国賠訴訟;地裁 第2準備書面(4

4:裁判所をあざむく被告の不誠実行為の実態

(1)10/2答弁書主張と別の主張を行なっている被告の2枚舌行為

  被告は、10/2答弁書主張に対して原告から10月7日のホームページ記事で「違法行為の自白に等しい」と分析批判されて(甲第53号証10/7ホームページ記事)事の重大さに初めて気づいたらしく、10/7裁判の後で10/2答弁書の主張をかなぐり捨てて、裁判所の知らない所で別の主張を開始するという不誠実行為を行なっている。

 まず、さっそく10月9日の決算特別委員会の場で、共産党の亀井議員の質問に答えて中本企画部長が、10/2答弁書主張とは正反対に「開示請求者が誰であるかによって区別することはない」旨の答弁をした。
 ついで、甲第54号証にあるように、被告が「門真市情報公開審査会」に10月30日付けで提出した「異議申立てに係わる弁明書」(原告の情報公開制度による異議申し立てに対する被告の反論)では、10/2答弁書にあった「原告への動機推測・個人評価・政治状況判断によって不開示とした」という主張が全く無くなって、単に「団体の長や役員といえども特定個人を識別する情報は不開示情報」と言うのみの主張に変質したのである。
  (甲第54号証1ページめ下段部分)

 10/2答弁書で被告が裁判所に対して主張したことと、10/30「弁明書」で被告が門真市情報公開審査会に対して主張していることがこのように全く違うというのは、実に驚くべき不誠実な2枚舌行為であって、裁判所をあざむき愚弄する許し難い行為である。
 今回11/11期限で裁判所に提出されるはずの被告の第2答弁書にどのようなことが書かれているのか、原告は現段階で不知であるが、どのように詭弁を弄してもこの2枚舌の矛盾を取り繕うことはできないであろう。

(2)「被告自身が定義した不開示情報」を被告自らばらまいている支離滅裂さ

 さらに被告は上記10/30弁明書で「団体の長や役員といえども特定個人を識別する情報は不開示情報」と主張する一方で、甲第55号証に示すように、10月末から11月初旬まで門真市教育委員会主催で開催された門真市文化祭において、今年も「門真市文化祭実行委員会」の氏名が公開されている「文化祭目録」を広く一般に配布しているのである。
 これは、被告自身の定義では「不開示の個人情報」に当たるものを、それと知りつつ門真市民でない人も含めて不特定多数にばらまいているということであり、それなのに情報公開では不開示にするというのだから、支離滅裂と言うほか無い。

 また、この文化祭の団体紹介展示場では、甲第56号証@Aに示すように「ご自由にお持ち帰り下さい」として会長・副会長ほか役員氏名の一覧表が記載された「門真市子供会育成連合会」発行の機関誌や、「門真市少年スポーツ団軟式野球育成会」の会長の顔写真と氏名が公開されている読売新聞などが並べられているのである。
 後者の新聞には門真市長や教育長も顔写真を並べて挨拶文を寄せていることも含めて、被告が、実はこれら団体役員の氏名が不特定多数に公開されることを何ら気にしていないし、当該団体や報道機関に注意する気もないことがここに如実に示されている。

 また、被告が原告の行動に対して、本当に「特定個人の非難・中傷を繰り返している」とか「各種団体代表者個人に対する署名権限の有無に関する非難・中傷を始めている」、とか危惧しているのなら、なぜ市民の人権のために原告に警告するとかしないのか、それが行政としての責務ではないか、という疑問が直ちに湧いてくるのだが、こういう原告への非難評価は10/2答弁書で被告が初めて言ったことであり、本件問題が取り上げられた6月議会でも9月議会でも、その他の公式の場でも、被告はこの様な原告への非難評価を一切口にしたことがないのである。
 これらの事実から判明するのは、被告の言い分は支離滅裂で一貫性がなく、相手によって言うことを変える不誠実なものであって、何らまともに聞くに値しないということである。

(3)条例・手引・閣議決定・法令の具体的な検討を全く示せない被告の超主観的主張

 6月11日の本件事件発生以来今日11月9日まで、このように支離滅裂な被告の言動の中でたったひとつだけ一貫しているのは、原告との面談においても議会答弁においても、裁判所に対しても情報公開審査会に対しても、被告が情報公開条例やその手引、閣議決定や法令の具体的な検討を全く示せないままで、ただただ超主観的に「個人を識別できる情報だから不開示である」とか、「門真市情報公開条例第6条1号に該当する」と主張するだけだということである。
 唯一目新しいことと言えば、情報公開審査会への「10/30弁明書」の中で「条例第6条ただし書きに掲げる例外開示情報にも該当しないと判断した」という主張を公言しただけであり、これも原告がかねて指摘している具体的条文・事例にもとづく批判に何ら具体的に反論できない主観の吐露に過ぎないものである。

 「公金支出先の団体責任者(=役員)氏名が秘密にされて良いのか?」、「公人たる公益法人の役員氏名や幹部級特別公務員の氏名が秘密にされて良いのか?」、「国や都道府県で開示されている情報を門真市では不開示にされて良いのか?」という根元的な問題に関しても、また情報公開条例条文やその趣旨・解釈運用・適用除外事項基準との具体的な関係も、「公益法人役員リストの一般公開と所管官庁への備え付け」を義務づけた閣議決定や総務省見解との具体的な関係も、「団体役員の氏名・住所は役員名簿の必要的記載事項」と明記されている民法との具体的関係も、およそあらゆる検討すべき具体的事項の検討から逃亡して主観を述べるだけなのが被告の実態であり、とうていまともに耳を傾ける性質のものではない。
 被告の有様は、まるで白い鳥を見ながら「この鳥は黒い鳥だ」とあくまで言い張る人間に等しいのである。

 

最後に:11/18結審と早期の厳正な判決を求めます。

 この間の原告の論証と、「10/2違法行為自白答弁書」も含めた被告の行為の実態から、被告が行なった情報隠しの違法性と原告に与えた損害および市民公衆に与えている害悪の存在は一点の曇りもなく明瞭になったと思います。
  事件発生から5ヶ月弱、裁判提訴から3ヶ月、12月議会を間近に控え、さらに合併問題や新年度予算審議が重要な争点となる3月議会を次に迎える今、「公金支出先団体の責任者が全て秘密」という異常違法な状態の放置は公益上も許されないと考えます。
  「世に汚職と腐敗のタネは尽きまじ」のこの社会にあって、行政の公明正大化、とりわけ公金支出先の明朗化と責任所在の明確化、議員や市民からのチェック機能の強化は愁眉の課題となっております。
  政策決定過程の公開や発案過程の公開まで情報公開の捉え方や制度が進んできているこのご時世にあって、本件事件のような悪質低劣で明白に違法な情報隠しを門真市行政が平然と行なっていることは誠に恥ずべきことであり、公益実現のためにも門真市民の名誉のためにも、断固たる処断がなされて法的正義が回復されなければならない、と私は信じます。

 どうか裁判所におかれましては、この門真市行政の現実を踏まえて、11/18第2回口頭弁論を持って結審され、早急に厳正適切な判決を下していただきますよう、お願い申し上げます。

以上。

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