▼ 11/14市から出された準備書面 ▼

 

平成14年(ワ)第8041号

損害賠償請求事件

原  告   戸 田 久 和

被  告   門  真  市
代表者市長   東  潤

準 備 書 面 1

平成14年11月13日

大阪地方裁判所
   第18民事部 御中

被告訴訟代理人 弁護士  安田 孝
  同     弁護士 上野富司

 上記当事者間の御庁・表記事件について、被告は下記のとおり陳述する。

第1 本件不開示決定が適法であることについて

  原告は、本件不開示決定が門真市情報公開条例(以下「条例」という。)に反する違法なものであると主張する。
 条例第1条には「・・・市民が公文書の開示を請求する権利を保障する」とあることから、公文書を公開することが原則であることを認識して制度の運用にあたるべきことは、原告主張のとおりであるが、一方条例第3条には「実施機関は、公文書の開示を請求する権利が十分に保証されるようにこの条例を解釈し、運用しなければならない。この場合において、実施機関は、通常他人に知られたくない個人に関する情報がみだりに公にされることのないよう最大限の配慮をしなければならない。」と規定しているのであって、原則公開の立場に立つとしても、公開によって個人のプライバシーを侵害することがあってはならない、と言うのがこの規定の解釈である。
 ところで、門真市が本件で不開示とした情報は、条例第6条により不開示とすることができる個人の氏名、住所、電話番号等プライバシーに関する情報である。

 因みに、条例第6条の第1号には
    「個人に関する情報(事業を含む当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報
    に含まれる氏名、生年月日、その他の記述等により特定の個人を識別できるもの
    (他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを
    含む。)又は、特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人
    の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。

    ア 法令若しくは条例(以下「法令等」という。)の規定により又は慣行として公にされ、
      又は公にすることが予定されている情報

    イ 公務員の職務の遂行に係る情報に含まれる当該公務員の職に関する情報

    ウ 人の生命、身体、健康、財産又は生活を保護するため、開示することがより必要
      であると認められる情報

と規定されており、個人を識別できる氏名、生年月日、住所、電話番号(住所、電話番号が条例の規定上「その他の記述により特定の 個人を識別できるもの」に該当することは明かである。)等は、情報公開請求があっても開示しないことができるとなっているのである。
 本件で、門真市が不開示とした情報は全て個人情報である。
 これら個人情報はプライバシー保護の観点に立脚し、情報公開の対象から除外されているのであって、原則公開であるから、公開するべきであるとする原告の主張は当たらない。

 原告は平成14年10月5日付第1準備書面13頁において、条例第6条第1号ただし書きアに個人情報でも開示するべきものとして「法令若しくは条例の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」を上げていること、平成8年9月20日の「公益法人の設立許可及び指導監督基準」に関する閣議決定などを根拠に大阪府公衆衛生協力会門真支部及び門真市社会福祉協議会の役員名簿はこれら団体に赴けば入手できるから、本件で門真市が不開示としたのは、条例違反であると主張する。
 しかしながら、先ず、閣議決定を根拠に本件情報公開請求に係る氏名、住所等を公開するべきであるとの原告の主張については、そもそも閣議決定とは、内閣の権限事項を閣議で定めることを言うのであるから、独自に条例を定めている門真市が特別に閣議決定に従わなければならない訳でなく、市は市としての方針としてその条例に従った処理を行えばいい訳で、またそのように処理しているのであるからこの主張も失当である。

 そして、上記2団体の役員名簿は、条例第6条第1号ただし書きアの法令の規定や慣行により公にされている情報には当たらないとの市の解釈・判断によって不開示決定に至ったものであるからそこに違法性はない。
 その解釈・判断に際しては、門真市情報公開条例手引書の適用除外事項基準・不開示情報の判断指標(以下「基準」という。)39頁、40頁に依ったことは勿論である。

 次に原告は同準備書面の14頁において、守口門真商工会議所の役員氏名は、条例第6条第2号の法人等事業情報に該当し、原則不開示であるが基準43頁に記載がある「開示できるもの」に該当すると言うのである。
 しかし、原告がその根拠として挙げる同頁の「2公表することを目的として作成し、又は取得した情報」の記載は、実施機関たる門真市を主語としていることは明らかで、門真市が上記守口門真商工会議所の役員名簿を公表することを目的とし作成し、又は取得していないのであるから、この情報に該当しないのは明らかである。

 また、原告は、当該事項の細項目(1)任意提供「法人等から提供され、不開示の条件が付いていない情報」に該当するかのように言うが、この役員名簿は、条例の規定に則っとれば、先ず第6条1号の個人情報に当たるのであって、その故に門真市としては不開示としたのである。
 このことは、基準39頁の第6条第1号「個人情報」と41頁〜43頁の「法人等事業情報」とを併せ読めば自ずから判ることである。
 個人情報の項では、1戸籍・身分に関する情報として氏名、住所、生年月日が明記されており、みだりに開示できないものなのである。

 次に、原告は、上記守口門真商工会議所の役員名簿は、既に同会議所のホームページ等で公表されているものであるから、基準の細項目(2)PR用で作成「社史、PR用パンフレット等に記載された情報」に該当し、開示すべき情報であると主張する。
 しかし、商工会議所が何らかの方法で公表しているからといって、門真市も開示しなければならないということにはならない。
 門真市の開示、不開示の判断は、あくまでも条例及び基準に従わなければならず、繰り返すが、条例第6条第1号の規定、基準39頁の定めに忠実に従って不開示としたものである。
 よって、この点の主張も理由がない。

 以上の次第で、被告が本件情報公開請求に係る情報を不開示としたことは適法であり、原告が主張するような違法性はない。

第2 原告は、本件で問題としている38団体について少なくともその代表者の氏名は、本件情報公開請求日である平成14年5月23日以前にその請求に係る情報を議員の立場で入手していたことは、既に答弁書で述べた。
 その情報入手の時期は同年5月10日である(甲第19号証、ただし作成日付は同年5月8日)
 原告は、この情報を基に、本件情報公開請求日である平成14年5月23日の前日である22日に「君、門真を売りたもうことなかれ」「各種団体による合併要望書で会員無視の不正手続きが次々に発覚」「自治連合会で、人権啓発推進協議会で、老人クラブ連合会で」「会長らだけの勝手な判断で、理事会・会長会にもかけないで、会員に全く知らせないで」などと題し、殊更センセーショナルに書きたてたビラ(乙第1号証)を作成し配布している事実を指摘しておきたい。
 甲第21号証(平成14年5月28日作成)にもほぼ同内容の記載がある。

以上