は、原告が初当選・初登庁した1999年4月以来ずっと大判の大学ノートに原告が直接見聞きしたことを書き記して現在は47冊目になっている活動日誌であり、証拠価値の高いものである。ただ、極めて悪筆である原告が走り書きしたものであるために、そのままでは第3者には読みとりできない部分が多いので、今回は当該部分のコピーとそれを読みとってパソコン入力したものの両方を提出することにした。

 

第1;「逆転不開示すべし」の声はなぜ、どこから起こったのか?

1;本件逆転不開示の経過は、「地裁 原告第1準備書面 2:<6.11不開示決定事件の
 事実>の説明」に詳しく記述されているように、「6/6・7開示決定」は、形式は各部の課
 長・係長が起案者となって上司に伺い、「情報政策課長」と合議審査の上で、同部の課
 長代理・課長・次長・部長の決裁を得た形になっているが(甲第29号証など)、実際は、
 「所管部局が多岐に渡るから」として企画部情報政策課が原課を束ねて統一的対応を
 取ったものである。
  しかし、企画部長の中本氏は本件事件の2ヶ月前の新年度人事で都市計画部長から
 移動してきたばかりで、情報公開についてズブの素人に等しく、当人も「詳しいことは勉
 強していない」(甲第118号証I)、「マニュアル読まずに対処した。(*公益法人に関す
 る)閣議決定も知らなかった。」(甲第111号証C)と言っていたほどであった。

  「6/6・7開示決定」開示の実際の判断者は、門真市情報公開条例の制定運営作業に
 直接関わり、情報公開についての見識の豊かな辻情報政策課長(当時。以下も同じ)で
 あり、その判断への異議は6/7(金)段階では庁内的に公なものとしてはどこからも提起さ
 れていなかった。だからこそ6/7付の開示決定が出されているのである。  

2;「逆転不開示」の話が辻課長に初めてもちかけられたのは、週明けの6/10(月)であり、
 「変更のいきさつ 6/7通知したあとで検討した結果 会議したのは 6/10(月)招集 した
 のは中本 中本と辻で →助役にも報告」(甲第118号証D)とか、「6/10(月) 中本部長
 と会議 中本氏からもう一度しらべてくれ、と話」と中本部長・辻課長の話(甲 第118号証
 F)として原告「市政ノート」にあるように、持ちかけたのは中本部長であ り、この話し合い
 は正式な庁内会議ではなく2人だけの打ち合わせであった。

  しかし、公益法人を含めて代表者・役員氏名全て不開示というムチャクチャなことを言わ
 れても辻課長はとても了承できなかったために、この日は逆転不開示の合意がで なかっ
 たために、話は翌6/11(火)朝に持ち越されたのだった。  

3;問題は、6/7(金)には一体誰が、もしくはどの筋が、中本企画部長をして逆転不開示決
 定を考えさせたかであるが、少なくともそれは6/7(金)当時は庁内的に公なものにはなっ
 ていなかった。だからこそ開示判断の第1人者である辻課長は、「6/7は辻休んだ よそ
 で私的な研修会 門真に来ていない 休か扱い」と原告の「市政ノート」に辻課長自身の
 話として記載があり(甲第118号証F)、辻課長の出勤簿(甲第103号証)でも裏付けられ
 ているように、6/7は休暇を取って出勤していないのである。

  真相の究明は証人尋問によるしかないが、状況証拠として考えられるのは、前日の
 6/6(木)に開催され、中本部長も同席したことが明かな(甲第106号証)「門真市個人情
 報保護審議会」に委員として出席した西村美代子氏(門真市社会福祉協議会会長)や
 大本郁夫議長(甲第100号証)などから、「個人情報だから不開示にするよう」に強く求め
 られたのではないか、ということである。

  実際にこの6/6審議会で「その中の雑談で、個人情報の話が出た」と中本部長が原告
 に語っているし(甲第44号証;6/7部分開示決定をひっくり返したいきさつを示すホーム
 ページ報告記事、および今回提出の甲第118号証E)、西村美代子氏も大本郁夫議長も、
 「合併推進要望」を出した複数の団体の代表者であるし、原告はこれら団体要望の実態
 を批判的に取り上げ調査を進めてきたのであるから、両氏らが原告の報道と調査進展を
 快く思わなかった可能性は十分にある。

