平成15年(ネ)第2569号

損害賠償請求事件

控訴人  (被告)  門 真 市

被控訴人 (原告) 戸田 久和

準 備 書 面 T

大阪高等裁判所 第13民事部 御中

 上記当事者間の御庁・表記事件について、控訴人(被告)門真市は下記のとおり控訴理由を陳述する。

平成15年10月9日

控訴人 (被告) 門真市訴訟代理人 弁護士 安田   孝
      同               弁護士 上野 富司

第1 控訴の理由

 1 代表者氏名の開示に関する原判決の判断について

 (1) 原判決は、本件28団体の代表者氏名のみは開示するべきであるから、これを
    不開示とした控訴人(被告)の行為は違法であるとし、被控訴人に(原告)に対す
    る20万円の損害賠償金の支払いを控訴人(被告)命じた
     しかしながら、以下に述べるとおり、原判決のこの判断は誤っているものと思料
    されるから、原判決のこの判示部分について破棄し、原告の当該請求を速やかに
    棄却されたい。

 (2) 控訴人(被告)が原審答弁書において主張したように、被控訴人(原告)は、控
    訴人(被告)に対する開示請求に及んだ段階で、既に、門真市議会議員として、
    議員に配布された資料から当該各種団体の代表者氏名を熟知していた。
    つまり、知っていながら、敢えて被控訴人(被告)に対する開示請求を行なったの
    である。
      議員として既に熟知している情報は、自らの判断においてこれを利用すればよい
    ことであり、敢えて、これを重ねて、門真市情報公開条例に則り、被控訴人(被告)
    に開示請求をする必要は全くない。

      被控訴人(原告)は、議員としては知っていても、市民としての開示請求は別であ
    ると言いたいのであろうが、既に熟知している情報を更に新たに開示せよと迫ること
    は、如何に市民としての立場によるとは言え、先ずその必要性が存在するのかが
    問題であるうえ、明らかに権利の乱用である。

     民法第1条第3項は「権利の濫用はこれを許さず」と規定している。
    つまり、これは民法の基本原則である。
     敢えて言えば、憲法第12条の後段にも権利の濫用を禁ずる規定がある。
     そして、行政法規である門真市情報公開条例の解釈・運用もこの基本原則に則り
    なされるべきであることは自明である。

     控訴人(原告)は、これら法の基本原則を無視し、かつ、破っているのである。
     このような、被控訴人(原告)の行為こそ、違法行為そのものであり、その違法な開
   示請求に応じなかった控訴人(被告)の行為が違法になる訳がない。 したがって、原
   判決が本件28団体の代表者氏名を不開示とした控訴人(被告)の行為を違法と判断
   し、被控訴人(原告)の損害賠償請求を容認したのは、明らかに誤っていると思料する。

     被控訴人(原告)は、この控訴人(被告)の行為を、原告(つまり特定の請求者)の
   請求であるが故に不開示の処分にしたと盛んに非難するのであるが、そうではない。
     重ねて述べるが、被控訴人(原告)の請求が権利の濫用であるから、これに応じな
   かっただけのことである。

  2 社団法人門真市社会福祉協議会、社団法人大阪府公衆衛生協力会門真支部、守
   口門真商工会議所についての役員氏名を開示するべきであるとした原判決の判断も
   誤っていると思料するが、この点についての主張は、次回に準備書面にて陳述する。

以上