  また、6/6会議は欠席した山口晃氏も「合併推進要望」を「一部の役員だけで決めて」
 出したとして原告が批判報道していた「門真市自治連合会」の会長である。
  また、同審議会委員の大本議長と風古波副議長はともに、原告に対する議会での懲
 罰問責等の非常識な攻撃の急先鋒でもあり、積極的な合併推進派である。
  そして同審議会委員6人のうち、西村氏・大本氏・山口氏・植村氏(大学教授)のなん
 と4人もが、2003年に「守口市・門真市法定合併協議会」の委員に就任して合併推進
 の論を述べてきているのである。(甲第117号証)

  また、委員氏名が絶対的に開示であるべき同審議会の委員氏名開示までも、中本部
 長らが6月27日に突然拒否するという錯乱をした(6/27氏名不開示決定;甲第18号証)
 (7月8日に一転して開示決定;甲第46号証・甲第100号証)のも、同審議会の委員筋
 とりわけ門真市の有力者として名高い西村氏は大本氏ら筋から「自分らの名前を原告
 に開示するな」という強い圧力があって過敏になっていたためではないかと推測するほ
 かには理解できない事態である。

  いずれにしても、小サークルの役員氏名の開示ならいざ知らず、公益法人の代表者氏
 名すら不開示にするという「無謀で大胆な」なことは、他ならぬ当該の公益法人代表者
 筋からよほど猛烈な圧力が市にかかった結果ではないかと十分に推測しうる事態である。

  この実態を解明するためには、中本部長や辻課長、そして東市長の証人尋問が不可欠
 である。

 

第2;逆転不開示決定が違法である理由

1:門真市情報公開条例にも「手引書」にも規定のない本件逆転不開示決定を行なうにあ
 たっては、既に述べてきたように、6/7(金)までは何の会議も行なわれず、6/10(月)にな
 って中本部長と辻課長だけの会合が行なわれたが結論は出ず、結局は甲第44号証や
 甲第118号証Dにあるように「最終的に決めたのは6/11(火)の午前、本会議前 結論決
 めて助役に報告した 本会議中に各部長に送信した 辻課長から各部に連絡して書面
 作成してもらった」のであって、各部ではこの企画部長からの不意打ち的な指示連絡に
 よって急遽逆転不開示決定の起案書を作成・決裁し(甲第30号証@A)、墨塗り等の大
 幅な変更作業に追われるというドタバタ劇を演じたのであった。

  この過程には、市長や教育委員会による検討どころか、通常必要なはずの庁内会議
 すらなかった。6/11早朝の9時から10時本会議開始前までの1時間にも満たないわずか
 な時間での中本部長と辻課長の会合があっただけである。

2;門真市職員の服務の宣誓に関する条例(甲第113号証)は、第2条で「新たに職員と
 なつた者は、任命権者の定める上級の公務員の面前において別紙様式による宣誓書
 に、署名してからでなければその職務を行つてはならない。」と規定している。その宣
 誓とは「主権が国民に存することを認める日本国憲法を尊重し、かつ、擁護することを
 堅く誓います。私は、地方自治の本旨を体するとともに公務を民主的かつ能率的に運
 営すべき責務を深く自覚し全体の奉仕者として誠実かつ公正に職務を執行することを
 堅く誓います。」というものである。

  また、門真市職員服務規程(甲第114号証)は、第2条で「職員は市民全体の奉仕者
 として職責を自覚し、誠実公正に、かつ、能率的に職務を遂行するように努めなければ
 ならない。」と規定している。

3;しかるに門真市は、上記のような不透明な経過しか踏んでおらず、公益との比較考量
 もせず、団体ごとの検討もせず、キチンとした会議も開かず(従って会議記録もない)、
 情報公開の手引き書すら検討せずに(甲第40号証:「市が情報公開条例「手引書」に明
 白に違反していることを示すホームページ記事」の3ページめ)、情報公開条例にも「手
 引書」にも規定がなく前例もなく、そして開示請求者の重大な不利益と不快を与える本
 件逆転不開示決定を行なったのであった。

  ちなみに、甲第40号証ホームページ記事の抜粋は以下の通りである。

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   これには本当に驚いた。昨日6/18夕刻5;40過ぎに中本企画部長・辻情報政策課
 長が6/11決定通知をまだ渡せない言い訳をしに、戸田事務所に来た時に尋ねたところ、
 今回の決定変更論議にあたっても、戸田から問題指摘されてからも、両人とも「門真市
 情報公開条例・門真市個人情報保護条例 手引き書」という、トラブルや疑問があった
 時に真っ先に検討しなければいけない重要文書を、全く読まないままに、判断を下して
 いたことが判明した。両人ともこれをはっきり認めたのである。

   ・・・・特に中本企画部長は、「手引き書は完成した時に目を通しただけで、以降は
 読んだことがない。今回、会長や役員氏名が保護すべき個人情報ではないか、と思っ
 た時にも読まなかった」状態で、あえて15日間の情報公開の期限を過ぎてから辻課
 長を呼んで協議して、決定変更して、戸田事務所に来て指摘されるまで全く目を通し
 ていない、というのだから呆れてしまう。

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  このように、被告の逆転不開示決定の行為は、とうてい「誠実かつ公正な職務の執
 行」 をしたとは言えず、「地方自治の本旨を体するとともに公務を民主的かつ能率的に
 運営すべき責務を深く自覚」した行動をする義務に反しているから、門真市職員服務規
 程および門真市職員の服務の宣誓に関する条例に違反した行為であって、この点でも
 違法である。

 

第3;被告が虚偽公文書作成を自覚していたこと

 既に論証しているように、被告が2002年6月11日の朝9時からの午前中に「6月6日付」「6月7日付」と作成日付を偽造した公文書を作成したのは事実である上に、中本部長自身が、「6/11文書、じつは、「6/7の日付で作っていた」ので、これでは文書偽造になり、決裁しなおしていた。」と6月19日夜に戸田に電話で初めて語ったように(甲第111号証D)被告自身がその違法性を十分に自覚していたのである。

 そしてそうであるからこそ、後述するように、被告は6/19夜になるまで、「6/11の逆転不開示決定文書が実は違う日付で作成されたこと」を一貫して原告に隠して、あまつさえ原告の口に合わせて被告自身がこれを「6/11文書」とか「6/11決定通知」とかと言い続けてシラを切り通したのである。

 従って、被告の行為が「虚偽公文書作成にあたらない」とした1審判決は誤っており、刑法第156条(虚偽公文書作成等)、「公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は文書若しくは図画を変造したとき」に該当する事が認定されるべきである。

 

第4;被告が偽計業務妨害を行なっていた確たる事実

1;被告の偽計業務妨害については、原告は1審の「原告第3準備書面 1;「偽計業務
 妨害」の事実を覆すことができない被告の実態」に詳述し、高裁での「1審原告控訴理
 由書」で1審判決の誤りを指摘している。

   証拠としては、
   ◎甲第38号証;「6.11不開示事件の様子と市の偽計業務妨害対応を示すホー ムペ
    ージ記事」
      3ページめ;▼情報政策課長が公文書抱えて所在不明?奇っ怪な話 1
      4ページめ;▼6/18朝10時になっても通知文渡さず連絡なし!奇っ怪な話2
             ▼6/18怪事件!正午段階、中本部長所在不明、辻課長出張!?

  今回はそれに加えて、原告作成の「市政ノート」29・30の該当部分を提出することで、
 その実態をさらに明らかにするものである。

  新たに提出するその実態とは、以下の事実である。

  (1);6月17日記載分の1(甲第118号証H)
    ――――――――――――――――――――――――――――――――
      6/11決定通知をくれといっているのに、
        6/13から要求している
      辻課長は「もう少しまってくれ」と言って引きのばしてばかり
      ぎぞう工作しているのではない?
      6;10 辻にTELしても(会いに行っても5:30)つかまらないので、
          中本にTEL、来る、とのこと
      6:14〜19 中本と話 全然知らないような口ぶり
        「辻と会っていない」、
        「通知書のこと、自分は知らなかった」
      戸田―あやしすぎる。6/13から言ってるのに、理由不明のままで引きのばし
           何かぎそう工作しているのではないか?
           30分以内に持ってくるよう要求
      ――――――――――――――――――――――――――――――――

  (2);6月17日記載分の2(甲第118号証I)
     ――――――――――――――――――――――――――――――――
      6:50 中本再訪 「辻つかまらない、不明」 戸田抗議
          戸田が「個人〜 ただし〜 」と言ったら、「詳しいことは勉強して
          いない」と言った!
               (中略)
       「あした朝ではダメか?」と何度も言う
        戸田―ダメだ。今日出さなければおかしい
      7:42 中本へTEL呼び出し 辻はTELしても出ず
               文書BOXに文書なし
      あす朝9;30までに文書よこさなければ、Kサツに
      盗難届け出す、と宣告して帰る
     ――――――――――――――――――――――――――――――――

   (3);6月18日記載分の1(甲第111号証A)
     ――――――――――――――――――――――――――――――――
      6/18(火) 6/11通知なおもわたさず!
        9;30すぎTEL 辻不在 中本不在 主幹に伝言
        「10時までにわたせ。Kサツに行くぞ。事務所にTELせよ」
                     何もTELなし
      11;50−12;00  辻不在 「10時から出張!」
              中本不在、妹尾出るが、何もわからず
     ―――――――――――――――――――――――――――――――――

    (4);6月18日記載分の2(甲第111号証B)
     ―――――――――――――――――――――――――――――――――
      2:20 企画部に行ったら中本氏いた!
          控え室で話 (*戸田の議員控え室)
     ・「手続き上のことで問題があるので新たに決裁をとりなおす」ということにな
      った
     ・いつ? 6月18日(付け)で決裁の手続きをとることになった
             今まで検討していた(しかし、戸田には言わない)
      6/11決定をつくりかえるのか?
         A― 6/11決定通知について、「単純に事務処理上のミスがみつかっ
            たので、決裁しなおしている」
           「文面は変えていない」 変えたら刑事事件になる
       説明させてもらおうと思っていた。
       教育長不在で連絡とれるのをまっていた。
        ↓
      (しかし実際にはケイタイにも何もれんらくしていない)
     ――――――――――――――――――――――――――――――――――

    (5);6月18日記載分の3(甲第111号証C)
     ――――――――――――――――――――――――――――――――――
     5;35 中本氏よりTEL (行きます) (*戸田の議員控え室へ)
     5;43 中本 辻
        事実は?
       中本;1,6/11文書てんけんしたら、「書面そのものに不てきとうな所あった
          (今、中味は言えない)ので、てい正すべく、本日決定をし、(昼す
          ぎ)、現在作業中である
          2;1からの話なので、あす合併委あるし、作業は課長以下にさせ、
            明日にはわたせるようにしたい、とは思うが
            (なるべくあす わたしたいとは思うが、不明)
     戸田;Q なぜそんなに手間がかかるのか
          おわび文書くらいもってくるべき
     資料わたし せつめい とう
            @中本― マニュアル読まずに対処した かくぎ決定も知らなかった
            A辻 ― マニュアルにもとづいたせつめい誰にもしなかった
               (本当はそうでないかも) (←*戸田の推測)
     ――――――――――――――――――――――――――――――――――

    (6);6月19日記載分(甲第111号証D)
     ――――――――――――――――――――――――――――――――――
     7;40 中本よりTEL 文書わたし、答弁、ぜひあいたい
           ↓
     6/11文書、じつは、「6/7の日付で作っていた」ので、これでは文書偽造になり、
     決裁しなおしていた。1通だけ本日未完成
     9;10 (*戸田事務所にて)
            辻 中本 「6/19文書」おいていく
     「6/11文書」はハイキした! 実は「6/11付文書」はなかった!
     ――――――――――――――――――――――――――――――――――

  以上を見ても、中本部長と辻課長が原告に対して意図的にウソをつき、原告の議会質
 問作成の業務を妨害したことは明白である。

  また、甲第38号証4ページめの「 ▼6/18怪事件!正午段階、中本部長所在不明、辻
 課長出張!?」に示すように、原告は「辻情報政策課長にかけると、係長が出て、「10時
 から出張に出ました」」と告げられていたが、辻課長はこの期間に出張に出た事実がない
 ことが、今回提出の証拠、甲第103号証;辻(前)企画部情報政策課長の出勤簿(02年
 6/5〜6/9の間の分)や甲第104号証;中本部長・辻課長の出張に関する「10/29公文書
 不存在通知」からさらに明白になった。この点でも被告は原告に対してウソを言っていた
 ことが立証されたのである。

  これらの事実から、被告の行為が刑法の233条(信用毀損及び業務妨害)で言う、「虚
 偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した」
 ことに該当するのは明らかであり、これを認定しなかった1審判決の誤りもまた明白で ある。

 

以上。

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